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○家賃が高いやちんがたかい🔗⭐🔉
○家賃が高いやちんがたかい
相撲で、そこでは好成績の得られないような、実力以上の番付の位置にいること。
⇒や‐ちん【家賃】
やっ
〔感〕
①掛け声、または、はやしの声。「槍を―と投げる」
②軽く呼びかけ、また、応える声。「―、先日はどうも」「―、おはよう」
③驚いた時に発する声。「―、これは何だ」
やつ【奴】
[一]〔名〕
(「やつこ」の略)
①人を卑しめていい、または目下の者を親しんでいう語。鳥獣を卑しめていうこともある。竹取物語「かぐや姫てふ大盗人の―が、人を殺さむとてするなり」
②物事を乱暴にいう語。「こっちの―をくれ」
[二]〔代〕
(三人称)卑しめていうとき、また無遠慮にいうときに用いる。あやつ。きゃつ。「―のしわざだ」
やつ【谷】
(関東地方で)低湿地。やち。やと。特に鎌倉辺に地名として多く現存し、地名としては「や」ともいう。十六夜日記「あづまにて住む所は、月影の―とぞいふなる」。「扇ヶ谷おうぎがやつ」
扇ヶ谷(鎌倉)
撮影:関戸 勇
や‐つ【八つ】
①数の名。やっつ。はち。また、数の多い意にも用いる。
②8歳。
③昔の時刻の呼び方。丑の刻、すなわちおよそ今の午前2時頃、および未の刻、すなわちおよそ今の午後2時頃。やつどき。→時とき
やつ‐あし【八足・八脚】
①器物の足の八つあること。また、その物。
②(→)「八足の机」の略。
⇒やつあし‐の‐つくえ【八足の机・八脚の案】
⇒やつあし‐もん【八脚門】
やつあし‐の‐つくえ【八足の机・八脚の案】
8本足の机。神祭の具として用いるほか、元服のとき酒饌を置いたり官人の饗を置いたりした。やつあし。はっそくのつくえ。
⇒やつ‐あし【八足・八脚】
やつあし‐もん【八脚門】
親柱4本の前後に控柱各4本を有する一重の門。宮城や寺院の築地ついじに開かれた門に用いる。東大寺転害てがい門など。はっきゃくもん。
八脚門
⇒やつ‐あし【八足・八脚】
やつ‐あたり【八つ当り】
誰彼の区別なく八方へ当たり散らすこと。関係のない人にまで怒り散らすこと。「部下に―する」
やつ‐お【八峰】‥ヲ
多くの山のみねつづき。多くの峰々。万葉集7「あしひきの山椿咲く―越え」
やっ‐か【薬価】ヤク‥
薬の値段。薬代。「―基準」
やっ‐か【薬禍】ヤククワ
不良薬品、不適切な投薬、副作用などによってこうむる災難。
やつか
(イワツカ(岩塚)の転か)
①石垣。また、石堤。
②諏訪湖で、冬期湖中に石を積み上げておき、湖面結氷後、氷を割ってそこに籠もる小魚を獲る漁法の称。
や‐つか【八束・八握】
(ツカは握った拳こぶしの小指から人差指までの幅)束つか八つ分ある長さ。また、たけの長いこと。古事記上「凝烟すすの―垂るまで焼たき挙げ」
⇒やつか‐はぎ【八束脛】
⇒やつか‐ひげ【八束鬚】
⇒やつか‐ほ【八束穂】
や‐つか【矢束】
(ヤヅカとも)矢の長さ。一束ひとつかは一握り、すなわち4指を並べた幅の長さ。
やっ‐かい【厄介】ヤク‥
①他家に食客となっていること。
②江戸時代、家長の傍系親で被扶養者の称。
③生活の面倒を見ること。世話をすること。介抱。世話。日葡辞書「ヤッカイニナル」
④面倒なこと。手数のかかること。迷惑なこと。「―な問題」「―をかける」
⑤(→)「宿やど借り」1㋑に同じ。
⇒やっかい‐ばらい【厄介払い】
⇒やっかい‐もっかい【厄介もっかい】
⇒やっかい‐もの【厄介者】
やっ‐かい【訳解】ヤク‥
訳して解釈すること。わけをときあかすこと。また、そのもの。やくかい。
やっかい‐ばらい【厄介払い】ヤク‥バラヒ
厄介者を追いはらうこと。
⇒やっ‐かい【厄介】
やっかい‐もっかい【厄介もっかい】ヤク‥
「厄介」を強めていう語。
⇒やっ‐かい【厄介】
やっかい‐もの【厄介者】ヤク‥
①他人に迷惑をかける人。
②いそうろう。食客。
⇒やっ‐かい【厄介】
やっ‐かがし【焼嗅】
⇒やいかがし
やつ‐がき【八垣】
幾重にもめぐらした垣。八重垣やえがき。
やつ‐がしら【八頭・九面芋】
サトイモの一品種。親芋の肥大が早くとまり、数個の同大の子芋を生じ、これらは癒合して直径10センチメートル余の塊をなす。芋は濃密・粘質で美味だが、収量は少ない。八頭芋。〈[季]秋〉
やつ‐がしら【戴勝】
(「勝」は女性の髪飾りの意)ブッポウソウ目ヤツガシラ科の鳥。大きさはツグミぐらい。頭部に黄褐色で末端の黒い冠羽があり、自由に起伏させうる。背は暗褐色、翼と尾は黒く、白色の横帯がある。腹部は白色。鳴声は「ぽぽぽ」。ユーラシア大陸・アフリカに広く分布。日本には迷鳥として稀に渡来し、1982年から長野県・岩手県・広島県などで時々繁殖がみられる。
やつがしら
ヤツガシラ
提供:OPO
やつ‐が‐たけ【八ヶ岳】
富士火山帯中の成層火山。長野県茅野市・南佐久郡・諏訪郡と山梨県北杜ほくと市にまたがる。赤岳(2899メートル)を最高峰として、硫黄岳・横岳・権現岳など8峰が連なり、山麓斜面が広く、高冷地野菜栽培が盛ん。尖石とがりいしなど先史遺跡が分布。
赤岳(1)
提供:オフィス史朗
赤岳(2)
提供:オフィス史朗
横岳
提供:オフィス史朗
硫黄岳
提供:オフィス史朗
権現岳(1)
提供:オフィス史朗
権現岳(2)
提供:オフィス史朗
やつか‐はぎ【八束脛】
古代伝承に見える足の長い人。先住民を誇張していう。釈日本紀10「越後国風土記に曰はく、美麻紀(崇神)天皇の御世に越国に人あり、八掬脛やつかはぎと名づく」
⇒や‐つか【八束・八握】
