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らる (助動)(られ・られ・らる・らるる・らるれ・られよ)🔗🔉

らる (助動)(られ・られ・らる・らるる・らるれ・られよ) 自発・受け身・可能・尊敬の助動詞。下二段型活用。ただし,自発・可能の意を表す場合には,命令形は用いられない。上一段・下一段・上二段・下二段・カ行変格・サ行変格活用の動詞,および使役の助動詞「す」「さす」の未然形に付く。 (1)自発の意,ある動作が自然に,また無意識的に実現してしまう意を表す。「来し方行くさきおぼし続け〈られ〉て/源氏(賢木)」「住みなれしふるさと,かぎりなく思ひ出で〈らる〉/更級」「さやうの所にてこそよろづに心づかひせ〈らるれ〉/徒然 15」 (2)受け身の意,他から何らかの動作・作用の影響を受ける意を表す。「そこらの人々の害せ〈られ〉なむとしけり/竹取」「ありがたきもの,舅(シユウト)にほめ〈らるる〉婿/枕草子 75」「問ひつめ〈られ〉て,え答へずなり侍りつ/徒然 243」 (3)可能の意,ある動作をすることができる意を表す。古くは,打ち消しの語を伴って,不可能の意を表すのに多く用いられた。「手も触れで月日経にける白まゆみ起き伏し夜は眠(イ)こそ寝〈られ〉ね/古今(恋二)」「いで,いと興あることいふ老者(ロウザ)たちかな。さらにこそ信ぜ〈られ〉ね/大鏡(序)」「起きあがらんとすれども,なじかは起き〈らる〉べき/盛衰記 33」 (4)尊敬の意を表す。他人の動作を表す語に付いて,動作者に対する敬意を表す。もともと敬意を含んでいる動詞に付くことが多い。「乳母かへてむ。いとうしろめたし,と仰せ〈らるれ〉ば/枕草子 9」「御坪のうちに引き出だされて,重盛が首(コウベ)のはね〈られ〉んことは,安いほどの事でこそ候へ/平家 2」「負けたらん人は供御(クゴ)をまうけ〈らる〉べし/徒然 135」 〔(1)「る」と意味・用法は同じであるが,未然形がア段となる動詞には「る」が付き,それ以外の場合には「らる」が付くというように,接続のしかたに分担がある。(2)上代では,「らゆ」の語が用いられ,「らる」の形はまだ見られない。「らる」は中古以降に用いられるようになる。(3)中世には連体形「らるる」が終止法として用いられるようになり,命令形には「られい」が現れるが,やがて一段活用化して「られる」となり,現代にまで及ぶ〕 →られる(助動) →らゆ(助動) →る(助動)

大辞林 ページ 156563 での助動られ単語。