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〔助動〕(活用は「ま・〇・む・む・め・〇」。四段型活用。平安時代中期にはmuの発音がmとなり、さらにnに変わったので、「ん」とも書かれる。またmはからuに転じて鎌倉時代には「う」を生み、やがてuの発音は前の語の末の母音と同化して長音化するようになった。活用語の未然形に付く。→う)推量の助動詞。現実に存在しない事態に対する不確実な予測を表す。 1 話し手自身の意志や希望を表す。…しよう。…するつもりだ。…したい。*古事記‐中・歌謡「撓(たわ)や腕(がひな)を枕(ま)か牟(ム)とは吾(あれ)はすれど」 2 相手や他人の行為を勧誘し、期待する意を表す。遠まわしの命令の意ともなる。…してくれ。…してもらいたい。*古事記‐下・歌謡「吾(あ)が愛(は)し妻にい及き逢は牟(ム)かも」 3 推量の意を表す。 目前にないこと。まだ実現していないことについて想像し、予想する意を表す。…だろう。*万葉‐三九九六「ほととぎす鳴か牟(ム)五月(さつき)はさぶしけ牟(ム)かも」原因や事情などを推測する場合に用いる。…だろう。…なのであろう。*万葉‐六二一「間なく恋ふれにかあら牟(ム)草枕旅なる君が夢にし見ゆる」(連体法に立って)断定を婉曲にし、仮定であること、直接経験でないことを表す。…であるような。…といわれる。…らしい。*古事記‐中・歌謡「命(いのち)の全(また)け牟(ム)人は」 [補注](1)原形をアムとする説がある。(2)未然形「ま」は、上代のいわゆるク語法の「まく」の形に現れるものだけである。(3)形容詞活用や助動詞「ず」には、「あり」を介して付くのが常であるが、上代では、形容詞活用にはその古い未然形語尾「け」に付く。(4)助動詞「けむ」は、もと過去の助動詞「き」の未然形にこの「む」が結合したもの。そのほか、「らむ」「まし」なども、この「む」に関係のあるものといわれる。

日国 ページ 19092 での単語。