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ぬか・す【吐かす・抜かす】(他五)🔗🔉

ぬか・す吐かす・抜かす】 〔他五〕 (「言う」「しゃべる」の意を卑しめていう語)言いやがる。日葡辞書「ナニヲヌカスカ」。東海道中膝栗毛「小言を―・しやあがるから」。「ふざけたことを―・すな」

ぬか・す【抜かす】(他五)🔗🔉

ぬか・す抜かす】 〔他五〕 ①入れるべきものを入れおとす。はずす。また、間をとばす。「仲間から―・す」「休みの人は―・して回覧」 ②抜き取る。横領する。 ③力をなくす。役に立たなくする。「腰を―・す」

ぬからぬ‐かお【抜からぬ顔】‥カホ🔗🔉

ぬからぬ‐かお抜からぬ顔‥カホ ①油断のない顔つき。醒睡笑「―したる男、大名のもとへ参る」 ②何事もそ知らぬ顔つき。

ぬかり【抜かり】🔗🔉

ぬかり抜かり】 ておち。てぬかり。油断。南総里見八犬伝25「そこらに―あらずかし」。「作戦に―はない」 ⇒ぬかり‐もの【抜かり者】

ぬかり‐もの【抜かり者】🔗🔉

ぬかり‐もの抜かり者】 ぼんやり者。うっかり者。まぬけ。〈日葡辞書〉 ⇒ぬかり【抜かり】

ぬか・る【抜かる】🔗🔉

ぬか・る抜かる】 〔自五〕 ①油断して仕損じる。気付かないで失敗する。「手ごわいぞ、―・るな」 ②時期を失する。ぐずぐずする。また、だらしなくなる。胆大小心録「女色には―・らしやまして」

ぬき【抜き】🔗🔉

ぬき抜き】 ①ぬくこと。除き去ること。抜いてそこをあけておくこと。「その話は―にして」「昼食―で働く」 ②泥鰌どじょうなどの骨を抜くこと。また、骨を抜いた泥鰌。 ③他人の小刀または目貫めぬき・笄こうがいなどを抜き取る盗賊。 ④食品で普通入れるべきものを入れないもの。餅を入れない汁粉や、てんぷらそばでそばを入れないものの類。「てんぷらそばの―で一杯やる」 ⑤勝ちぬくこと。「三人―」 ⑥ごまかすこと。昨日は今日の物語「指に―があるぞ」 ⑦栓抜せんぬきの略。

ぬき‐あ・う【抜き合う】‥アフ🔗🔉

ぬき‐あ・う抜き合う‥アフ 〔他五〕 互いに抜く。互いに刀を抜いて切り合う。

ぬき‐あし【抜き足】🔗🔉

ぬき‐あし抜き足】 音を立てないよう足を抜きあげるようにして歩くこと。天草本伊曾保物語「万事を謹み、天に跼せくぐまり地に―する心を持て」 ⇒ぬきあし‐さしあし【抜き足差し足】

ぬきあし‐さしあし【抜き足差し足】🔗🔉

ぬきあし‐さしあし抜き足差し足】 音のしないようにそっと歩くこと。「―忍び足」 ⇒ぬき‐あし【抜き足】

ぬき‐あわ・せる【抜き合わせる】‥アハセル🔗🔉

ぬき‐あわ・せる抜き合わせる‥アハセル 〔他下一〕[文]ぬきあは・す(下二) 双方が互いに刀を抜いて構えあう。

ぬき‐い・ず【抜き出づ】‥イヅ🔗🔉

ぬき‐い・ず抜き出づ‥イヅ [一]〔自下二〕 ①あらわれでる。源氏物語横笛「御寺のかたはら近き林に―・でたる筍たこうな」 ②他よりすぐれる。ぬきんでる。愚管抄3「―・でたる人々有りて」 [二]〔他下二〕 ①抜き出す。引き抜く。万葉集13「剣大刀鞘ゆ―・でて」 ②抜擢ばってきする。江家次第8「相撲人の中、これを―・でて相撲を取らしむるなり」

ぬき‐いだ・す【抜き出す】🔗🔉

ぬき‐いだ・す抜き出す】 〔他五〕 「ぬきだす」に同じ。

ぬき‐いと【抜き糸】🔗🔉

ぬき‐いと抜き糸】 着物を解いて抜きとった糸。

ぬき‐うち【抜打ち・抜撃ち】🔗🔉

ぬき‐うち抜打ち・抜撃ち】 ①刀を抜くや否や斬りつけること。平治物語「―にしととうたれければ」 ②だしぬけに事を行うこと。「―に検査する」 ⇒ぬきうち‐かいさん【抜打ち解散】 ⇒ぬきうち‐スト【抜打ちスト】

ぬき‐えもん【抜衣紋】🔗🔉

ぬき‐えもん抜衣紋】 和服の着付け方。後襟を下げて、襟足が出るように着ること。ぬきえり。のけくび。ぬぎかけ。仰衣紋のけえもん

ぬき‐えり【抜襟】🔗🔉

ぬき‐えり抜襟(→)「ぬきえもん」に同じ。

ぬき‐かざ・す【抜き翳す】🔗🔉

ぬき‐かざ・す抜き翳す】 〔他五〕 刀などを抜いて頭上にふりかざす。

ぬき‐がた・い【抜き難い】🔗🔉

ぬき‐がた・い抜き難い】 〔形〕[文]ぬきがた・し(ク) 取り去ることが難しい。「―・い不信感」

ぬき‐ぐし【抜櫛】🔗🔉

ぬき‐ぐし抜櫛】 髪を櫛で強く梳きとおすこと。誹風柳多留2「―に引つ立てられる病み上り」

ぬき‐こじ【抜巾子】🔗🔉

ぬき‐こじ抜巾子】 元服の時にかぶった冠。幞頭ぼくとうと巾子とを別とした古風を伝えて、巾子と磯いそとを別として糸でからげて留めるように造ったもの。はなちこじ。

ぬき‐さし【抜き差し】🔗🔉

ぬき‐さし抜き差し】 ①抜き出すことと差し込むこと。また、除くことと加えること。 ②あれこれとやりくりすること。身動きすること。 ⇒抜き差しならぬ ○抜き差しならぬぬきさしならぬ 身動きできない。どうにもならない。のっぴきならない。浄瑠璃、津国女夫池「其の胸にひつしと当つてぬきさしなるまい」。「―状況に陥る」 ⇒ぬき‐さし【抜き差し】

