複数辞典一括検索+![]()
![]()
○糸を引くいとをひく🔗⭐🔉
○糸を引くいとをひく
操人形を糸で動かすように、裏面で人を思うようにあやつる。また、ことがうまく運ぶように、裏で力添えをする。
⇒いと【糸】
い‐とん【猗頓】
中国春秋時代、魯の人。陶朱公(越の范蠡はんれい)に致富の術を教えられて牛羊を飼育し、製塩業を起こして大富豪となる。→陶朱猗頓の富
いな【稲】
(イネの古形。複合語としてのみ用いられる)いね。「―穂」
いな【鯔】
ボラの幼魚。
いな【伊那】
長野県伊那盆地北部の市。天竜川の段丘上に位置し、かつて養蚕業が盛んであったが、今は電子・精密機械工業が立地。人口7万2千。
いな【伊奈】
姓氏の一つ。
⇒いな‐ただつぐ【伊奈忠次】
い‐な【維那】ヰ‥
〔仏〕三綱さんごうの一つ。寺中の寺務をつかさどる役。綱維。知事。都維那ついな。禅家ではイノ・イノウと読む。
い‐な
〔助詞〕
(終助詞イ・ナの複合したもの)肯定・疑問・命令など種々の文末に付いて、感動その他の語勢を添える。浄瑠璃、ひらかな盛衰記「切れてお果なされたと―」
い‐な【異な】
⇒い(異)2
いな【否】
〔感〕
(不同意・否定の意を表す)
①申し出を拒否する語。いやだ。万葉集20「見むと言はば―と言はめや」
②問いに対して否定的に答える語。また、発言の途中で訂正したりためらったりして発する語。いいえ。いや。そうでない。竹取物語「―、さもあらず」。「日本で、―、世界で認められた業績だ」
いな‐い【稲井】‥ヰ
田に引く水を溜めてある所。金葉和歌集賀「なはしろの水は―にまかせたり」
い‐ない【以内】
それを含み、それよりうちがわ。また、距離や時間、数量などで、それより少ない範囲。「半径10キロ―の地」「10人―」↔以外
いない‐いない‐ばあヰ‥ヰ‥
幼児をあやす動作と言葉。顔をかくして「いないいない」と言い、顔を見せて「ばあ」と言うこと。
いな‐いな【否否】
〔感〕
「いな」を強めていう語。いえいえ。いやいや。
いな‐う【否諾】
(「いな」は不承知、「う」は承諾の意を表す語)諾否だくひ。いやおう。
いな‐うしろ
〔枕〕
(語義未詳。「いなむしろ」に同じか)「かは」にかかる。万葉集8「―川に向き立ち」
いなおおせ‐どり【稲負鳥】‥オホセ‥
古歌に詠まれる鳥の名。古今伝授の三鳥(喚子鳥・百千鳥・稲負鳥)の一つ。秋来る渡り鳥というだけで不明。セキレイその他諸説がある。〈[季]秋〉。古今和歌集秋「―のなくなへに」
いなおり‐ごうとう【居直り強盗】ヰナホリガウタウ
こっそり盗みにはいった者が家人に発見され、その場で強盗に変わること。また、その強盗。
い‐なお・る【居直る】ヰナホル
〔自五〕
①すわり直して形を正す。いずまいを正す。「―・って謹聴する」
②にわかに態度を改める。特に、相手をおどすような態度に出る。居直り強盗になる。「答えに詰まって―・る」
いなか【田舎】ヰナカ
①都会から離れた土地。在郷ざいごう。ひな。地方。万葉集3「昔こそ難波なにわ―と言はれけめ今は京みやこ引き都びにけり」。「―で育つ」
②郷里。故郷。「―に帰る」「―の母を呼ぶ」
③「いなかじるこ」の略。
