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わた・る【渡る・渉る】🔗⭐🔉
わた・る【渡る・渉る】
〔自五〕
(「わた(海)」と同源か)
➊間にある海のような幅広い空間あるいは時間を経てゆく。
①水の上を越えて向うへ行く。斉明紀「山越えて海―・るとも面白き今城いまきの中は忘らゆましじ」。万葉集13「黒馬に乗りて川の瀬を七瀬―・りて」
②渡航する。渡航して来る。万葉集15「韓国からくにに―・るわが背は」。三宝絵詞「法文ありながら伝へ教ふる人なし。願はくは和上―・り給へ」。「アメリカへ―・る」
③上空を移動する。万葉集2「隠りのみ恋ひつつあるに―・る日の暮れぬるがごと照る月の雲隠るごと」。万葉集15「向ひ居て一日も落ちず見しかども厭はぬ妹を月―・るまで」。万葉集18「ほととぎす鳴きし―・らばかくやしのはむ」。宇津保物語祭使「風―・る枝にぞ誰も涼みぬる」
④別の所へ移る、あるいは来る。土佐日記「住む館たちより出でて船に乗るべき所へ―・る」。天草本伊曾保物語「その後イソポ諸国へ―・り道を説き教ゆれば」。「勤め先を転々と―・る」
⑤ある場所を通り過ぎる。橋・廊下などを通って向うへ行く。伊勢物語「昔、男、後涼殿のはさまを―・りければ」。平家物語4「橋の行桁をさらさらさらと走り―・る」
⑥それを越して向う側へ行く。「線路を―・る」
⑦日・時を送る。生きて行く。過ごす。万葉集5「妻子どもは乞ひて泣くらむこの時は如何にしつつか汝が代は―・る」。「世を―・る」
➋(「亘る」とも書く)一定の過程を経て一方から他方へ及ぶ。
①伝わる。源氏物語若菜上「朱雀院より―・り参れる琵琶、琴」
②官位などが転移する。増鏡「岡の屋の大臣摂政にていませしかば、そのままに今の御代のはじめも関白と聞えつれども、三月二十五日左の大臣に―・りぬ」
③広がり及ぶ。通じる。徒然草「この戒め、万事に―・るべし」。正法眼蔵三時業「この三時の業は善悪に―・るなり」。「交渉は2日間に―・って行われた」「私事に―・って恐縮ですが」「洋の東西に―・る知識」
④両者の間がうまくいくように交渉する。わたりをつける。歌舞伎、東海道四谷怪談「サア誰に―・つてこの御寺内でもらつたのだ」
⑤所有する物が他の人の所有となる。「資金が―・る」「土地が人手に―・る」「ボールが相手の手に―・る」
⑥囲碁で、二群の石が盤の端の部分で連絡する。
➌「在ある」「行く」「来る」の尊敬語。平家物語6「其時は未だ中宮にて―・らせ給ふ時なり」。史記抄「こちへなん時も―・れ」
➍他の動詞の連用形に付いて、その動作が広い場面にわたって行われたり、時間的に長く続いたりする意を表す。
①あまねく…する。広く及ぶ。源氏物語賢木「紅葉のやうやう色づき―・りて」。「晴れ―・る」「知れ―・る」
②絶えず…する。…しつづける。源氏物語真木柱「…と聞え―・るを女の御心の乱りがはしきままにかく恨み―・り給ふ」
⇒渡る世間に鬼は無い
○渡る世間に鬼は無いわたるせけんにおにはない
世間の未知の人はこわく見えるが、皆困った人を助けるようなやさしい心を持っている。
⇒わた・る【渡る・渉る】
広辞苑 ページ 21196 での【渡る】単語。