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■一■ (格助) 〔上代から用いられている語で,動作・作用が行われ,また存在する,時間的・空間的な位置や範囲を示すのが本来の用法〕 (1)時を指定する。「五時―起きる」「仕事の合間―本を読む」 (2)場所・範囲を指定する。「アパート―住む」「空―星がまたたく」 (3)目標・対象などを指定する。「読書―熱中する」「魚釣り―行く」「君―見せてやろうか」 (4)帰着点や動作の及ぶ方向を表す。「家―たどりつく」「車―乗る」「危篤(キトク)―おちいる」 (5)動作・作用の起こる原因やきっかけを表す。「山登り―夢中になる」「前祝い―酒を飲む」「恐ろしさ―ふるえる」「やぶ蚊―苦しむ」 (6)比較・割合の基準を表す。「一か月―二日の休み」「親―似ぬ子」「子―まさる宝はない」 (7)動作・作用の起こるみなもとを表す。「人―ぶたれる」「盗人(ヌスツト)―金をとられる」 (8)ある資格をもつという意を表す。として。「ごほうび―千円もらう」「浅緑いとよりかけて白露を珠―もぬける春の柳か/古今(春上)」 (9)変化する結果を表す。「学者―なる」「星―なりたい」 (10)動作・状態の行われ方・あり方を表す。「左右―ゆれる」「ぴかぴか―光る」 (11)(多く「には」「にも」などの形で)尊敬すべき主語を表すのに用いる。「陛下―は,両三日御休養の御予定であります」 (12)(「…には…が」の形で,活用語の終止形に付いて)条件付きの許諾の意を表す。「行く―は行くが,しばらく待ってくれ」「いい―はいいが,値段が高い」 (13)(同じ動詞を重ねた間に用いて)程度のはなはだしいことを表し,その動詞の意を強める。「待ち―待ったこの日」「斬り―斬って斬りまくる」 (14)動作が行われる手段・方法を表す。で。によって。「この皮衣は火―焼かむに,焼けずはこそまことならめと思ひて/竹取」 (15)状態を認定するのに用いる。のように。の状態で。「花ぞむかしの香―にほひける/古今(春上)」 ■二■ (並立助) 〔■一■から転じた用法〕 名詞および準体助詞「の」に付いて,同趣のものの添加,対比・取り合わせなどの意を表し,また,対等に並べあげるのに用いる。「月―むら雲」「ロイドめがね―燕尾服(エンビフク)」「古いの―新しいのと,いろいろ組み合わせる」「米―みそ―醤油―,何から何まで足りないものばかりだ」 ■三■ (接助) 〔■一■から転じた用法〕 (1)動詞の終止形に付いて,本論を述べる前の前置きを表す。(ア)「思う―,国際情勢は悪化の一途をたどっている」「一言で言ってみる―,…」(イ)(「…もあろうに」の形で)逆接的な意を表すのに用いる。「こともあろう―,飲酒運転するとは」 (2)(動詞の連体形に付いて)(ア)前件から後件へ,時間的に継起していることを表す。…すると。…したところ。「あやしがりて寄りて見る―,筒の中光りたり/竹取」(イ)前件が後件の原因・理由であることを表す。ので。から。「舟とく漕げ,日のよき―/土左」(ウ)逆接の条件を表して,前件から予想される結果が後件と食い違う場合に用いる。のに。が。「しばしかなでて後,抜かんとする―,大方抜かれず/徒然 53」(エ)(「むに」の形をとって)前件が後件の仮定条件に立つ場合に用いる。「たまさかにても,かからむ人をいだしいれて見む―,それにますことあらじ/源氏(紅葉賀)」 ■四■ (終助) 〔■三■からさらに転じてできた用法〕 (1)(「…うに」「…ように」の形をとって)言いきかせたり,あわれみ惜しむ意を添えるのに用いる。「さぞお嘆きだったでしょう―」「ああしておけばよかったろう―」 (2)〔近世の用法〕 人の注意をうながす意を添える。「しづかにしなさろ,むすめが目をさます―/滑稽本・膝栗毛 3」

大辞林 ページ 151351 での単語。