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さす🔗⭐🔉
さす
〔助動〕
(口語「させる」の文語形。活用は下二段型。[活用]させ/させ/さす/さする/さすれ/させよ。中世以降、次第に四段・下一段型に活用する傾向を示す)上二段・下二段・上一段・下一段・カ変・サ変の動詞の未然形に付く。平安時代、漢文訓読文系に用いる「しむ」に対し、「す」と共に主にかな文学系に用いられた。→す→しむ。
①人を介してさせる意を表す(使役)。…させる。竹取物語「月の宮この人まうで来ば捕らへさせむ」。勅規桃源抄「ものやなんどを悪うして失せさしたり失ふたりなんどすな」。浄瑠璃、心中宵庚申「跡へお千代を呼び入れ、留守の間でほたえさす事は成りませぬ」。浮世風呂前「子供といふ者は熱い湯で懲りさせると湯嫌ひになるものさ」
②人のするままにさせる意を表す(放任・許容)。…させる。伊勢物語「あしたには狩にいだしたててやり、夕さりは帰りつつ、そこに来させけり」
③主に中世の武者詞で、他者が自分にしかけた、受身で表すべき動作を許容・放任する形でいう。…するままにする。…させる。平家物語4「三位入道…弓手ゆんでの膝口を射させ、痛手なれば、心静かに自害せんとて」
④尊敬を表す動詞・助動詞と共に用いて尊敬の意を強め、一段と高い敬意を表す(最高敬語)。源氏物語桐壺「かの贈り物御覧ぜさす」「かうやうの折は御遊びなどせさせ給ひしに」
⑤謙譲を表す動詞と共に用いて謙譲の意を強める。源氏物語空蝉「人の思ひ侍らむ事の恥かしきになむ、え聞えさすまじき」。毎月抄「かへすがへす本意に覚えさせ給へて候ふ」
広辞苑 ページ 7953 での【さす】単語。