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やど【宿】🔗🔉

やど宿】 ①(「屋戸」と書く)家を閉ざす戸。家の戸口。万葉集4「夕さらば―開け設けて吾われ待たむ」 ②(「屋前」「屋外」と書く)家の戸口のあたり。庭先。万葉集10「わが―の萩の末うれ長し」 ③いえ。すみか。万葉集6「思ふ子が―に今夜こよいは明かして行かむ」。「埴生はにゅうの―」 ④(屋取る意の「宿り」と混同されるようになる) ㋐一時泊まる所。旅先で泊まること。また、その家。はたごや。宿屋。旅館。「―をさがす」 ㋑農村・漁村などで、青年男女が集まって仕事をしたり寝泊りしたりする家。若衆わかしゅ宿・娘宿の類。 ⑤主人。あるじ。 ㋐他人に対して、妻が夫のことを指していう語。 ㋑主家に対して、奉公人が親元または請人うけにんの家をいう語。 ⑥揚屋あげや。また、その主人。浄瑠璃、冥途飛脚「―を頼んで、田舎の客の談合破らせ」 ⇒宿をとる

やど‐あずけ【宿預】‥アヅケ🔗🔉

やど‐あずけ宿預‥アヅケ ①江戸時代、江戸に召喚した被疑者を公事くじ宿に預けること。 ②江戸時代、主家の金を使い込んだ召使いなどを、その請人うけにんに預けること。

やど‐いり【宿入り】🔗🔉

やど‐いり宿入り】 ①やぶいり。また、里帰りのこと。 ②若衆わかしゅ宿に加入すること。

や‐どう【野衲】‥ダフ🔗🔉

や‐どう野衲‥ダフ ⇒やのう

や‐どうな【矢だうな】‥ダウナ🔗🔉

や‐どうな矢だうな‥ダウナ 矢を無駄に使うこと。平家物語9「罪作りに、―に」→どうな

やどおし‐きかい【矢通し機械】‥ドホシ‥🔗🔉

やどおし‐きかい矢通し機械‥ドホシ‥ (→)ブローチ盤に同じ。

やど‐おや【宿親】🔗🔉

やど‐おや宿親】 若衆わかしゅ宿または娘宿を引きうけた家の主。多く仮親としての後見をする。外来労働者の宿場の主をいう地方もある。

や‐どおり【矢通り】‥ドホリ🔗🔉

や‐どおり矢通り‥ドホリ 矢が通過する所。矢場などで射手のいる所と垜あずちとの間の所。

やど‐おり【宿下り】🔗🔉

やど‐おり宿下り(→)「やどさがり」に同じ。好色一代女4「本郷六丁目の裏棚へ―をして」

やど‐かい【宿介】🔗🔉

やど‐かい宿介】 ヤドカリ(宿借)の訛。

やど‐がえ【宿替え】‥ガヘ🔗🔉

やど‐がえ宿替え‥ガヘ 住居を替えること。ひっこし。転居。転宅。

やど‐がお【宿顔】‥ガホ🔗🔉

やど‐がお宿顔‥ガホ 自分の宿であるというような顔つき。拾遺和歌集愚草「郭公鳴くやさつきの―に」

やどかし‐どり【宿貸鳥】🔗🔉

やどかし‐どり宿貸鳥】 カケスの別称樫鳥かしどりに「宿貸す」を言いかけた語。一説に、ツバメまたはウグイスの別称とも。芭蕉、幻住庵記「―の便さへあるを」

やど‐かり【宿借り】🔗🔉

やど‐かり宿借り】 ①宿を借りること。 ㋐借家。また、借家人。 ㋑同居。また、同居人。厄介やっかい。居候いそうろう。宿介やどかい。掛人かかりうど。 ②(「寄居虫」とも書く)エビ目(十脚類)の甲殻類のうち巻貝の空殻に入る種類の総称。体はエビ類・カニ類と同じく、1枚の頭胸甲で覆われた頭胸部と、7節に分かれた腹部とをもつが、腹部の甲殻や腹肢の発達が悪いものが多い。歩脚のうちの第1対は鋏脚きょうきゃく、最後対は極めて小形。成長して大きくなると貝殻を取り替える。ホンヤドカリなどほとんどが海産で、オカヤドカリは陸生。貝殻に入らないアナジャコ・コシオリエビ・カニダマシ・タラバガニ・ヤシガニなどを含めて一般的には異尾類とする。ごうな。おばけがい。古名かみな。〈[季]春〉 ほんやどかり ホンヤドカリ 提供:東京動物園協会

