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か🔗⭐🔉
か

副助
《疑問を表す語に直接、または特定の語を介して付いて》不定を表す。不確かで、はっきりそれと特定できない(または、特定しない)意。
「玄関に誰か来たようだ」
「何か酒の肴さかなはないか」
「どこか遠くへ行きたい」
「米国ならいつかは行ける」
「何年かの月日が経過した」
「どこからか風が吹いてくる」
「いつの間にか雨は上がっていた」
「いずれの日にか国に帰らん
藤村
」のように、文語は文末を連体形で結ぶ(係り結び)。
《「…のみか」「…ばかりか」「…どころか」の形で》それだけではなく、さらにもっと。また、そうではなく、反対に。
「国内のみか海外にも知られている」
「敵ばかりか味方にまで裏切られた」
「がっかりするどころか、喜んでさえいる」
《「どんなにか」の形で、文末に「…だろう」「…に違いない」などの推量表現を伴って》程度がはなはだしいことを推し量る。
「合格できたらどんなにかうれしいだろう」
「どんなにか悔しかったに違いない」
「だろう」を伴う場合は「どんなに」とも(「どんなにうれしいだろう」)。文語的な言い方に「いかばかりか」がある。
《「AかBか」の形で》選言を表す。対等(特に、肯定・否定の対立)の関係にあるものを並べて、どれかを選ぶ意。Aまたは[もしくは・あるいは]B。
「昼食はそばかうどん(か)だ」
「君がやるか僕がやるかだ」
「賛成か否かは依然不明だ」
「知ってか知らずか、けろりとしている」
「幸か不幸か、そこまでは知らなかった」
「一か八ばちかやってみよう」
「言い終わるか終わらないかのうちに、質問攻めだ」
「三〇分かそのくらいは待ったと思う」
「飲み物はビールかワインか日本酒かウイスキーか、どれか一つにしてくれ」のように、選択肢が三つ以上になることもある。
後ろの「か」を省略するものがあり、慣用的に言わないものもある。
「か」を個別に見た場合、活用語の連体形を受ける場合は終助詞とし、「先生か誰かに聞こう」などの「か」は副助詞とすることが多い。
文型表現の中でさまざまな意に発展する。→「か」の文型表現1
文語
《疑問を表す語に付いて》反語を表す。…だろうか、いや…ない。
「誰か波路を望み見て
そのふるさとを慕わざる
藤村
」
「人生意気に感ず、功名誰か復また論ぜん
魏徴
」
◇口語の反語表現は、
を参照。
文語は文末を連体形で結ぶ(係り結び)。
◆
は、文語文法では係助詞とする。