④「卑しい」または「粗暴な」の意を表す語。
⇒いなか‐うた【田舎歌】
⇒いなか‐うど【田舎人】
⇒いなか‐えびす【田舎夷】
⇒いなか‐がくもん【田舎学問】
⇒いなか‐かせぎ【田舎稼ぎ】
⇒いなか‐かたぎ【田舎気質】
⇒いなか‐くさ・い【田舎臭い】
⇒いなか‐ことば【田舎言葉】
⇒いなか‐ざけ【田舎酒】
⇒いなか‐ざむらい【田舎侍】
⇒いなか‐しばい【田舎芝居】
⇒いなか‐じま【田舎縞】
⇒いなか‐じ・みる【田舎染みる】
⇒いなか‐じるこ【田舎汁粉】
⇒いなか‐しんし【田舎紳士】
⇒いなか‐せかい【田舎世界】
⇒いなか‐そだち【田舎育ち】
⇒いなか‐だいじん【田舎大尽】
⇒いなか‐だち【田舎立ち】
⇒いなか‐だ・つ【田舎だつ】
⇒いなか‐だんご【田舎団子】
⇒いなか‐づくり【田舎作り】
⇒いなか‐づと【田舎裹】
⇒いなか‐っ‐ぺえ【田舎っ兵衛】
⇒いなか‐っ‐ぽう【田舎っぽう】
⇒いなか‐で【田舎出】
⇒いなか‐なまり【田舎訛】
⇒いなか‐はいで【田舎這い出】
⇒いなか・びる【田舎びる】
⇒いなか‐ぶし【田舎節】
⇒いなか‐ま【田舎間】
⇒いなか‐まわり【田舎回り】
⇒いなか‐まんじゅう【田舎饅頭】
⇒いなか‐みそ【田舎味噌】
⇒いなか‐むしゃ【田舎武者】
⇒いなか‐むすめ【田舎娘】
⇒いなか‐め・く【田舎めく】
⇒いなか‐もの【田舎者】
⇒いなか‐や【田舎家】
⇒いなか‐やくしゃ【田舎役者】
⇒いなか‐わざ【田舎業】
⇒いなか‐わすれ【田舎忘れ】
⇒いなか‐わたらい【田舎渡らい】
い‐なか【亥中】ヰ‥
亥刻いのこくの上刻と下刻との間。今の午後10時頃に当たる。
⇒いなか‐の‐つき【亥中の月】
いなか‐うた【田舎歌】ヰナカ‥
田舎でうたわれる俗歌。ひなうた。
⇒いなか【田舎】
いなか‐うど【田舎人】ヰナカ‥
田舎に住む人。いなかびと。〈伊京集〉
⇒いなか【田舎】
いなか‐えびす【田舎夷】ヰナカ‥
いなか者を軽蔑していう語。
⇒いなか【田舎】
いなか‐がくもん【田舎学問】ヰナカ‥
時代ばなれした古くさい学問。
⇒いなか【田舎】
いなか‐かせぎ【田舎稼ぎ】ヰナカ‥
都会の人が田舎に行って稼ぐこと。いなかまわり。
⇒いなか【田舎】
いなか‐かたぎ【田舎気質】ヰナカ‥
田舎の人に共通する特有の素朴で粗野な気質。
⇒いなか【田舎】
いながき【稲垣】
姓氏の一つ。
⇒いながき‐たるほ【稲垣足穂】
⇒いながき‐ひろし【稲垣浩】
いながき‐たるほ【稲垣足穂】
小説家。大阪生れ。関西学院中等部卒。前衛芸術の洗礼と宇宙・器械・少年への偏愛を基盤として、モザイク風な手法でメルヘン世界を構成。著「一千一秒物語」「少年愛の美学」など。(1900〜1977)
⇒いながき【稲垣】
いながき‐ひろし【稲垣浩】
映画監督。東京生れ。作「宮本武蔵」「無法松の一生」「忘れられた子等」など。脚本も多い。(1905〜1980)
⇒いながき【稲垣】
いなかきょうし【田舎教師】ヰナカケウ‥
小説。田山花袋作。1909年(明治42)刊。自我に目ざめながら、貧しさゆえに埼玉県羽生の片田舎で若くして病死した一代用教員の悲劇を描く。日本自然主義文学の代表作。