○抜き差しならぬぬきさしならぬ🔗🔉

○抜き差しならぬぬきさしならぬ 身動きできない。どうにもならない。のっぴきならない。浄瑠璃、津国女夫池「其の胸にひつしと当つてぬきさしなるまい」。「―状況に陥る」 ⇒ぬき‐さし【抜き差し】 ぬき‐さ・る抜き去る】 〔他五〕 ①抜いて取り去る。 ②追い抜いて遠ざかる。 ぬき‐し抜師】 掏摸すりの異称。 ぬき‐じょう抜状‥ジヤウ 早飛脚の行李こうりから特に急を要する書状を抜き取って、別に急飛脚を仕立てて送り届けたもの。 ぬき‐しろ緯白】 経糸たていとは紫、緯糸は白の織地の称。 ぬき‐す貫簀】 竹で編んだ簀。手洗水などが飛び散らないように、盥たらいの上などにかける。伊勢物語「女の手洗ふ処に―をうちやりて」 ぬき・ず抽づ‥ヅ 〔他下二〕 抜き出す。引き抜く。ぬきいず。三蔵法師伝承徳点「沖和の茂質ぼしつを挺ヌキテ→ぬきんでる ぬぎ‐すて脱ぎ捨て】 着物・はき物などを、ぬいでそのままにしておくこと。着抜き。 ぬぎ‐す・てる脱ぎ捨てる】 〔他下一〕[文]ぬぎす・つ(下二) ぬいでそのままにしておく。ぱっと脱ぐ。比喩的に古い習慣や考え方などを捨て去る。「床に―・てる」「封建的な考えを―・てる」 ぬぎ‐すべ・す脱ぎ滑す】 〔他四〕 着物をすべらすようにしてぬぐ。源氏物語空蝉「かの―・したると見ゆる薄衣をとりて」 ぬき‐ずり抜刷】 雑誌・論文集などの、ある部分だけを抜き出して別に印刷すること。また、その印刷物。 ぬき‐ぜに貫銭】 緡さしに貫き通した銭。 ぬき‐そば・む抜き側む】 〔他下二〕 刀を抜いてそばに寄せる。引きぬいてかたよせる。謡曲、関原与市「しづしづと太刀―・め」 ぬき‐ぞめ抜染⇒ばっせん ぬき‐だ・す抜き出す】 〔他五〕 ①引き抜いて出す。「刀を―・す」 ②選び出す。選抜する。「要点を―・す」 ③選んで挙用する。抜擢ばってきする。 ぬき‐た・る貫き垂る】 〔他四〕 玉などを貫いて垂らす。万葉集3「竹玉たかたまを繁しじに―・れ」 ぬぎ‐た・る脱ぎ垂る】 〔他下二〕 肩を脱いで片袖をたらす。枕草子23「桜の唐衣どもくつろかに―・れて」 ぬぎ‐ちらか・す脱ぎ散らかす】 〔他五〕 脱いだ衣服をそのまま散らかす。脱ぎ散らす。 ぬき・つ脱きつ】 〔他下二〕 (脱キ棄ツの約)ぬぎ捨てる。万葉集5「穿沓うけぐつを―・つる如く踏み脱きて」

ぬき‐さ・る【抜き去る】🔗🔉

ぬき‐さ・る抜き去る】 〔他五〕 ①抜いて取り去る。 ②追い抜いて遠ざかる。

ぬき‐ずり【抜刷】🔗🔉

ぬき‐ずり抜刷】 雑誌・論文集などの、ある部分だけを抜き出して別に印刷すること。また、その印刷物。

ぬき‐そば・む【抜き側む】🔗🔉

ぬき‐そば・む抜き側む】 〔他下二〕 刀を抜いてそばに寄せる。引きぬいてかたよせる。謡曲、関原与市「しづしづと太刀―・め」

ぬき‐だ・す【抜き出す】🔗🔉

ぬき‐だ・す抜き出す】 〔他五〕 ①引き抜いて出す。「刀を―・す」 ②選び出す。選抜する。「要点を―・す」 ③選んで挙用する。抜擢ばってきする。

○抜きつ抜かれつぬきつぬかれつ🔗🔉

○抜きつ抜かれつぬきつぬかれつ 互いに競ってほぼ互角の勝負をしているさま。力が拮抗きっこうしているさま。「―の大激戦」 ⇒ぬ・く【抜く】 ぬぎっ‐ぱなし脱ぎっ放し】 脱いだ衣類をその場にうち捨てておくこと。 ぬき‐つら・ねる抜き連ねる】 〔他下一〕[文]ぬきつら・ぬ(下二) 「抜き連れる」に同じ。 ぬき‐つ・れる抜き連れる】 〔他下一〕[文]ぬきつ・る(下二) 大勢の者が一斉に刀を抜く。抜き連ねる。浄瑠璃、吉野都女楠「宗徒の兵―・れ―・れ、死物狂ひの拝み打ち」 ぬき‐て抜手】 ①泳法の一つ。両手をかわるがわる水上に抜き出し、足は蛙足で泳ぐ。ぬきで。 ②抜身の刀をさまざまに振り回す芸。〈日葡辞書〉 ⇒抜手を切る ぬき‐て貫手】 空手の技の一つ。指先で相手の喉や目などをつく技。四本貫手と二本貫手とがある。 ぬき‐で抜出】 ①「すまいのせち(相撲節)」参照。 ②抜出綿の略。 ⇒ぬきで‐わた【抜出綿】 ぬきで‐わた抜出綿(→)「ぬきわた」に同じ。 ⇒ぬき‐で【抜出】

