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き・る【切る・斬る・截る・伐る・剪る】🔗🔉

き・る切る・斬る・截る・伐る・剪る】 [一]〔他五〕 ➊連結・結合しているものを断つ。離す。 ①刃物などで断つ。刃物で相手を傷つける。鋏み断つ。万葉集17「鳥総とぶさ立て船木―・るといふ能登の島山」。土佐日記「爪のながくなりにたるを見て日をかぞふれば、けふは子の日なりければ―・らず」。平家物語5「手づから首を―・りてぞ死ににける」。「爪を―・る」「転んで額を―・る」 ②結びついているもの、続いているものなどを分かちはなす。まっぷたつにする。竹取物語「離れ給ひしもとの上は腹を―・りて笑ひ給ふ」。後撰和歌集「今はとて秋はてられし身なりとも―・りたつ人をえやは忘るる」。「彼と手を―・る」「縁を―・る」「スイッチを―・る」「電話を―・る」 ③閉じていたものを開く。転じて、悪事をただす。「封を―・る」「茶室に炉を―・る」「政界を―・る」 ④(続いている行為を)やめる。うち切る。宇治拾遺物語6「弓、やなぐい、たち、刀―・り捨てて法師になりぬ」。「言葉を―・る」 ⑤横切る。横断する。山家集「山桜枝―・る風のなごりなく花をさながらわがものにする」。「行列を―・る」 ⑥(つながりを断つ意から) ㋐囲碁で、相手の石の連絡を断つ。 ㋑カルタの札などをまぜ合わせる。「トランプを―・る」 ㋒トランプで、切札を出して他の札を押さえ取る。「スペードで―・る」 ㋓双六すごろくで、相手の邪魔になる所へ石をやる。好色一代男4「塵紙にて細工に双六の盤を拵へ、二六、五三と乞目を打つ内にもそこを―・れといふ」 ⑦両替をする。昔、量目の一定した金銀がなかったため、竿金さおがね・竹流金たけながしきんを入用なだけ切って使ったことからいう。 ➋《切》物事を限定する。 ①期限を定める。限る。世間胸算用4「十年―・つて銭一貫から三十目までにて好きなる子供取りける」。「日を―・る」 ②決定する。十訓抄「汝が訴へ申す東国の庄の事、今まで事―・らぬは口惜しとや思ふ」。今昔物語集28「まだ勝負も―・らぬに」 ③(ある数量を)下回る。割る。「千円を少し―・った値をつける」「10秒を―・る」 ➌《切》尽きるようにする。物事を最後までやる。 ①振ったりなどして水分を去る。「野菜の水を―・る」 ②(動詞の連用形に付いて)はっきりけじめをつける、終える、果たす、尽くすなどの意を表す。枕草子82「こよひ悪しとも良しとも定め―・りてやみなむかし」。平家物語2「我一人と思ひ―・つて戦ふ程に」。日葡辞書「ヨミキル」「フデヲカキキル」「イイキル、また、モウシキル」。「使い―・る」「逃げ―・る」「にがり―・る」 ➍(他と異なって)物事をする。 ①最初にする。「まず彼が口を―・った」「先頭を―・る」 ②方向を変える。「ハンドルを―・る」 ③目立つようにする。きめこむ。「しらを―・る」「たんかを―・る」 ➎(鷹詞)鷹が鳥を取り損なう。 ➏(取引用語)損失勘定となった客が追おい証拠金を入れないため、取引員がその建玉たてぎょくを任意に転売・買戻しをして整理する。 ➐能や歌舞伎で、顔を強く一方へ動かして物を見る。「面を―・る」 ➑(演劇用語) ①「幕を切る」は幕をしめる。「見得を切る」は見得をする。 ②地方の興行で毎日の焚捨または消え物の費用や料金を毎日の入場料の揚り高から差し引く。 ➒(cut)テニス・卓球などでカットする。 [二]〔自下二〕 ⇒きれる(下一) ◇広く一般には「切」を使い、人には「斬」、布・紙には「截」、木には「伐」、枝・葉・花には「剪」と書き分けることもある。 ⇒切った張った ⇒切って落とす ⇒切って捨てる ⇒切っても切れない

広辞苑 ページ 5349 での切る単語。