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■一■ (格助) (1)連体修飾語を作る。(ア)後続する名詞との所有・所在・所属・行為者などの関係を表す。「私―本」「空―星」「学校―先生」「偉人―業績」(イ)性質・状態・材料などを表して下に続ける。「花―都」「紫―糸」「急―話」(ウ)人間・数量・位置・論理などについての関係を表す。「社会悪―問題」「大臣―身辺」(エ)同格の関係を表す。現代語では「ところの」「との」の形をとることがある。(a)「政治家―山下氏」「よろしくと―おことば」(b)「ビール―冷やしたの」「ある荒夷(エビス)―,恐しげなるが/徒然 142」(オ)動作性名詞に付いて,その動作・作用の主が後ろの名詞であることを表す。「操業中―漁船」「ご賛成―方」(カ)後ろの動作性名詞が表す動作・作用の主体・対象であることを表す。「彼―援助で助かる」「酒―飲みたさをこらえる」(キ)「ごとし」「ようだ」「こと」などを続いて言って,実質・内容を表す。「リンゴ―ように赤い」「よって件(クダン)―ごとし」 (2)従属句の主格・対象語格を表す。「ぼく―読んだ本」「お酒―飲みたい人」「折節―移りかはるこそ,ものごとに哀なれ/徒然 19」 (3)(序詞などで用いて)「のように」の意味で,下の用言にかかる。「青山を横ぎる雲―いちしろく我と笑まして人に知らゆな/万葉 688」 (4)叙述を途中で言いさして,後に続ける。「門出したる所は,めぐりなどもなくて,かりそめの茅屋―,しとみなどもなし/更級」 ■二■ (準体助) 「のもの」など,名詞に準ずる意味に用いられる。 (1)名詞に付いて,「のもの」の意を表す。「ぼく―がない」「こっち―がいい」「草の花は,なでしこ。唐―はさらなり。大和―もいとめでたし/枕草子 67」 (2)活用語の連体形に付いて,その活用語を体言と同じ資格にする。「リンゴは赤い―がいい」「行く―はだれだ」 (3)(「のだ」「のです」「のだろう」などの形で)確信的な断定・推定を表す。「ついに失敗した―である」「君がやった―だ」 ■三■ (並立助) 用言その他の語に付いて,物事をいくつも並べあげる場合に用いる。「なん―か―とうるさいぞ」「貸す―貸さない―とさんざんにもめた」「神仙伝―列仙伝―神仙通鑑―なんどと言うたぞ/史記抄 10」 ■四■ (終助) (1)(下降調のイントネーションを伴って)断定の意を表す。「お金,使っちゃった―」「だめだった―」 (2)(上昇調のイントネーションを伴って)質問の意を表す。「のか」の形をとることもある。「だれがした―」「ねえ,くれない―」 (3)念を押す気持ちを表す。「のよ」「のね」などの形をとることもある。「道草しないで帰る―よ」「ふうん,ほんとうだった―」 (4)(強いイントネーションを伴って)命令の意を表す。「さあ,早く寝る―」「だまって歩く―」 〔上代からの語。(1)語や文節を結び付け,連体修飾語を作る(■一■(1))のが本来の用法。(2)■二■は■一■から派生したものであるが,(1)の用法はすでに上代からみられる。(3)■三■は中世以降の用法。(4)■四■は■二■(2)から派生したもので,近世以降の用法。(5)■一■(4)は,断定の助動詞の連用形とする説もある〕

大辞林 ページ 151783 での単語。