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【墨子】🔗🔉

【墨子】 ボクシ〈書物〉一五巻。戦国時代初期(前五世紀ごろ)の墨家の著作の集大成。成立年代不明。墨子ボクシの著と伝えられてはいるが、その門弟や後人が、墨子の考え方や言行を書き記したもの。たとえば尚賢篇では商人の身分からも賢者をあげ用いるべきであると説き、兼愛篇では、社会の混乱のもとは弱肉強食にあるとして、それを救うため、血縁や身分差を無視した博愛を説き、非攻篇では、弱国に対する侵略を非難し、節用篇・節葬篇では、君主のぜいたくや、手厚すぎる葬礼が、人民を苦しめることを指摘してその簡素化を説いている。その他、論理学や、幾何学・光学・力学にわたる科学的内容を含む部分、墨家の集団がその主たる目的とした防御戦術の知識をのべた部分などから成る。その思想の主要な点が、血縁の愛を重んじ、礼を重んずる儒家の考えとまっこうから対立するため、本書は久しく支配階級から無視されてきたが、清シン朝になって研究するものがふえ、さらに民国から革命後にかけて、多く庶民の立場にたって説く進歩性と、論理学的、科学的内容をふくむ本書は、ますます高く評価されつつある。

漢字源 ページ 979 での墨子単語。