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○胸を割るむねをわる🔗🔉

○胸を割るむねをわる (→)「腹を割る」に同じ。 ⇒むね【胸】 む‐ねん無念】 ①〔仏〕妄念のないこと。無心であること。沙石集2「有念うねんは皆邪なり、―は正なり」 ②(正念を失って)口惜しく思うこと。不本意。残念。保元物語(金刀比羅本)「くびをとりては―なり。いけどり尤も大切なり」。「―をはらす」「―の思い」「残念―」 ⇒むねん‐が・る【無念がる】 ⇒むねん‐なき【無念泣き】 ⇒むねん‐ばら【無念腹】 ⇒むねん‐むそう【無念無想】 ⇒むねん‐りゅう【無念流】 むねん‐が・る無念がる】 〔自五〕 無念に思う。残念がる。口惜しく思う。 ⇒む‐ねん【無念】 むねん‐なき無念泣き】 口惜しいあまりに泣くこと。くやしなき。 ⇒む‐ねん【無念】 むねん‐ばら無念腹】 無念のあまりに腹を切ること。浄瑠璃、傾城島原蛙合戦「不覚者の―切り損切り損」 ⇒む‐ねん【無念】 むねん‐むそう無念無想‥サウ ①〔仏〕一切の妄念を離れること。無心。 ②何の考えもないこと。思慮の足りないこと。浄瑠璃、百合若大臣野守鏡「―の下部ども」 ⇒む‐ねん【無念】 むねん‐りゅう無念流‥リウ 神道無念流の略称。 ⇒む‐ねん【無念】 む‐のう無能】 能力のないこと。才能のないこと。役に立たないこと。「―を恥じる」「―な上官」 むのう‐じ無脳児‥ナウ‥ 奇形児の一種。頭蓋および脳が欠如するもの。 むのうやく‐さいばい無農薬栽培】 農薬を使用せずに農作物などを栽培する方法。この方法で作られた野菜を無農薬野菜・清浄野菜などと呼ぶ。 む‐のうりょく無能力】 ①能力のないこと。 ②〔法〕完全な行為能力を有しないこと。1999年の民法改正で制限行為能力と改称。 ⇒むのうりょく‐しゃ【無能力者】 むのうりょく‐しゃ無能力者】 ①物事をする能力のない人。 ②〔法〕単独では完全に有効な法律行為をなしえない者。1999年の民法改正で制限行為能力者と改称。 ⇒む‐のうりょく【無能力】 む‐は無派】 どの党派にも属さないこと。無党派。 むば(→)「うば」に同じ。 む‐はい無配】 無配当の略。「―株」 む‐はい無敗】 勝負事で負けたことがないこと。 む‐ばい無媒】 (ブバイとも) ①[礼記坊記]男女の間をとりもつ媒なかだちがないこと。 ②[許渾詩「無媒径路草蕭蕭」](隠士が才があって用いられないことを、女が媒なかだちがなくて嫁することのできないことにたとえていう語)隠士などの住む人里離れたさびしい所。往来の人のまれな山林。浄瑠璃、井筒業平河内通「雪はこぼすが如くにて―の崖路かけじを埋み」 む‐ばいかい無媒介】 〔哲〕(Unmittelbarkeit ドイツ)媒介を有しないこと。直接。 む‐はいとう無配当‥タウ 利益配当のないこと。特に株式で、株主に利益配当をしないこと。無配。 ⇒むはいとう‐ほけん【無配当保険】 むはいとう‐ほけん無配当保険‥タウ‥ 配当を行わないことをあらかじめ定めた保険。一般に、保険料は有配当保険に比べて安い。 ⇒む‐はいとう【無配当】 むば・う奪ふムバフ 〔他四〕 (→)「うばう」に同じ。類聚名義抄「掠、ムバフ」 むば‐たま (→)「ぬばたま」に同じ。 ⇒むばたま‐の むばたま‐の 〔枕〕 (→)「ぬばたまの」に同じ。 ⇒むば‐たま むばつ‐てき無罰的】 〔心〕思うようにならないことが生じたとき、それを自分の責任とも考えず、他人のせいにもしない傾向。→外罰的→内罰的 ムババーネMbabane】 アフリカ南東部、スワジランド王国の首都。同国北西部にある。人口3万8千(1986)。 むばら茨・荊(→)「うばら」に同じ。いばら。枕草子153「―・からたち・いりずみ・うしおに・いかり、名よりも見るは恐ろし」 ムバラクMuḥammad Ḥusnī Mubārak】 エジプトの軍人・政治家。1981年大統領。(1928〜) む‐はん無飯】 食事しないこと。日葡辞書「ケサ(今朝)ハマダムハンデゴザル」 むはんどう‐ほう無反動砲‥ハウ 発射の際、火薬ガスの一部を後方に噴射させて、反動による砲身の後退を制限した火砲。駐退機などを要しないため軽量。 ムハンマドMuḥammad】 (賞讃される者の意)イスラムの開祖。アラビアのメッカ生れ。