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あわれ【哀れ】アハレ🔗🔉

あわれ哀れアハレ [一]〔感〕 ①ものに感動して発する声。嘆賞・親愛・同情・悲哀などのしみじみとした感動を表す。ああ。武烈紀「泣きそほち行くも影媛―」 ②(願望・命令を表す語と共に用いて)ああなんとかして。ぜひとも。謡曲、三井寺「―、来り候へかし。語らばやと思ひ候」 ③掛け声として用いる。催馬楽、我が駒「いで我が駒早く行きこせ待乳山―待乳山はれ」 [二]〔名〕 ➊「なり」「に」「と」などに連なり、主として平安時代以後、深くしみじみと心をひかれる感じ、またそのような感じをおこさせる状態を表す。はじめは賛嘆・愛着など種々の感情に対して用いたが、後には次第に悲哀・憐憫を表すことが多くなった。その場合には「憐」「憫」などとも書く。 ①尊いさま。ありがたいさま。枕草子208「霊山は釈迦仏の御すみかなるが―なるなり」 ②立派であるさま。なみなみでないさま。枕草子268「手もよう書き、歌も―に詠みて」 ③心に愛着を感ずるさま。いとしく思うさま。源氏物語空蝉「この人の何心なく若やかなるけはひも、―なれば」。源氏物語帚木「下臈に侍りし時、―と思ふ人侍りき」 ④しみじみとした趣あるさま。情趣深いさま。枕草子253「月は有明の東の山ぎはに細くて出づるほど、いと―なり」。後鳥羽院御口伝「釈阿はやさしく艶に、心も深く、―なるところもありき」 ⑤しめやかであるさま。感傷を誘われるさま。蜻蛉日記「時はいと―なるほどなり」 ⑥気の毒なさま。かわいそう。源氏物語桐壺「命婦は、まだ大殿ごもらせ給はざりけるを―に見奉る」 ⑦悲しいさま。はかないさま。さびしいさま。源氏物語桐壺「かかる別れの悲しからぬはなきわざなるを、まして―にいふかひなし」 ⑧みじめなさま。みすぼらしいさま。「―な身の上」「―な姿を人目にさらす」 ➋感動詞「あはれ」の名詞として用いられたもの。 ①感慨。感動。源氏物語帚木「心深しやなどほめたてられて―進みぬれば、やがて尼になりぬかし」 ②愛情。恋心。同情。源氏物語帚木「―知るばかりなさけなさけしく」。日葡辞書「アワレヲモヨヲス」 ③人情。浮世の情。また、慈悲の心。徒然草「子ゆゑにこそよろづの―は思ひ知らるれ」。孝養集「如来の―の余りには」 ④情趣。ふぜい。おもしろみ。源氏物語帚木「物の―知りすぐし、はかなきついでの情あり」 ⑤悲哀。哀愁。建礼門院右京大夫集「さすが心あるかぎり、この―をいひ思はぬ人はなけれど」 ⇒哀れを止める

広辞苑 ページ 767 での哀れ単語。