ぬき‐つら・ねる【抜き連ねる】🔗🔉

ぬき‐つら・ねる抜き連ねる】 〔他下一〕[文]ぬきつら・ぬ(下二) 「抜き連れる」に同じ。

ぬき‐つ・れる【抜き連れる】🔗🔉

ぬき‐つ・れる抜き連れる】 〔他下一〕[文]ぬきつ・る(下二) 大勢の者が一斉に刀を抜く。抜き連ねる。浄瑠璃、吉野都女楠「宗徒の兵―・れ―・れ、死物狂ひの拝み打ち」

ぬき‐と・る【抜き取る】🔗🔉

ぬき‐と・る抜き取る】 〔他五〕 ①引き抜いて取る。「とげを―・る」 ②ある部分をえらびとる。〈日葡辞書〉 ③(→)「ぬきとり」2をする。「財布を―・る」

ぬき‐に【抜荷】🔗🔉

ぬき‐に抜荷】 ①運送中、またはしまってある荷物の中身をひそかに抜きとること。また、その抜きとった品。 ②(→)「ぬけに」に同じ。

ぬき‐のり【抜糊】🔗🔉

ぬき‐のり抜糊】 抜染ばっせんに用いる糊。

ぬき‐はな・す【抜き放す】🔗🔉

ぬき‐はな・す抜き放す】 〔他五〕 刀を鞘から勢いよく抜き出す。

ぬき‐はな・つ【抜き放つ】🔗🔉

ぬき‐はな・つ抜き放つ】 〔他五〕 「ぬきはなす」に同じ。

ぬきん・でる【抽んでる・擢んでる・抜きん出る】🔗🔉

ぬきん・でる抽んでる・擢んでる・抜きん出る】 [文]ぬきん・づ(下二) (ヌキヅの転。一説にヌキイヅの転とも) [一]〔自下一〕 ①抜けて出る。のがれる。太平記13「只一人―・でて、後の山より何地いずちともなく落ち給ひにけり」 ②他よりすぐれる。ひいでる。「衆に―・でる」 [二]〔他下一〕 ①抜いて中から取り出す。選び出す。抜擢ばってきする。 ②他より卓越させる。人よりはげんでする。平家物語5「累祖奉公の中勤を―・で」

ぬ・く【抜く】🔗🔉

ぬ・く抜く】 [一]〔他五〕 ➊ふさいでいるものを細長いもので突き破って向う側に出す。 ①孔に通す。万葉集17「玉に―・く楝おうちを家に植ゑたらば」 ②つきぬく。平家物語9「鎧のむないたうしろへつつと射―・かれて」 ③攻め落とす。「敵陣を―・く」 ④追いこす。平家物語9「そのまに佐々木はつと馳せ―・いて河へざつと打ち入れたる」。「3人―・いてトップに出る」 ⑤通り過ぎて向う側へ行く。「三遊間を―・く安打」 ⑥(動詞の連用形に付いて)そのことを最後までやり通す。また、すっかり…する。浮世風呂2「こまらせ―・いたはな」。「やり―・く」「困り―・く」 ➋ふさいでいるものの中から細長いものを手前に引き出す。また、そのようにして中にあるものを除き去る。 ①引いて取る。引きだす。万葉集13「剣刀つるぎたち鞘ゆ―・き出でて」。天草本伊曾保物語「眼まなこは―・いて取りたいぞ」。日葡辞書「ユキニムネノアタリマデヲチイッテ、アシヲヌカントスレドモカナワズ」。「刀を―・く」「とげを―・く」 ②選んで取り出す。方丈記「あるいはつばなを―・き岩梨をとり」。「問題点を書き―・く」 ③選び出して用いる。抜擢ばってきする。「優秀選手を―・く」 ④盗みとる。「月夜に釜を―・く」 ⑤消す。除き去る。はぶく。「しみを―・く」「毒気を―・く」「手を―・く」「朝食を―・く」「籍を―・く」 ⑥ごまかす。だます。狂言、末広がり「それを真実末広がりと思うて求めて来たか…―・かれをつた」。浄瑠璃、心中二つ腹帯「欺しやつたの―・きやつたの」 [二]〔自下二〕 ⇒ぬける(下一) ⇒抜きつ抜かれつ ⇒抜く手も見せず

