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す 【為】 (動サ変)🔗🔉

【為】 (動サ変) ⇒する

す (助動)(さ・し・す・す・せ・せ)🔗🔉

(助動)(さ・し・す・す・せ・せ) 〔上代語。四段・サ行変格活用の動詞の未然形に付く〕 軽い尊敬の意を表す。また,親愛の情をこめて言い表す場合にも用いられる。「この岡に菜摘ま〈す〉児家告(ノ)らせ名告ら〈さ〉ね/万葉 1」「草枕旅宿りせ〈す〉古思ひて/万葉 45」 〔(1)「思ふ」「聞く」「知る」などの語に付く場合には「思ほす」「聞こす」「知ろす」などとなる。(2)四段・サ変以外の動詞にも付くが,その場合,「着る(上一)→けす」「見る(上一)→めす」「寝(ヌ)(下二)→なす」などの形となる。(3)中古以降は,「あそばす」「おぼす」「きこしめす」など,一語の動詞の中にその跡をとどめている〕

す (助動)(せ・せ・す・する・すれ・せよ)🔗🔉

(助動)(せ・せ・す・する・すれ・せよ) 〔現代語の助動詞「せる」の古語形。四段・ラ行変格活用・ナ行変格活用の動詞の未然形に付く〕 □一□使役の意を表す。 (1)動作を他にさせる意味を表す。…せる。「今宵かかることと,声高(コワダカ)にものも言は〈せ〉ず/土左」「そこなる人にみな滝の歌よま〈す〉/伊勢 87」 (2)動作・作用が行われることを許可する,あるいはそのまま放任する意を表す。そのままにする。…せておく。「かの花は失せにけるは。いかで,かうは盗ま〈せ〉しぞ/枕草子 278」「あわてて船に乗て内裏を焼か〈せ〉つる事こそ安からね/平家 11」 (3)鎌倉時代の武士言葉で,受け身の意であるところを自身の意志による行為であるかのごとくいう。…させておく。「兄弟二人あるものが,兄を討た〈せ〉ておととが一人残りとどまたらば,幾程の栄華をか保つべき/平家 9」 □二□敬意を表す。 (1)(尊敬の意を表す語を下に伴って)尊敬の意を表す。「うへおはしますに,御覧じていみじう驚か〈せ〉給ふ/枕草子 9」「夜ふけぬさきに帰ら〈せ〉おはしませと申せば/源氏(夕顔)」 (2)(謙譲の意を表す語に付いて)謙譲の意をさらに強める。「みにくき顔うち笑みて,申さ〈せ〉侍らむとて立つを/源氏(橋姫)」「藤三位の局に,蓑虫のやうなる童の大きなる,白き木に立文をつけて,これ奉ら〈せ〉むと言ひければ/枕草子 138」 〔(1)「す」は「さす」と接続の上で相補う関係にあり,上下二段・上下一段・カ行変格・サ行変格の動詞には「さす」が接続する。(2)「す・さす」は,上代に多く用いられた「しむ」に代わって,中古以降に広く用いられた。ただし,漢文訓読系の文章には用いられず,もっぱら和文に用いられた。(3)使役の意の場合,中世末から近世にかけて,四段化した例も用いられた。「いやお前は打た〈さ〉れぬ/浄瑠璃・菅原」「出すものだかひつこま〈す〉物だか,おいらにもわからねえのだ/滑稽本・七偏人」〕

大辞林 ページ 147115