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人・動物以外の具体物・抽象物が存在する。🔗🔉

人・動物以外の具体物・抽象物が存在する。 「机の上に本が━」 「交差点に交番が━」 「山の向こうに海が━」 「名古屋には名古屋城が━」 「車庫には車が一台━」 「本社は東京に━」 「こんな話は世間にざらに━」 「人生には喜びも━・れば悲しみも━」 「あの歌手は若者に人気が━」 「この薬は疲労回復に効果が━」 「二人の実力には大きな差が━」 「あそこに太郎[スズメ]がいる」など、人・動物の場合は「いる」を使う。 人が存在することを初めて紹介するようにいう。いる。 「昔、ある所におじいさんとおばあさんが━・りました」 《人・動物の意を表す語の上に連体修飾語を冠して》何らかの形で類型化された人・動物が存在する。いる。 「賛成の人も━」 「無関心な子も━・れば目を輝かせる子も━」 「私には強い味方が━」 人が特定の状況や地位・立場などに身を置く。 「病床に━・って無聊ぶりょうをかこつ」 「党内に━・って唯一の理論家」 「恵まれた環境に━」 「逆境に━・ってもくじけない」 「彼は理事長の職に━」 「彼女は指導する立場に━」 存在する人よりはその状況に関心をもった言い方で、「〜にあって」の形で使うときは、しばしば意味が形式化して格助詞「で」に近づく。「いる」で置き換えると、口頭語的な言い方となる。 あるものがある特定の状態や段階に置かれている。 「会社は倒産寸前の状態に━」 「新製品は試作段階に━」 「人口は増加の傾向に━」 「その国は隣国の支配下に━」 「国の経済は発展途上に━」 人がこの世に生きて暮らしている。生存している。 「世に━限り最善を尽くそう」 「いつまでも━と思うな親と金」 あるものが所有されたり含まれたりした状態で存在する。持っている。 「私には妹が━」 「金も時間もたっぷり━」 「才能[体力・教養・貫禄かんろく・悩み・責任・余裕・恨み]が━」 「我が家には書斎が━」 「このドアには頑丈な取っ手が━」 「その意見には問題が━」 「彼の文章にはユーモアが━」 《数値を伴って》あるものがそのような物理的な属性をもっている。そのような数量が認められる。 「彼は体重が一〇〇キロも━」 「塔の高さは五〇メートル━」 複数のものの間にある関係が成り立つ。 「私はこの事件と深い関係が━」 「両者間には密接なつながりが━」 「互いに面識が━」 「両国間には国交[取引]が━」 ある物事がなされる。行われる。催される。また、ある特別なことが起こる。 「田中氏から電話[連絡・発表・質問・謝罪]が━・った」 「方針の変更が━・った」 「今日は学校が━」 「遠足[バーゲンセール]が━」 「二日前に衝突事故[地震]が━・った」 時が経過する。 「やや━・って(=しばらくして)語り始めた」 《「〜に━」の形で》〜によって決まる。〜によって左右される。 「成否は努力のいかんに━」 「復讐ふくしゅうするは我にあり 《「〜と━」の形で、ことばが存在する意から》〜と書かれている。また、〜ということだ。 「遺書には『全財産を寄付する』と━・った」 「頼みと━・ればしかたあるまい」 「休日と━・って人出が多い」 《「〜だけ(のことは)━」の形で》→だけ 「自慢するだけのことは━」 《「〜ことが━」の形で》→ことがある 「どこかで会ったことが━」 《「〜つつ━」の形で》→つつ(接助) 「復興の道を歩みつつ━」 《「…とも━・ろうものが」などの形で》仮にもそのような立場・身分のものが。 「大統領とも━・ろう者がそんな発言をするとは」 「○○社とも━・ろう会社が…」 ◆文語の否定形は「あらず」だが、口語には「あらない」の形はないので、形容詞「無い」でこれに代える。 