やつか‐ひげ【八束鬚】
長いひげ。神代紀上「―生ひたり」
⇒や‐つか【八束・八握】
やつか‐ほ【八束穂】
長くよくみのった稲の穂。祝詞、祈年祭「―の茂いかし穂に」
⇒や‐つか【八束・八握】
やつかみずおみつの‐の‐みこと【八束水臣津野命】‥ミヅ‥
出雲風土記に登場し、国引きをする神。
やっか・む
〔自五〕
(関東地方などで)うらやむ。ねたむ。
やつがれ【僕】
〔代〕
(ヤツコアレ(奴我)の約。古くは清音)自分の謙称。上代は男女に通じて用いた。仁徳紀(前田本)院政期点「僕ヤツカレ不倭みつのうして称かなうに足らず」
やっ‐かん【約款】ヤククワン
法令・条約・契約などに定められた一つ一つの条項。特に契約についていう。
やっ‐かん【訳官】ヤククワン
(近世後期の語)通訳または翻訳を業務とする役人。蘭訳梯航「崎陽の―等も漸く其の家業に勉励の心を動かせしかと」→おさ(訳語)
やっ‐かん【薬缶】ヤククワン
⇒やかん
やっ‐き【薬気】ヤク‥
薬の匂いや味。くすりのけ。くすりけ。
やっ‐き【躍起】ヤク‥
せきこんでいらだつこと。むきになって熱心に物事をすること。「―になる」
や‐つぎ【矢継ぎ】
矢を弓につぎかえること。
⇒やつぎ‐ばや【矢継ぎ早】
や‐つぎ【家継ぎ】
家をつぐこと。家督をつぐこと。また、その人。いえつぎ。
やつ‐ぎ【八匹】
はちひき。雄略紀「馬の―は惜しけくもなし」
やつぎ‐ばや【矢継ぎ早】
①矢継ぎの早いさま。矢を続けて射る技の早いさま。平家物語4「競はもとよりすぐれたるつよ弓精兵せいびょう、―の手きき」
②物事をつづけざまにするさま。つぎつぎと敏速にするさま。「―の質問」
⇒や‐つぎ【矢継ぎ】
やっ‐きょう【訳経】ヤクキヤウ
〔仏〕(ヤクキョウとも)インドや西域地方から伝えられた梵語・パーリ語・西域諸語の仏典を漢語に翻訳すること。初期の翻訳では道教・儒教の哲学用語が用いられ(格義仏教)、4世紀の道安の頃から独自の仏教用語が確立。
やっ‐きょう【薬莢】ヤクケフ
真鍮しんちゅう製の小筒で、火薬を詰める容器。銃砲に装填そうてんして弾丸を発射するのに使う。カートリッジ‐ケース。
やっ‐きょく【薬局】ヤク‥
①薬剤師が調剤する場所、また併せて医薬品の販売を行う店。開設には都道府県知事の許可が必要。開設者自身が薬剤師であるか、あるいは管理に専任の薬剤師を置かなければならない。
②医院・病院などで、薬剤を調合する所。
⇒やっきょく‐ほう【薬局方】
やっきょく‐ほう【薬局方】ヤク‥ハウ
①その国で一般に使用される主要な医薬品の品質・純度・強度の基準を定めた法令。
②(→)日本薬局方の略。
⇒やっ‐きょく【薬局】
やっきり
(遠州地方で)(「―する」「―こく」の形で)腹が立つこと。
やつ‐ぎり【八つ切】
写真感光材料の大きさの一つ。16.5センチメートル×21.5センチメートル程度の大きさのものの慣用名。八つ切判。
やつ‐くち【八口】
和服のわきあけ。みやつくち。
や‐づくり【家作り】
①家を造ること。また、その造り方。
②家の結構。家の構えかた。
ヤッケ【Jacke ドイツ】
(→)ウィンド‐ヤッケの略。
やっこ【奴】
(ヤツコの転)
①㋐家来。下僕。転じて、他を卑しめ、また、ののしっていう語。
㋑(代名詞的に)やつ。あいつ。→やっこさん。
㋒比喩的に、身の自由をなくした者。「恋の―」
②江戸時代の武家の奉公人。撥鬢ばちびん・鎌髭かまひげの姿で、日常の雑務のほか、主人の行列に槍やり・長柄ながえ・挟箱はさみばこを持って供先を勤めた。浄瑠璃、鑓の権三重帷子「両口放す―が髭も」
③江戸時代の男だて。旗本奴と町奴とがあった。百物語「あづまの―を見侍りしが」
④奴2に扮して踊る舞踊の総称。
⑤遊女などで言動に男だてのふうをすること。また、その者。色道大鏡「―には、江戸の勝山…」
⑥江戸時代、重罪者の妻および女子、または関所破りや心中をした女などの本籍を除き、獄にとどめ、乞こう者に下して婢ひとしたもの。
⑦奴頭やっこあたまの略。
⑧奴豆腐の略。
⑨奴凧やっこだこの略。
⑩250文。近世の魚屋の符牒。滑稽本、客者評判記「―といふ符牒もあり」
⇒やっこ‐あたま【奴頭】
⇒やっこ‐おどり【奴踊】
⇒やっこ‐ことば【奴詞】
⇒やっこ‐さん【奴さん】
⇒やっこ‐しまだ【奴島田】
⇒やっこ‐しょうがつ【奴正月】
⇒やっこ‐そう【奴草】
⇒やっこ‐だこ【奴凧】
⇒やっこ‐どうじょうじ【奴道成寺】
⇒やっこ‐どうふ【奴豆腐】
⇒やっこ‐はいかい【奴俳諧】
⇒やっこ‐ひげ【奴髭】
⇒やっこ‐もとゆい【奴元結】
⇒やっこ‐わげ【奴髷】
や‐つ‐こ【臣・奴】
(「家やつ子」の意。近世以後ヤッコ)
[一]〔名〕
①目下の者をののしり、または、親しんでいう語。家の子。雄略紀「何処にありし―ぞ。朕われを畏おそりずして…妄みだりがわしく輙軽ただちに答へつる」。万葉集18「―とそ吾はありけるぬしの殿外とのどに」
②神または朝廷や君につかえる人。おみ。けらい。皇極紀「君臣やつこらま…の序ついでを失ひ」
③追い使われる身分のいやしい者。しもべ。奴婢ぬひ。万葉集7「住吉すみのえの小田おだを刈らす子―かも無き」
④転じて、ある物事に心身の自由を奪われた者。とりことなる者。とりこ。万葉集12「恋の―にわれは死ぬべし」
[二]〔代〕
(一人称)へりくだっていうときに用いる。わたくし。やつがれ。垂仁紀「―が家に至る」
やっこ‐あたま【奴頭】
①江戸時代の奴やっこが結った頭髪のさま。月代さかやきを深く広く剃り込み、両鬢びんと後ろの頂に残した毛とで髷まげを短く結ぶもの。→糸鬢→撥鬢ばちびん。