40歳頃アッラーの啓示を受け、預言者として唯一神の信仰と偶像崇拝の排斥、人間の平等性を訴えて新宗教を提唱したが、支配者の迫害を蒙り、622年ヤスリブ(現在のメディナ)に聖遷(ヒジュラという)、教勢を拡張して630年メッカの征服を達成。勢力は全アラビアに及び、632年10万の信徒を従えてメッカ巡礼を行い、アラファートでの説教の後、まもなく病没。啓典としてコーラン(クルアーン)を残した。マホメット。(570頃〜632) ⇒ムハンマド‐アリー【Muḥammad ‘Alī】 ⇒ムハンマド‐ザマーン【Muḥammad Zamān ibn Ḥājj Yūsuf】 ムハンマド‐アリーMuḥammad ‘Alī】 エジプトの統治者。アルバニア系の軍人で、オスマン朝のエジプト総督となり、後にムハンマド‐アリー朝(1805〜1953)の開祖。エジプトの近代化を推進したが、領土拡張政策が列強の介入を招いた。(在位1805〜1848)(1769〜1849) ⇒ムハンマド【Muḥammad】 ムハンマド‐ザマーンMuḥammad Zamān ibn Ḥājj Yūsuf】 ペルシア、サファヴィー朝の細密画家。17世紀後半の人。ローマに留学し、西洋画の技法を習得して細密画に新風をもたらした。 ⇒ムハンマド【Muḥammad】 む‐ひ無比】 他にくらべるものがないこと。無二。無双。無類。「当代―の指揮者」「痛烈―」 む‐び夢寐】 (「寐」は、寝るの意)ねむって夢をみること。ねむること。また、ねむっている間。「―にも忘れぬ」 む‐ひつ無筆】 文字を読んだり書いたりすることを知らないこと。読み書きのできないこと。無学。文盲。浄瑠璃、近頃河原達引「そなたは―、わしは盲」 む‐びゅう無謬‥ビウ 理論・判断などに、誤りがないこと。「―性」 む‐ひょう霧氷】 樹木の表面に水蒸気や過冷却水滴が凍結してできる白色・不透明の氷層。樹氷・樹霜・粗氷などがある。〈[季]冬〉 霧氷 撮影:高橋健司 む‐びょう無病‥ビヤウ 病気をしないこと。たっしゃ。壮健。 ⇒むびょう‐そくさい【無病息災】 む‐ひょうじょう無表情‥ヘウジヤウ 表情のないこと。表情に乏しいこと。「―な人」「―に答える」 むびょう‐そくさい無病息災‥ビヤウ‥ まったく病気をせず健康であること。「―を願う」 ⇒む‐びょう【無病】 むび‐るい無尾類】 両生綱のカエル目。幼時は水中に生息し尾を具えているが、成長後はこれを欠き四肢がよく発達する。カエルの類。→有尾類 む‐ふう無封】 封がしてないこと。 む‐ふう無風】 ①風のないこと。気象用語では、煙がまっすぐにのぼるくらいの気流の状態。「―快晴」 ②波瀾や影響のないこと。「―の株式相場」「―状態」 ⇒むふう‐ちたい【無風地帯】 むふう‐ちたい無風地帯】 外の波瀾や影響をうけない、平穏な場所。 ⇒む‐ふう【無風】 むぶく‐の‐しょう無服の殤‥シヤウ 7歳以下で死ぬこと。父母はこのため忌服しないからいう。 むぶつ‐せかい無仏世界】 ①仏のいない世界。釈尊が入滅し、弥勒みろくのまだ現れない世界。この時期には、地蔵菩薩が出現して衆生しゅじょうを救うという。太平記18「十禅師の宮は―の化主けしゅ」 ②仏法の教化のおよばない土地。 ③思いやりの心のないこと。また、その人。洒落本、初葉南志「アノ半右は―と思ひしが今日の詰開きはなかなか実心のある者」 ムフティーmuftī アラビア】 イスラム法上の判断であるファトワを発する法学者。政府が任命した場合のムフティーはその諮問に答え、宣戦布告や死刑の可否などについても法上の回答を与える。 む‐ふんきょう無分暁‥ケウ 明らかでないこと。筋の通らないこと。見当違いなこと。日葡辞書「ムフンキョウナコトヲナヲ(仰)セラレソ」 む‐ふんべつ無分別】 ①〔仏〕主体と客体との区別を超え、対象を言葉や概念によって把握しようとしないこと。 ②分別のないこと。前後の考えがないこと。思慮のないこと。「―な若者」→分別 むふんべっ‐ち無分別智】 〔仏〕知られるものと知るものとの対立を絶した絶対の智。根本智。 むべ郁子・野木瓜】 アケビ科の常緑蔓性低木。暖地に自生。5〜7枚の厚い小葉から成る掌状複葉。5月頃、白色で淡紅紫色を帯びる花を開き、佳香がある。暗紫色のアケビに似た果実を結ぶが開裂しない。甘く食用。茎・根などは利尿剤。トキワアケビ。うべ。〈[季]秋〉。