○抜く手も見せずぬくてもみせず🔗🔉

○抜く手も見せずぬくてもみせず 刀を素早く抜くさま。転じて、動作や行動が非常に素早いこと。 ⇒ぬ・く【抜く】 ぬくと・い温とい】 〔形〕[文]ぬくと・し(ク) ①あたたかい。ぬくい。 ②遅鈍である。のろい。 ぬく‐ぬく温温】 ①あたたかいさま。ほかほか。 ②不自由のないさま。「親のもとで―と育つ」 ③平気なさま。ずぶといさま。浄瑠璃、国性爺合戦「一太刀も合せず矢の一本もはなさず、―と味方せば」 ④物が成立して間がないさま。できたてのさま。 ぬく‐ばい温灰‥バヒ あたたかい灰。あつばい。 ぬく‐まり温まり】 ぬくまること。あたたかみ。ぬくもり。 ぬく‐ま・る温まる】 〔自五〕 あたたまる。ぬくもる。「体の心しんから―・る」 ぬく‐み温み】 あたたかい気味。あたたかい程度。 ぬく・む温む】 [一]〔自五〕 あたたまる。ぬくもる。 [二]〔他下二〕 ⇒ぬくめる(下一) ぬくめ温め】 秋冬の頃、川に枯木などを沈めて置き、これにこもる魚を獲る漁法。 ⇒ぬくめ‐どり【温め鳥】 ぬくめ‐どり温め鳥】 ①冬の夜、鷹が小鳥を捕らえてつかみ、その脚を温め、翌朝これを放してやるということ。また、その小鳥。〈[季]冬〉 ②親鳥が雛を翼でおおって温めること。 ⇒ぬくめ【温め】 ぬく・める温める】 〔他下一〕[文]ぬく・む(下二) あたためる。「体を―・める」 ぬくもり温もり】 あたたかみ。ぬくみ。「布団の―」 ぬくも・る温もる】 〔自五〕 あたたまる。ぬくまる。「室内が―・る」 ヌクレアーゼnuclease】 核酸やその分解物であるヌクレオチド・ヌクレオシドを基質とする酵素の総称。 ヌクレオシドnucleoside】 有機塩基と糖とが結合した化合物の総称。核酸の成分であるデオキシリボヌクレオシド・リボヌクレオシド(アデノシンやウリジン他)など。 ヌクレオソームnucleosome】 細胞の核蛋白質構造体で、染色質(クロマチン)の基本構成単位。ヒストンの核(コア)の周囲にDNAが巻きついた構造で、これが数珠状に連なって染色質をつくる。 ヌクレオチドnucleotide】 ヌクレオシドの糖の部分に燐酸基が結合した化合物の総称。生体の重要な構成物質の一つ。核酸はその巨大な重合体(ポリヌクレオチド)であり、また補酵素の構成成分になることも多い。 ぬく‐わか温若】 愚かな若者。愚鈍で親の資財を受け継ぐ者をののしっていう語。浄瑠璃、傾城島原蛙合戦「なまぬるい―」 ぬけ抜け・脱け】 ①ぬけること。もれること。「名簿に―がある」 ②知恵の足りないこと。 ③「ぬけぐち」の略。 ④俳諧で、主題を句の表面に表さないで、暗にそれをほのめかす技法。ぬけがら。ぬき。 ぬけ‐あが・る抜け上がる】 〔自五〕 ①高く抜け出る。鴉鷺合戦物語「色白く頸の骨―・りて」 ②頭髪の生えぎわが額ひたいの上方に上がる。はげ上がる。「額が―・る」 ぬけ‐あきない抜け商い‥アキナヒ 規則を犯し、または仲間を出し抜いて、ひそかに商売をすること。密売買。→抜け荷 ぬけ‐あし抜け足(→)「抜き足」に同じ。 ぬけ‐あな抜け穴】 ①通り抜けられる穴。 ②ひそかにのがれ出るための穴。転じて、うまく逃れる手段。「法律の―」 ぬけ‐い・ず抜け出づ‥イヅ 〔自下二〕 ①抜けて出る。離れて出る。狂言、成上り「太刀…おのれと―・でて」 ②のがれ出る。ひそかに出る。浄瑠璃、女殺油地獄「此の世の果報の付き時と内を―・で一散に、足に任せて」 ③高くあらわれ出る。神代紀「葦牙あしかびの―・でたるが如し」 ④他よりすぐれる。ぬきんでる。源氏物語賢木「世に―・でぬる人の御あたりは」 ぬけ‐いど抜け井戸‥ヰ‥ 中に抜け道の穴を設けた井戸。浄瑠璃、本朝廿四孝「かねて用意のあの―」 ぬけ‐い・る抜け入る】 〔自四〕 くぐりぬけて入りこむ。 ぬけ‐うら抜け裏】 通り抜けられる裏道。ぬけみち。 ぬけ‐うり抜け売(→)「抜け荷」に同じ。 ぬけ‐お・ちる抜け落ちる】 〔自上一〕 ①生えたり刺さったりしているものが抜けて落ちる。脱落する。 ②そろっているものの一部が欠ける。脱落する。「3行―・ちている」 ぬけ‐がい抜け買‥ガヒ (→)「抜け荷」に同じ。 ぬけ‐がけ抜け駆け】 ①戦陣でひそかに陣屋を抜け出して先駆けすること。太平記3「―して独り高名に備へんとや思ひけん」 ②転じて、他を出し抜いて事をすること。「―の功名」 ぬけ‐がみ抜け髪】 抜け落ちた髪の毛。抜け毛。 ぬけ‐がら抜け殻・脱け殻】 ①蛇・蝉などの脱皮したあとの皮殻。 ②あるものが居なくなったあとの、家や寝床。 ③心が他にうつってうつろな人。虚脱状態の人。「魂の―」 ぬけがら抜殻・蛻】 狂言。太郎冠者が酔って使いに出た途中、野原で眠る。後をつけた主がこれを見、鬼の面をかぶせる。冠者は知らずに水面に顔をうつして鬼になったかと驚き、自殺しようとすると面がぬげる。 ぬけ‐かわ・る抜け代わる‥カハル 〔自五〕 毛や歯などの、古いのが抜けて新しいのが生える。生えかわる。「羽が―・る」 ぬけ‐く抜け句】 言い逃れに言う文句。傾城禁短気「どうも―がないによりて」 ぬけ‐ぐち抜け口】 ①責任をのがれるための文句。ぬけことば。逃げ口上。 ②逃げ道。 ぬけ‐くび抜け首】 ろくろくび。 ぬけ‐げ抜け毛・脱け毛】 ぬけ落ちた髪の毛。ぬけがみ。だつもう。 ぬけ‐こうじ抜小路‥ヂ 通りぬけができる小路。抜露地ぬけろじ。↔袋小路 ぬけ‐ことば抜け詞】 言いぬけのことば。逃げ口上。ぬけぐち。 ぬけさく抜作】 遅鈍な人、まぬけな者をあざけって、人名めかしていう語。 ぬけ‐ざけ抜け酒】 脱税の密造酒。 ぬけ‐さんぐう抜け参宮(→)「抜け参り」に同じ。 ぬけ‐じ脱け字】 書き落とした文字。だつじ。 ぬけ‐じ脱痔‥ヂ 直腸脱。脱肛。じぬけ。 ぬけ‐しゅう抜衆】 ①他よりぬけ出てすぐれている人。 ②まぬけ。ぬけさく。 ぬけ‐す抜巣】 空家あきやの隠語。 ぬけ‐そ抜けそ】 「抜けそけ」の略。 ぬけ‐そけ抜けそけ】 人に気づかれないようにその場を抜け出ること。だまって中座すること。また、夜逃げ。浄瑠璃、仮名手本忠臣蔵「どうでこの内を―するのかして」 ぬけ‐だ・す抜け出す・脱け出す】 〔自五〕 ①ぬけて出る。そっと逃げ出す。「会議を―・す」「混戦から―・す」 ②ぬけはじめる。 ぬけ・でる抜け出る】 〔自下一〕 ①中から抜けて出る。離れて出る。「刀身が―・でる」 ②高くあらわれ出る。「周囲から―・でたビル」 ③他よりすぐれる。ぬきんでる。「―・でた逸材」 ④(「脱け出る」とも)ひそかにのがれ出る。ある悪い状況を離れて出る。「家を―・でて会いに行く」「長い混迷から―・でる」 ぬけ‐に抜け荷】 江戸時代、禁を犯して密貿易すること。またその荷物。抜け買。抜け売。ぬきに。 ぬけ‐ぬけ抜け抜け】 ①次第に列を離れてゆくさま。ひそかに逃れ出るさま。太平記6「さきがけの兵共、―に赤坂の城へ向かつて」 ②巧みに言いぬけをするさま。また、知って知らない風をするさま。しらじらしいさま。あつかましいことを平気でするさま。浄瑠璃、鑓の権三重帷子「侍の、―とよう嘘をつかしやんす」。「―としらを切る」 ③愚鈍で他にあざむかれるさま。沙石集5「虬きく、―として帰りぬ」 ぬけ‐ば抜け歯】 抜け落ちた歯。また、ところどころが抜け欠けた歯ならび。 ぬけ‐ふう抜け風】 まのぬけた風体。とんちんかんな様子。 ぬけ‐ぶね抜船】 ①番を定めて役目を持っている船を、臨時に別の用に使うこと。他船を出しぬくこと。また、その船。好色一代男5「同じ心の瓢金玉、―を急がせ」 ②密貿易の船。 ③(遊里語)他を出しぬくこと。ぬけがけ。 ぬけ‐まいり抜け参り‥マヰリ 父母または主人の許可を受けずに家を抜け出て、伊勢神宮に参拝すること。江戸時代にしばしば流行し、帰ってからも罰せられない習わしであった。抜け参宮。〈[季]春〉。芳賀矢一、国民性十論「―といつて、殆ど無銭旅行をしてまでも陸続として出かけるのである」→御蔭参り ぬけまる抜丸】 平家相伝の太刀の名。 ぬけ‐みち抜け道】 ①本道以外の近道。間道。 ②逃げ道。 ③転じて、逃れるべきてだて。言いぬけの手段。「法の―」 ぬけ‐め抜け目】 ①抜けたところ。欠けたところ。おち。もれ。 ②気の配り方の足りないところ。てぬかり。 ⇒抜け目がない

