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〔助動〕 ➊(活用はナ変型。活用語の連用形に接続する。[活用]な/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね)「去ぬ」からとする説が有力視される。動作・作用が、話し手など当事者の意図と関わらず自然的・無作為的に成り立ったことを表し、作為的・意志的に成り立ったことを表す「つ」と区別がある。室町時代以後の口語ではすたれた。→たり。 ①話し手がしようとしたのではなく、動作・作用が自然と推移し、完了することを表す。…してしまう。…してしまった。…した。万葉集2「大船の泊つるとまりのたゆたひに物思ひ痩せぬ人の子故に」。万葉集3「何処にか我が宿りせむ高島の勝野の原にこの日暮れなば」。万葉集5「うちなびき臥こやしぬれ言はむすべせむすべ知らに」。古今和歌集「いざ今日は春の山辺にまじりなむ暮れなばなげの花のかげかは」。天稚彦物語「つめきり刀にて、やすく斬れぬ」 ②(文末に用い)そうなることへの警戒を相手に喚起する。…なってしまう。伊勢物語「はや舟に乗れ、日も暮れぬ」 ③推量の語と共に使われ、確かにそうなると推量の意を強める。確かに…。きっと…。万葉集1「いざ子ども早く大和へ大伴の御津の浜松待ち恋ひぬらむ」。万葉集5「妹が見しあふちの花は散りぬべし我が泣く涙いまだ乾なくに」。万葉集12「よそのみに見つつや君を恋ひわたりなむ」。源氏物語桐壺「はかなき心地に煩ひてまかでなむとし給ふを」 ④(終止形だけの用法)対照的な動作を並列的に述べる。…したり…したり。平家物語11「浮きぬ沈みぬ揺られければ」 ➋(活用は特殊型。活用語の未然形に接続する。[活用]○/ず/ぬ/ぬ/ね/○)文語の打消の助動詞「ず」の連体形が口語の終止形・連体形に用いられるようになった語。ンと転じても用いる。室町時代以降、口語の否定の助動詞としては、三河国以東は「ない」、尾張国以西は「ぬ(ん)」を用いた(東西方言の大きい相違の一つ)。標準語では、連体形「ぬ」が文章語に用いられたり、成語中に現れたりする。仮名草子、伊曾保「いやそれに及ばぬ、そちはただ来ても大事も無いぞ」。狂言、狐塚「このやうな満足なことはござらぬ」。「許せぬ行為だ」「いやだと言わんばかりの顔つき」

広辞苑 ページ 15133 での単語。