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さび【寂】🔗⭐🔉
さび‐かえ・る【寂び返る】‥カヘル🔗⭐🔉
さび‐かえ・る【寂び返る】‥カヘル
〔自四〕
ひっそりとする。全く静まる。太平記29「さしもせき合ひつる城中―・つて」
さび‐ごえ【寂声】‥ゴヱ🔗⭐🔉
さび‐ごえ【寂声】‥ゴヱ
(「錆声」とも書く)老熟して趣のある声。かれて渋みのある声。
さびし・い【寂しい・淋しい】🔗⭐🔉
さびし・い【寂しい・淋しい】
〔形〕[文]さび・し(シク)
本来あった活気や生気が失われて荒涼としていると感じ、物足りなく感じる意。
①もとの活気が失せて荒廃した感じがする。源氏物語末摘花「いといたう荒れわたりて、―・しき所に」
②欲しい対象が欠けていて物足りない。満たされない。源氏物語若菜下「ありし猫をだに得てしがな。思ふこと、語らふべくはあらねど、傍―・しき慰めにもなつけむ」。「口が―・い」
③孤独がひしひしと感じられる。源氏物語槿「とけて寝ぬ寝覚―・しき冬の夜に結ぼほれつる夢のみじかさ」。「ひとり―・く暮らす」
④にぎやかでない。ひっそりとして心細い。源氏物語匂宮「院のうち―・しく人少なになりにけるを」。「―・い夜道」「ふところが―・い」
さびし‐み【寂しみ】🔗⭐🔉
さびし‐み【寂しみ】
さびしいこと。さびしい趣。さびしさ。夏目漱石、門「けれども世の中の―は、彼を思ひ切つた極端に駆り去る程に」
さびし・む【寂しむ・淋しむ】🔗⭐🔉
さびし・む【寂しむ・淋しむ】
[一]〔他下二〕
さびしがらせる。源平盛衰記39「さればとて―・め奉るべからず」
[二]〔他四〕
さびしがる。さびしく思う。現代の和歌に多く用いる。「ふる雪になんのかをりもなきものをこころなにとてしかは―・む」(牧水)
さび‐もの【寂物】🔗⭐🔉
さび‐もの【寂物】
茶道で、新しい道具に対して古いさびのある道具をいう。わび道具。
さ・びる【荒びる・寂びる】🔗⭐🔉
さ・びる【荒びる・寂びる】
〔自上一〕[文]さ・ぶ(上二)
生気・活気が衰え、元の姿などが傷つき、いたみ、失われる意。
①あれる。荒涼たるさまになる。万葉集1「ささなみの国つ御神のうら―・びて荒れたる都見れば悲しも」。日葡辞書「サビタトコロ」
②心にさびしく思う。わびしがる。万葉集4「まそ鏡見あかぬ君に後れてや旦夕あしたゆうべに―・びつつをらむ」
③(色などが)あせる。みすぼらしくなる。衰える。玉葉集秋「夕づく日色―・びまさる草の下に」。誹風柳多留8「踊り子も鮎と一所に―・びるなり」
④古びて趣がある。枯淡の趣を持つ。寂寥簡古の趣などを評する歌論用語としても藤原俊成以来使われた。慈鎮和尚自歌合「難波の蘆に通ふ松風、殊に―・びてきこえ侍り」。平家物語灌頂「岩に苔のむして―・びたる所なりければ」。「―・びた声」「―・びた芸」
さびれ【寂れ】🔗⭐🔉
さびれ【寂れ】
さびれること。おとろえること。
さび・れる【寂れる】🔗⭐🔉
さび・れる【寂れる】
〔自下一〕[文]さび・る(下二)
①にぎやかだったところが衰えてさびしくなる。賤のをだ巻「その頃より開帳も―・れて」。「町が―・れる」
②勢いが衰える。荒れはてる。「虫の声が―・れてきた」
さ・ぶ【荒ぶ・寂ぶ】🔗⭐🔉
さ・ぶ【荒ぶ・寂ぶ】
〔自上二〕
⇒さびる(上一)
さみし・い【寂しい・淋しい】🔗⭐🔉
さみし・い【寂しい・淋しい】
〔形〕[文]さみ・し(シク)
サビシイの転。
さむし・い【淋しい・寂しい】🔗⭐🔉
さむし・い【淋しい・寂しい】
〔形〕
サビシイの転。梅暦「―・いよ」
じゃく【寂】🔗⭐🔉