→文献資料[田舎教師]
いなか‐くさ・い【田舎臭い】ヰナカ‥
〔形〕
いなか者の風である。都会風に洗練されていず、やぼったい。
⇒いなか【田舎】
いな‐かけ【稲掛け】
⇒いねかけ。〈日葡辞書〉
いなかげんじ【田舎源氏】ヰナカ‥
「偐紫にせむらさき田舎源氏」の略称。
いなか‐ことば【田舎言葉】ヰナカ‥
田舎の人の使う言葉。狭義の方言。
⇒いなか【田舎】
いなか‐ざけ【田舎酒】ヰナカ‥
田舎で醸造した酒。地酒。
⇒いなか【田舎】
いなか‐ざむらい【田舎侍】ヰナカザムラヒ
田舎育ちの粗野な侍。いなかさぶらい。↔京侍。
⇒いなか【田舎】
いなか‐しばい【田舎芝居】ヰナカ‥ヰ
地方の小都市や村などで演じられる、粗雑な芝居。また、へたな芝居をののしっていう称。
⇒いなか【田舎】
いなか‐じま【田舎縞】ヰナカ‥
手織縞ておりじまの異称。島崎藤村、千曲川のスケッチ「―の手織物を着て紺の前垂を掛けた」
⇒いなか【田舎】
いなか‐じ・みる【田舎染みる】ヰナカ‥
〔自上一〕
田舎人のようになる。田舎風となる。いなかびる。
⇒いなか【田舎】
いなか‐じるこ【田舎汁粉】ヰナカ‥
つぶしあんの汁粉。→御膳ごぜん汁粉。
⇒いなか【田舎】
いなか‐しんし【田舎紳士】ヰナカ‥
身なりは紳士のようでも、どこか洗練されていない人。田紳でんしん。夏目漱石、こゝろ「比較的上品な嗜好しこうを有もつた―だつたのです」
⇒いなか【田舎】
いな‐かず【稲数】
刈稲10束ごとに1穂ずつを抜き保存したもの。神事に用いる。
い‐なが・す【射流す】
〔他四〕
射てそらす。射はずす。
いなか‐せかい【田舎世界】ヰナカ‥
田舎の土地。地方。大鏡師輔「―まで聞きつぎ奉りて」
⇒いなか【田舎】
いなか‐そだち【田舎育ち】ヰナカ‥
田舎で育ち都会のことを知らないこと。また、その人。いなかだち。
⇒いなか【田舎】
いなか‐だいじん【田舎大尽】ヰナカ‥
①田舎者の金持。
②田舎の人で大尽遊びをする人。
⇒いなか【田舎】
いなか‐だち【田舎立ち】ヰナカ‥
いなかめいたこと。また、いなか育ち。古今著聞集17「このぬしは―のものなれば」
⇒いなか【田舎】
いなか‐だ・つ【田舎だつ】ヰナカ‥
〔自四〕
田舎らしくなる。いなかめく。枕草子99「―・ちことそぎて」
⇒いなか【田舎】
いなか‐だんご【田舎団子】ヰナカ‥
つぶしあんをまぶした団子。
⇒いなか【田舎】
いなか‐づくり【田舎作り】ヰナカ‥
刺身の厚く作ったもの。
⇒いなか【田舎】
いなか‐づと【田舎裹】ヰナカ‥
田舎からのみやげ。
⇒いなか【田舎】
いなか‐っ‐ぺえ【田舎っ兵衛】ヰナカ‥ヱ
田舎の人を馬鹿にしていう語。いなかっぺ。
⇒いなか【田舎】
いなか‐っ‐ぽう【田舎っぽう】ヰナカ‥
(→)「いなかっぺえ」に同じ。
⇒いなか【田舎】
いなか‐で【田舎出】ヰナカ‥
田舎から出てきた者。
⇒いなか【田舎】
いなか‐なまり【田舎訛】ヰナカ‥
言葉に地方特有の言い方があること。また、その言葉。おくになまり。
⇒いなか【田舎】
いなか‐の‐つき【亥中の月】ヰ‥
(亥中の頃、東天に上るからいう)陰暦20日の夜の月。ふけまちづき。〈[季]秋〉
⇒い‐なか【亥中】