②江戸時代、幼児の髪置きの時、左右の耳の上にだけ髪を残して他を剃ったもの。
⇒やっこ【奴】
やっこ・い【柔い】
〔形〕
(東日本で)やわらかい。洒落本、真女意題「きつそふだね。ナニハ―・い事いし」
やっ‐こう【薬効】ヤクカウ
薬のききめ。薬の効能。「―がある草」
やっこ‐おどり【奴踊】‥ヲドリ
民俗舞踊・歌舞伎舞踊の一種。奴やっこに扮してする踊り。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐ことば【奴詞】
武家に仕えた奴やっこなどが用いた特殊な言葉遣い。江戸前期の関東方言に基づくもので「冷たい」を「ひやっこい」、「事だ」を「こんだ」という類。六方詞ろっぽうことば。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐さん【奴さん】
[一]〔名〕
折紙細工の一種で、奴やっこの形に折るもの。
[二]〔代〕
(三人称)いやしめ、または親しんで呼ぶ称。あいつ。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐しまだ【奴島田】
髷まげの根を高くした島田髷。高島田に似たもの。江戸中期以後、若い女性の間に流行。小万島田も同じ髪型。やっこわげ。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐しょうがつ【奴正月】‥シヤウグワツ
二十日はつか正月のこと。こじき正月。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐そう【奴草】‥サウ
ヤッコソウ科の寄生植物。シイの木の根に寄生する。四国・九州・沖縄などに稀に生える。茎は高さ約7センチメートル、全体は白色で、ややきのこ状。葉は5〜6対の鱗片となる。晩秋の頃、茎頂に淡黄白色の両性花を単生、花弁を欠く。花とその下の葉が、両手をひろげた「奴」に見える。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐だこ【奴凧】
奴が袖を張った形に作った凧。
やっこ凧(大分)
撮影:薗部 澄(JCII蔵)
やっこ凧(徳島)
撮影:薗部 澄(JCII蔵)
やっこ凧(東京)
撮影:薗部 澄(JCII蔵)
裏やっこ(大分)
撮影:薗部 澄(JCII蔵)
⇒やっこ【奴】
やっこ‐どうじょうじ【奴道成寺】‥ダウジヤウ‥
歌舞伎舞踊。常磐津・富本・長唄掛合。本名題「道成寺思恋曲者こいはくせもの」。4世鶴屋南北作詞。5世岸沢式佐作曲。1829年(文政12)初演。現行曲は6世式佐改作の常磐津・長唄掛合。女装した狂言師が「娘道成寺」を踊るうち見あらわされ、男になって踊る。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐どうふ【奴豆腐】
①(奴の着物の四角い紋に似ることから)四角に切った豆腐。やっこ。
②(→)冷奴ひややっこに同じ。〈[季]夏〉
⇒やっこ【奴】
やっこ‐はいかい【奴俳諧】
奴詞やっこことばを用いてよむ俳諧。「鬢水にあたまかっぱる氷かな」に「しゃっつら寒き冬のあけぼの」とつける類。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐ひげ【奴髭】
(→)鎌髭かまひげに同じ。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐もとゆい【奴元結】‥ユヒ
白くて太い元結。粋好みの芸者などが根掛けに用いた。やっこもとい。
⇒やっこ【奴】
やっこら‐さ
〔感〕
事を行おうと力を入れる時に発する掛け声。「―と立ち上がる」
やっこ‐わげ【奴髷】
(→)奴島田に同じ。
⇒やっこ【奴】
やっ‐さ
〔感〕
掛け声。はやしの声。
⇒やっさ‐もっさ
やつ‐さがり【八つ下り】
(→)「八つ過ぎ」に同じ。
やつ‐ざき【八つ裂き】
ずたずたに裂くこと。寸断。平家物語5「王…荊軻を―にこそし給ひけれ」
やっさ‐もっさ
(労働の際のかけ声から)大勢よってたかってのとりこみ。どさくさ。大さわぎ。もめごと。浄瑠璃、新版歌祭文「さつきの―取りのぼしたか頭痛もする」。「取り込みがあって―する」
⇒やっ‐さ
やつし【俏し・窶し】
①やつすこと。やつしたもの。
②(→)「やつしがた」の略。
③(江戸の方言)地口じぐち。(俚言集覧)
⇒やつし‐がき【俏し書】
⇒やつし‐がた【俏し形】
⇒やつし‐ごと【俏し事】
⇒やつし‐ことば【俏し言葉】
⇒やつし‐じ【俏し字】
やつし‐がき【俏し書】
字の画かくを省略して書くこと。また、その字。
⇒やつし【俏し・窶し】
やつし‐がた【俏し形】
歌舞伎でやつし事を演ずる役柄。また、それを得意とする俳優。やつし。
⇒やつし【俏し・窶し】
やつし‐ごと【俏し事】
歌舞伎で、仔細あって身を落とした身分ある人物や金持の息子などが、いやしい姿でする演技。また、その劇。
⇒やつし【俏し・窶し】
やつし‐ことば【俏し言葉】
省略した語。
⇒やつし【俏し・窶し】
やつし‐じ【俏し字】
俏し書きにした字。省略した字。
⇒やつし【俏し・窶し】
やっしゃる
〔助動〕
(→)「やしゃる」に同じ。
やつしろ【八代】
熊本県中部、球磨くま川の河口に臨む市。もと細川氏の支藩松井氏3万石の城下町。八代平野の中心都市。セメント・パルプ工業が立地。人口13万7千。
⇒やつしろ‐かい【八代海】
⇒やつしろ‐ぐう【八代宮】
⇒やつしろ‐みかん【八代蜜柑】
