重言のいろいろ
1
言葉を重ねて使う意味がない、表現が冗長になるなど、一般に不適切とされるもの(括弧内は適切な表現の例)
あとで後悔する(→あとで悔やむ、後悔する)・一月元旦(→元旦、元日、一月一日)・今の現状(→現在の状況、現状)・色が変色する(→色が変わる、変色する)・炎天下の下
もと(→炎天の下、炎天下)・過信しすぎる(→信頼しすぎる、過信する)・必ず必要(→必ずいる、絶対に必要)・元旦の朝(→元日の朝)・偽善者ぶる(→善人ぶる、いい子ぶる)・ぐっすり熟睡する(→ぐっすり眠る、熟睡する)・尽力を尽くす(→力を尽くす、尽力する)・花が開花する(→花が咲く、開花する)・平均アベレージ(→アベレージ)・毎月ごと(→月ごと、毎月)・まだ未定(→まだ決まっていない、未定)・満面に笑顔をたたえる(→満面に笑みをたたえる)・余分な贅肉
ぜいにく(→余分な肉、贅肉)
2
意味が明確になる、強調される、新しい意味が加わる、そもそも意味の重なりではないなど、適当な理由があって「不適切な重言」ではないもの
アンケート調査・一番最初・一番最後・一週間のあいだ・今現在・イメージ写真・違和感を感じる・かねてから・過半数を超える・関係者の方
かた・古来より・死因は

死
できし・従来から・製薬メーカー・第一回目・中継がつながる・注目が集まる・排気ガス・約一年ほど・よい効果・リゾート地
3
「〜ヲ」に
動作・作用の結果に生じたもの
がくる、結果目的語の適切な用法であるもの
遺産を遺
のこす・歌を歌う・建物を建てる・彫像を彫る・伝言を伝える・犯罪を犯す・被害を被
こうむる
*「色が変色する」「花が開花する」の類は、「歯の色が変色する」「桜の花が開花する」など新しい情報が加わる場合は適切な表現となる。
*「必ず必要」は「印鑑は必ず必要」などが重言。「必ず読んでおく必要がある」など「必ず」が直接「必要」にかからないものは重言でない。
*「アンケート調査」「リゾート地」は、外来語に、なじみのある漢語や和語を添えて、意味をより明確にする。
*「一番最初」「一番最後」「よい効果」は、意味を強調して明確にする。
*「一週間のあいだ」は、「一週間のあいだ放置されていた」のように、時間の幅が

活動の場

としてとらえられるときに使われる。「一週間が過ぎた」など、経過する時間をいう場合には「一週間のあいだが過ぎた」のような言い方はしない(この場合は重言)。
*「今現在」「イメージ写真」などは、「今」「イメージ」に意味の幅があり、「現在」「写真」という言葉を添えて、意味を限定する。
*「かねてから」「古来より」「従来から」は、「かねて」「古来」「従来」だけで同じ意を表し、本来は重言。しかしこれらの語にある「から」「より」の意は強くは意識されず、「から」「より」を添えて意味を明確にし、昔から使われる。
*「注目が集まる」は、「注目」の「注(そそぐ)」と「集まる」に意味の重なりがあるとされるが、重言ではない。
*「関係者の方」「製薬メーカー」は、それぞれ「方」「メーカー」の項目を参照。
*3の「結果目的語」は、〜することによって〜という行為や状態や事物を作り出すことを表すもので、日本語の一般的な用法。
じゅう‐こ【住戸】ヂュウ━


名


マンションなどの集合住宅で、居住する一戸一戸。