
取

ある一定の状態や姿勢・態度などを作り出す。保つ。
「バランスを━」
「不動の姿勢を━」
「攻撃の構えを━」
「警戒態勢を━」
「あいまいな態度[中立の立場]を━」

取

そういう姿勢・構造・形式や制度などを有する。
「第一楽章はソナタ形式を━」
「この小説は複雑な構成を━」
「文化はさまざま様式を━」
「会議は非公開の形を━」

取

文法で、文が構文上そういう性質をもった語句を要求する。…がくる。
「主語に抽象名詞を━」

取

ある表現や現象を一定の意味に解釈する。
「天変地異を神の怒りと━」
「せっかくの好意を悪く━」
「質問の内容を逆の意味に━」

取

スポーツで、審判がプレーの正否を判定する。また、反則や罰則を宣言する。
「きわどい交錯プレーをアウトと━」
「反則を━」
「オフサイド[ペナルティー]を━・られる」

取

こちらの情報が先方に伝わるようにする。連絡をつける。
「電話で本部と連絡を━」
「先方とコンタクトを━」

取

原形に従って同じ型や形状のものを作り出す。起こす。
「石膏
せっこうで型を━」
「入れ歯の型を━」
「拓本[控え・コピー]を━」

〜ヲに

結果

をとる。「書類をコピーに━」のように、〜ヲに

対象

をとる言い方もできる。

取

筆やペンを執ることによって、記録などを作り出す。
「メモを━」
「記録を━」

〜ヲに

結果

をとる。「子供の成長を記録に━」のように、〜ヲに

対象

をとる言い方もできる。

取

書き付けることによって、書類上の処理をする。
「入会の手続きを━」

取

その遊びや動作・競技を成立させる。
「カルタ[相撲]を━」
◇手札や回しを取ることから。

取

寝具を敷きのべて寝床を作る。
「床
とこを━」
◇敷くための場所として取る(=確保する)ことから。

取

《「機嫌を━」の形で》人の気に入るように働きかける。
「猫なで声で機嫌を━」

取

《「大事を━」の形で》大事に至らぬよう慎重に物事に対処する。
「大事を━・ってもう一日休む」

取

《「手玉に━」の形で》思うがままにあやつる。
「強力打線を手玉に━」

取

《「気を━・られる」などの形で》他のことにかまけて本来の注意力を奪われる。
「隣の人に気を━・られる」

取

《「足[ハンドル]を━・られる」の形で》歩行[ハンドルさばき]の自由を奪われる。
「ぬかるみに足を━・られる」
「雪道にハンドルを━・られる」

取

その(方向への)進路を選ぶ。
「海路を━」
「飛行機が北西に針路を━」

取・採

いくつかの中から選択する。
「進学を━か就職を━かで迷っている」
「第二外国語に中国語を━」
「対立する意見の中間を━」

取・採

手本やよりどころを求めて選び定める。
「韓国に範を━・って制度を改める」
「民話から題材を━」
「漱石から名前を━・って漱平と名づける」

取・採

その役割を持った人を迎え入れる。
「本家が婿
むこ[養子・嫁]を━」

〜ヲに

結果

をとる。「師匠が太郎を弟子に━」のように、〜ヲに

対象

をとる言い方もできる。

採・取

材料や原料から必要なものを取り出したり作り出したりする。
「アコヤ貝から真珠を━」
「菜種から油を━」
「芋からアルコールを━」

採・取

人材を採用する。
「新卒を数名━」
「取材記者として経験者を━」

「経験者/外交員

を━」では、前者は〜ヲに

資格者

を、後者は

役割者

をとる例。

採・取

有効な手段や考え方として選び定める。採用する。
「積極策[適切な処置・内部犯行説]を━」

採・取

必要なものを選んで手に入れる。採取する。
「井戸水からサンプルを━」
「犯行現場から指紋を━」
「テープの音を楽譜に━」

採・取

室内に明かりを導き入れる。採光する。
「窓から外光を━」

採

議案の賛否の数を調べて可否を決める。採決する。
「決
けつ[可否]を━」

捕・取

ある目的をもって動物をつかまえる。捕獲する。
「海に潜ってアワビを━」
「わなをしかけてウサギを━」
「猫がネズミを━」

「捕」は逃げるものを追いかけてつかまえるといった意味合い。

「
▽獲る」とも。貝類では「採」が多い。

採・取

昆虫や山菜・薬草・鉱物などを採取する。採集する。
「チョウを━」
「キノコを━・って暮らしを立てる」
「川で砂金を━」

取

作物を収穫する。
「トマトを━」

「
▽穫る」とも。

取

余分なものや不要なものを取り除く。
「雑草[野菜の灰汁
あく・肉の臭み]を━」
「手術で胃のポリープを━」
「鎮痛剤で痛みを━」
「温泉につかって旅の疲れを━」

取

身につけた物を取りはずす。
「帽子を━・って挨拶
あいさつする」
「ネクタイ[眼鏡]を━」
「おむつを━」

取

必要と思われる時間や空間をしっかりと確保する。
「十分に時間を━・って検討する」
「適度の間合い[距離]を━」
「たっぷりと行間を━」
「新しい設計では居間を広く━・ってある」

取

時間や空間を普通より余分に必要とする。
「素案の作成が予定より時間を━・ってしまった」
「手間を━・らせる取材はお断りだ」
「下準備に時間を━・られる(=食われる・割かれる・奪われる)」
「この冷蔵庫は場所を━(=ふさぐ・占める・食う)」

撮

カメラで被写体を写すことによって、写真作品を作り出す。撮影する。
「野生動物の写真[映画]を━」
「山を背景に記念写真を━」
「胸のレントゲンを━」

「

被写体

の写真を━」と「

被写体

を写真に━」の言い方がある。前者は〜ヲに

結果

を、後者は

対象

をとる言い方。

取

録音する。また、録画する。
「祭ばやしの音をテープに━」
「BSから映画を━」

「
▽録る」も多い。「取る」に代わって新しく生まれた表記。


自五


《「…に━・って」の形で》…(の身)として。…(の立場)から見て。
「初心者に━・っては難しい」
「世界の経済に━・っても好ましくない事態だ」

一般にかな書き。

丁寧形は「とりまして」、「とっては」の口語体は「とっちゃ(あ)」となる。「とりまして」は、「ます」のコラムを参照。「彼らにとっちゃそのほうがいいんだ」→
「ます」のコラム
取れる
取り
関連語
大分類‖体の動き‖からだのうごき
中分類‖
つかむ‖つかむ
大分類‖得る‖える
中分類‖
奪う‖うばう
【捕らぬ狸たぬきの皮算用かわざんよう】
まだ手に入るかどうか分からないものを当てにして、あれこれと計画を立てること。皮算用。