⇒やつしろ‐やき【八代焼】
やつしろ‐かい【八代海】
熊本県南西岸と宇土うと半島・天草島・長島などに抱かれた内海。古来、不知火しらぬいの名所。やつしろのうみ。不知火海。
⇒やつしろ【八代】
やつしろ‐ぐう【八代宮】
熊本県八代市松江城町にある元官幣中社。祭神は懐良かねよし親王。
⇒やつしろ【八代】
やつしろ‐そう【八代草】‥サウ
キキョウ科の多年草。九州地方の原野に自生。高さ約60センチメートル。秋、リンドウに似て、先端の5裂した紫色の鐘形花が集まり咲く。
やつしろ‐みかん【八代蜜柑】
(熊本県八代地方に産するからいう)ミカンの一種。ナツミカンに似て小形、黄色。食用。
⇒やつしろ【八代】
やつしろ‐やき【八代焼】
熊本県八代市高田こうだから産する陶器。寛永(1624〜1644)の頃、上野あがの焼の陶工上野喜蔵が、藩主細川氏の肥後転封に従って同地に移り創窯。高田焼。→上野焼
⇒やつしろ【八代】
やつ・す【俏す・窶す】
〔他五〕
①目立たぬ姿に変える。見すぼらしく様子を変える。源氏物語夕顔「御車もいたう―・し給へり」。「乞食姿に身を―・す」
②出家して姿を変える。伊勢物語「かたちを―・したれど」。源氏物語鈴虫「世の中なべてはかなく、いとひ捨てまほしきことを互ひに聞えかはし給へど、なほ―・しにくき御身のありさまどもなり」
③痩せるほどに切に思う。熱中する。「くいなにさへも身は―・す」(狂言歌謡)。「恋に身を―・す」
④行儀をくずす。うちとける。くつろぐ。好色一代男7「事過ぎて、跡は―・して乱れ酒」
⑤略す。くずす。統道真伝「詩文の作法、五字・七言を―・して、歌を吟じ」
⑥容姿をつくる。化粧する。浪花聞書「―・す。顔かたちなどつくり、又女の化粧することをかく言ふ」
やつ‐すぎ【八つ過ぎ】
①八つ時、すなわち今の午前2時または午後2時を過ぎた頃。八つ下がり。
②ふるびかかっていること。色などのさめること。また、そのもの。七つ下がり。浮世風呂2「甚三紅絹じんざもみの―といふ身頃があつたが」
やつ‐た【谷津田】
(→)「やちだ(谷地田)」に同じ。
やつ‐ぢ【八乳】
乳房が八つあること。また、そのもの。特に三味線の胴に張る猫の皮についていい、その皮を張った三味線をもいう。八乳の三味線はよい音が出るといって珍重される。→四乳よつぢ
やっ‐ちゃ
〔感〕
かけごえ。はやしの声。また、ほめそやす時、驚いた時などの声。浄瑠璃、博多小女郎波枕「―一角せしめんと」
やつ‐ちゃ【八つ茶】
(ヤツヂャとも)日の長い時分の八つ時(午後2時)頃にとる食事。おやつ。
やっちゃ‐ば【やっちゃ場】
青物市場の俗称。
やっ‐つ【八つ】
⇒やつ
や‐づつ【矢筒】
矢を納める筒。
やっつけ‐しごと【遣っ付け仕事】
急場の用に間に合わせるため急いでする、その場限りの仕事。いい加減な仕事。粗雑な仕事。
やっ‐つ・ける【遣っ付ける】
〔他下一〕
(ヤリツケルの音便)
①(「する」を強めていう語)結果をかまわず物事を行う。いい加減にやってのける。「宿題は適当に―・けよう」
②相手をひどい目にあわせる。やりこめる。負かす。「あいつを―・けよう」
やつ‐で【八手】
①八手網の略。
②ウコギ科の常緑低木。暖地に自生、また庭木として植栽。高さ約2メートル。葉は大形で質厚く、掌状に7〜9中裂し、葉柄は長い。晩秋、梢上に花茎を出し、黄白色の5弁の小花を多数球状につける。果実は球形の液果で翌年の初夏に紫黒色に熟す。葉は生薬とし、去痰きょたん薬。テングノハウチワ。漢名、八角金盤。「八手の花」は〈[季]冬〉。毛吹草2「―の花」
⇒やつで‐あみ【八手網】
⇒やつで‐ひとで【八手海星】
やつで‐あみ【八手網】
魚を獲る具。四手網に更に4本の手を添えたもの。
⇒やつ‐で【八手】
やって・くる【遣って来る】
〔自カ変〕
①こちらへ向かって来る。
②以前から続けて、今に至る。「長年この方針で―・きた」
やって‐の・ける【遣って退ける】
〔他下一〕
やりとげる。うまくやりおおせる。「難事業を―・ける」
やつで‐ひとで【八手海星】
キヒトデ目のヒトデ。腕長5センチメートル前後、焦茶色で青・白の斑点が多く、腕は7〜10本であるが8本のものが多い。有性生殖をするが、春先、自ら半分に分裂し、失った部分を再生して増殖する。本州中部以南の浅海に普通。
⇒やつ‐で【八手】
やっ‐と
[一]〔副〕
①実現や成立がむずかしい物事が、どうにかこうにか成り立つさま。かろうじて。ようやく。「―の思いで」「―できあがった」「終電に―間に合った」
②(上方語)たくさん。多く。東海道中膝栗毛8「あないなえい男は―はござりませんはいな」
③(上方語)ずっと。はるかに。浮世風呂2「横にねて転こける方が―速いぢや」
[二]〔感〕
①掛け声。
②応答の声。狂言、仏師「は、ここな仏師との―」
⇒やっと‐な
⇒やっと‐まかせ
⇒やっとの事で
やっとう
(剣術の掛け声によっていう)剣の道のこと。
やっとか‐め
(愛知・岐阜県で)久しぶり。
やつ‐どき【八つ時】
(→)「やつ(八)」3に同じ。
やっとこ【鋏】
(ヤトコの促音化)針金・板金・熱鉄などを挟むのに用いる鋼鉄製の工具。
鋏
提供:竹中大工道具館
⇒やっとこ‐なべ【鋏鍋】
やっとこ
[一]〔副〕
やっとのことで。かろうじて。ようやく。「―終わった」
[二]〔感〕
力を入れる時の掛け声。「―どっこい」
⇒やっとこ‐さ
⇒やっとこ‐せ
⇒やっとこ‐まかせ
やっとこ‐さ
(→)「やっとこ」に同じ。
⇒やっとこ
やっとこ‐せ
〔感〕
①(→)「やっとこ」[二]に同じ。
②踊りの囃子はやしの声。