「郁子の花」は〈[季]春〉。〈倭名類聚鈔17〉 むべ ムベ(花) 撮影:関戸 勇 むべ】 〔副〕 (→)「うべ」に同じ。古今和歌集「とどめあへず―も年とはいはれけり」 むべ‐なる‐かな宜なるかな】 (肯定する意のムベに助動詞ナリと助詞カナが付いた語)いかにももっともなことであるなあ。うべなるかな。 むべ‐むべ・し宜宜し】 〔形シク〕 (→)「うべうべし」に同じ。枕草子161「―・しき所の前栽にはよし」 む‐へん無辺】 かぎりのないこと。広大ではてしのないこと。「衆生―誓願度」「広大―」 ⇒むへん‐こう【無辺光】 ⇒むへん‐せかい【無辺世界】 ⇒むへん‐ほうかい【無辺法界】 ⇒むへん‐りゅう【無辺流】 む‐へん無偏】 かたよらないこと。あまねく行きわたること。 む‐へん謀反】 (ボウヘン・ムホンとも)古代の八虐の一つ。国家の顛覆をはかること。 むへん‐こう無辺光‥クワウ 〔仏〕 ①十二光の一つ。十方世界をくまなく照らす阿弥陀の光明。 ②勢至菩薩の異名。 ⇒む‐へん【無辺】 む‐へんさい無辺際】 広大ではてしのないこと。 むへん‐せかい無辺世界】 ①〔仏〕無限の世界。虚空こくう界。 ②あてもない所。大鏡道長「的の辺りにだに近く寄らず―を射給へるに」 ⇒む‐へん【無辺】 むへん‐ほうかい無辺法界‥ホフ‥ ①無数の世界が辺際なくあること。 ②あてのないこと。滅法界。 ⇒む‐へん【無辺】 むへん‐りゅう無辺流‥リウ 室町後期、出羽横手の大内無辺を祖とする槍術の一派。 ⇒む‐へん【無辺】 む‐ほう無法‥ハフ 法にはずれ道理のないこと。乱暴なこと。日葡辞書「ムハウヲヲコナウ」。浄瑠璃、国性爺合戦「まつたく某―にあらず狂気にも候はず」。「―がまかり通る」「―な振舞い」「―地帯」 ⇒むほう‐もの【無法者】 ⇒むほう‐やぶり【無法破り】 む‐ぼう無帽】 帽子をかぶっていないこと。 む‐ぼう無謀】 深い考えのないこと。物事をするとき、そのやり方や結果について十分考えていないこと。無茶。「―な登山」「―運転」 む‐ぼうしゅ‐とし無防守都市‥バウ‥ 敵の陸上部隊が占領しようとするのに抵抗し防衛するという状況にない都市。軍事施設の有無には関係がない。国際法上、軍事目標の攻撃は許されるが、無差別攻撃は認められない。無防備都市。 むほう‐とう無縫塔‥タフ (→)卵塔らんとうに同じ。 む‐ぼうび無防備‥バウ‥ 攻撃や災害を防ぐ準備がないこと。また、そのさま。 むほう‐もの無法者‥ハフ‥ 法を無視する者。乱暴者。アウト‐ロー。 ⇒む‐ほう【無法】 むほう‐やぶり無法破り‥ハフ‥ 甚だ乱暴なこと。また、その人。浄瑠璃、百日曾我「我儘者の―」 ⇒む‐ほう【無法】 む‐ほん無品】 (ムボンとも。「品」は親王の品位ほんい)親王・内親王で、位を持たないこと。源氏物語桐壺「―親王の外戚のよせなきにては」 む‐ほん謀叛・謀反】 ①(ボウハンとも)国家・朝廷、また主君にそむくこと。古代の八虐の一つ。平家物語1「心もたけく、おごれる人にて、よしなき―にもくみしけるにこそ」。「―を企てる」 ②ひそかにはかって事を挙げること。 ⇒むほん‐ぎ【謀叛気】 ⇒むほん‐にん【謀叛人】 むほん‐ぎ謀叛気】 謀叛を起こそうとする気持。また、とかく逆らいそむこうとする気性。 ⇒む‐ほん【謀叛・謀反】 むほん‐にん謀叛人】 謀叛を起こした人。 ⇒む‐ほん【謀叛・謀反】 むま(→)「いま」に同じ。大和物語「篠塚しのづかの―や―や(駅を掛ける)と待ちわびし」 むま(→)「うま」に同じ。万葉集20「―の爪筑紫のさきに止ちまりゐて」 む‐ま夢魔】 ①夢にあらわれる悪魔。 ②甚だしい不安・恐怖をおぼえる夢。 むま‐かい馬飼‥カヒ 馬を飼う人。うまかい。〈倭名類聚鈔2むま‐き】 (馬城むまきの意)牧場。まき。〈倭名類聚鈔1むま‐ご】 まご。うまご。〈倭名類聚鈔2むま‐さえ馬副‥サヘ (→)「うまぞい」に同じ。枕草子278「―の程こそなどいへど」 むま・し美し】 〔形ク〕 (→)「うまし」に同じ。 むま‐や厩・馬屋・駅(→)「うまや」に同じ。〈倭名類聚鈔10むま・る生る】 〔自下二〕 「うまる」に同じ。→うまれる む‐み無味】 ①味わいのないこと。うまみのないこと。「―無臭」 ②面白みのないこと。 むみ‐かんそう無味乾燥‥サウ 味わいやうるおいのないこと。