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【剪灯新話】🔗🔉

【剪灯新話】 セントウシンワ〈書物〉四巻。明ミンの瞿佑クユウ(1341〜1427)の著。1378年成立。文語体で書かれた怪異小説集。剪灯とは蝋燭ロウソクのしんを切ること。しんを切って明るさを保ちながら、夜ふけまで書きつづったところからつけられた名であろう。内容は二〇の短編からなり、夜道で死んだ友人に会う「華亭逢故人記」、冥土メイドの役人になる「修文舎人伝」など奇怪な話が多いが、ひとりの青年と美しい姉妹ふたりとが結ばれる「聯芳楼レンホウロウ記」のように、怪異の要素のまったくない恋物語もある。代表作は幽霊の美女と人間の美男との恋を描いた「牡丹灯記」で、怪奇とロマンとが一編に結合されたもの。妖麗な筆づかいで男女の愛情を描写したのがうけて非常に流行した。日本への渡来は早く、室町時代に「牡丹灯記」などが翻訳されている。その後、安土桃山時代にテキストが覆刻され、江戸時代の怪談小説に大きな影響をあたえた。上田秋成の『雨月物語』など、本書に取材した作品は多く、とくに「牡丹灯記」は、三遊亭円朝サンユウテイエンチョウの名作『怪談牡丹灯籠ボタンドウロウ』を生んだ。

漢字源 ページ 492 での剪灯新話単語。