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かえ・る【反る・返る・帰る・還る】カヘル🔗⭐🔉
かえ・る【反る・返る・帰る・還る】カヘル
〔自五〕
➊《反・返》事物・事柄の位置・順序・状態などが入れちがいになる。
①表裏が反対になる。裏がえる。ひるがえる。万葉集10「天の河霧立ちのぼるたなばたの雲の衣の―・る袖かも」。「旗が風に―・る」
②上であったものが下になる。転覆する。くつがえる。万葉集4「大船を漕ぎの進みに岩に触れ―・らば―・れ」
③湯などが、煮えたぎって沸く。沸きかえる。古今著聞集20「煮―・りたる湯を穴の口に汲み入れたりける程に案にたがはず蛇くちなわいでて」
➋《返・帰・還》事物・事柄がもとの所・状態・人などへもどる。
①もとあった所へもどる。折りかえす。立ち返る。万葉集7「磯の浦に来寄る白波―・りつつ」。万葉集5「久方のあまぢは遠しなほなほに家に―・りて業なりをしまさに」。「忘れ物が―・る」「土地はあの人の手に―・るそうだ」「毎度同じ答えが―・ってくる」
②もとのようになる。元に復する。夫木和歌抄23「かこ山の松風早く春立てば波にぞ―・る池の氷は」。「我に―・る」「童心に―・る」
③年月などが一巡してまた新しく始まる。万葉集17「あらたまの年―・るまで相見ねば心もしのに思ほゆるかも」
➌《反・返》時の経過やある種の操作によって今までと違った状態・性質になる。
①色あせる。染色がさめる。後撰和歌集恋「今はとて移り果てにし菊の花―・る色をば誰か見るべき」
②物の質などが違うものになる。皇極紀「茨田池まむたのいけの水、変かえりて藍の汁の如し」
③鷹の羽が生えかわる。2歳になって羽の斑点が横ざまになるのを「かたがえり」、3歳になって斑点が細かになるのを「もろがえり」という。
④(「孵る」と書く)卵が子になる。孵化ふかする。倭名類聚鈔18「孵、俗云賀閉流、卵化也」。源氏物語真木柱「同じ巣に―・りしかひの見えぬかな」。日葡辞書「カイゴ、また、タマゴガカエッタ」
⑤反切はんせつで当該漢字の音が表される。玉塵抄14「諸、章魚切、ショと―・つたぞ」
➍《反・返》他の動詞の連用形に付いて、その動作・状態が繰り返されるさま、また、はなはだしいさまを表す。
①繰り返し…する。万葉集11「わが身は千遍ちたび死に―・らまし」
②はなはだしく…する。すっかり…する。古今和歌集恋「我が宿の菊の垣根に置く霜の消え―・りてぞ恋しかりける」。源氏物語絵合「浅はかなる若人どもは死に―・りゆかしがれど」。「あきれ―・る」「しずまり―・る」
⇒帰りなんいざ
広辞苑 ページ 3384 での【反る】単語。