⇒やっとこ
やっとこ‐なべ【鋏鍋】
日本料理で用いる持ち手のない鍋。鋏ではさんで扱う。
⇒やっとこ【鋏】
やっとこ‐まかせ
〔感〕
掛け声。やっとまかせ。「―のよいやまかせ」
⇒やっとこ
やっと‐な
〔感〕
掛け声として発する声。「―、こらしょ」
⇒やっ‐と
や‐つ【八つ】
①数の名。やっつ。はち。また、数の多い意にも用いる。
②8歳。
③昔の時刻の呼び方。丑の刻、すなわちおよそ今の午前2時頃、および未の刻、すなわちおよそ今の午後2時頃。やつどき。→時とき
やつ‐あし【八足・八脚】
①器物の足の八つあること。また、その物。
②(→)「八足の机」の略。
⇒やつあし‐の‐つくえ【八足の机・八脚の案】
⇒やつあし‐もん【八脚門】
やつあし‐の‐つくえ【八足の机・八脚の案】
8本足の机。神祭の具として用いるほか、元服のとき酒饌を置いたり官人の饗を置いたりした。やつあし。はっそくのつくえ。
⇒やつ‐あし【八足・八脚】
やつあし‐もん【八脚門】
親柱4本の前後に控柱各4本を有する一重の門。宮城や寺院の築地ついじに開かれた門に用いる。東大寺転害てがい門など。はっきゃくもん。
八脚門
⇒やつ‐あし【八足・八脚】
やつ‐あたり【八つ当り】
誰彼の区別なく八方へ当たり散らすこと。関係のない人にまで怒り散らすこと。「部下に―する」
やつ‐お【八峰】‥ヲ
多くの山のみねつづき。多くの峰々。万葉集7「あしひきの山椿咲く―越え」
やっ‐か【薬価】ヤク‥
薬の値段。薬代。「―基準」
やっ‐か【薬禍】ヤククワ
不良薬品、不適切な投薬、副作用などによってこうむる災難。
やつか
(イワツカ(岩塚)の転か)
①石垣。また、石堤。
②諏訪湖で、冬期湖中に石を積み上げておき、湖面結氷後、氷を割ってそこに籠もる小魚を獲る漁法の称。
や‐つか【八束・八握】
(ツカは握った拳こぶしの小指から人差指までの幅)束つか八つ分ある長さ。また、たけの長いこと。古事記上「凝烟すすの―垂るまで焼たき挙げ」
⇒やつか‐はぎ【八束脛】
⇒やつか‐ひげ【八束鬚】
⇒やつか‐ほ【八束穂】
や‐つか【矢束】
(ヤヅカとも)矢の長さ。一束ひとつかは一握り、すなわち4指を並べた幅の長さ。
やっ‐かい【厄介】ヤク‥
①他家に食客となっていること。
②江戸時代、家長の傍系親で被扶養者の称。
③生活の面倒を見ること。世話をすること。介抱。世話。日葡辞書「ヤッカイニナル」
④面倒なこと。手数のかかること。迷惑なこと。「―な問題」「―をかける」
⑤(→)「宿やど借り」1㋑に同じ。
⇒やっかい‐ばらい【厄介払い】
⇒やっかい‐もっかい【厄介もっかい】
⇒やっかい‐もの【厄介者】
やっ‐かい【訳解】ヤク‥
訳して解釈すること。わけをときあかすこと。また、そのもの。やくかい。
やっかい‐ばらい【厄介払い】ヤク‥バラヒ
厄介者を追いはらうこと。
⇒やっ‐かい【厄介】
やっかい‐もっかい【厄介もっかい】ヤク‥
「厄介」を強めていう語。
⇒やっ‐かい【厄介】
やっかい‐もの【厄介者】ヤク‥
①他人に迷惑をかける人。
②いそうろう。食客。
⇒やっ‐かい【厄介】
やっ‐かがし【焼嗅】
⇒やいかがし
やつ‐がき【八垣】
幾重にもめぐらした垣。八重垣やえがき。
やつ‐がしら【八頭・九面芋】
サトイモの一品種。親芋の肥大が早くとまり、数個の同大の子芋を生じ、これらは癒合して直径10センチメートル余の塊をなす。芋は濃密・粘質で美味だが、収量は少ない。八頭芋。〈[季]秋〉
やつ‐がしら【戴勝】
(「勝」は女性の髪飾りの意)ブッポウソウ目ヤツガシラ科の鳥。大きさはツグミぐらい。頭部に黄褐色で末端の黒い冠羽があり、自由に起伏させうる。背は暗褐色、翼と尾は黒く、白色の横帯がある。腹部は白色。鳴声は「ぽぽぽ」。ユーラシア大陸・アフリカに広く分布。日本には迷鳥として稀に渡来し、1982年から長野県・岩手県・広島県などで時々繁殖がみられる。
やつがしら
ヤツガシラ
提供:OPO
やつ‐が‐たけ【八ヶ岳】
富士火山帯中の成層火山。長野県茅野市・南佐久郡・諏訪郡と山梨県北杜ほくと市にまたがる。赤岳(2899メートル)を最高峰として、硫黄岳・横岳・権現岳など8峰が連なり、山麓斜面が広く、高冷地野菜栽培が盛ん。尖石とがりいしなど先史遺跡が分布。
赤岳(1)
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赤岳(2)
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横岳
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硫黄岳
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権現岳(1)
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権現岳(2)
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やつか‐はぎ【八束脛】
古代伝承に見える足の長い人。先住民を誇張していう。釈日本紀10「越後国風土記に曰はく、美麻紀(崇神)天皇の御世に越国に人あり、八掬脛やつかはぎと名づく」
⇒や‐つか【八束・八握】
やつか‐ひげ【八束鬚】
長いひげ。神代紀上「―生ひたり」
⇒や‐つか【八束・八握】
やつか‐ほ【八束穂】
長くよくみのった稲の穂。祝詞、祈年祭「―の茂いかし穂に」
⇒や‐つか【八束・八握】
やつかみずおみつの‐の‐みこと【八束水臣津野命】‥ミヅ‥