ぬけ【抜け・脱け】🔗🔉

ぬけ抜け・脱け】 ①ぬけること。もれること。「名簿に―がある」 ②知恵の足りないこと。 ③「ぬけぐち」の略。 ④俳諧で、主題を句の表面に表さないで、暗にそれをほのめかす技法。ぬけがら。ぬき。

ぬけ‐あが・る【抜け上がる】🔗🔉

ぬけ‐あが・る抜け上がる】 〔自五〕 ①高く抜け出る。鴉鷺合戦物語「色白く頸の骨―・りて」 ②頭髪の生えぎわが額ひたいの上方に上がる。はげ上がる。「額が―・る」

ぬけ‐あきない【抜け商い】‥アキナヒ🔗🔉

ぬけ‐あきない抜け商い‥アキナヒ 規則を犯し、または仲間を出し抜いて、ひそかに商売をすること。密売買。→抜け荷

ぬけ‐あし【抜け足】🔗🔉

ぬけ‐あし抜け足(→)「抜き足」に同じ。

ぬけ‐あな【抜け穴】🔗🔉

ぬけ‐あな抜け穴】 ①通り抜けられる穴。 ②ひそかにのがれ出るための穴。転じて、うまく逃れる手段。「法律の―」

ぬけ‐い・ず【抜け出づ】‥イヅ🔗🔉

ぬけ‐い・ず抜け出づ‥イヅ 〔自下二〕 ①抜けて出る。離れて出る。狂言、成上り「太刀…おのれと―・でて」 ②のがれ出る。ひそかに出る。浄瑠璃、女殺油地獄「此の世の果報の付き時と内を―・で一散に、足に任せて」 ③高くあらわれ出る。神代紀「葦牙あしかびの―・でたるが如し」 ④他よりすぐれる。ぬきんでる。源氏物語賢木「世に―・でぬる人の御あたりは」

