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おちよ‐はんべえ【お千代半兵衛】‥ヱ🔗⭐🔉
おちよ‐はんべえ【お千代半兵衛】‥ヱ
享保7年(1722)4月の宵庚申よいこうしんの夜、大坂新靫町の八百屋の養子半兵衛が女房お千代と生玉馬場先の大仏勧進所で心中した巷説。これを脚色した浄瑠璃に、紀海音「心中二つ腹帯」、近松門左衛門「心中宵庚申」などがあり、歌舞伎にも書き替えられた。
→文献資料[心中宵庚申]
お‐ちょぼ🔗⭐🔉
お‐ちょぼ
(「ちょぼ」は小さい意)
①豊臣秀吉に仕えたという美女の名。一般に、かわいらしい娘のこと。武家義理物語「秀吉公の御女臈の花か―か」
②近世後期、京坂地方で、15、6歳までの女中。特に、揚屋・茶屋などの小女。松の葉1「―忍ぶに六つの苦が候そろ」
⇒おちょぼ‐ぐち【おちょぼ口】
おちょぼ‐ぐち【おちょぼ口】🔗⭐🔉
おちょぼ‐ぐち【おちょぼ口】
小さくつぼんだ口つき。少女らしく気取ってすぼめた口つき。おつぼぐち。
⇒お‐ちょぼ
お・ちる【落ちる・墜ちる・堕ちる】🔗⭐🔉
お・ちる【落ちる・墜ちる・堕ちる】
〔自上一〕[文]お・つ(上二)
➊支えるものもなく、ものが加速度的に下に移動する意。
①上から下へ急に位置が変わる。落下する。墜落する。万葉集14「筑波嶺の岩もとどろに―・つる水」。大鏡道長「星の―・ちて石となるに」。「階段から―・ちる」
②降る。新拾遺和歌集神祇「紅にぬれつつ今日や匂ふらむ木の葉移りて―・つるしぐれは」。「白いものが―・ちて来る」
③花・葉などが散る。また、涙などがこぼれる。古今和歌集春「枝よりもあだに散りにし花なれば―・ちても水のあわとこそなれ」。宇津保物語梅花笠「つきせず―・ちしわが涙かな」
④日・月が沈む。没する。頼政集「―・ちかかる山のは近き月影は」。「日が―・ちる」
⑤光や視線などが、あるものに注がれる。また、影などが物の上に映る。新古今和歌集冬「冬がれの森の朽葉の霜のうへに―・ちたる月の影のさむけさ」。「一座の視線は彼の上に―・ちた」「地面に―・ちた樹木の影」
⑥勢いよく降りる。また、風が吹きおろす。平家物語9「男鹿二つ妻鹿一つ、平家の城郭一谷へぞ―・ちたりける」。海道記「嵐ぞ―・つる足柄の山」
⑦くずれおちる。こわれる。平家物語灌頂「枢とぼそ―・ちては、月常住の灯をかかぐ」。「土蔵が焼け―・ちた」
➋物事の程度が急にさがる。
①おちぶれる。零落する。源氏物語蓬生「やむごとなき筋ながらかうまで―・つべき宿世すくせ有りければにや」。「それぐらいの金策に難儀するなんて彼も―・ちたものだ」「―・ちる所まで―・ちる」
②堕落する。古今和歌集秋「名にめでて折れるばかりぞ女郎花われ―・ちにきと人に語るな」。徒然草「万の戒を破りて地獄に―・つべし」
③衰える。減る。今昔物語集5「水漸く―・ちて本の河に成りぬ」。莫切自根金生木きるなのねからかねのなるき「煤掃時分の切落しの如く借手の入りは―・ちけれども」。「夕刻から風も―・ちた」「スピードが―・ちる」
④低くなる。劣る。「品質が―・ちる」「話が―・ちた」「人後に―・ちない」
➌物・事柄・人などがある所からなくなる。他へいってしまう。
①ついていたものがとれてなくなる。欠ける。古事記下「足結あゆいの小鈴―・ちにきと」。「色が―・ちる」「垢が―・ちる」「つきが―・ちる」
②もれる。ぬける。古事記上「かき廻みる磯の崎―・ちず若草の妻持たせらめ」。万葉集15「おもひつつ寝ればかもとなぬばたまのひと夜も―・ちず夢にし見ゆる」。「名簿から名前が―・ちる」
③熱・つきものなどがとれる。癒える。今鏡「瘧心地おこりごこちわづらひ給ひけるに、白河院より…祈らせ給ひけるに、―・ちたりける」。「瘧おこりが―・ちる」
④力などがぬけてなくなる。失せる。消える。浄瑠璃、国性爺合戦「今まで勇む国性爺はつとばかり目も眩み力も―・ちて打ち萎れ」。「つやが―・ちる」
⑤戦いに負けなどして逃げ去る。また、都から離れて地方へくだる。平家物語8「いくさにおそれて下人ども皆―・ちうせたれば」。平家物語7「平家は運つきすでに都を―・ちぬ」
⑥落伍する。落第する。落選する。「試験に―・ちた」「選挙に―・ちる」
➍《堕》(穴などにおちこむ意から)仕かけ・はかりごと・罪悪など、また、抜きさしならない状態、昏睡状態などにはまりこむ。欽明紀「汝等いましたちみだりに信うけてすでに人の権はかりことに堕おちき」。源氏物語明石「罪に―・ちて都を去りにし人」。「敵の策に―・ちる」「深い眠りに―・ちる」
➎《落・墜》物事がある終局にまで達する。
①精進が終わる。土佐日記「かぢとりの昨日釣りたりし鯛に…―・ちられぬ」
②問いつめられて自白する。今昔物語集16「暫しは―・ちざりけれども責めて問ひければつひにありのままに言ひけり」。日葡辞書「トウニハヲチイデ、カタルニヲツル」。「犯人が―・ちる」
③城が攻めとられる。陥る。太平記29「何となくとも今宵か明日か心落ちに―・ちんずる城を」
④くどかれて意に従う。なびく。浮世草子、新色五巻書「男畜生いたづら者、―・ちよ―・ちよと落しておいて」
⑤けもの・鳥・魚などが死ぬ。浄瑠璃、心中宵庚申「献立は三汁九菜―・ちた肴を吟味の役人」
⑥柔道で、気絶する。「首を締められて―・ちる」
➏《落》物・事柄の所属・結果がきまる。
①帰する。落ち着く。きまる。源氏物語藤袴「人の推し量る案に―・つることもあらましかば、いとくちをしく」。太平記11「官軍戦ひに負けて、天下久しく武家の権威に―・ちぬ」。浄瑠璃、傾城反魂香「人をはぐの欺すのと―・つる所は廓の難」。「入札が―・ちる」
②その人の所有となる。天草本伊曾保物語「鷸蚌いっぽうがあひ争うて二つながら漁人の手に―・つる」。日葡辞書「ソノヒトニヲチタ」。「家が人手に―・ちる」
③(多く「心に―・ちる」「胸に―・ちる」などの形で)納得する。了解する。浄瑠璃、国性爺後日合戦「曾て以て心腹に―・ちがたし」。「腑に―・ちない」
④収支決算がきちんと合う。
⑤(隠語)判決が確定して入監が決定する。
◇一般には「落」。墜落などの意には「墜」も、堕落などの意には「堕」も使う。
広辞苑 ページ 2839。