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副助 《疑問を表す語に直接、または特定の語を介して付いて》不定を表す。不確かで、はっきりそれと特定できない(または、特定しない)意。 「玄関に誰来たようだ」 「何酒の肴さかなはないか」 「どこ遠くへ行きたい」 「米国ならいつは行ける」 「何年の月日が経過した」 「どこから風が吹いてくる」 「いつの間に雨は上がっていた」 「いずれの日に国に帰らん藤村」のように、文語は文末を連体形で結ぶ(係り結び)。 《「…のみか」「…ばかりか」「…どころか」の形で》それだけではなく、さらにもっと。また、そうではなく、反対に。 「国内のみ海外にも知られている」 「敵ばかり味方にまで裏切られた」 「がっかりするどころ、喜んでさえいる」 《「どんなにか」の形で、文末に「…だろう」「…に違いない」などの推量表現を伴って》程度がはなはだしいことを推し量る。 「合格できたらどんなにうれしいだろう」 「どんなに悔しかったに違いない」 「だろう」を伴う場合は「どんなに」とも(「どんなにうれしいだろう」)。文語的な言い方に「いかばかりか」がある。 《「AかBか」の形で》選言を表す。対等(特に、肯定・否定の対立)の関係にあるものを並べて、どれかを選ぶ意。Aまたは[もしくは・あるいは]B。 「昼食はそばうどん()だ」 「君がやる僕がやるだ」 「賛成は依然不明だ」 「知って知らず、けろりとしている」 「幸不幸、そこまでは知らなかった」 「一ばちやってみよう」 「言い終わる終わらないのうちに、質問攻めだ」 「三〇分そのくらいは待ったと思う」 「飲み物はビールワイン日本酒ウイスキー、どれか一つにしてくれ」のように、選択肢が三つ以上になることもある。 後ろの「か」を省略するものがあり、慣用的に言わないものもある。 「か」を個別に見た場合、活用語の連体形を受ける場合は終助詞とし、「先生誰かに聞こう」などの「か」は副助詞とすることが多い。 文型表現の中でさまざまな意に発展する。→「か」の文型表現1 文語《疑問を表す語に付いて》反語を表す。…だろうか、いや…ない。 「誰波路を望み見てそのふるさとを慕わざる藤村」 「人生意気に感ず、功名誰また論ぜん魏徴」 ◇口語の反語表現は、を参照。 文語は文末を連体形で結ぶ(係り結び)。 ◆は、文語文法では係助詞とする。 終助《句末、特に文末に使う》 〔自問に使って〕疑いの気持ちを表す。詠嘆の気持ちがこもることも多い。 「これでいいのだろう」 「もはやこれまで」 「あの人はいつになったら来るのなあ」 「何かいい策はない疑いの意からさまざまな意に発展する。 原因や理由を推測して言う。「腹を立てたの、返事もしない」「風邪をひいたせい、頭が痛い」 さまざまな文型表現で使う。→「か」の文型表現2 問いかけ(=質問)を表す。 「今晩はお暇です?」 「今何時です?」 「誰が茶碗ちゃわんを割ったの?」 「落書きをしたのは、君?」 「体調はどうな?」 「今晩、お暇?」「今、何時です?」など、上昇調のイントネーションを伴えば、「か」を言わないですませることもできる。 文型表現の中でさまざまな意に発展する。→「か」の文型表現3 感動驚き詠嘆など、強い情動を表す。 「ああそう」 「これが例の事故現場」 「やっぱりあなただったの」 「なんだ、来てたの 「…ことか」の形で感動・詠嘆を表す。「どんなに心配したことか 「…では[じゃ]ないか」などの形で、予想外のことに対する驚きの気持ちを表す。「泣くどころか平然としているではないか 反語を表す。…だろうか、いや…ない。 「大学なんて誰が行く」 「あろうこと、飼い犬に手をかまれるとは」 「あいつらなんかに負けてたまる」 「あんな残虐行為が許されるだろう」 ◇文語の反語表現は、を参照。 〔自問自答して〕 《「…とする[しよう]か」「…てみるか」などの形で》静かな決意を表す。 「よし、そろそろ出かけるとする」 「一つやってみる 軽い詠嘆をこめて、確認したり納得したりする。 「やはりあの手で来た」 「ま、こんなところ」 「うん、これでよしとする 《断定できない内容を表す文を名詞化して》その情報を不確かなものとして示す。 