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ぞ🔗⭐🔉
ぞ
〔助詞〕
(奈良時代には多くは清音)
➊(係助詞)幾つかの中から特に取り立てて強調する。幾つかから選ぶために、強調したものについて述べる語は、それ以外への思いをこめて言い切りにならず、活用語の時は連体形となり、係結びの関係が生ずる。院政期に終止形・連体形の機能が同一化するに伴い、連体形終止の独自性が失われ、係結びに乱れが生じた。
①一つの事柄を特に指定し強調する。古事記中「夕されば風吹かむと―木の葉さやげる」。万葉集15「時待つと我は思へど月―経にける」。源氏物語帚木「およすげたることは言はぬ―良き」
②助詞「も」と接合し、「もぞ」の形で危惧・懸念の意を表す。…するといけないから。伊勢物語「思ひも―つくとてこの女をほかへ追ひやらむとす」→こそ。
③(文末に用い)事柄全体を説き聞かせ、強く断定して示す。…だ。…である。…なのだ。万葉集1「国原は煙けぶり立ち立つ海原は鴎かまめ立ち立つうまし国―あきづ島大和の国は」。源氏物語紅葉賀「いぬきがこれをこぼち侍りにければつくろひ侍る―」
④疑問の語と共に用いて相手に問いただす意を表す。…であるか。…か。万葉集5「いづくより来りしもの―」。伊勢物語「かれは何―となん男に問ひける」
⑤助詞「と」と接合し、「とぞ」の形で文末に用いて伝え聞いた意を表す。…ということだ。伊勢物語「世の聞えありければ兄人しょうと達のまもらせ給ひけると―」
➋(副助詞)疑問の語と共に用いて不定・不明の意を強調する。中世以後の用法。「…か」の意。天草本伊曾保物語「さらば誰―合力こうりょくに雇はう」。「どこ―へ行ったらしい」
➌(終助詞)聞き手に対して自分の発言を強調する。体言には「だ」を介して付く。江戸後期以後の用法。浮世風呂前「二人ながらおれが対手だ―」。「決して許さない―」「もう9時だ―、起きろ」
広辞苑 ページ 11356 での【ぞ】単語。