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し・む【染む・沁む・浸む・滲む】🔗🔉

し・む染む・沁む・浸む・滲む】 [一]〔自五〕 染色の液にひたって色のつく意から、あるものがいつのまにか他のものに深く移りついて、その性質や状態に変化・影響が現れる意。 ①色が何かにそまる。色づく。万葉集8「折らば散るべみ梅の花袖にこきれつ―・まば―・むとも」 ②液体がぬれとおる。万葉集3「なかなかに人とあらずは酒壺になりにてしかも酒に―・みなむ」。浄瑠璃、冥途飛脚「…と泣き―・みづきて語るにぞ」 ③香りなどがうつりつく。源氏物語宿木「かの人の御移香のいと深う―・み給へるが」 ④よごれなどが付着して、なかなかとれなくなる。しみこむ。しみつく。日葡辞書「キルモノニアカガシウダ」 ⑤影響を受ける。感染する。玉塵抄13「心も胆も鉄のやうにこはうて物も―・まずなまけぬ心ぞ」。「濁りに―・まぬ心」 ⑥強い印象を受けて深く感じる。いつまでも心にのこる。万葉集4「韓人の衣―・むとふ紫の心に―・みて思ほゆるかも」。大鏡道長「いみじと身に―・みて思ふ給へし罪も今に失せ侍らじ」 ⑦繰り返し行なって親しんでいる。源氏物語若菜下「斎院はたいみじう勤めて、紛れなく行ひに―・み給ひにたなり」 ⑧しみじみと落ち着いた雰囲気になる。筑波問答「一座の―・まぬ時は思ふやうならぬ事も侍るなり」 ⑨気に入る。興に入る。佳境に入る。日葡辞書「コンニチノダンギ、即ち、フルマイガシウダ」。傾城禁短気「はなしが―・まば軽い吸物して酒を出せ」 ⑩なじみになる。傾城禁短気「三浦の太夫職花紫に色濃くも―・みつき」 ⑪感覚を強く刺激されてからだにこたえる。また、痛みを覚える。源氏物語宿木「いつと侍らぬなかにも、秋の風は身に―・みてつらう覚え侍りて」。日葡辞書「カゼガミニシウダ」「クスリガシム」 [二]〔自上二〕 ⇒しみる(上一)。 [三]〔他下二〕 ①そめつける。色をつける。万葉集7「紅に衣―・めまく欲しけども着てにほはばか人の知るべき」 ②香りなどをしみこませる。源氏物語末摘花「陸奥紙の厚肥えたるに匂ひばかりは深う―・め給へり」 ③深く覚えさとらせる。しっかり身につくようにする。源氏物語若菜下「昼は…心あわただしければ、夜々なむ、静かに事の心も―・め奉るべき」 ④心に深く刻みこむ。思いつめる。源氏物語匂宮「かの紫の御有様を心に―・めつつ、よろづの事につけて思ひ出で聞え給はぬ時のまもなし」。源氏物語総角「心に―・めたる方のことは、うち出づることもかたくて」 ⑤(主に「…に心を―・む」の形で)心をうちこむ。心を奪われる。源氏物語薄雲「春のあけぼのに心―・め給へるもことわりにこそあれ」。源氏物語総角「世の中に心を―・むる方なかりつるを」

広辞苑 ページ 9043 での染む単語。