じゃく【寂】
(呉音。漢音はセキ)〔仏〕
①涅槃の異名。栄華物語玉台「有作無作うさむさの諸法の相を見ざるところ、如なり―なり解脱なり」
②(僧の隠語)葬式。
じゃく‐こう【寂光】‥クワウ🔗⭐🔉
じゃく‐こう【寂光】‥クワウ
⇒じゃっこう
じゃく‐じゃく【寂寂】🔗⭐🔉
じゃく‐じゃく【寂寂】
①ひっそりとしてさびしいさま。せきせき。
②無念無想のさま。太平記20「心に妄想を払つて―としてぞゐたりける」
じゃくしょう【寂昭】‥セウ🔗⭐🔉
じゃくしょう【寂昭】‥セウ
(寂照とも)平安中期の僧。俗名、大江定基。源信から天台宗を、仁海から密教を学ぶ。1002年(長保4)入宋し、源信から預かった天台教学の疑問27条について知礼の答釈を得る。杭州で没。( 〜1034)
じゃく‐じょう【寂静】‥ジヤウ🔗⭐🔉
じゃく‐じょう【寂静】‥ジヤウ
①ひっそりと静かなこと。
②〔仏〕煩悩を離れ、心の平静なこと。涅槃ねはん。
じゃくじょう‐じゅ【寂場樹】‥ヂヤウ‥🔗⭐🔉
じゃくじょう‐じゅ【寂場樹】‥ヂヤウ‥
〔仏〕菩提樹ぼだいじゅのこと。太平記18「―下に端座し給ふ」→寂滅道場
じゃく・する【寂する】🔗⭐🔉
じゃく・する【寂する】
〔自サ変〕[文]寂す(サ変)
死ぬ。(僧侶にいう)
じゃくぜん【寂然】🔗⭐🔉
じゃくぜん【寂然】
(ジャクネンとも)平安末期の歌人。俗名、藤原頼業よりなり。為忠の子。出家して唯心房寂然といい、常磐三寂(大原三寂)の一人。「唯心房集」などがあり、歌は千載集以下に見える。生没年未詳。
じゃく‐ねん【寂念】🔗⭐🔉
じゃく‐ねん【寂念】
〔仏〕俗念を去った寂静じゃくじょうの思い。禅定。
じゃく‐ねん【寂然】🔗⭐🔉
じゃく‐ねん【寂然】
⇒せきぜん
じゃく‐まく【寂寞】🔗⭐🔉
じゃく‐まく【寂寞】
ものさびしくひっそりしていること。せきばく。新古今和歌集釈教「―の苔の岩戸のしづけきに」。二葉亭四迷、めぐりあひ「―たる光を一転瞬の間に朦朧とした暗霧もやに変へた」
⇒じゃくまく‐の‐とぼそ【寂寞の枢】
じゃくまく‐の‐とぼそ【寂寞の枢】🔗⭐🔉
じゃくまく‐の‐とぼそ【寂寞の枢】
ものさびしく静かな住居。太平記11「上人―におはしまして妙典を読誦し給ひける時」
⇒じゃく‐まく【寂寞】
じゃく‐めつ【寂滅】🔗⭐🔉
じゃく‐めつ【寂滅】
①〔仏〕寂静じゃくじょうとなること。煩悩を離れた静かな境地。涅槃ねはんの漢訳。
②死ぬこと。浄瑠璃、鎌倉三代記「この摺り針で指でもささば…それこそは命の―」
⇒じゃくめつ‐いらく【寂滅為楽】
⇒じゃくめつ‐どうじょう【寂滅道場】
⇒寂滅の煙と立ち上る
⇒寂滅を唱う
じゃくめつ‐いらく【寂滅為楽】‥ヰ‥🔗⭐🔉
じゃくめつ‐いらく【寂滅為楽】‥ヰ‥
生死の苦に対して涅槃の境地を真の楽とする意。雪山偈せっせんげの第4句。
⇒じゃく‐めつ【寂滅】
じゃくめつ‐どうじょう【寂滅道場】‥ダウヂヤウ🔗⭐🔉
じゃくめつ‐どうじょう【寂滅道場】‥ダウヂヤウ
釈尊が悟りを開いたマガダ国の尼連禅河にれんぜんがのほとりの場所。また、華厳経を説いたとされるマガダ国ガヤー城の南の菩提樹下。寂場。
⇒じゃく‐めつ【寂滅】
○寂滅の煙と立ち上るじゃくめつのけむりとたちのぼる
焼失する。焼けてしまう。太平記8「一時に灰燼となつて…たちまちに―」
⇒じゃく‐めつ【寂滅】
○寂滅を唱うじゃくめつをとなう
死ぬ。〈日葡辞書〉
⇒じゃく‐めつ【寂滅】
○寂滅の煙と立ち上るじゃくめつのけむりとたちのぼる🔗⭐🔉
○寂滅の煙と立ち上るじゃくめつのけむりとたちのぼる
焼失する。焼けてしまう。太平記8「一時に灰燼となつて…たちまちに―」
