あながち【強ち】 〔名・副〕 ①あまりに強引であるさま。身勝手であるさま。源氏物語紅葉賀「春宮女御は―なりと憎み聞え給ふ」 ②しいて。必要以上に。異常なまでに。竹取物語「―に志を見えありく」 ③(下に打消の語を伴って)必ずしも。一概に。まんざら。「―悪いとは言えない」

あながち [0] 【強ち】 ■一■ （副） （下に打ち消しの語を伴う） （１）一概に。まんざら。必ずしも。「―無理ともいえない」 （２）決して。むやみに。「範頼・義経が申し状，―御許容あるべからず/平家 10」 ■二■ （形動ナリ） （１）周囲にかまわず一途(イチズ)であるさま。ひたむき。「―に心ざし見えありく/竹取」「など，かく，この御学問の―ならむ/源氏（乙女）」 （２）強引であるさま。無理やり。「―にかかづらひたどりよらむも人悪かるべく/源氏（空蝉）」 （３）異常なほどはなはだしいさま。ゆきすぎ。「それだになほ―なるさまにては見ぐるしきに/枕草子 237」 （４）必ずしも。「―に恐ろしかるべき事にもあらねど/栄花（玉の村菊）」 〔他人の迷惑をかえりみず，自分勝手にしたいままにするというのが原義。「あな」は「おのれ（己）」の意で，「己(アナ)勝ち」に由来するか。平安時代末期には打ち消しの語を伴って用いる■二■（４）の意が生じ，次第に「に」を脱落させた■一■の用法が主流となっていった〕

あながち【強ち】 necessarily;always;→英和 altogether.→英和