「―な文章」 む‐みょう無名‥ミヤウ ⇒むめい む‐みょう無明‥ミヤウ 〔仏〕(梵語avidyā)真理に暗いこと。一切の迷妄・煩悩ぼんのうの根源。三惑の一つ。十二因縁の第1支。 ⇒むみょう‐せかい【無明世界】 ⇒むみょう‐ぢょうや【無明長夜】 ⇒むみょう‐の‐さけ【無明の酒】 ⇒むみょう‐の‐ねむり【無明の眠り】 ⇒むみょう‐の‐やみ【無明の闇】 ⇒むみょう‐やみ‐に【無明闇に】 むみょうい無名異‥ミヤウ‥ ①佐渡に産出する赤色の粘土。硫化鉄が酸化したもので、陶器の原料に用いる。 ②(→)呉須ごすの異称。 ⇒むみょうい‐やき【無名異焼】 むみょうい‐やき無名異焼‥ミヤウ‥ 江戸後期、弘化(1844〜1848)の頃に、佐渡の相川で伊藤甚兵衛が始めた陶器。金山から産出する無名異を陶土に混ぜ、盃・茶碗などを焼いた。→常山じょうざん ⇒むみょうい【無名異】 むみょうえん無名円‥ミヤウヱン 江戸で有名だった打ち身や傷の薬。 むみょうしょう無名抄‥ミヤウセウ 歌論書。鴨長明著。1巻。1211年(建暦1)〜16年(建保4)の間に成る。和歌に関する故実、歌人の逸話、詠歌の心得などの雑録。その幽玄論は著名。無名秘抄・長明無名抄などとも呼ばれた。 むみょう‐せかい無明世界‥ミヤウ‥ 煩悩にとらわれた迷いの世界。娑婆しゃば⇒む‐みょう【無明】 むみょうぞうし無名草子‥ミヤウザウ‥ 鎌倉時代の評論。1冊。1200〜02年(正治2〜建仁2)頃成立。著者を藤原俊成女むすめとする説が有力。源氏物語を初め物語の人物や構想を批評し、歌集・女性の批評に及ぶ。文学評論史上貴重。 →文献資料[無名草子] むみょう‐ぢょうや無明長夜‥ミヤウヂヤウ‥ 無明を闇やみの長夜にたとえていう語。無明の闇。太平記15「三井寺にあつてこの鐘の声を聞く人―の夢を驚かして」 ⇒む‐みょう【無明】 むみょう‐の‐さけ無明の酒‥ミヤウ‥ 無明が人の本心をくらますことを酒にたとえていう語。性霊集1「久しく―に酔うて本覚の源を知らず」 ⇒む‐みょう【無明】 むみょう‐の‐ねむり無明の眠り‥ミヤウ‥ 無明の境にさまようことを眠りにたとえていう語。 ⇒む‐みょう【無明】 むみょう‐の‐やみ無明の闇‥ミヤウ‥ (→)無明長夜に同じ。 ⇒む‐みょう【無明】 むみょう‐やみ‐に無明闇に‥ミヤウ‥ 〔副〕 むやみやたらに。でたらめに。「無性闇に」「無法闇に」とも。 ⇒む‐みょう【無明】 む‐む 〔感〕 ①口をふさいで少し笑う声。源氏物語末摘花「ただ―とうち笑ひていと口重げなるも」 ②感心した時、納得した時、驚いた時などに発する声。 むむき】 鳥の五臓。ももき。ももげ。〈倭名類聚鈔18む‐むじゅん‐せい無矛盾性】 (Widerspruchsfreiheit ドイツ)公理系に何も論理的矛盾がないこと、すなわちある命題とその否定とが同時に成立しないこと、またはその公理系から矛盾した命題が導きだされないこと。整合性。健全性。 むめ(→)「うめ」に同じ。 む‐め無目】 〔建〕敷居・鴨居かもいと同じ位置にある溝みぞのない横木。滑ぬめ。むめかもい。むめしきい。 む‐めい無名】 ①名を記さないこと。無記名。 ②名の分からないこと。「―戦士の墓」 ③世間に名の知れていないこと。名高くないこと。「―の歌手」↔有名。 ④名義の立たないこと。正しい理由のないこと。「―の師(出兵)⇒むめい‐けいやく【無名契約】 ⇒むめい‐こつ【無名骨】 ⇒むめい‐し【無名氏】 ⇒むめい‐し【無名指】 ⇒むめい‐すう【無名数】 む‐めい無銘】 書画・刀剣などに銘すなわち作者の記名のないこと。また、その作品。無款識。↔在銘 むめい‐けいやく無名契約】 売買・賃貸借など民法・商法等に定めがある契約以外の契約。公序良俗や強行法規に反しない限り、契約自由の原則から、その有効性が認められる。非典型契約。 ⇒む‐めい【無名】 むめい‐こつ無名骨】 寛骨かんこつの旧称。 ⇒む‐めい【無名】 むめい‐し無名氏】 名の分からない人。失名氏。 ⇒む‐めい【無名】 むめい‐し無名指】 くすりゆび。べにさしゆび。ななしゆび。 ⇒む‐めい【無名】 むめい‐すう無名数】 〔数〕単位の名称の付かない普通の数。不名数。↔名数 ⇒む‐めい【無名】 むめ‐かもい無目鴨居‥ヰ (→)無目むめに同じ。 む‐めんきょ無免許】 ①免許を持っていないこと。「―運転」 ②免許を必要としないこと。 