存在を表す「在」、所有的存在を表す「有」ともに、一般にはかな書き。文語的格調を重んじて存在を強調する場合や、「無し」と対比的に使う場合などでは、漢字書きも多い。「我ここに在り」「反対する者無し。但し、沈黙する者多数有り」 尊敬の「れる」を付けた「…(で)あられる」は、「ここにあられるお方は、かつて国王であられました」「殿は思慮深くあられる」など、「…(て)いらっしゃる」の古風な言い方として今も使う。ただし、「ご質問はあられ(→ござい・あり)ませんか?」「興味があられましたら(→おありでしたら)」などは不自然な感じを与える。 補動 《「〜て(で)━」の形で、他動詞の連用形を受けて》変化した動作の結果が現在まで維持されている意を表す。 「壁に絵がかけて━」 「机に本が置いて━」 「荷物が乱雑に積んで━」 もとの文(「絵をかける・本を置く・荷物を積む」)の「を」が「が」に変わり、全体で自動詞化する。「て」は助詞。 《「〜て(で)━」の形で、動詞連用形を受けて》何かに備えて手回しよく準備されている意を表す。 「手回しよくご飯が炊いて━・った」 「きちんと予習が済ませて━」 「前もって周辺機器が本体の中に組み込んで━」 一般にもとの文(「ご飯を炊く・予習を済ませる・機器を組み込む」)の「を」が「が」に変わるが、「を」のままでも使う(「手回しよくご飯を炊いて━」)。「機器が組み込まれて━」など受身形を受けることも多い。 「〜ておく」に似るが、これは動作主の意図を重視した言い方(「ご飯を炊いておく・予習を済ませておく」)。 《「AはBで━」「AがBで━」の形で》AとBが等しい、また、AがBに属するという断定的な判断を表す。 「責任者は私で━」 「私が卒業したのは去年のことで━」 「トラはネコ科の動物で━」 口頭語の「です」、口頭語・文章語両用の「だ」に対して、専ら文章語として使う。 《形容動詞の連用形について、「〜で━」の形で》そういう性質・状態をもっているという判断を表す。 「人柄は穏やかで━」 「辺りは静かで━・った」 「健康で━のが何よりです」 形容動詞・形容詞の連用形に、係助詞「は・も」などを添えた形に付く。「実直だが→実直ではあるが明敏ではない」「嬉うれしくもまた寂しい→嬉しくもあるが、また寂しくもある」 形容動詞・形容詞の連用形に付いて、「たい」「べきだ」などに接続させる。「×美しくたい→美しくありたい」「×厳格だべきだ→厳格であるべきだ」 形容動詞「〜だ」に比べて、「〜である」のほうがより文章語的。 「勤勉で━ことが求められる」「正直で━が故に損をする」「潔く━ためには引き際が肝心だ」など、連体形が形式名詞の類に続く形では、おおむね形容動詞・形容詞の連体形で置き換えられるが、口頭語的でやや言葉が足りない言い方となることも多い(「勤勉なことが求められる・常に正しいことは容易ではない」)。 の表現 《「お[ご]…あれ」「お[ご]…あられよ」の形で、間に動詞連用形や漢語サ変動詞語幹が入って》尊敬Aに…てくれと要望・懇願することについて、Aを高める。古語的な言い方で、今の「…て下さい」に当たる。 「おいで━・れ」 「久々の大作、ご期待━・れ」 「神もご照覧━・れ」 →お(御)表現 あ・り(ラ変) 関連語 大分類‖有る‖ある 中分類‖存在‖そんざい ある【或る】 連体人・事物・時・所などをはっきりそれと示さないで言う語。また、漠然とぼかして言う語。 「━人は雑誌を読み、━人は音楽を聴く」 「━悲しい出来事が起こった」 「それは━日のことだった」 「━消息通によれば話はこうだ」 「それは━意味で驚くべきことだ」 ◇動詞「あり」の連体形から。 近年「ある意味で」に代えて、「ある意味、それは正しい」などと使うが、言葉が足りない感じで、慣用になじまない。

明鏡国語辞典 ページ 227 での人・動物以外の具体物・抽象物が存在する。単語。