ぬけ‐いど【抜け井戸】‥ヰ‥🔗🔉

ぬけ‐いど抜け井戸‥ヰ‥ 中に抜け道の穴を設けた井戸。浄瑠璃、本朝廿四孝「かねて用意のあの―」

ぬけ‐い・る【抜け入る】🔗🔉

ぬけ‐い・る抜け入る】 〔自四〕 くぐりぬけて入りこむ。

ぬけ‐うら【抜け裏】🔗🔉

ぬけ‐うら抜け裏】 通り抜けられる裏道。ぬけみち。

ぬけ‐うり【抜け売】🔗🔉

ぬけ‐うり抜け売(→)「抜け荷」に同じ。

ぬけ‐お・ちる【抜け落ちる】🔗🔉

ぬけ‐お・ちる抜け落ちる】 〔自上一〕 ①生えたり刺さったりしているものが抜けて落ちる。脱落する。 ②そろっているものの一部が欠ける。脱落する。「3行―・ちている」

ぬけ‐がい【抜け買】‥ガヒ🔗🔉

ぬけ‐がい抜け買‥ガヒ (→)「抜け荷」に同じ。

ぬけ‐がけ【抜け駆け】🔗🔉

ぬけ‐がけ抜け駆け】 ①戦陣でひそかに陣屋を抜け出して先駆けすること。太平記3「―して独り高名に備へんとや思ひけん」 ②転じて、他を出し抜いて事をすること。「―の功名」

ぬけ‐がみ【抜け髪】🔗🔉

ぬけ‐がみ抜け髪】 抜け落ちた髪の毛。抜け毛。

ぬけ‐がら【抜け殻・脱け殻】🔗🔉

ぬけ‐がら抜け殻・脱け殻】 ①蛇・蝉などの脱皮したあとの皮殻。 ②あるものが居なくなったあとの、家や寝床。 ③心が他にうつってうつろな人。虚脱状態の人。「魂の―」

ぬけがら【抜殻・蛻】🔗🔉

ぬけがら抜殻・蛻】 狂言。太郎冠者が酔って使いに出た途中、野原で眠る。後をつけた主がこれを見、鬼の面をかぶせる。冠者は知らずに水面に顔をうつして鬼になったかと驚き、自殺しようとすると面がぬげる。

ぬけ‐かわ・る【抜け代わる】‥カハル🔗🔉

ぬけ‐かわ・る抜け代わる‥カハル 〔自五〕 毛や歯などの、古いのが抜けて新しいのが生える。生えかわる。「羽が―・る」

ぬけ‐く【抜け句】🔗🔉

ぬけ‐く抜け句】 言い逃れに言う文句。傾城禁短気「どうも―がないによりて」

ぬけ‐ぐち【抜け口】🔗🔉

ぬけ‐ぐち抜け口】 ①責任をのがれるための文句。ぬけことば。逃げ口上。 ②逃げ道。

ぬけ‐くび【抜け首】🔗🔉

ぬけ‐くび抜け首】 ろくろくび。

ぬけ‐げ【抜け毛・脱け毛】🔗🔉

ぬけ‐げ抜け毛・脱け毛】 ぬけ落ちた髪の毛。ぬけがみ。だつもう。

ぬけ‐ことば【抜け詞】🔗🔉

ぬけ‐ことば抜け詞】 言いぬけのことば。逃げ口上。ぬけぐち。

ぬけさく【抜作】🔗🔉

ぬけさく抜作】 遅鈍な人、まぬけな者をあざけって、人名めかしていう語。

ぬけ‐ざけ【抜け酒】🔗🔉

ぬけ‐ざけ抜け酒】 脱税の密造酒。

ぬけ‐さんぐう【抜け参宮】🔗🔉

ぬけ‐さんぐう抜け参宮(→)「抜け参り」に同じ。

ぬけ‐そ【抜けそ】🔗🔉

ぬけ‐そ抜けそ】 「抜けそけ」の略。

ぬけ‐そけ【抜けそけ】🔗🔉

ぬけ‐そけ抜けそけ】 人に気づかれないようにその場を抜け出ること。だまって中座すること。また、夜逃げ。浄瑠璃、仮名手本忠臣蔵「どうでこの内を―するのかして」

ぬけ‐だ・す【抜け出す・脱け出す】🔗🔉

ぬけ‐だ・す抜け出す・脱け出す】 〔自五〕 ①ぬけて出る。そっと逃げ出す。「会議を―・す」「混戦から―・す」 ②ぬけはじめる。

ぬけ・でる【抜け出る】🔗🔉

ぬけ・でる抜け出る】 〔自下一〕 ①中から抜けて出る。離れて出る。「刀身が―・でる」 ②高くあらわれ出る。「周囲から―・でたビル」 ③他よりすぐれる。ぬきんでる。「―・でた逸材」 ④(「脱け出る」とも)ひそかにのがれ出る。ある悪い状況を離れて出る。「家を―・でて会いに行く」「長い混迷から―・でる」

ぬけ‐に【抜け荷】🔗🔉

ぬけ‐に抜け荷】 江戸時代、禁を犯して密貿易すること。またその荷物。抜け買。抜け売。ぬきに。

ぬけ‐ぬけ【抜け抜け】🔗🔉

ぬけ‐ぬけ抜け抜け】 ①次第に列を離れてゆくさま。ひそかに逃れ出るさま。太平記6「さきがけの兵共、―に赤坂の城へ向かつて」 ②巧みに言いぬけをするさま。また、知って知らない風をするさま。しらじらしいさま。あつかましいことを平気でするさま。浄瑠璃、鑓の権三重帷子「侍の、―とよう嘘をつかしやんす」。「―としらを切る」 ③愚鈍で他にあざむかれるさま。沙石集5「虬きく、―として帰りぬ」

