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あま【海人・海士・海女・蜑】🔗🔉

あま【海人・海士・海女・蜑】 1 (海人・蜑)海または湖で魚類、貝類、海藻などを取るのを業とする人。漁師。漁人。あまうど。あまびと。*古事記‐下・歌謡「鮪(しび)突く阿麻(アマ)よ」 2 「あまべ(海人部)」の略称。 3 (海士・海女)海にもぐってアワビなどの貝類やテングサなどの海藻を採取するのを業とする者。男を海士、女を海女と表記。《季・春》 竜宮珠(たま)取り伝説の海女。藤原不比等が、竜神に奪われた明珠をとりもどそうと、讚岐の志度の浦の海女と契りをこめた。海女は藤原房前(ふささき)を生み、その恩愛にひかされて竜宮へ行き、明珠を奪い返したが、追われてそれを乳の下を切って隠し、竜に害されながら明珠だけは無事不比等に伝えたという。 (海士・海人)謡曲。五番目物。各流。の伝説を脚色したもの。 ●海人なれや己(おの)が物からねなく (「古事記‐中」によれば、大雀命(おおさざきのみこと)と菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)とが、互に帝位を譲りあっていたとき、ひとりの海人が魚を献上したが、両皇子とも譲りあってこの魚を受け取らなかったので、海人は遂に魚を捨てて泣いたという故事から生まれたという)ふつうの人は欲しいものを持たないで泣くのに、あまは自分の持っている物を人が貰ってくれないで泣く。自分のものが原因で泣く人を冷やかす意で使ったことわざか。〔古事記‐中〕〔書紀‐仁徳即位前(前田本訓)〕 ●海人の漁(いさり) (古くは「あまのいざり」)漁師が漁をすること。また、その時船上でたくともし火。 ●海人の刈(か)る藻(も) あまの刈り取る海藻。和歌では「乱る」の序に使われることがある。 ●海人の子(こ) 1 漁師の子供。時に娘をいう。 2 (船に住んで世をすごす意から)遊女。あそびめ。 ●海人の捨舟(すてぶね) 漁師の乗り捨てた舟。たよるもののない、はかない身の上をたとえていうこともある。 ●海女の栲縄(たくなわ) 1 あまが海中に入る際の命綱。 2 多くの釣り針のついた釣り糸。 3 漁網を引いたり、上げたりする時に引く綱。 ●海人の釣舟(つりぶね) 漁夫が釣りをする舟。 ●海人の濡(ぬ)れ衣(ぎぬ・ごろも) 1 漁師の着ている、潮に濡れた着物。 2 (あまは、常にぬれ衣を着るところから)ぬれ衣を着る、すなわち、無実の罪をこうむることをたとえていう。 ●海女の笛(ふえ) 長い時間海中に潜っていたあまが、浮上して口を細めてする息が口笛のように鳴るのをいう。磯なげき。 ●海人の両手肩(まてがた) (「まてがた」の「ま」は完全の意。両手両肩の意)あまが潮水を汲み入れて運んだり、または、藻塩草を刈り集めたりなどするとき、両手両肩を使って忙しく働くこと。「いとまなみ」「かきあつむ」などに、また、同音で「待て」などが続く。

日国 ページ 583