出雲風土記に登場し、国引きをする神。
やっか・む
〔自五〕
(関東地方などで)うらやむ。ねたむ。
やつがれ【僕】
〔代〕
(ヤツコアレ(奴我)の約。古くは清音)自分の謙称。上代は男女に通じて用いた。仁徳紀(前田本)院政期点「僕ヤツカレ不倭みつのうして称かなうに足らず」
やっ‐かん【約款】ヤククワン
法令・条約・契約などに定められた一つ一つの条項。特に契約についていう。
やっ‐かん【訳官】ヤククワン
(近世後期の語)通訳または翻訳を業務とする役人。蘭訳梯航「崎陽の―等も漸く其の家業に勉励の心を動かせしかと」→おさ(訳語)
やっ‐かん【薬缶】ヤククワン
⇒やかん
やっ‐き【薬気】ヤク‥
薬の匂いや味。くすりのけ。くすりけ。
やっ‐き【躍起】ヤク‥
せきこんでいらだつこと。むきになって熱心に物事をすること。「―になる」
や‐つぎ【矢継ぎ】
矢を弓につぎかえること。
⇒やつぎ‐ばや【矢継ぎ早】
や‐つぎ【家継ぎ】
家をつぐこと。家督をつぐこと。また、その人。いえつぎ。
やつ‐ぎ【八匹】
はちひき。雄略紀「馬の―は惜しけくもなし」
やつぎ‐ばや【矢継ぎ早】
①矢継ぎの早いさま。矢を続けて射る技の早いさま。平家物語4「競はもとよりすぐれたるつよ弓精兵せいびょう、―の手きき」
②物事をつづけざまにするさま。つぎつぎと敏速にするさま。「―の質問」
⇒や‐つぎ【矢継ぎ】
やっ‐きょう【訳経】ヤクキヤウ
〔仏〕(ヤクキョウとも)インドや西域地方から伝えられた梵語・パーリ語・西域諸語の仏典を漢語に翻訳すること。初期の翻訳では道教・儒教の哲学用語が用いられ(格義仏教)、4世紀の道安の頃から独自の仏教用語が確立。
やっ‐きょう【薬莢】ヤクケフ
真鍮しんちゅう製の小筒で、火薬を詰める容器。銃砲に装填そうてんして弾丸を発射するのに使う。カートリッジ‐ケース。
やっ‐きょく【薬局】ヤク‥
①薬剤師が調剤する場所、また併せて医薬品の販売を行う店。開設には都道府県知事の許可が必要。開設者自身が薬剤師であるか、あるいは管理に専任の薬剤師を置かなければならない。
②医院・病院などで、薬剤を調合する所。
⇒やっきょく‐ほう【薬局方】
やっきょく‐ほう【薬局方】ヤク‥ハウ
①その国で一般に使用される主要な医薬品の品質・純度・強度の基準を定めた法令。
②(→)日本薬局方の略。
⇒やっ‐きょく【薬局】
やっきり
(遠州地方で)(「―する」「―こく」の形で)腹が立つこと。
やつ‐ぎり【八つ切】
写真感光材料の大きさの一つ。16.5センチメートル×21.5センチメートル程度の大きさのものの慣用名。八つ切判。
やつ‐くち【八口】
和服のわきあけ。みやつくち。
や‐づくり【家作り】
①家を造ること。また、その造り方。
②家の結構。家の構えかた。
ヤッケ【Jacke ドイツ】
(→)ウィンド‐ヤッケの略。
やっこ【奴】
(ヤツコの転)
①㋐家来。下僕。転じて、他を卑しめ、また、ののしっていう語。
㋑(代名詞的に)やつ。あいつ。→やっこさん。
㋒比喩的に、身の自由をなくした者。「恋の―」
②江戸時代の武家の奉公人。撥鬢ばちびん・鎌髭かまひげの姿で、日常の雑務のほか、主人の行列に槍やり・長柄ながえ・挟箱はさみばこを持って供先を勤めた。浄瑠璃、鑓の権三重帷子「両口放す―が髭も」
③江戸時代の男だて。旗本奴と町奴とがあった。百物語「あづまの―を見侍りしが」
④奴2に扮して踊る舞踊の総称。
⑤遊女などで言動に男だてのふうをすること。また、その者。色道大鏡「―には、江戸の勝山…」
⑥江戸時代、重罪者の妻および女子、または関所破りや心中をした女などの本籍を除き、獄にとどめ、乞こう者に下して婢ひとしたもの。
⑦奴頭やっこあたまの略。
⑧奴豆腐の略。
⑨奴凧やっこだこの略。
⑩250文。近世の魚屋の符牒。滑稽本、客者評判記「―といふ符牒もあり」
⇒やっこ‐あたま【奴頭】
⇒やっこ‐おどり【奴踊】
⇒やっこ‐ことば【奴詞】
⇒やっこ‐さん【奴さん】
⇒やっこ‐しまだ【奴島田】
⇒やっこ‐しょうがつ【奴正月】
⇒やっこ‐そう【奴草】
⇒やっこ‐だこ【奴凧】
⇒やっこ‐どうじょうじ【奴道成寺】
⇒やっこ‐どうふ【奴豆腐】
⇒やっこ‐はいかい【奴俳諧】
⇒やっこ‐ひげ【奴髭】
⇒やっこ‐もとゆい【奴元結】
⇒やっこ‐わげ【奴髷】
や‐つ‐こ【臣・奴】
(「家やつ子」の意。近世以後ヤッコ)
[一]〔名〕
①目下の者をののしり、または、親しんでいう語。家の子。雄略紀「何処にありし―ぞ。朕われを畏おそりずして…妄みだりがわしく輙軽ただちに答へつる」。万葉集18「―とそ吾はありけるぬしの殿外とのどに」
②神または朝廷や君につかえる人。おみ。けらい。皇極紀「君臣やつこらま…の序ついでを失ひ」
③追い使われる身分のいやしい者。しもべ。奴婢ぬひ。万葉集7「住吉すみのえの小田おだを刈らす子―かも無き」
④転じて、ある物事に心身の自由を奪われた者。とりことなる者。とりこ。万葉集12「恋の―にわれは死ぬべし」
[二]〔代〕
(一人称)へりくだっていうときに用いる。わたくし。やつがれ。垂仁紀「―が家に至る」
やっこ‐あたま【奴頭】
①江戸時代の奴やっこが結った頭髪のさま。月代さかやきを深く広く剃り込み、両鬢びんと後ろの頂に残した毛とで髷まげを短く結ぶもの。→糸鬢→撥鬢ばちびん。
②江戸時代、幼児の髪置きの時、左右の耳の上にだけ髪を残して他を剃ったもの。
⇒やっこ【奴】
やっこ・い【柔い】
〔形〕
(東日本で)やわらかい。洒落本、真女意題「きつそふだね。ナニハ―・い事いし」
やっ‐こう【薬効】ヤクカウ