終助
《句末、特に文末に使う》
〔自問に使って〕疑いの気持ちを表す。詠嘆の気持ちがこもることも多い。
「これでいいのだろうか」
「もはやこれまでか」
「あの人はいつになったら来るのかなあ」
「何かいい策はないか」
疑いの意からさまざまな意に発展する。
原因や理由を推測して言う。「腹を立てたのか、返事もしない」「風邪をひいたせいか、頭が痛い」
さまざまな文型表現で使う。→「か」の文型表現2
問いかけ(=質問)を表す。
「今晩はお暇ですか?」
「今何時ですか?」
「誰が茶碗ちゃわんを割ったのか?」
「落書きをしたのは、君か?」
「体調はどうかな?」
「今晩、お暇?」「今、何時です?」など、上昇調のイントネーションを伴えば、「か」を言わないですませることもできる。
文型表現の中でさまざまな意に発展する。→「か」の文型表現3
感動・驚き・詠嘆など、強い情動を表す。
「ああそうか」
「これが例の事故現場か」
「やっぱりあなただったのか」
「なんだ、来てたのか」
「…ことか」の形で感動・詠嘆を表す。「どんなに心配したことか」
「…では[じゃ]ないか」などの形で、予想外のことに対する驚きの気持ちを表す。「泣くどころか平然としているではないか」
反語を表す。…だろうか、いや…ない。
「大学なんて誰が行くか」
「あろうことか、飼い犬に手をかまれるとは」
「あいつらなんかに負けてたまるか」
「あんな残虐行為が許されるだろうか」
◇文語の反語表現は、
を参照。
〔自問自答して〕
《「…とする[しよう]か」「…てみるか」などの形で》静かな決意を表す。
「よし、そろそろ出かけるとするか」
「一つやってみるか」
軽い詠嘆をこめて、確認したり納得したりする。
「やはりあの手で来たか」
「ま、こんなところか」
「うん、これでよしとするか」
《断定できない内容を表す文を名詞化して》その情報を不確かなものとして示す。
「彼女が何時に着いたかは不明だ」
「彼が何を話したかが知りたい」
「どうしたらいいか僕には分からない」
「まるで盗んだかのような言い方じゃないか」
◆
終助詞「か」は、基本的には、「読んだ[楽しい]か」「これが詩か」「もう少しか」など、活用語の連体形(口語では終止形ともする)や、述語となる名詞・副詞などに付く。断定の助動詞「だ」には終止形に付くが、その場合、文末には付かず文中には付く。「今日は休日
×
だか/
○
ですか」「○
誰が誰だか分からない」。「だ」と同系統の「…ようだ」「…そうだ」「…べきだ」「…のだ」などや、形容動詞には、語幹の部分に付く。文中では「いるのだかいないのだか分からない」のように「だ」に付く。
「か」の文型表現
1 「AかBか」(
。後ろの「か」を省略するものがあり、慣用的に言わないものもある)
《多く「…かどうか」の形で、疑問詞を伴わない形の疑問表現を名詞化して》その情報が不確かなものであることをはっきりと示す。「彼女が彼の従妹かどうかは怪しい」「来春卒業できるかどうかは疑わしい」◇「…か…ないか」「…か否か」(
)の婉曲えんきょくな言い方。「卒業できるのかさえ疑わしいのに…」のように「どうか」を省略した言い方もある。→
《上に数値を伴って、「…か…ない(か)」の形で》…を超えることはないが、だいたい…ぐらい。だいたい…以下。「値段は千円するかしないかだ」「年のころは四〇歳になるかならないかだ」
《「…か何[誰・どこ]か」の形で》他を選択する余地を残しながら、それを有力な候補として挙げる。…か、そうでないならば、その類に属する他のものの意。「ビールか何か冷たい物が飲みたい」「田中先生か誰かに聞こう」「ハワイかどこかに行こうよ」
《多く「…かそこ(い)ら」の形で、数値を受けて》おおよその値を表す。正確には…でないとしても、だいたいそのくらい。およそ…。「二十はたちかそこらの若造が生意気を言うな」「完成までには一〇年かそこいらはかかる」
2 疑いを表す終助詞「か」(
)
《「…たものか」の形で》そうすべきかどうか迷う意を表す。詠嘆の気持ちがこもることも多い。「先生に知らせたものかどうか」「この仕事は誰に頼んだものか」
《「…では[じゃ]ないか」などの形で》疑いを残しながらの、控えめな断定を表す。「あれは山田さんじゃないか」「これは地震の前触れではないでしょうか」「僕は彼が犯人ではないかと思う」
《「…ないものか」の形で》理想の実現を待ち望む気持ちを表す。「もっとうまくできないものか」「期日までに間に合わせられないものだろうか」
《「…ものか」の形で》→ものか(終助詞)
「負けてなるものか」
3 質問を表す終助詞「か」(
)
《「…(よ)うか」の形で、話し手の動作を表す表現を受けて》相手の意向を聞く形で、話し手の申し出を表す。「私が案内しようか」「冷房を入れましょうか」
《「…ないか」の形で、聞き手の動作を表す表現を受けて》話し手の提案や勧誘を表す。「こっちに来ないか」「この薬を試してみないか」
《「…するか」「…(よ)うか」「…ないか」などの形で、聞き手と共同の動作を表す表現を受けて》話し手の提案や勧誘を表す。「そろそろ退散するか」「少し休みましょうか」「一緒に食事しませんか」「ここらで河岸かしを変えないか」
《「…ないか」「…ん[ぬ]か」の形で、目下の聞き手の動作を表す表現を受けて》難詰なんきつの気持ちをこめて命令する。「早く来ないか」「いい加減にしないか」「おい、ちょっと待たんか」
《「いいか」「よろしいか」の形で》聞き手の注意を引きつけて、念を押す。「いいか、坊や、よく聞きなさいよ」
《「…では[じゃ]ないか」「…ではありませんか」などの形で》自分の判断に対して共感や同意を求めるのに使う。また、反駁はんばく・難詰なんきつするのに使う。「彼はなかなかいい役者ではないか」「ほら、あそこに信号があるじゃないですか」「『猿も木から落ちる』というではありませんか」
《「…てはどう[いかが]か」「…たらどう[いかが]か」の形で、聞き手の動作を表す表現に使って》相手の行動に対する、話し手の提案・促し・勧告などを表す。「先輩に相談してみたらどうか」「試しに試験を受けてみてはいかがですか」
上昇調のイントネーションを伴えば、「…ては?」「…たら?」だけですませることができる。
《「…てもらえる[いただける]か」「…てくれる[くださる]か」の形で》婉曲えんきょくに言って、丁寧な依頼を表す。「貸してもらえますか」「やってくださいますか」
打ち消しの形にすると、さらに丁寧な言い方になる。「教えていただけないでしょうか」

























































































明鏡国語辞典 ページ 978 での【か】単語。