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〔助動〕 ➊(活用は四段型。[活用]さ/し/す/す/せ/せ)奈良時代のみに使われた。動詞の未然形に付く。「寝」「着る」「見る」などの動詞に付く場合、音韻変化を起こして、「寝す」「着す」「見す」という形になる。尊敬・親愛を表す。…なさる。…していらっしゃる。古事記「玉手さし枕き股長に寝は寝さむを」。万葉集1「やすみししわが大君神ながら神さびせすと」。万葉集4「わが背子が着せる衣の針目落ちず」。万葉集17「少女おとめらが春菜摘ますと」。万葉集20「大君の見しし野辺には標しめ結ふべしも」 ➋(活用は下二段型。[活用]せ/せ/す/する/すれ/せよ)四段・ナ変・ラ変活用動詞およびその型の活用の助動詞の未然形に付く。主に物語文学系に用いられた。→さす→しむ。 ①使役を表す。…せる。…させる。万葉集7「白玉を手には纏かずに箱のみに置けりし人そ玉なげかする」。古今和歌集「夏山に鳴くほととぎす心あらば物思ふ我に声な聞かせそ」。伊勢物語「そこなる人にみな滝の歌よます」 ②自分の身に及ぶ他者の動作・作用を、自分がそうするよう放任・許容した形で表したもの。本来受身で表す事態を、受身の被害感覚を避けて使役にする表現。中世の軍記物に多く、負け惜しみの受身などともいう。…に任せる。…れる。平家物語11「内裏を焼かせつる事こそ安からね」 ③尊敬を表す語とともに用いて尊敬の意を強める。源氏物語桐壺「今ひときざみの位をだにと贈らせ給ふなりけり」。源氏物語絵合「上も思し宣はせき」 ④謙譲を表す語とともに用いて謙譲の意を強める。枕草子138「蓑虫のやうなる童のおほきなる、白き木に立文をつけて、これ奉らせんといひければ」

広辞苑 ページ 10358 での単語。