いなか‐はいで【田舎這い出】ヰナカハヒデ
田舎出を強めていう語。
⇒いなか【田舎】
いなか・びる【田舎びる】ヰナカ‥
〔自上一〕[文]ゐなか・ぶ(上二)
いなかじみる。源氏物語関屋「―・びず、由ありて」
⇒いなか【田舎】
いな‐かぶ【稲株】
稲を刈ったあとの株。
いなか‐ぶし【田舎節】ヰナカ‥
①民謡。多く、歌舞伎舞踊の民謡を取り入れた部分を言う。
②律音階の旧称。民謡の音階に多用されることからの命名。
⇒いなか【田舎】
いなか‐ま【田舎間】ヰナカ‥
①土地・建物に用いる尺度の単位で、1間を6尺とするもの。
②家屋で、畳の大きさを5尺8寸と2尺9寸とする造り方。柱の内法うちのりは2尺9寸の整数倍となる。京に対して、関東地方などで行われるもの。江戸間。→京間→中ちゅう京間。
⇒いなか【田舎】
いなか‐まわり【田舎回り】ヰナカマハリ
商人・芸人などが方々の田舎を回ってかせぐこと。また、その人。どさまわり。
⇒いなか【田舎】
いなか‐まんじゅう【田舎饅頭】ヰナカ‥ヂユウ
つぶしあんを入れた饅頭。
⇒いなか【田舎】
いなか‐みそ【田舎味噌】ヰナカ‥
麦麹むぎこうじで製した、色の赤黒くからい味噌。
⇒いなか【田舎】
いなか‐むしゃ【田舎武者】ヰナカ‥
(→)田舎侍に同じ。
⇒いなか【田舎】
いなか‐むすめ【田舎娘】ヰナカ‥
田舎育ちの娘。村娘。
⇒いなか【田舎】
いなか‐め・く【田舎めく】ヰナカ‥
〔自五〕
田舎風に見える。
⇒いなか【田舎】
いなか‐もの【田舎者】ヰナカ‥
①田舎の人。田舎育ちの人。
②物を知らない粗野な人をさげすみ、ばかにしていう語。田夫野人。浮世風呂前「―でござい、冷物でござい、御免なさい」
⇒いなか【田舎】
いなか‐や【田舎家】ヰナカ‥
①田舎の家。また、粗末な家。
②都会に風流で建てた田舎風の家。
⇒いなか【田舎】
いなか‐やくしゃ【田舎役者】ヰナカ‥
田舎まわりの俳優。
⇒いなか【田舎】
いな‐がら【稲幹】
稲の茎。古事記中「―に這ひもとほろふところづら」
い‐ながら【居乍ら・坐ら】ヰ‥
①すわったままで。その場で、即座に。平家物語12「―七枚の起請文をかいて」
②動かず。外に出ず。「―にして世界を知る」
い‐なが・れる【居流れる】ヰ‥
〔自下一〕[文]ゐなが・る(下二)
①身分の順序に長く並んですわる。居並ぶ。列座する。太平記12「左右に―・れて」
②歌舞伎で、舞台に多数の俳優が順序よく整列する。
③芝居の裏方が、幕があいても各自の部屋に下がらず、舞台裏で待機して並ぶ。「すぐ幕だから―・れていて下さい」
いなか‐わざ【田舎業】ヰナカ‥
いなかめいたこしらえ。田舎風のしわざ。田舎細工。源氏物語須磨「弾棋たぎの具など―にしなして」
⇒いなか【田舎】
いなか‐わすれ【田舎忘れ】ヰナカ‥
都会に出て田舎の生活を忘れること。
⇒いなか【田舎】
いなか‐わたらい【田舎渡らい】ヰナカワタラヒ
地方を回って生活すること。田舎に出てかせぐこと。田舎回り。伊勢物語「―しける人の子ども」
⇒いなか【田舎】
いな‐ぎ【稲木】
(→)「いねかけ」に同じ。狂言、狐塚「さらば鳴子を―へゆひ付けう」
いな‐ぎ【稲城】