⇒じゃく‐めつ【寂滅】
○寂滅を唱うじゃくめつをとなう🔗⭐🔉
○寂滅を唱うじゃくめつをとなう
死ぬ。〈日葡辞書〉
⇒じゃく‐めつ【寂滅】
じゃく‐めんやく【弱綿薬・弱棉薬】
(collodion cotton)硝化の度合の低い弱い綿火薬(窒素量11〜12パーセント)。
じゃく‐もう【雀盲】‥マウ
夜盲症のこと。とりめ。
じゃく‐もく【寂黙】
〔仏〕
①静かに瞑想して物を言わないこと。
②牟尼むにの漢訳。また、釈尊の称。
しゃく‐もち【癪持ち】
持病の癪があること。また、その人。
しゃく‐もつ【借物】
借りたもの。借金。〈日葡辞書〉
じゃく‐もく【寂黙】🔗⭐🔉
じゃく‐もく【寂黙】
〔仏〕
①静かに瞑想して物を言わないこと。
②牟尼むにの漢訳。また、釈尊の称。
じゃくれん【寂蓮】🔗⭐🔉
じゃくれん【寂蓮】
鎌倉初期の歌僧。俗名、藤原定長。叔父俊成の養子となったが、のち出家。歌合作者として活躍、撰者に選ばれながら新古今集撰進に先立って没。優美繊細で静寂を兼ねた巧緻な秀歌が多い。家集「寂蓮法師集」。( 〜1202)
じゃっ‐こう【寂光】ジヤククワウ🔗⭐🔉
じゃっ‐こう【寂光】ジヤククワウ
〔仏〕
①静寂な涅槃の境地から発する智慧の光。
②常寂光土じょうじゃっこうどの略。
⇒じゃっこう‐じょうど【寂光浄土】
⇒じゃっこう‐ど【寂光土】
じゃっこう‐いん【寂光院】ジヤククワウヰン🔗⭐🔉
じゃっこう‐いん【寂光院】ジヤククワウヰン
京都市左京区大原にある天台宗の尼寺。聖徳太子の創建という。平家滅亡後、安徳天皇の母建礼門院が隠棲して高倉・安徳両天皇および平家一門の冥福を祈った所。慶長(1596〜1615)年間淀君の本願で再興。2000年本堂が焼失したが、復元。
じゃっこう‐じょうど【寂光浄土】ジヤククワウジヤウ‥🔗⭐🔉
じゃっこう‐じょうど【寂光浄土】ジヤククワウジヤウ‥
(→)常寂光土に同じ。
⇒じゃっ‐こう【寂光】
じゃっこう‐ど【寂光土】ジヤククワウ‥🔗⭐🔉
じゃっこう‐ど【寂光土】ジヤククワウ‥
常寂光土の略。
⇒じゃっ‐こう【寂光】
せき【寂】🔗⭐🔉
せき【寂】
(呉音はジャク)しずかなさま。ひっそり。「―として声なし」
せき‐せい【寂静】🔗⭐🔉
せき‐せい【寂静】
声なくしずかなこと。静寂せいじゃく。
せき‐せき【寂寂】🔗⭐🔉
せき‐せき【寂寂】
ものさびしいさま。ひっそりしたさま。じゃくじゃく。「―たるたたずまい」
せき‐ぜん【寂然】🔗⭐🔉
せき‐ぜん【寂然】
ものさびしいさま。しずかなさま。「―たる古刹こさつ」
せき‐と‐して【寂として】🔗⭐🔉
せき‐と‐して【寂として】
音が全くない状態で。ひっそりして。「―声なし」
せき‐ばく【寂寞】🔗⭐🔉
せき‐ばく【寂寞】
(セキ・バクは漢音)ものさびしいさま。ひっそりしたさま。じゃくまく。高橋太華、有馬竹「話対手はなしがたきを得て、少しく―を破りしも」。「―たる深夜」
せき‐りょう【寂寥】‥レウ🔗⭐🔉
せき‐りょう【寂寥】‥レウ
ものさびしいさま。ひっそりしているさま。寂寞。「―たる眺め」「―感」
[漢]寂🔗⭐🔉
寂 字形
筆順
〔宀部8画/11画/常用/2868・3C64〕
〔音〕ジャク(呉) セキ(漢)
〔訓〕さび・さびしい・さびれる
[意味]
音がなくひっそりとしている。しずか。さびしい。「寂せきとして声なし」「寂然せきぜん・じゃくねん・寂寥せきりょう・閑寂・静寂・幽寂・寂滅・入寂・示寂」
[解字]
形声。「宀」+音符「叔」。


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