む‐めんもく無面目】 面目のないこと。面目を知らないこと。浮世風呂「―も程があらア」 むもう‐しょう無毛症‥シヤウ 体毛、特に陰毛などの欠如または発育不完全な病症。 むも・る埋る】 〔自下二〕 (→)「うもる」に同じ。 む‐もん無文】 ①模様・紋のないこと。無紋。↔有文うもん。 ②和歌や連歌で、飾りがなく平淡なこと。また、すぐれた風情のない作品。毎月抄「―なる歌のさはさはと詠みて、心おくれたけあるのみ」↔有文。 ③(世阿弥の用語)美を内にひそめ、一見何もないようでいて深い味わいのある芸。風曲集「まづ―にてしかも面白き位は上果なり」↔有文。 ④文字を知らないこと。学問のないこと。無学。日葡辞書「イチモン(一文)ハムモンノシ(師)ナリ」 ⇒むもん‐の‐かんむり【無文冠】 ⇒むもん‐の‐たち【無文太刀】 む‐もん無紋⇒むもん(無文)1 むもんかん無門関‥クワン 仏書。南宋の無門慧開えかい(1183〜1260)が、古来の公案48則を選び評釈した書。1巻。日本には無本覚心(1207〜1298)が伝えた。禅宗無門関。→無字 むもん‐の‐かんむり無文冠】 無文の絹を張った冠。特に、天皇が神事などの際に用いるものにいう。 ⇒む‐もん【無文】 むもん‐の‐たち無文太刀】 柄つかや鞘が黒塗りで紋を入れず、蒔絵や装飾的な彫刻もなく、無地の藍革を帯取りとした太刀。凶事の際に身に帯びる。平家物語3「大臣葬の時用ゐる―にてぞありける」 ⇒む‐もん【無文】 む‐や母屋⇒もや む‐や喪屋】 (奄美諸島の喜界島で)風葬時代の墓穴。やばや。 むやい舫・纜ムヤヒ (→)「もやい」に同じ。六百番歌合「浪の上にくだる小舟の―して」 ⇒むやい‐ぶね【舫船・纜船】 むやい‐ぶね舫船・纜船ムヤヒ‥ (→)「もやい船」に同じ。明日香井集「彼の岸と同じ浮きよの―」 ⇒むやい【舫・纜】 むや・う舫ふ・纜ふムヤフ 〔他四〕 (→)「もやう」に同じ。夫木和歌抄33「水も狭に紅葉の舟を―・ひつつ錦帆にかけて風ぞ漕ぎゆく」 む‐やく無役】 ①役目のないこと。 ②課役のないこと。無税。 む‐やく無益】 役に立たないこと。むえき。宇治拾遺物語1「これを―なりと思ひ取りて」 ⇒むやく・し【無益し】 むやく・し無益し】 〔形シク〕 ①無益なさまである。むだである。 ②口惜しい。残念である。好色一代男2「大形な機嫌取りて―・しきことも程過ぎて」 ⇒む‐やく【無益】 む‐やま無山】 鷹狩に鳥をとらないでむなしく帰ること。(和訓栞) む‐やみ無闇】 ①前後を考えないさま。理非を分別しないさま。「―なやり方だ」 ②度を越すさま。「―にかわいがる」「―に暑い」 ⇒むやみ‐やたら【無闇矢鱈】 むやみ‐やたら無闇矢鱈】 「むやみ」を強めていう語。むちゃくちゃ。「―に腹が立つ」「―と食べる」 ⇒む‐やみ【無闇】 むや‐むや わずらいもだえるさま。もやもや。 むゆう‐げ無憂華‥イウ‥ ⇒むうげ むゆう‐びょう夢遊病‥イウビヤウ (→)夢中遊行症に同じ。 むゆ‐か六日】 ①「むいか」の古形。 ②(散々さんざんを三々の意にかけていう)死んだ人を忌んでいう語。 む‐よ無余】 〔仏〕 ①余りのない完全なさま。↔有余うよ。 ②無余涅槃のこと。 む‐よう無用】 ①役に立たないこと。必要でないこと。「―な食器」「心配―」 ②してはならないこと。「天地―」「口外―」 ③用事がないこと。「―の者入るべからず」 ⇒むよう‐の‐ちょうぶつ【無用の長物】 ⇒むよう‐の‐よう【無用の用】 む‐よう無要‥エウ (→)無用に同じ。 む‐よう無影‥ヤウ 影のないこと。光のないこと。 むよう‐の‐ちょうぶつ無用の長物‥チヤウ‥ あってもかえって邪魔になるもの。あって益のないもの。 ⇒む‐よう【無用】 むよう‐の‐よう無用の用】 [荘子人間世]無用とされているものが、かえって大用をなすこと。不用の用。 ⇒む‐よう【無用】 むようまく‐るい無羊膜類‥ヤウ‥ 脊椎せきつい動物のうち、広義の魚類、両生類の称。発生に際し、羊膜を生じないのでいう。 むよう‐らん無葉蘭‥エフ‥ 腐生性のラン。西日本の暖地の常緑林内に生える。緑葉はなく、専ら菌根に栄養を頼る。地下の根茎は黒く横にのびる。高さ30センチメートルほどの茎を数本出し、上部に5〜7個の白花を初夏に付ける。花後に細長い蒴果さくかを生じ、黒く熟して開裂する。 むよ‐か六日】 ムイカの訛。 