(古く清音)
①稲を家の周囲に積んで急場の矢防ぎとしたもの。古事記中「―を作りて待ち戦ひき」
②稲の束を貯蔵する小屋。〈[季]秋〉
⇒いなぎ‐むすび【稲城結び】
いなぎ【稲城】
東京都南西部、多摩川南岸の市。水田とナシ園を主とする農業地帯であったが、近年丘陵部を中心に住宅地化が進行。人口7万6千。
いな‐ぎ【稲置】
①古代の下級地方官。隋書東夷伝に「八十戸置一伊尼翼いなぎ如今里長也。十伊尼翼属一軍尼くに」とある。
②八色姓やくさのかばねの第8位。
いな‐ぎし【稲ぎし】
蝗いなごの異称。稲ぎち。
いな‐ぎとう【稲祈祷】‥タウ
稲作の風水害・病虫害を除き、豊作を祈る祈祷。
いなぎ‐むすび【稲城結び】
江戸時代の女の髪の結い方の一つ。
⇒いな‐ぎ【稲城】
い‐な・く【嘽く】
〔自四〕
(「い」は馬の鳴き声)馬がひんとなく。いななく。蜻蛉日記上「駒や恋ひつつ―・かせんと」
いな‐くき【稲茎】
稲を刈り取ったあとの株。
いな‐ぐら【稲倉】
稲を貯えておく倉。こめぐら。雨月物語2「―まで好みたるままの形さまなり」
いな‐くわず【稲不食】‥クハズ
牛馬の口にはめる籠。
いな‐げ
(中国・四国地方で)変なこと。妙であること。「―な天気じゃ」
いな‐こ【稲子】
竿縁さおぶち天井板の重ね目に間隙が生じるのを防ぐために取りつける竹または木の小片。
いな‐ご【稲子・蝗】
バッタ科イナゴ属の昆虫の総称。体長約3センチメートル。稲の害虫。体は緑色、翅は淡褐色。鳴かない。夏・秋に田圃・草原に多く、秋、土中に産卵する。ハネナガイナゴ・コバネイナゴなど。〈[季]秋〉
イナゴ
提供:ネイチャー・プロダクション
⇒いなご‐まろ【稲子麿】
いな‐こき【稲扱き】
⇒いねこき
い‐な‐こと【異な事】
かわったこと。妙なこと。ふしぎなこと。狂言、栗焼「はて―ぢやと存じて」
いなご‐まろ【稲子麿】
ショウリョウバッタの異称。〈倭名類聚鈔19〉
⇒いな‐ご【稲子・蝗】
いな‐さ
(中国・四国以東で)南東から吹く風。特に、台風の時期の強風。〈[季]夏〉
いな‐さ【否然】
(→)「いなせ」に同じ。日葡辞書「イナサガキコエヌ」
いな‐さく【稲作】
①稲を栽培すること。
②稲のみのりぐあい。米作。
⇒いなさく‐ちたい【稲作地帯】
いなさく‐ちたい【稲作地帯】
稲を作っている地帯。モンスーン(季節風)地帯に広く分布。
⇒いな‐さく【稲作】
いなさ‐やま【伊那佐山】
奈良県東部、宇陀市榛原はいばら区南部の山。標高638メートル。古事記中「いなさのやまのこのまゆも」
いなざわ【稲沢】‥ザハ
愛知県北西部、濃尾平野中央部の市。古代尾張国府の所在地で、美濃街道の宿駅。野菜・植木栽培が盛んで、名古屋の衛星都市。人口13万7千。
い‐なし【居做し】ヰ‥
住居のさま。すまいぶり。狂言、二人袴「こなたの内とは違うて、大きな―でござる」
いな‐しき【稲敷】
①藁を敷いて席とすること。堀河百首雑「―のふせやを見れば」
②田舎。永久百首「―や民のいとなく」
いなしき【稲敷】
茨城県南部の市。霞ヶ浦と利根川に挟まれた水郷地帯。稲作のほか、カボチャ・レンコンの栽培が盛ん。人口5万。
いなしび‐おし【稲株圧】