薬のききめ。薬の効能。「―がある草」
やっこ‐おどり【奴踊】‥ヲドリ
民俗舞踊・歌舞伎舞踊の一種。奴やっこに扮してする踊り。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐ことば【奴詞】
武家に仕えた奴やっこなどが用いた特殊な言葉遣い。江戸前期の関東方言に基づくもので「冷たい」を「ひやっこい」、「事だ」を「こんだ」という類。六方詞ろっぽうことば。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐さん【奴さん】
[一]〔名〕
折紙細工の一種で、奴やっこの形に折るもの。
[二]〔代〕
(三人称)いやしめ、または親しんで呼ぶ称。あいつ。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐しまだ【奴島田】
髷まげの根を高くした島田髷。高島田に似たもの。江戸中期以後、若い女性の間に流行。小万島田も同じ髪型。やっこわげ。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐しょうがつ【奴正月】‥シヤウグワツ
二十日はつか正月のこと。こじき正月。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐そう【奴草】‥サウ
ヤッコソウ科の寄生植物。シイの木の根に寄生する。四国・九州・沖縄などに稀に生える。茎は高さ約7センチメートル、全体は白色で、ややきのこ状。葉は5〜6対の鱗片となる。晩秋の頃、茎頂に淡黄白色の両性花を単生、花弁を欠く。花とその下の葉が、両手をひろげた「奴」に見える。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐だこ【奴凧】
奴が袖を張った形に作った凧。
やっこ凧(大分)
撮影:薗部 澄(JCII蔵)
やっこ凧(徳島)
撮影:薗部 澄(JCII蔵)
やっこ凧(東京)
撮影:薗部 澄(JCII蔵)
裏やっこ(大分)
撮影:薗部 澄(JCII蔵)
⇒やっこ【奴】
やっこ‐どうじょうじ【奴道成寺】‥ダウジヤウ‥
歌舞伎舞踊。常磐津・富本・長唄掛合。本名題「道成寺思恋曲者こいはくせもの」。4世鶴屋南北作詞。5世岸沢式佐作曲。1829年(文政12)初演。現行曲は6世式佐改作の常磐津・長唄掛合。女装した狂言師が「娘道成寺」を踊るうち見あらわされ、男になって踊る。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐どうふ【奴豆腐】
①(奴の着物の四角い紋に似ることから)四角に切った豆腐。やっこ。
②(→)冷奴ひややっこに同じ。〈[季]夏〉
⇒やっこ【奴】
やっこ‐はいかい【奴俳諧】
奴詞やっこことばを用いてよむ俳諧。「鬢水にあたまかっぱる氷かな」に「しゃっつら寒き冬のあけぼの」とつける類。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐ひげ【奴髭】
(→)鎌髭かまひげに同じ。
⇒やっこ【奴】
やっこ‐もとゆい【奴元結】‥ユヒ
白くて太い元結。粋好みの芸者などが根掛けに用いた。やっこもとい。
⇒やっこ【奴】
やっこら‐さ
〔感〕
事を行おうと力を入れる時に発する掛け声。「―と立ち上がる」
やっこ‐わげ【奴髷】
(→)奴島田に同じ。
⇒やっこ【奴】
やっ‐さ
〔感〕
掛け声。はやしの声。
⇒やっさ‐もっさ
やつ‐さがり【八つ下り】
(→)「八つ過ぎ」に同じ。
やつ‐ざき【八つ裂き】
ずたずたに裂くこと。寸断。平家物語5「王…荊軻を―にこそし給ひけれ」
やっさ‐もっさ
(労働の際のかけ声から)大勢よってたかってのとりこみ。どさくさ。大さわぎ。もめごと。浄瑠璃、新版歌祭文「さつきの―取りのぼしたか頭痛もする」。「取り込みがあって―する」
⇒やっ‐さ
やつし【俏し・窶し】
①やつすこと。やつしたもの。
②(→)「やつしがた」の略。
③(江戸の方言)地口じぐち。(俚言集覧)
⇒やつし‐がき【俏し書】
⇒やつし‐がた【俏し形】
⇒やつし‐ごと【俏し事】
⇒やつし‐ことば【俏し言葉】
⇒やつし‐じ【俏し字】
やつし‐がき【俏し書】
字の画かくを省略して書くこと。また、その字。
⇒やつし【俏し・窶し】
やつし‐がた【俏し形】
歌舞伎でやつし事を演ずる役柄。また、それを得意とする俳優。やつし。
⇒やつし【俏し・窶し】
やつし‐ごと【俏し事】
歌舞伎で、仔細あって身を落とした身分ある人物や金持の息子などが、いやしい姿でする演技。また、その劇。
⇒やつし【俏し・窶し】
やつし‐ことば【俏し言葉】
省略した語。
⇒やつし【俏し・窶し】
やつし‐じ【俏し字】
俏し書きにした字。省略した字。
⇒やつし【俏し・窶し】
やっしゃる
〔助動〕
(→)「やしゃる」に同じ。
やつしろ【八代】
熊本県中部、球磨くま川の河口に臨む市。もと細川氏の支藩松井氏3万石の城下町。八代平野の中心都市。セメント・パルプ工業が立地。人口13万7千。
⇒やつしろ‐かい【八代海】
⇒やつしろ‐ぐう【八代宮】
⇒やつしろ‐みかん【八代蜜柑】
⇒やつしろ‐やき【八代焼】
やつしろ‐かい【八代海】
熊本県南西岸と宇土うと半島・天草島・長島などに抱かれた内海。古来、不知火しらぬいの名所。やつしろのうみ。不知火海。
⇒やつしろ【八代】
やつしろ‐ぐう【八代宮】
熊本県八代市松江城町にある元官幣中社。祭神は懐良かねよし親王。
⇒やつしろ【八代】
