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〔助詞〕 ➊(間投助詞)上の語を強く指示して強める働きをする。平安時代以後は、「しぞ」「しこそ」「しも」「しか」などのように係助詞と結合して用いられるか、条件句中に用いられるか、「定めし」「えに(縁)し」「果てし」などの熟語の中に残るなど、用法が局限されて行く。鎌倉時代以後に盛んに用いられた「ばし」も、助詞「は」と「し」の結合したものである。→ばし。 ①後の語に対し、主格または連用修飾格の関係にある語句に付く。万葉集15「君を待つらむ人―かなしも」。源氏物語若菜上「みな処分そうぶんし給ひてなほ―残りをなむ京の御料とて送り奉り給へる」 ②格助詞の前または後に付く。土佐日記「一文字をだに知らぬ者―が、足は十文字にふみてぞあそぶ」。万葉集1「草枕旅に―あれば」 ③副助詞の後に付く。万葉集5「ねのみ―泣かゆ」 ④係助詞の前または後に付く。万葉集2「万代にしか―もあらむと」。万葉集17「路は―遠く」 ⑤間投助詞の後に付く。万葉集7「はしきや―吾家わぎえの毛桃」 ⑥複合動詞の中間に入る。万葉集17「山にも野にもほととぎす鳴き―とよめば」 ➋(接続助詞)活用語の終止形を受ける。江戸前期までは助動詞「まい」「う」以外に付くことは少なかったが、次第に盛んに用いられ、現在ではすべての活用語に付く。話し手にとってつながりがあると意識される事情を指示する。 ①事柄を並列する際に、前の句の終りに付けて、次の句に続ける。歌舞伎、好色伝受「おれもじやじや馬に乗らう―、其時はそちも乗物に乗せて歩かさうぞ」。「酒も飲まない―煙草も嫌いだ」 ②前の句が、次の句の理由・原因となっていることを表す。…から。…故に。…ので。浄瑠璃、冥途飛脚「梅川がサア出るに極まらば、借銭も有らう―、泣いても二百五十両…盗せうより外はない」。「仕事も済んだ―、ひとつみんなで出かけるか」「天気は好い―休日だ―すごい人出だった」 ③否定の推量を表す語の後に付いて、判断の成り立つ条件を表す。仮名文章娘節用「今どき縁切りだのなんのかのと、芝居かしやれ本ではあるまい―、どふしてそんな事がありますものか」。「子どもじゃあるまい―、自分で何とかしなさい」 ④「こそ」と対応して矛盾する内容の句をつなぐ文脈に使われる。…けれども。…が。浄瑠璃、心中重井筒「銀かねこそはなるまい―、判つく程は一門がひ」 ⑤室町時代から江戸初期にかけての文語調の文で、「して」の意に用いられる。幸若舞曲、大織冠「刀を振ると見えしは防がんために無く―、玉をかくさん其為に吾身を害しけるよ」。浄瑠璃、念仏往生記「平家の大軍は…一戦にも及ばず―、前なる船に取乗て」

広辞苑 ページ 8344 での単語。