前年の古い稲株を田の土に踏み込む作業。いなしぶおし。
い‐なじ・む【居馴染む】ヰ‥
〔自四〕
長く居て馴れ親しむ。続猿蓑「燕つばくろの―・むそらやほととぎす」(蘆本)
いな・す【去なす・往なす】
〔他五〕
①人を行かせる。帰らせる。離縁する。狂言、今参「取り戻いて―・せ」
②相撲で、急に体をかわして相手をおよがせる。
③転じて、相手の攻撃・追及を軽くあしらう。「質問を―・す」
④愚弄する。悪口をいう。歌舞伎、韓人漢文手管始「コリヤ―・すな」
いな‐すずめ【稲雀】
熟した稲に群れをなして集まってくるスズメ。〈[季]秋〉
いな‐ずま【稲妻・電】‥ヅマ
(「稲の夫つま」の意。稲の結実の時期に多いところから、これによって稲が実るとされた)
①空中電気の放電する時にひらめく火花。多く屈折して見える。また、それが空に反映したもの。動作の敏速なさま、また瞬時的な速さのたとえに用いる。いなびかり。いなたま。いなつるび。〈[季]秋〉。古今和歌集恋「秋の田の穂の上を照らす―の光の間にも」→電光。
②稲妻形の略。
③「稲妻折れ釘」の略。
④紋所の名。屈折した稲妻の形をかたどったもの。稲妻菱など。
⑤刀の刃中の鍛目きたえめに添って強い光を発する沸にえの短い曲線。
⑥人力車・馬車などのほろを張るのに使う屈折した金具。
⇒いなずま‐おれくぎ【稲妻折れ釘】
⇒いなずま‐がた【稲妻形】
⇒いなずま‐ばしり【稲妻走り】
⇒いなずま‐びし【稲妻菱】
⇒いなずま‐もよう【稲妻模様】
⇒いなずま‐よこばい【稲妻横這】
いなずま‐おれくぎ【稲妻折れ釘】‥ヅマヲレ‥
稲妻形に二重に折れ曲がった折れ釘。稲妻。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐がた【稲妻形】‥ヅマ‥
屈曲した直線によって稲妻の形をかたどった文様。稲妻。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐ばしり【稲妻走り】‥ヅマ‥
電光の閃ひらめくように速く走ること。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐びし【稲妻菱】‥ヅマ‥
稲妻形を菱形にした文様、また紋所。
稲妻菱
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずまびょうし【稲妻表紙】‥ヅマベウ‥
「昔話むかしがたり稲妻表紙」の略称。
いなずま‐もよう【稲妻模様】‥ヅマ‥ヤウ
稲妻形の文様。雷文らいもんなど。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐よこばい【稲妻横這】‥ヅマ‥バヒ
カメムシ目ヨコバイ科の昆虫。体長5ミリメートル。体は黄褐色、前翅に稲妻形の斑紋がある。稲・麦・サトウキビなどの害虫。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐らいごろう【稲妻雷五郎】‥ヅマ‥ラウ
江戸後期の力士。第7代横綱。常陸の人。本名、根本才助。優勝10回。後輩のために「相撲訓」を書き、俳句にも親しんだ。(1798〜1877)