ぬけ‐ば【抜け歯】🔗🔉

ぬけ‐ば抜け歯】 抜け落ちた歯。また、ところどころが抜け欠けた歯ならび。

ぬけ‐ふう【抜け風】🔗🔉

ぬけ‐ふう抜け風】 まのぬけた風体。とんちんかんな様子。

ぬけ‐まいり【抜け参り】‥マヰリ🔗🔉

ぬけ‐まいり抜け参り‥マヰリ 父母または主人の許可を受けずに家を抜け出て、伊勢神宮に参拝すること。江戸時代にしばしば流行し、帰ってからも罰せられない習わしであった。抜け参宮。〈[季]春〉。芳賀矢一、国民性十論「―といつて、殆ど無銭旅行をしてまでも陸続として出かけるのである」→御蔭参り

ぬけまる【抜丸】🔗🔉

ぬけまる抜丸】 平家相伝の太刀の名。

ぬけ‐みち【抜け道】🔗🔉

ぬけ‐みち抜け道】 ①本道以外の近道。間道。 ②逃げ道。 ③転じて、逃れるべきてだて。言いぬけの手段。「法の―」

ぬけ‐め【抜け目】🔗🔉

ぬけ‐め抜け目】 ①抜けたところ。欠けたところ。おち。もれ。 ②気の配り方の足りないところ。てぬかり。 ⇒抜け目がない ○抜け目がないぬけめがない 自分の利益のために十分気を配っており、抜けたところがない。 ⇒ぬけ‐め【抜け目】

○抜け目がないぬけめがない🔗🔉

○抜け目がないぬけめがない 自分の利益のために十分気を配っており、抜けたところがない。 ⇒ぬけ‐め【抜け目】 ぬけ‐もの抜け物】 ①すばらしい物。抜群のもの。 ②盗み取った物。盗品。 ⇒ぬけもの‐かい【抜物買】 ぬけ‐もの抜け者】 仲間はずれ。のけもの。 ぬけもの‐かい抜物買‥カヒ 盗品を買うこと。また、その人。 ⇒ぬけ‐もの【抜け物】 ぬ・ける抜ける】 〔自下一〕[文]ぬ・く(下二) ふさいでいるものを細長いものが突き破って向う側に出る。また、そのようにして中にあるものが消え失せる。 ①つらぬく。とおる。名義抄「徹、トホル・イタル・ヌク。貫、ツラヌク・ヌク・ウカツ」。続猿蓑「藪から村へ―・ける裏道」(支考) ②するりと出る。中にはまっている物がとれてなくなる。新撰六帖3「大井川浪打つせきの古杭はくつろぎながら―・くる世もなし」。平治物語「太刀―・けて大蛇の首を斬り、かへつてさやにおさまりぬ」。天草本伊曾保物語「齢よわいも傾いて歯も―・け」。日葡辞書「ハレモノノネガヌケタ」。曠野「はねの―・けたる黒き唐丸」(鼠弾)。「髪が―・ける」「底が―・ける」 ③身をひく。離脱する。脱退する。脱落する。「会から―・ける」「一いち―・けた」 ④そこを通って向う側へ出る。「トンネルを―・ける」「人ごみを―・ける」 ⑤ひいでる。ぬきんでる。源氏物語絵合「よはひ足らで、つかさ位高くのぼり世に―・けぬる人の、長くえたもたぬわざなりけり」。保元物語「馬居・事柄、群に―・けてあつぱれ大将軍なり」 ⑥先になる。日葡辞書「ユキヌクル」 ⑦のがれる。逃げ去る。平治物語「爰ここにありては悪しかりなんと思ひ給ひて、足に任せて―・け給ふ」 ⑧なくなる。消え失せる。好色一代男6「貴様に着せたらば(魂が)―・ける程よき羽織ならん」。「香りが―・ける」「幼さが―・けない」 ⑨力がなくなる。立てないようになる。義経記5「腰や―・けたりけん…高這ひにして三方へ逃げ散る」。「力が―・ける」 ⑩知恵が足りない。間が抜けている。「少々―・けた男だ」 ⑪洩れる。欠ける。脱落する。「名簿に名前が―・けている」「主語が―・ける」 ぬ・げる脱げる】 〔自下一〕[文]ぬ・ぐ(下二) 身に着けたものがひとりでに取れて離れる。外側を覆い包んでいたものが取れて離れる。玉塵抄44「肌皮の―・げたばかりの黒米の飯いい」。「帽子が―・げる」 ぬけ‐ろじ抜露地‥ヂ (→)抜小路ぬけこうじに同じ。 ぬさ】 ①麻・木綿・帛または紙などでつくって、神に祈る時に供え、または祓はらえにささげ持つもの。みてぐら。にぎて。幣束。古事記「更に国の大―を取りて」 幣 ②贈り物。増鏡「上下色々の―多かりし中に」 ぬさ‐うち幣打ち(→)「ぬさかけ」に同じ。 ぬさ‐かけ幣掛け】 東日本で、正月に山の神をまつる行事。藁を束ねたぬさを木につりさげる。ぬさうち。のさかけ。 ぬさ‐ぶくろ幣袋】 旅行の安全を祈るため、神にささげる細かい絹布または紙の幣を入れて携えた袋。落窪物語4「唐櫃の大きさに満ちたる―」 ぬさ‐ふり幣振】 三つ物㋑で、馬場にいて執行の順序を幣を振って示す役。 ぬし】 [一]〔名〕 ①土地や家などを領有し、支配する人。また一般に、ある事を主宰する人。首長。君主。古事記「おれ大国―の神となり」。古事記「意富多多泥古おおたたねこの命を以て神かむ―と為て、御諸みもろ山に意富美和おおみわの大神の前を拝いつき祭りたまひき」。「世帯―」 ②主人の尊称。(後世は尊敬の意を失う)しゅう。竹取物語「うたてある―の御許に仕うまつりて」 ③人・相手の尊称。土佐日記「仲麻呂の―」 ④所有者。持主。枕草子28「わが乗りたるは、その車の―さへにくし」。「家―」 ⑤ある行為をした人。ある事柄の中心となる人。本人。当人。「うわさの―」「落し―」「声の―」 ⑥おっと。良人。「―ある身」 ⑦山または河などに古くからすんで霊力があるといわれる動物。転じて、ある場所に長く住みついている人。沙石集7「この沼の―」。「長屋の―」 [二]〔代〕 あなた。また、女から親密な男を呼ぶ語。大鏡「―のみ年は、おのれにはこよなくまさり給へらんかし」。「―さん、お出でなさいませ」 ⇒主ある詞 ⇒主ある花 ぬ‐し塗師】 (ヌリシの促音便ヌッシの促音の表記されない形) ①漆細工・漆器製造を業とする人。ぬしや。 ②狂言。(→)「塗師平六」に同じ。 塗師 撮影:神田佳明(所蔵:山本東次郎家) ぬじ】 「にじ」の古形。のじ。天武紀「大きなる―有り」

