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く🔗⭐🔉
く
〔接尾〕活用語に付いて名詞化する。四段活用の動詞に付いて「言はく」「思はく」など、その他の動詞に付いて「恋ふらく」「見らく」など、助動詞に付いて「知らなく」「有らなく」(打消)、「掛けまく」「散らまく」(推量)、「来しく」「寝しく」(過去)など。→ク語法。
1 主語または連用修飾語となる場合。
…こと。…すること。…するもの。*古事記‐中・歌謡「立柧
(たちそば)の実の無け久(ク)をこきしひゑね」*万葉‐一六九「あかねさす日は照らせれどぬば玉の夜渡る月の隠ら久(ク)惜しも」
…するところ。…する場所。*万葉‐八二三「梅の花散ら久(ク)はいづくしかすがに」
…する時に。…する時。*万葉‐七四「み吉野の山の嵐の寒け久(ク)にはたや今宵も我が一人寝む」
2 引用文を導く場合。多く「言う」「思う」などの意の動詞に付く。…ことには。…のは。*万葉‐三八四〇「寺々の女餓鬼(めがき)申さ久(ク)大三輪の男餓鬼給りてその子生まはむ」
3 引用文の末尾に置かれ、引用句を形成する場合。…すること(と申し上げる)。*続日本紀‐文武元年八月一七日・宣命「神ながら所思行佐久(おもほしめさク)と」
4 (多く、「…くに」「…くも」の形で用いる)文末に位置し、文全体を名詞止めの感動文とする場合。特に万葉集では否定の助動詞「ず」の未然形とともに、「なくに」の形で用いられることが多い。…することよ。…であることよ。*万葉‐一七二一「苦しくも暮れ行く日かも吉野川清き河原を見れど飽かな君(くに)」*万葉‐三五五四「妹が寝(ぬ)る床のあたりに岩ぐくる水にもがもよ入りて寝ま久(ク)も」
[補注](1)接続については諸説がある。(イ)四段活用・ラ変動詞・助動詞「けり」「り」「む」「ず」の未然形、形容詞には古い未然形「け」にそれぞれ接尾語「く」が付き、その他の場合には、終止形に接尾語「らく」が付き、助動詞「き」は例外として連体形に付くとする。(ロ)活用語の未然形に、推量の助動詞「む」の零表記を媒介として、「こと」を意味する不完全名詞の「く」が付いたとする。(ハ)活用語の連体形に接尾語「く」が付くとする。(ニ)活用語の連体形に形式名詞「あく」が付くとする。(2)語源については、「其処(そこ)」などの「こ」、「奥処(おくか)」などの「か」、「何処(いづく)」などの「く」など、位置や場所を表わす語と同源とする説や、形式名詞「こと」を一音化した語と見る説もある。




日国 ページ 5867 での【く】単語。