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〔助動〕 (活用は不完全な四段型。[活用]○/○/む/む/め/○)活用語の未然形に付き、まだ起こらない事を想像して述べる語。平安中期以降、発音に従って「ん」とも表記されるようになる。鎌倉時代に「う」の形が生じ、現代語の「う」となる。江戸時代以後、四段動詞・形容詞以外の型の活用に続く場合に「よう」の形が生じた。 ①今より後の事態を推量する。…だろう。古事記「明日よりはみ山隠りて見えずかもあらむ」。源氏物語若紫「人の国などに侍る海山の有様などを御覧ぜさせて侍らばいかに御絵いみじうまさらせ給はむ」。源氏物語少女「式部卿の宮明けむ年ぞ五十になり給ひけるを」。「泣き出さむばかりの顔つき」 ②話し手の動作に付いてその実現を思う。(意志・決意)…しよう。万葉集1「熟田津に船乗せむと月待てば」。源氏物語桐壺「朝夕のことぐさに羽をならべ枝をかはさむと契らせ給ひしに」 ③相手の動作に付いてその実現を期待する。(勧誘・軽い命令)…しよう。…するのがよい。…してほしい。万葉集18「居りあかしも今夜こよいは飲まむ」。源氏物語夕顔「いざ、ただこのわたり近き所に心やすくてあかさむ」 ④時に関係なく一般的な推量もしくは空想を表現する。…だろう。万葉集3「こもりくの泊瀬の山の山の際にいさよふ雲は妹にかもあらむ」。源氏物語帚木「実じちには似ざらめど、さてありぬべし」。源氏物語夕顔「委しきことは下人のえ知り侍らぬにやあらむ」 ⑤事態を仮定していう。仮想する。(名詞の前に使われる時は多くこの意味に解されるが、これを婉曲とする解もある)もし…であるなら。たとえば…であろう。万葉集4「恋ひ死なむそこも同じそ何せむに人目人言こちたみ吾がせむ」。古今和歌集「飛鳥川淵は瀬になる世なりとも思ひそめてむ人は忘れじ」。枕草子7「思はむ子を法師になしたらむこそ心苦しけれ」。「あらむかぎりの力を出す」 ⑥適当・当然を表す。…するのがよい。…すべきはずである。万葉集3「言はむすべせむすべ知らず極りて貴きものは酒にしあるらし」。古今和歌集「よのなかにいづら我が身のありてなし哀とやいはむあな憂とやいはむ」

広辞苑 ページ 19071 での単語。