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〔助詞〕 ➊(接続助詞)古語では未然形・已然形に接続し、現代語では仮定形に接続する。前の活用語の表す内容を後の語句につなげる働きをする。 ①文語で未然形に接続し、仮定の順接条件を示す。口語では仮定形に接続する。「仮定形+ば」は「已然形+ば」と同じ語形だが、已然形のもつ確定の意味を表さなくなったもの。…なら。万葉集1「飛ぶ鳥の明日香里を置きて去な―君があたりは見えずかもあらむ」。源氏物語桐壺「若宮など生ひいで給は―、さるべきついでもありなむ」。「海が穏やかなら―揺れまい」「天気がよけれ―出かけよう」 ②文語で已然形に接続する。確定条件を示す。 ㋐ある事の起こった場合を示す。…したら。…したところ。万葉集8「野の上の方に行きしか―うぐひす鳴きつ」。源氏物語明石「その浜を見れ―、播磨の国明石の浜なりけり」。天草本平家物語「恐ろしながらのぞいてみれ―、わが主の宮でござつた」 ㋑前の事の生じた結果、後の事の生ずる意味を表す。順接条件で、理由・原因を示す。…ので。…から。万葉集8「近けども渡るすべなし秋にしあらね―」。源氏物語桐壺「事に触れて数知らず苦しき事のみまされ―いといたう思ひわびたるを」 ㋒その条件の下にいつもある事柄の起こることを示す。口語では仮定形に接続する。…すると。万葉集5「父母を見れ―尊し妻子見れ―めぐしうつくし」。「雨が降れ―あの道はぬかる」 ㋓(打消の文脈で用い)前の事の起こらない状態で後の事の起こることを示す。逆接の意味になる。…のに。万葉集4「見奉りていまだ時だに変らね―年月のごと思ほゆる君」。万葉集10「もみち葉に置く白露の色にはも出でじと思へ―言の繁けく」。古今和歌集「天の河浅瀬白浪たどりつつ渡り果てね―明けぞしにける」 ㋔(㋓より転じ、「動詞連用形+も果てねば」の形で)前の事が起こるとすぐに後の事が起こることを示す。…するとすぐ。…や否や。平家物語9「…と宣ひも果てね―、六弥太後よりよて、薩摩守の頸を討つ」 ③口語の仮定形に接続して、同趣の事柄を並べる。歌舞伎、当龝八幡祭できあきやわたまつり「親もなけれ―兄弟もない」。「歌も歌え―ピアノも弾く」 ④形容詞型活用の語尾「く」、打消の「ず」などに付いた係助詞の「は」を、室町時代以降、接続助詞と解したもの。仮定条件を表す。「は」の連濁として係助詞と解する説もある。浄瑠璃、心中天の網島「それ程名残おしく―誓紙書かぬがよいわいの」。浄瑠璃、菅原伝授手習鑑「腰が抜けてえ立たず―引ずり出さん」。「雉も鳴かず―打たれまい」 ➋(係助詞)事物を区別する意の助詞「は」が、形容詞型活用の語尾「く」、打消の「ず」、助詞「に」「を」などの後で、連濁したもの。万葉集1「冬ごもり春さりくれば…黄葉もみちを―とりてそしのふ」→ば➊4

広辞苑 ページ 15487 での単語。