ぬけ‐もの【抜け物】🔗🔉

ぬけ‐もの抜け物】 ①すばらしい物。抜群のもの。 ②盗み取った物。盗品。 ⇒ぬけもの‐かい【抜物買】

ぬけ‐もの【抜け者】🔗🔉

ぬけ‐もの抜け者】 仲間はずれ。のけもの。

ぬ・ける【抜ける】🔗🔉

ぬ・ける抜ける】 〔自下一〕[文]ぬ・く(下二) ふさいでいるものを細長いものが突き破って向う側に出る。また、そのようにして中にあるものが消え失せる。 ①つらぬく。とおる。名義抄「徹、トホル・イタル・ヌク。貫、ツラヌク・ヌク・ウカツ」。続猿蓑「藪から村へ―・ける裏道」(支考) ②するりと出る。中にはまっている物がとれてなくなる。新撰六帖3「大井川浪打つせきの古杭はくつろぎながら―・くる世もなし」。平治物語「太刀―・けて大蛇の首を斬り、かへつてさやにおさまりぬ」。天草本伊曾保物語「齢よわいも傾いて歯も―・け」。日葡辞書「ハレモノノネガヌケタ」。曠野「はねの―・けたる黒き唐丸」(鼠弾)。「髪が―・ける」「底が―・ける」 ③身をひく。離脱する。脱退する。脱落する。「会から―・ける」「一いち―・けた」 ④そこを通って向う側へ出る。「トンネルを―・ける」「人ごみを―・ける」 ⑤ひいでる。ぬきんでる。源氏物語絵合「よはひ足らで、つかさ位高くのぼり世に―・けぬる人の、長くえたもたぬわざなりけり」。保元物語「馬居・事柄、群に―・けてあつぱれ大将軍なり」 ⑥先になる。日葡辞書「ユキヌクル」 ⑦のがれる。逃げ去る。平治物語「爰ここにありては悪しかりなんと思ひ給ひて、足に任せて―・け給ふ」 ⑧なくなる。消え失せる。好色一代男6「貴様に着せたらば(魂が)―・ける程よき羽織ならん」。「香りが―・ける」「幼さが―・けない」 ⑨力がなくなる。立てないようになる。義経記5「腰や―・けたりけん…高這ひにして三方へ逃げ散る」。「力が―・ける」 ⑩知恵が足りない。間が抜けている。「少々―・けた男だ」 ⑪洩れる。欠ける。脱落する。「名簿に名前が―・けている」「主語が―・ける」

ばっく‐よらく【抜苦与楽】🔗🔉

ばっく‐よらく抜苦与楽】 仏・菩薩が衆生しゅじょうの苦しみを取り除き、安楽を与えること。

ばつ‐ぐん【抜群】🔗🔉

ばつ‐ぐん抜群】 (古くはバックン) ①多くのものの中で殊にすぐれぬきんでていること。群を抜いていること。太平記12「縦先々―の忠ありといふとも」。「―の働き」「人気―」 ②はなはだしいこと。非常に。大変。狂言、賽の目「目の数も―ちがふ」。日葡辞書「トシノホドヨリモバックンヲトナシュウミユル」

ばっ‐けん【抜剣】🔗🔉

ばっ‐けん抜剣】 剣を抜き放つこと。また、その剣。

[漢]抜🔗🔉

 字形  筆順 〔手(扌)部4画/7画/常用/4020・4834〕 [拔] 字形 〔手(扌)部5画/8画/5722・5936〕 〔音〕バツ(呉) 〔訓〕く・ける・かす・かる [意味] ①ひきぬく。ぬきとる。とり除く。「抜刀・抜歯・抜糸・堅忍不抜・抜本塞源ばっぽんそくげん」 ②えりぬく。多くの中からえらびとる。「抜擢ばってき・抜粋・選抜・簡抜」 ③ぬけ出る。他より特にすぐれる。ぬきんでる。「抜群・奇抜・海抜・卓抜・秀抜・警抜」 [解字] 形声。「手」+音符「」(=はねる)。余分なものをはねのけて必要なものだけを手でぬき出す意。は異体字。

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