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伝習録 デンシュウロク🔗🔉

【伝習録】 デンシュウロク〈書物〉三巻。明ミンの王守仁オウシュジン(号は陽明。1472〜1528)の著。原本(現在のテキストの第一巻)は1518年に、全三巻本は56年に出版された。王陽明の門弟たちとの問答筆記および、門弟たちへの手紙を集めたもの。本書は、もともと門弟たちによって編集・刊行されたもので、第一・三巻は門弟たちとの問答をかなり忠実に筆記しており、第二巻は主として門弟たちへのこんせつていねいな手紙が収められている。陽明にとっては「自分が納得する」ことこそが肝要のことなのであり、「自己の心の中における物を格タダす」ことこそが「格物」であり、「外的な物を窮め格す」ことを目標としてきた朱子学の客観主義には満足することができなかった。「知行合一」とは、かくして達せられた「良知」において認識と実践とが統一されることであり、その理論は、陽明自身の生涯の軌跡が明瞭に示しているように、すぐれて主体的・能動的なものであった。日本においては、江戸幕府の御用哲学、朱子学にあきたりない学者たち(大塩平八郎など)によって、幕藩体制批判の有力な武器とされた。

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