いと-ぐち [2] 【糸口・緒】 （１）糸巻き・綛(カセ)などの糸の端。 （２）物事の始まり。手がかり。「事件解決の―」「話の―」

お ヲ [1] 【緒】 （１）糸やひもなど，細長いもの。「羽織の―」 （２）履物につけて，足にかけるひも。「―をすげる」「鼻―」 （３）楽器や弓の弦。「琴の―」 （４）長く続くもの。「あらたまの年の―長く逢はざれど/万葉 3775」 （５）魂をつなぐもの。いのち。玉の緒。「己が―を凡(オオ)にな思ひそ/万葉 3535」

お-あわせ ヲアハセ 【緒合はせ】 琴・琵琶などの弦楽器を調弦すること。また，合奏すること。「琵琶を引き寄せ弾じ給へばまた玉琴の―に/謡曲・千手」

おがた ヲガタ 【緒方】 姓氏の一。

おがた-こうあん ヲガタ― 【緒方洪庵】 (1810-1863) 江戸後期の蘭学者・医者・教育者。備中の人。名は章。江戸・長崎で蘭学を学ぶ。1838年大坂に蘭学塾（適塾）を開き，大村益次郎・福沢諭吉・橋本左内らを育てる。62年江戸に出て，幕府奥医師兼西洋医学所頭取。種痘の普及に尽力，蘭学の発展に貢献した。訳書「病学通論」のほか著書多数。

おがた-じゅく ヲガタ― 【緒方塾】 ⇒適塾(テキジユク)

おがた-たけとら ヲガタ― 【緒方竹虎】 (1888-1956) ジャーナリスト・政治家。山形県生まれ。早大卒。朝日新聞社副社長。第二次大戦後，国務大臣。吉田茂のあとを受け自由党総裁。

おがた-ともさぶろう ヲガタトモサブラウ 【緒方知三郎】 (1883-1973) 病理学者。東京生まれ。唾液腺分泌・ビタミン B 欠乏症・老人病を研究。東大教授・東京医大学長などを歴任。

おがた-まさのり ヲガタ― 【緒方正規】 (1853-1919) 医学者。肥後熊本の人。東大教授。ドイツに留学後，日本の衛生学・細菌学の基をひらいた。

お-じめ ヲ― [0][3] 【緒締め】 袋物の緒を束ねて通し，口を締めるための穴のあいた玉。緒止め。

おだえ-の-はし ヲダエ― 【緒絶の橋】 宮城県古川市にあったという橋。((歌枕))「陸奥(ミチノク)の―や是ならむふみみふまずみ心まどはす/後拾遺（恋三）」 〔男女の仲が「絶え」る意をかけ，不安定な恋のたとえに用いられた〕

お-どめ ヲ― [0][3] 【緒留(め)】 （１）「緒締(オジ)め」に同じ。 （２）琴・箏(ソウ)の弦の端に付ける小さな竹。林鹿(リンロク)。

お-ぶさ ヲ― 【緒総・綬】 （１）佩物(オビモノ)の下に垂らした飾りの紐。 （２）虹(ニジ)をたとえていう。「さらにまた反(ソリ)橋渡す心ちして―かかれる葛城のみね/聞書残集」

お-ぶと ヲ― [0] 【緒太】 （１）草履・下駄などの鼻緒の太いもの。 （２）鼻緒を藺(イ)で太く作った，裏をつけない草履。うらなし。藺金剛(イコンゴウ)。 緒太（２） [図]

お-まき ヲ― [0] 【緒巻(き)】 「(チキリ){（１）}」に同じ。

しょ [1] 【緒】 物事の初め。いとぐち。ちょ。

――に就(ツ)・く 〔詩経（大雅・常武）〕 物事の見通しがついて，事を始める。着手する。緒(チヨ)に就く。

しょ-げん [0] 【緒言】 （１）論説の言い初めの言葉。 （２）前書き。序文。ちょげん。

しょ-せん [0] 【緒戦】 戦争・競技・試合などのはじめの段階。また，はじめの戦い。ちょせん。「―は優勢に展開する」

しょ-ろん [0] 【緒論】 本論の前に述べ，本論の手がかりとなる論。序論。ちょろん。

ちょ [1] 【緒】 〔「ちょ」は「緒(シヨ)」の慣用音〕 物事のはじめ。いとぐち。端緒(タンチヨ)。しょ。

――に就(ツ)・く 物事・事業が実際に始まる。しょにつく。「事業はようやく―・いたばかりだ」

ちょ-げん [0] 【緒言】 「しょげん（緒言）」の慣用読み。

ちょ-せん [0] 【緒戦】 「しょせん（緒戦）」の慣用読み。

ちょ-ろん [0][1] 【緒論】 「しょろん（緒論）」の慣用読み。

お【緒】 a cord (細引);→英和 a string (ひも);→英和 a thong (革の).→英和

しょ【緒につく】 be started;get under way.

しょげん【緒言】 a preface;→英和 a foreword.→英和

しょろん【緒論】 an introduction.→英和

ちょ【緒につく】 be started;be under way.