む‐よく無欲・無慾】 欲心のないこと。欲ばらないこと。「―な人」「―の勝利」↔貪欲。 ⇒むよく‐てんたん【無欲恬淡】 むよく‐ちょう無翼鳥‥テウ キウィの異称。 むよく‐てんたん無欲恬淡】 欲がなくあっさりとしていて、何事にも執着しないこと。 ⇒む‐よく【無欲・無慾】 むよ‐ねはん無余涅槃】 〔仏〕一切の煩悩を断じ、さらに肉体も滅した完全な寂静の境地。無余依むよえ涅槃。無余。↔有余うよ涅槃 むら匹・疋・端】 (群の意)布帛の一巻き。長さは時代によって異なり、4〜6丈ぐらい、反たん・段きだ・たんの2倍または1.5倍。古代では絹・絁あしぎぬ類に「匹」、麻・たえ類に「端」の字を当てる。 むら】 (ムラ(群)と同源) ①多数の人が群がり住んでいるところ。村落。〈倭名類聚鈔10〉 ②普通地方公共団体の一つ。そん。 むら】 色の濃淡、物の厚薄などがあって不揃いなこと。物事の揃わないこと。一様でないこと。「染めに―がある」「気分に―のある人」 むら群・叢・簇】 (ムレの古形)群がること。また、そのもの。むれ。古事記「かぎろひの燃ゆる家―」 むら‐あずけ村預け‥アヅケ 江戸時代、罪人を村役人に預けておき一定の期間禁錮したこと。村置。 ムラートmulato スペイン】 中南米で、白人と黒人との混血を指す呼称。→メスティーソ ムラービトMurabit】 西サハラに興ったベルベル人のイスラム王朝。ガーナ帝国を滅ぼし、モロッコのマラケシュを都とする。アルジェリア・イベリア半島にも進出したが、ムワッヒド朝に滅ぼされた。(1056〜1147) むらい村井‥ヰ 姓氏の一つ。 ⇒むらい‐げんさい【村井弦斎】 ⇒むらい‐ちょうあん【村井長庵】 ⇒むらい‐まさなり【村井正誠】 む‐らい無礼(→)「ぶらい」に同じ。ぶれい。源氏物語藤裏葉「翁いたう酔ひすすみて―なればまかり入りぬ」 ⇒むらい‐こう【無礼講】 む‐らい無頼⇒ぶらい むらい‐げんさい村井弦斎‥ヰ‥ 小説家。本名、寛。三河(愛知県)生れ。報知新聞編集長。料理法・医療法をも研究。家庭小説・歴史小説・少年小説など多岐のジャンルにわたる小説を書いた。作「日の出島」「食道楽」など。(1863〜1927) ⇒むらい【村井】 むらい‐こう無礼講‥カウ ⇒ぶれいこう ⇒む‐らい【無礼】 むらい‐ちょうあん村井長庵‥ヰチヤウ‥ 歌舞伎脚本「勧善懲悪覗機関かんぜんちょうあくのぞきがらくり」の通称。8幕。河竹黙阿弥作の世話物。1862年(文久2)初演。講談「大岡政談」の脚色で、医者村井長庵の極悪と手代久八の実直を対応させ、小夜衣さよぎぬと千太郎の情話を添える。 →作品:『勧善懲悪覗機関』 ⇒むらい【村井】 むらい‐まさなり村井正誠‥ヰ‥ 洋画家。岐阜県生れ。自由美術家協会結成に参加。第二次大戦後モダンアート協会を結成。日本における抽象画の先駆者の一人。作「天使とトビア」「座る人」など。(1905〜1999) ⇒むらい【村井】 ムラヴィヨフNikolai Nikolaevich Murav'ev】 ロシアの政治家。1847年東シベリア総督に任ぜられ、アムール川地方を占領し、58年愛琿あいぐん条約によって清から同川以北の地を獲得、60年北京条約によってウスリー川以東の沿海州を得た。(1809〜1881) むら‐うけ村請】 江戸時代、年貢・諸役の納入や、新田開発、法令順守などを村を単位として請け負い、全村民で負担すること。 ⇒むらうけ‐しんでん【村請新田】 むらうけ‐しんでん村請新田】 江戸時代、村が開発の主体となった新田。 ⇒むら‐うけ【村請】 むらおか村岡‥ヲカ 姓氏の一つ。 ⇒むらおか‐つねつぐ【村岡典嗣】 ⇒むらおか‐の‐つぼね【村岡局】 むらおか‐つねつぐ村岡典嗣‥ヲカ‥ 国学者・日本思想史学者。東京生れ。早大卒。東北大教授。著「本居宣長」「日本思想史研究」など。(1884〜1946) ⇒むらおか【村岡】 むらおか‐の‐つぼね村岡局‥ヲカ‥ 幕末の近衛家の老女。本名は津崎矩子のりこ。京都の人。近衛忠ただひろに仕える。西郷隆盛・僧月照らと交流、安政の大獄の際、下獄。(1786〜1873) ⇒むらおか【村岡】 むら‐おきて村掟(→)村極むらぎめに同じ。 むら‐おくり村送り】 行路病者などを村から村へと送り届けること。 むら‐おこし村起し】 過疎化した村の活性化を図ること。 むら‐おさ村長‥ヲサ 一村を治める長。