複数辞典一括検索+
な【汝・己】🔗⭐🔉
な【汝・己】
〔代名〕
1 自称。わたくし。自分。→補注。
2 対称。おまえ。あなた。敬意は高くなく、対等もしくはそれ以下の相手に用い、動物や植物などに呼びかけるときにも用いる。*古事記‐上・歌謡「吾(あ)はもよ女(め)にしあれば那(ナ)を置(き)て男は無し」
[補注]「大己貴」という神の名が「大名持」「大汝」「大穴牟遅」などと記されているところから、自己を表す「己」の文字に「ナ」の読みがあったことがわかる。「万葉‐一七五五」「万葉‐三二三九」にも、ふつう「自分自身」と訳される「な」に「己」の字を用いた例がある。また、親しい人を呼ぶのに用いる上代語「なおと(弟)」「なせ(夫)」「なにも(妹)」「なね(姉)」などの「な」は、一方において「わがせ」「わぎも」などのように「わ(我)」を付けるいい方があり、自称の代名詞を付けるのが当然であると考えられるので、これらの「な」も、古い自称代名詞の用法のなごりであろうと推定される。そして、自称を他称へ転用するのは、日本語でしばしばみられる現象であるから、対称の「な」はこの自称の転じたものと考えられる。
日国 ページ 15122 での【汝】単語。