やど‐ぐるま【宿車】🔗🔉

やど‐ぐるま宿車】 車宿に属して顧客の依頼を待つ人力車。また、その車夫。

やど‐ごや【宿小屋】🔗🔉

やど‐ごや宿小屋】 宿とする小屋。住居とする小さな家。浄瑠璃、今宮の心中「世間晴れて―持ち」

や‐どころ【矢所】🔗🔉

や‐どころ矢所】 矢を射る時にねらう場所。やつぼ。

やど‐さがり【宿下がり】🔗🔉

やど‐さがり宿下がり】 奉公人が暇を貰って親元または請人うけにんの家に帰ること。俳諧では特に、正月の藪入やぶいりをいう。やどおり。〈[季]新年〉

やど・す【宿す】🔗🔉

やど・す宿す】 〔他五〕 ①宿をかす。やどらせる。宿泊させる。 ②(涙・露・光・影などを)とどめる。とどまらせる。竹取物語「おく露の光をだにぞ―・さまし」。「水に影を―・す」 ③あずけて置く。置く。残す。後撰和歌集「女蔵人の曹司に壺やなぐひ、おいかけを―・しおきて」。「禍根を―・す」 ④はらむ。妊娠する。日葡辞書「タイナイニコヲヤドス」。「胤たねを―・す」 ⑤内に含み持つ。「疑念を―・す」

やど‐せん【宿銭】🔗🔉

やど‐せん宿銭】 宿屋の宿泊料。やどちん。

やど‐ちゃ【宿茶】🔗🔉

やど‐ちゃ宿茶】 新しく引っ越して来た借家人が、家主や近所の人を招いて馳走を振る舞うこと。また、その馳走。引越ぶるまい。宿酒やどざけ。浄瑠璃、鎌倉三代記「これはわたしが―の餅」

やど‐ちょう【宿帳】‥チヤウ🔗🔉

やど‐ちょう宿帳‥チヤウ 宿屋で宿泊者の住所・氏名などを記す帳簿。

やど‐ちん【宿賃】🔗🔉

やど‐ちん宿賃】 ①家の借り賃。家賃やちん。 ②宿泊料。宿銭。「―を払う」

やど‐と【宿人】🔗🔉

やど‐と宿人】 (東北地方北部で)留守居の人。宿居やどい。やでと。

やど‐とり【宿取り】🔗🔉

やど‐とり宿取り】 先に行って宿をとること。また、それをする人。醒睡笑「―を主人うかがひ見れば」

やど‐なし【宿無し】🔗🔉

やど‐なし宿無し】 一定の住家のないこと。また、その人。無宿。無宿人。放浪者。 ⇒やどなし‐たび【宿無し旅】 ⇒やどなし‐ねこ【宿無し猫】

やどなし‐たび【宿無し旅】🔗🔉

やどなし‐たび宿無し旅】 あらかじめ宿を定めてない旅。 ⇒やど‐なし【宿無し】

やどなし‐ねこ【宿無し猫】🔗🔉

やどなし‐ねこ宿無し猫】 飼主のない猫。のらねこ。 ⇒やど‐なし【宿無し】

やど‐ぬし【宿主】🔗🔉

やど‐ぬし宿主】 ①宿の主人。 ②〔生〕 ⇒しゅくしゅ

やど‐ばいり【宿這入】‥バヒリ🔗🔉

やど‐ばいり宿這入‥バヒリ ①自分の家を定めてそこに入ること。 ②転じて、家庭を持つこと。身代しんだいを持つこと。浮世草子、日本新永代蔵「相応の者を女房に持ち―の初め」 ③分家すること。また、商家で奉公人が暖簾のれんを分けてもらい、独立すること。

やど‐ばらい【宿払い】‥バラヒ🔗🔉

やど‐ばらい宿払い‥バラヒ 宿泊料の支払い。

やど‐ひき【宿引き】🔗🔉

やど‐ひき宿引き】 自分の宿屋に泊まるように旅客を勧誘すること。また、その人。客引き。

やど‐ふだ【宿札】🔗🔉

やど‐ふだ宿札】 ①宿屋の名と宿泊人の姓名とを記した札。もっぱら高位の者、大小名・旗本などの宿屋の前に掲げた。とまりふだ。しゅくさつ。 ②氏名を記して門口などに掲げ、その人の住所または宿所であることを知らせる札。門札。標札。