そんちょう。 むら‐がえ村替え‥ガヘ 領する村を他の村ととりかえること。 むら‐かがみ村鑑】 江戸時代、各村の村名・田畑高・森林・家数・人口・牛馬など村内一切のことを記した帳簿。享保(1716〜1736)年間に始まり、代官所より勘定所に提出された。村鑑大概帳。→村明細帳 むらがき村垣】 姓氏の一つ。 ⇒むらがき‐のりまさ【村垣範正】 むらがき‐のりまさ村垣範正】 幕末の幕府外国奉行。淡路守。淡叟と号す。蝦夷地視察、露使プチャーチンと応接するなど外交に当たり、1860年(万延1)遣米使節の副使。(1813〜1880) ⇒むらがき【村垣】 むら‐が・す群がす】 〔他四〕 むらがるようにする。大唐西域記長寛点「彼此を混ムラカシ愛悪あいおを忘る」 むら‐がすみ群霞】 むれ立つ霞。拾玉集(広本)4「雲雀あがる春の野沢の浅みどり空の色こき―かな」 むら‐かた村方】 ①村の方面。 ②村方三役の略。 ⇒むらかた‐さんやく【村方三役】 ⇒むらかた‐そうどう【村方騒動】 むらかた‐さんやく村方三役】 江戸時代、郡代・代官の支配下に、幕領各村の民政に従事した庄屋(名主なぬし)・組頭・百姓代の総称。幕領以外の村々にも同様の村役人がいた。地方じかた三役。 ⇒むら‐かた【村方】 むらかた‐そうどう村方騒動‥サウ‥ 江戸時代、村の運営をめぐって起きた村内紛争。初期・中期には名子なご・被官など隷属的農民と親方的農民との間に、中期・後期には小作農と地主との間に多く発生した。 ⇒むら‐かた【村方】 むらかみ村上】 新潟県北部三面みおもて川下流に位置する市。もと内藤氏5万石の城下町で、村上城は古くは本荘城と呼ばれた。茶・漆器(村上堆朱ついしゅ)・鮭を産する。海岸に瀬波温泉がある。人口3万1千。 ⇒むらかみ‐ひら【村上平】 むらかみ村上】 姓氏の一つ。 ⇒むらかみ‐かがく【村上華岳】 ⇒むらかみ‐きじょう【村上鬼城】 ⇒むらかみ‐すいぐん【村上水軍】 ⇒むらかみ‐せんじょう【村上専精】 ⇒むらかみ‐なみろく【村上浪六】 ⇒むらかみ‐ひでとし【村上英俊】 ⇒むらかみ‐よしてる【村上義光】 むらかみ‐かがく村上華岳‥クワ‥ 日本画家。本名、震一。大阪生れ。土田麦僊ばくせんらと国画創作協会を創立。浪漫主義的画風で知られ、晩年は画壇から離れ仏画・山水画などを描く。作「日高河」「裸婦図」など。(1888〜1939) ⇒むらかみ【村上】 むらかみ‐きじょう村上鬼城‥ジヤウ 俳人。本名、荘太郎。江戸生れ。正岡子規の門に入り、「ホトトギス」同人、のちその重鎮となる。日本派に属し、耳聾じろうを克服して句作。(1865〜1938) ⇒むらかみ【村上】 むらかみ‐げんじ村上源氏】 村上天皇の子孫から出た源氏。源師房もろふさに始まる。清和源氏とともに著名で、院政期以後の朝廷に活躍。久我こが・土御門つちみかど・六条・岩倉・北畠などの諸家に分かれる。 むらかみ‐すいぐん村上水軍】 中世、因島いんのしま・弓削島などを中心に、瀬戸内海で活躍した村上一族の海上勢力。室町時代、幕府からも海上警固の特権を認められたが、戦国時代には毛利氏に従った。 ⇒むらかみ【村上】 むらかみ‐せんじょう村上専精‥ジヤウ 仏教学者。丹波の浄土真宗大谷派寺院に生まれる。東大教授・大谷大学学長。日本仏教史を研究、また、大乗非仏説論により学界に波紋を投じた。著「仏教統一論」など。(1851〜1929) ⇒むらかみ【村上】 むらかみ‐てんのう村上天皇‥ワウ 平安中期の天皇。醍醐天皇の第14皇子。名は成明なりあきら。親政を志向、後世、天暦の治と称される。日記「天暦御記」。(在位946〜967)(926〜967)→天皇(表) むらかみ‐なみろく村上浪六】 小説家。名は信まこと。堺生れ。撥鬢ばちびん小説「三日月」「奴の小万」など。(1865〜1944) ⇒むらかみ【村上】 むらかみ‐ひでとし村上英俊】 幕末・明治前期の蘭学者。後にフランス語を独学し、「仏学の祖」と呼ばれる。著「三語便覧」(和英仏蘭対訳辞書)のほか「五方通語」「仏語明要」など。(1811〜1890) ⇒むらかみ【村上】 むらかみ‐ひら村上平】 村上市山辺里さべりに産する絹袴はかま地。山辺里平。山辺里織。 ⇒むらかみ【村上】 むらかみ‐よしてる村上義光】 鎌倉末期の武士。信濃の人。護良もりよし親王に仕え、吉野で親王の身替りとなって自害。