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な【名】🔗🔉

な【名】 個、または集合としての事柄や物を、他から区別するために、対応する言語でいい表したもの。なまえ。上代では言霊信仰によって、「名」は実体そのものと意識されていた。 1 一般に物事の名称。呼び方。*万葉‐三三九「酒の名を聖(ひじり)とおほせしいにしへの大き聖の言(こと)のよろしさ」 2 固有のものとしてつけられた呼称。固有名詞。*土左「このいけといふは、ところのななり」 3 特に、人やその集団につけられた名称。 家や家系としての呼称。血縁としての氏(うじ)や職名としての姓(かばね)など。氏姓(しせい)。*万葉‐四四六五「大伴の氏と名に負へる大夫の伴」一個人の呼称。名前。*古事記‐中「兄(いろね)の名は蠅伊呂泥(はへいろね)」仏などの名号、または、経典の題目。*今昔‐七・三「汝、般若の名を聞き奉れる善有り」 (1)に伴う事柄、または、その属性を象徴するものとしての名称。 1 評判、うわさ。*源氏‐帚木「かろびたる名をや流さむ」 2 特に、よい評判をいう。名声。また、名誉。*大唐西域記長寛元年点‐五「威は瞻部を懾(をど)し、声(ナ)は隣国に震ふ」 3 評判だけの名称。実体をあらわしていない名前。虚名。*古今‐六三五「秋のよも名のみなりけり」 4 名前に伴って守るべき分際。名分。「名をただす」 (形式とその実際の内容とを対比して)表面的な理由や体裁。名目。 表面上の名誉や体裁。「名を捨てて実を取る」「名ばかりの結婚式」表向きに出す形式上の名義。「社長の名で寄付をする」何かするためにつける理由。口実。「来客を名に酒を飲む」 (助詞「の」を伴って用いる)名声の高いこと。有名。名代。*浮・俗つれづれ‐三「彼是名(ナ)の酒数かさなりて」 文字。古く、その物に対する名称の意から転用したもの。真名(まな)、仮名(かりな・かな)など。*書紀‐敏達元年五月(前田本訓)「表(ふみ)烏(からす)の羽(は)に書(か)けり。字(ナ)、羽の黒き随(まま)に、既に識る者(ひと)無し」 「なごり(名残)の折」の略。 ●名有(あ)り 有名である。名声がある。 ●名有りて実(じつ)なし 評判ばかり立派で実質が伴わない。有名無実。 ●名が朽(く)ちる 名声がすたれる。評判が落ちる。 ●名が立(た)つ 世間の評判になる。浮名(うきな)が立つ。 ●名が流(なが)れる 名が流布(るふ)する。評判が世間にひろがる。 ●名に負(お)う 1 名前として持つ。その実体を伴ったものとしての名を持つ。なにしおう。*古事記‐下・歌謡「かくの如那爾淤波(ナニオハ)むとそらみつ大和の国を蜻蛉島とふ」 2 世間一般にその名とともに評判される。有名である。なにしおう。*万葉‐三六三八「これやこの名爾於布(なニオフ)鳴門の渦潮に」 ●名に聞(き)く うわさに聞く。また、有名である。音に聞く。 ●名にし負(お)う (「し」は強意の助詞)=な(名)に負う ●名に立つ 広く世に聞こえる。名高くなる。*古今‐六二「あだなりと名にこそたてれ桜花」 ●名に流(なが)る 世間にその名が広く知られる。名高い。 ●名に旧(ふ)る 古くからその名が聞こえている。名高い。 ●名の朝臣(あそん) =なあそん(名朝臣) ●名の形見(かたみ) 名声や、名誉がその人の形見のように後世まで残ること。 ●名の木 ⇒親見出し ●名の無い星(ほし)は宵(よい)から出る つまらないものが先に出るたとえ。また、待っている者はなかなか来ないで、待たない者が早くから来る。 ●名の封(ふう) 文書の上紙などの封じ目に、差出人の名をしるすこと。また、そのもの。 ●名の禄(ろく) 律令制で、妃(き)・夫人・嬪(ひん)に与えられる季禄の称。号禄。 ●名は実(じつ)の賓(ひん) (「荘子‐逍遥遊」による)実際の徳が主で、名誉は客であること。徳があってはじめて名誉が自然にこれに伴うものであること。 ●名は体(たい)をあらわす 名はそのままそのものの実体を示す。 ●名も無(な)い 名乗るほどの名も持たない。また、有名でない。「名も無い野辺の草」 ●名を揚(あ)げる 名声を世にあらわす。有名になる。 ●名を埋(うず)む 世間に名を知らせないようにする。 ●名を売(う)る 自分の名を広く世間に知れわたるようにする。名を広める。 ●名を=得(う)る[=取る] 名声を得る。有名になる。 ●名を惜(お)しむ 名声の傷つくことを惜しむ。うき名のたつことを嫌う。 ●名を折(いの)る 不名誉なことをする。 ●名を掛(か)く 1 名をつらねる。また、名を知られる。 2 名を口に出して言う。 ●名を借(か)りる 1 他人の名義を使わせてもらう。 2 うわべの口実にする。 ●名を=腐(くた・くだ)す[=沈む・汚す・辱しむ] 名声や評判を落とす。面目を失う。 ●名を雪(そそ・すす)ぐ 汚名を挽回する。名誉を回復する。 ●名を正(ただ)す 1 事の正邪を判断する。 2 (「論語‐子路」による)ものの名称を正す。ものの名と実が一致するようにする。ひいて、名分を正す。 ●名を立(た)つ 1 名声を揚げる。名を揚げる。 2 評判をたてる。評判をとる。 ●名を保(たも)つ 名誉を守り続ける。名声を保持する。 ●名を竹帛(ちくはく)に垂(た)る (竹帛は書物、ひいて歴史の意。「後漢書‐禹伝」から)名を長く後世に伝え残す。歴史に残るような功績を立てる。 ●名を散(ち)らす 名声を世に広める。また、浮名を流す。 ●名を釣(つ)る 名誉や評判を得ようとつとめる。 ●名を遂(と)ぐ 名声を揚げることを遂げる。 ●名を留(とど・と)む =な(名)を残す ●名を流(なが)す 評判になる。また、悪い評判をたてられる。浮名を流す。 ●名を成(な)す 世間からよい評判をたてられる。ひとかどの人物として有名になる。 ●名を盗(ぬす)む 実力がないのに評判を得る。虚名を博す。 ●名を残(のこ)す 名を後々まで言いはやされる。名声を後世にとどめる。名を留む。 ●名を=広(ひろ)む[=振(ふ)るう] 広く世間に名を伝え知らす。世に名声を響かせる。

日国 ページ 15119 での単語。