やど‐ぶね【宿船】🔗🔉

やど‐ぶね宿船】 住居とする船。

や‐どめ【矢止め】🔗🔉

や‐どめ矢止め】 矢を射ることを中止すること。また、休戦。

やど‐もと【宿元・宿許】🔗🔉

やど‐もと宿元・宿許】 ①居住している所。すまい。 ②宿泊している所。 ③奉公人などが宿としている所。

やど‐もり【宿守】🔗🔉

やど‐もり宿守】 宿を守ること。また、その人。家の番人。留守番。源氏物語夕顔「この―なる男を呼びて」

やど‐や【宿屋】🔗🔉

やど‐や宿屋】 ①やどっている家。宿泊所。 ②旅客を宿泊させることを業とする家。はたごや。旅館。 ③揚屋あげや。 ④浄瑠璃「生写しょううつし朝顔話」宿屋の段の通称。また歌舞伎での同場面の通称。 ⇒やどや‐いり【宿屋入り】

やどや‐の‐めしもり【宿屋飯盛】🔗🔉

やどや‐の‐めしもり宿屋飯盛(→)石川雅望いしかわまさもちの狂歌師名。

やどり【宿り】🔗🔉

やどり宿り】 ①やどること。また、その所。住居。家。 ②旅やどりすること。また、その所。万葉集9「旅人の―せむ野に」。「一夜の―」 ③旅人を宿泊させるのを業とする家。やどや。 ④星のやどり。星宿せいしゅく。しゅく。 ⇒やどり‐うど【宿人】 ⇒やどり‐ぎ【宿木・寄生木】 ⇒やどり‐の‐つかさ【宿の官】 ⇒やどり‐ばえ【寄生蠅】 ⇒やどり‐ばち【宿蜂】 ⇒やどり‐びと【宿り人】

やど‐り【宿下】🔗🔉

やど‐り宿下】 ヤドオリの約。

やどり‐うど【宿人】🔗🔉

やどり‐うど宿人】 ヤドリビトの音便。 ⇒やどり【宿り】

やどり‐ぎ【宿木・寄生木】🔗🔉

やどり‐ぎ宿木・寄生木】 ①他の樹木に寄生した木。ほや。ほよ。〈倭名類聚鈔20〉 ②ヤドリギ科の常緑低木。高さ1メートル内外。落葉広葉樹に寄生するので冬は目立つ。叉状の茎の上端に細長い濃緑の2葉をつける。雌雄異株。早春、淡黄色の小さい単性花を開き、花後、球形で緑黄色の果実を結ぶ。果肉は強くねばり、鳥によって他の枝に運ばれる。類似の種類が多く、ヨーロッパでは果実のついた枝をクリスマスの装飾に用いる。トビヅタ。 やどりぎ ⇒やどり【宿り】

やどり‐の‐つかさ【宿の官】🔗🔉

やどり‐の‐つかさ宿の官⇒しゅくかん(宿官)。能因本枕草子宿の官の「―の権の守は」 ⇒やどり【宿り】

やどり‐ばえ【寄生蠅】‥バヘ🔗🔉

やどり‐ばえ寄生蠅‥バヘ ヤドリバエ科および近縁の科のハエの総称。成虫は体に剛毛が多い。幼虫はチョウ目・ハチ目・コウチュウ目などの昆虫の幼虫に寄生する。きせいばえ。 ヤドリバエとシタバガの幼虫 撮影:海野和男 ⇒やどり【宿り】

やどり‐びと【宿り人】🔗🔉

やどり‐びと宿り人】 ①宿泊している人。 ②同居している人。いそうろう。 ⇒やどり【宿り】

やど・る【宿る】🔗🔉

やど・る宿る】 〔自五〕 (「屋取る」の意) ①すみかとしている。住む。万葉集7「江林に―・る猪鹿ししやも」。源氏物語夕顔「かりにても―・れるすまひの程を思ふに」。日葡辞書「トリ、キノエダ、また、ハナニヤドル」 ②旅先で宿をとる。万葉集1「秋の野のみ草刈り葺き―・れりし宇治のみやこの仮庵し思ほゆ」。平家物語1「一樹の陰に―・りあひ同じ流れをむすぶだに、別れは悲しき習ひぞかし」 ③他の物の内に入りとどまる。源氏物語東屋「亡き魂や―・りて見給ふらむ」 ④ある場所に位置を占める。他の物に形がうつる。古今和歌集「あひにあひて物思ふ頃の我が袖に―・る月さへぬるる顔なる」。平家物語11「わが身こそ明石の浦に旅寝せめ同じ浪にも―・る月かな」。「露が―・る」 ⑤植物などが他の植物に寄生する。源氏物語宿木「いと気色ある深山木に―・りたる蔦の色」 ⑥胎児が子宮の中にとどまる。沙石集5「下女の腹に―・り給へり」。「生命が―・る」 ⑦星がその座を占める。

やど‐ろく【宿六】🔗🔉

やど‐ろく宿六】 宿の主人、すなわち亭主を親しみ、また卑しめていう語。黄表紙、屈伸一九著えいやっといっくがさく「岩戸屋の―すかさぬ人にて」。「うちの―」

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