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【韓非子】🔗🔉

【韓非子】 カンピシ〈書物〉二〇巻。戦国末(紀元前三世紀ごろ)法家の韓非の著作を中心とし、その一派の論著五五篇を集めたもの。実際に韓非の手になったものがどれかという点については、古来諸説があるが、顕学・五蠹ゴト・定法・難勢などの諸篇がたしかなものとされ、その他は韓非一派の説話や討論の記録、さらに後人の著した政論などからなっている。全篇を通じて、法術による富国強兵・君権確立が説かれており、著者の不遇な生涯を反映するように、人間のみにくさ・弱点に対する冷たい観察をもととして、その弱点をついて群臣を統御し、人民を抑圧する方策が述べられている。また、動乱の戦国時代にあって周の封建制を否定し、秦シン漢帝国の法刑制度の具体的方向を示唆した点で、重要な思想的意義をもつ。さらにその中にふくまれる、人間の裏面をあばく説話は、古代寓話文学の傑作といえる。その内容から、中国ではあまり重要視されず、かえって日本で江戸時代にすぐれた研究書があり、中国の研究家にも影響を与えた。

漢字源 ページ 4892 での韓非子単語。