「彼女が何時に着いたは不明だ」 「彼が何を話したが知りたい」 「どうしたらいい僕には分からない」 「まるで盗んだのような言い方じゃないか」 ◆終助詞「か」は、基本的には、「読んだ[楽しい]」「これが詩」「もう少し」など、活用語の連体形(口語では終止形ともする)や、述語となる名詞・副詞などに付く。断定の助動詞「だ」には終止形に付くが、その場合、文末には付かず文中には付く。「今日は休日×だか/ですか」「誰が誰だ分からない」。「だ」と同系統の「…ようだ」「…そうだ」「…べきだ」「…のだ」などや、形容動詞には、語幹の部分に付く。文中では「いるのだいないのだ分からない」のように「だ」に付く。 「か」の文型表現 1 「AかBか」(。後ろの「か」を省略するものがあり、慣用的に言わないものもある) 《多く「…かどうか」の形で、疑問詞を伴わない形の疑問表現を名詞化して》その情報が不確かなものであることをはっきりと示す。「彼女が彼の従妹どうは怪しい」「来春卒業できるどうは疑わしい」◇「…か…ないか」「…か否か」()の婉曲えんきょくな言い方。「卒業できるのさえ疑わしいのに…」のように「どうか」を省略した言い方もある。→ 《上に数値を伴って、「…か…ない(か)」の形で》…を超えることはないが、だいたい…ぐらい。だいたい…以下。「値段は千円するしないだ」「年のころは四〇歳になるならないだ」 《「…か何[誰・どこ]か」の形で》他を選択する余地を残しながら、それを有力な候補として挙げる。…か、そうでないならば、その類に属する他のものの意。「ビール冷たい物が飲みたい」「田中先生に聞こう」「ハワイどこに行こうよ」 《多く「…かそこ(い)ら」の形で、数値を受けて》おおよその値を表す。正確には…でないとしても、だいたいそのくらい。およそ…。「二十はたちそこらの若造が生意気を言うな」「完成までには一〇年そこいらはかかる」 2 疑いを表す終助詞「か」( 《「…たものか」の形で》そうすべきかどうか迷う意を表す。詠嘆の気持ちがこもることも多い。「先生に知らせたものどうか」「この仕事は誰に頼んだもの 《「…では[じゃ]ないか」などの形で》疑いを残しながらの、控えめな断定を表す。「あれは山田さんじゃない」「これは地震の前触れではないでしょう」「僕は彼が犯人ではないと思う」 《「…ないものか」の形で》理想の実現を待ち望む気持ちを表す。「もっとうまくできないもの」「期日までに間に合わせられないものだろう 《「…ものか」の形で》→ものか(終助詞)「負けてなるもの」 3 質問を表す終助詞「か」( 《「…(よ)うか」の形で、話し手の動作を表す表現を受けて》相手の意向を聞く形で、話し手の申し出を表す。「私が案内しよう」「冷房を入れましょう 《「…ないか」の形で、聞き手の動作を表す表現を受けて》話し手の提案や勧誘を表す。「こっちに来ない」「この薬を試してみない 《「…するか」「…(よ)うか」「…ないか」などの形で、聞き手と共同の動作を表す表現を受けて》話し手の提案や勧誘を表す。「そろそろ退散する」「少し休みましょう」「一緒に食事しません」「ここらで河岸かしを変えない 《「…ないか」「…ん[ぬ]か」の形で、目下の聞き手の動作を表す表現を受けて》難詰なんきつの気持ちをこめて命令する。「早く来ない」「いい加減にしない」「おい、ちょっと待たん 《「いいか」「よろしいか」の形で》聞き手の注意を引きつけて、念を押す。「いい、坊や、よく聞きなさいよ」 《「…では[じゃ]ないか」「…ではありませんか」などの形で》自分の判断に対して共感や同意を求めるのに使う。また、反駁はんばく・難詰なんきつするのに使う。「彼はなかなかいい役者ではない」「ほら、あそこに信号があるじゃないです」「『猿も木から落ちる』というではありません 《「…てはどう[いかが]か」「…たらどう[いかが]か」の形で、聞き手の動作を表す表現に使って》相手の行動に対する、話し手の提案・促し・勧告などを表す。「先輩に相談してみたらどう」「試しに試験を受けてみてはいかがです上昇調のイントネーションを伴えば、「…ては?」「…たら?」だけですませることができる。 《「…てもらえる[いただける]か」「…てくれる[くださる]か」の形で》婉曲えんきょくに言って、丁寧な依頼を表す。「貸してもらえます」「やってくださいます打ち消しの形にすると、さらに丁寧な言い方になる。「教えていただけないでしょう

明鏡国語辞典 ページ 978 での単語。