( 〜1333) ⇒むらかみ【村上】 むら‐がらす群烏・群鴉】 群をなすカラス。正治百首「―梢の床をあらそひて稲荷の杉に夕かけて鳴く」 むら‐がり群がり・叢がり・簇がり】 むらがること。また、むらがったもの。むれ。 むら‐が・る群がる・叢がる・簇がる】 〔自五〕 (古くは下二段にも活用)多くのものが一つ所に集まる。むれをなす。万葉集13「行く鳥の―・りて待ち」。三蔵法師伝承徳頃点「桂樹の藂ムラカレ生ふることは」。「甘い蜜に―・る」「ファンが―・る」 むら‐き斑気】 気の変わりやすいこと。心のさだまらないこと。また、その心。むらぎ。「―を起こす」 むら‐ぎえ斑消え】 まばらに消えること。後拾遺和歌集「大原山の雪の―」 むら‐ぎく叢菊】 むらがって生えた菊。栄華物語御賀「ひともと菊・―などの」 むら‐ぎぬ匹絹】 1匹の絹。家持集「きりぎりすつづりさせとは鳴くなれど―もたる我は聞きいれず」 むら‐きみ邑君】 むらおさ。村長。神代紀「因つて天の―を定む」 むら‐ぎみ村君・漁父】 漁業の長。近代は、地引網・船引網など比較的大規模な地先の網漁業で網主・漁労指揮者をいう。漁労指揮者を沖村君というところもある。津元つもと。浦君。宇津保物語吹上上「漁人あま・潜女かずきめ召し集へてよき物被かせ、―召して大網引かせなど」 むら‐ぎめ村極】 中世末より近世にかけて、村中の百姓が協議し、全村民が守るべきことを決めた規約。近世では領主の要求が盛りこまれていることも多い。村定むらさだめ。村掟むらおきて。村議定。 むらきも‐の群肝の】 〔枕〕 (昔、人の心は内臓の働きにあると信じられ、多くの臓器が集まることから)「こころ」にかかる。万葉集10「―心いさよひ」 むら‐ぎ・ゆ斑消ゆ】 〔自下二〕 あちこちとまばらに消える。一方は消え一方は残る。源氏物語浮舟「雪―・えつつ、今もかき曇りて降る」 むら‐ぎり村切・村限】 太閤検地をはじめとする検地の際に、村同士の境界を定め、村の範域を確定したこと。 むら‐ぎり斑霧】 まばらに立つ霧。 むら‐くさ叢草】 むらがって生えている草。拾玉集1「夏も人目はかれにけり何しげるらむ庭の―」 むら‐くも叢雲】 むらがり立つ雲。一むらの雲。源氏物語野分「風騒ぎ―迷ふ夕にも」。「月に―、花に風」 叢雲 撮影:高橋健司 ⇒むらくも‐の‐つるぎ【叢雲剣】 むらくも‐ごしょ村雲御所】 京都市上京区村雲にあった日蓮宗の尼門跡。瑞竜寺。1596年(文禄5)豊臣秀次の菩提寺として母の瑞竜院日秀尼が開創。1764年(明和1)以後門跡、1963年滋賀県近江八幡市に移築。 むらくも‐の‐つるぎ叢雲剣】 天叢雲剣あまのむらくものつるぎの略。 ⇒むら‐くも【叢雲】 むら‐ご斑濃・叢濃・村濃】 ①染色の名。所々が濃く、その周囲を次第に薄くぼかしたもの。枕草子159「とくゆかしきもの。巻染・―・くくり物など染めたる」 ②「斑濃の縅」の略。 ⇒むらご‐の‐おどし【斑濃の縅】 むら‐こうでん村香奠‥カウ‥ (山梨県などで)有縁無縁を問わず村内一般のつきあいとして定まった額を贈る香奠。むらづきあい。 むら‐ごえ斑声‥ゴヱ むらになって聞こえる声。調子の整わない声。 むら‐ごえ群声‥ゴヱ むらがっているものの多くの声。夫木和歌抄9「宿に鳴く梢の蝉の―は」 むらご‐の‐おどし斑濃の縅‥ヲドシよろいの縅の一種。薄い色の糸でおどした中に、ところどころ同色の濃い糸でおどしたもの。 ⇒むら‐ご【斑濃・叢濃・村濃】 むらさき】 ①〔植〕ムラサキ科の多年草。高さ約50センチメートル。日当りのよい草地に自生。最近は稀少。夏、白色の小花を開く。根は紫色、これを乾燥したものが漢方生薬の紫根しこんで、解毒剤・皮膚病薬とするほか、昔は重要な紫色の染料とした。ねむらさき。みなしぐさ。むらさきそう。〈[季]夏〉。万葉集1「紫草むらさきのにほへる妹を憎くあらば」 むらさき ②色の名。ムラサキの根で染めた色。赤と青との間色。万葉集12「―の我が下紐の色に出でず」 Munsell color system: 7.5P4/12 ③(女房詞)鰯いわし。 ④醤油しょうゆのこと。 ⇒むらさき‐いがい【紫貽貝】 ⇒むらさき‐うに【紫海胆】 ⇒むらさき‐うまごやし【紫馬肥】 ⇒むらさき‐えもん【紫衛門】 ⇒むらさき‐おどし【紫縅】 ⇒むらさき‐おもと【紫万年青】

広辞苑 ページ 19213 での○胸を割る単語。