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き (助動)((せ)・○・き・し・しか・○)🔗🔉

(助動)((せ)・○・き・し・しか・○) 活用する語の連用形に付く。しかし,カ変・サ変には,特別の接続をする。「き」の終止形はカ変には全く付かず,連体形・已然形がその未然形「こ」・連用形「き」に付く。また,サ変には,終止形「き」がその連用形「し」に付き,連体形「し」・已然形「しか」はその未然形「せ」に付く。動作・事柄が過去にあったことを述べる。 (1)話し手が直接に体験したことを回想して述べる。「去年も見しに花面白かり〈き〉/蜻蛉(上)」「たれこめて春のゆくへも知らぬまに待ち〈し〉桜もうつろひにけり/古今(春下)」「佐保山をおほに見〈しか〉ど今見れば山なつかしも風吹くなゆめ/万葉 1333」 (2)直接に経験したことでなく,ただ,過去にあったことを述べる場合にも用いる。「十月(カミナヅキ)雨間も置かず降りに〈せ〉ばいづれの里の宿か借らまし/万葉 3214」「沖つ風いたく吹き〈せ〉ば我妹子(ワギモコ)が嘆きの霧に飽かましものを/万葉 3616」 (3)上代には,未然形に「け」があり,「けば」「けく」などの形で用いられる。「根白の白腕(タダムキ)枕(マ)かず〈け〉ばこそ知らずとも言はめ/古事記(下)」「蓴(ヌナワ)繰り延(ハ)へ〈け〉く知らにわが心しぞいや愚(オコ)にして今ぞ悔しき/古事記(中)」 〔過去の助動詞「けり」が,伝承した過去の事実を回想するのに用いられるのに対し,「き」は話し手の直接体験した過去の事実を回想するのに用いられる〕

大辞林 ページ 141921 での助動(せ)単語。