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【杜工部集】🔗🔉

【杜工部集】 トコウブシュウ〈書物〉二〇巻。盛唐の杜甫トホ(712〜770)の詩文集。成立年代不詳。工部とは杜甫が名目的に就いた官職名工部員外郎から。相つぐ戦乱の中で各地を流転し、困窮のうちに客死した。その詩は、写実的だが一言一句もゆるがせにせず、国を憂い、民を憂うる感情のほとばしる悲壮なものが多い。賊中から脱出する際の作「春望」「哀江頭」、時弊を風刺した「三吏(新安吏・潼関吏トウカンリ・石壕吏セキゴウリ)」「三別(新婚別・垂老別・無家別)」、戦争に徴発される人民の嘆きをうたった「北征」「兵車行」、金持ちとなってのちかつての友を見捨てる旧友をなげく「貧交行」などが、その代表作である。盛唐にあって李白リハクと並び称せられたほか、一代の詩聖と称せられて後世の詩人に大きな影響を与えた。「飲中八仙歌」「哀江頭」「岳陽楼に登る」「登高」などの詩は『唐詩選』に収められて、日本でもひろく愛唱された。

漢字源 ページ 2175 での杜工部集単語。