やつしろ‐そう【八代草】‥サウ
キキョウ科の多年草。九州地方の原野に自生。高さ約60センチメートル。秋、リンドウに似て、先端の5裂した紫色の鐘形花が集まり咲く。
やつしろ‐みかん【八代蜜柑】
(熊本県八代地方に産するからいう)ミカンの一種。ナツミカンに似て小形、黄色。食用。
⇒やつしろ【八代】
やつしろ‐やき【八代焼】
熊本県八代市高田こうだから産する陶器。寛永(1624〜1644)の頃、上野あがの焼の陶工上野喜蔵が、藩主細川氏の肥後転封に従って同地に移り創窯。高田焼。→上野焼
⇒やつしろ【八代】
やつ・す【俏す・窶す】
〔他五〕
①目立たぬ姿に変える。見すぼらしく様子を変える。源氏物語夕顔「御車もいたう―・し給へり」。「乞食姿に身を―・す」
②出家して姿を変える。伊勢物語「かたちを―・したれど」。源氏物語鈴虫「世の中なべてはかなく、いとひ捨てまほしきことを互ひに聞えかはし給へど、なほ―・しにくき御身のありさまどもなり」
③痩せるほどに切に思う。熱中する。「くいなにさへも身は―・す」(狂言歌謡)。「恋に身を―・す」
④行儀をくずす。うちとける。くつろぐ。好色一代男7「事過ぎて、跡は―・して乱れ酒」
⑤略す。くずす。統道真伝「詩文の作法、五字・七言を―・して、歌を吟じ」
⑥容姿をつくる。化粧する。浪花聞書「―・す。顔かたちなどつくり、又女の化粧することをかく言ふ」
やつ‐すぎ【八つ過ぎ】
①八つ時、すなわち今の午前2時または午後2時を過ぎた頃。八つ下がり。
②ふるびかかっていること。色などのさめること。また、そのもの。七つ下がり。浮世風呂2「甚三紅絹じんざもみの―といふ身頃があつたが」
やつ‐た【谷津田】
(→)「やちだ(谷地田)」に同じ。
やつ‐ぢ【八乳】
乳房が八つあること。また、そのもの。特に三味線の胴に張る猫の皮についていい、その皮を張った三味線をもいう。八乳の三味線はよい音が出るといって珍重される。→四乳よつぢ
やっ‐ちゃ
〔感〕
かけごえ。はやしの声。また、ほめそやす時、驚いた時などの声。浄瑠璃、博多小女郎波枕「―一角せしめんと」
やつ‐ちゃ【八つ茶】
(ヤツヂャとも)日の長い時分の八つ時(午後2時)頃にとる食事。おやつ。
やっちゃ‐ば【やっちゃ場】
青物市場の俗称。
やっ‐つ【八つ】
⇒やつ
や‐づつ【矢筒】
矢を納める筒。
やっつけ‐しごと【遣っ付け仕事】
急場の用に間に合わせるため急いでする、その場限りの仕事。いい加減な仕事。粗雑な仕事。
やっ‐つ・ける【遣っ付ける】
〔他下一〕
(ヤリツケルの音便)
①(「する」を強めていう語)結果をかまわず物事を行う。いい加減にやってのける。「宿題は適当に―・けよう」
②相手をひどい目にあわせる。やりこめる。負かす。「あいつを―・けよう」
やつ‐で【八手】
①八手網の略。
②ウコギ科の常緑低木。暖地に自生、また庭木として植栽。高さ約2メートル。葉は大形で質厚く、掌状に7〜9中裂し、葉柄は長い。晩秋、梢上に花茎を出し、黄白色の5弁の小花を多数球状につける。果実は球形の液果で翌年の初夏に紫黒色に熟す。葉は生薬とし、去痰きょたん薬。テングノハウチワ。漢名、八角金盤。「八手の花」は〈[季]冬〉。毛吹草2「―の花」
⇒やつで‐あみ【八手網】
⇒やつで‐ひとで【八手海星】
やつで‐あみ【八手網】
魚を獲る具。四手網に更に4本の手を添えたもの。
⇒やつ‐で【八手】
やって・くる【遣って来る】
〔自カ変〕
①こちらへ向かって来る。
②以前から続けて、今に至る。「長年この方針で―・きた」
やって‐の・ける【遣って退ける】
〔他下一〕
やりとげる。うまくやりおおせる。「難事業を―・ける」
やつで‐ひとで【八手海星】
キヒトデ目のヒトデ。腕長5センチメートル前後、焦茶色で青・白の斑点が多く、腕は7〜10本であるが8本のものが多い。有性生殖をするが、春先、自ら半分に分裂し、失った部分を再生して増殖する。本州中部以南の浅海に普通。
⇒やつ‐で【八手】
やっ‐と
[一]〔副〕
①実現や成立がむずかしい物事が、どうにかこうにか成り立つさま。かろうじて。ようやく。「―の思いで」「―できあがった」「終電に―間に合った」
②(上方語)たくさん。多く。東海道中膝栗毛8「あないなえい男は―はござりませんはいな」
③(上方語)ずっと。はるかに。浮世風呂2「横にねて転こける方が―速いぢや」
[二]〔感〕
①掛け声。
②応答の声。狂言、仏師「は、ここな仏師との―」
⇒やっと‐な
⇒やっと‐まかせ
⇒やっとの事で
やっとう
(剣術の掛け声によっていう)剣の道のこと。
やっとか‐め
(愛知・岐阜県で)久しぶり。
やつ‐どき【八つ時】
(→)「やつ(八)」3に同じ。
やっとこ【鋏】
(ヤトコの促音化)針金・板金・熱鉄などを挟むのに用いる鋼鉄製の工具。
鋏
提供:竹中大工道具館
⇒やっとこ‐なべ【鋏鍋】
やっとこ
[一]〔副〕
やっとのことで。かろうじて。ようやく。「―終わった」
[二]〔感〕
力を入れる時の掛け声。「―どっこい」
⇒やっとこ‐さ
⇒やっとこ‐せ
⇒やっとこ‐まかせ
やっとこ‐さ
(→)「やっとこ」に同じ。
⇒やっとこ
やっとこ‐せ
〔感〕
①(→)「やっとこ」[二]に同じ。
②踊りの囃子はやしの声。
⇒やっとこ
やっとこ‐なべ【鋏鍋】
日本料理で用いる持ち手のない鍋。鋏ではさんで扱う。
⇒やっとこ【鋏】
やっとこ‐まかせ
〔感〕
掛け声。やっとまかせ。「―のよいやまかせ」
⇒やっとこ
やっと‐な
〔感〕
掛け声として発する声。「―、こらしょ」
⇒やっ‐と
広辞苑 ページ 19781 での【○家賃が高い】単語。