いな‐せ【否然】
①(「せ」は「さ(然)」の転で、承諾の意)不承知と承知。いやおう。諾否。丹後風土記逸文「―の意を知らむ」
②安否。消息。浄瑠璃、出世景清「―の便りもし給はぬは」
いな‐せ【鯔背】
(一説に、江戸日本橋魚河岸うおがしの若者が髪を「鯔背銀杏いなせいちょう」に結っていたところから)粋いきで、いさみはだの若者。また、その容姿や気風。「―な法被はっぴ姿」
⇒いなせ‐いちょう【鯔背銀杏】
いなせ‐いちょう【鯔背銀杏】‥イチヤウ
江戸日本橋の魚河岸の若者の結った髷まげ。形が鯔の背に似ているところからという。
⇒いな‐せ【鯔背】
いなだ
鰤ぶりの小さいもの。夏に多くとれる。〈[季]夏〉。物類称呼「一尺余り二尺にも至るを江戸にて―と云」
いな‐だ【稲田】
稲の植えてある田。
稲田
撮影:関戸 勇
いなだ【稲田】
姓氏の一つ。
⇒いなだ‐りゅうきち【稲田竜吉】
いなだ‐いし【稲田石】
茨城県笠間市稲田付近に産出する花崗岩。白色均質で産額は日本最大。特に東日本で建築・土木・墓石用。稲田みかげ。
いなだき【頂】
「いただき」の転。万葉集3「―にきすめる玉は二つなし」
いなた‐ご【稲田子】
イナゴの異称。稲田ぎ。稲田んば。
いな‐ただつぐ【伊奈忠次】
江戸初期の幕府代官頭。三河生れ。徳川家康の近習。初代関東郡代となり、民政家として治水・新田開発に尽力。(1550〜1610)
⇒いな【伊奈】
いな‐だに【伊那谷】
(→)伊那盆地に同じ。
いな‐たま【稲魂】
いなずま。いなびかり。
いなだ‐りゅうきち【稲田竜吉】
内科学者。愛知県生れ。九大・東大教授。ワイル病の病原体を発見。文化勲章。(1874〜1950)
⇒いなだ【稲田】
いなづ【稲津】
姓氏の一つ。
⇒いなづ‐ぎくう【稲津祇空】
いな‐づか【稲束】
1束につかねた稲。いなたば。
いなづ‐ぎくう【稲津祇空】
江戸中期の俳人。大坂の人。のち堺に住む。其角の門人。宗祇を慕い、祇空と号。書・詩文にも長じた。その俳風を法師風という。(1663〜1733)
⇒いなづ【稲津】
いな‐つるび【稲つるび】
(「つるび」は交尾・交接の意。稲の結実期に多いからいう)いなずま。いなびかり。〈[季]秋〉。天武紀下「雷電いなつるびすること甚し」
いな‐とび【鯔飛】
岩倉流泳法の技。平泳ぎの両手を真直ぐ前に出し、側方から後方水面上に現し、その手を前方に出して上半身を水面に現す泳ぎ方。
いな‐と‐よ【否とよ】
〔感〕
(他人の発言に不同意の意を表して、自分の心持を述べようとする時にいう語)いやいや。いやとよ。鶉衣「―、世にしら猫ともしら鼠ともいふにこそ」
い‐な‐な・く【嘶く】
〔自五〕
(「い」は馬の鳴き声)馬が声高く鳴く。いばゆ。〈類聚名義抄〉
いな‐なみ【稲波】
田の稲が風に吹かれて波のようにゆらぐこと。また、そのさま。〈日葡辞書〉
いな‐の【猪名野】ヰナ‥
兵庫県(摂津国)伊丹市を流れる猪名川と武庫川との間の台地。行基が造ったという昆陽池こやいけがある。為奈野。(歌枕)
いな‐の‐め
(枕詞「いなのめの」から転じて)あけがた。あけぼの。〈書言字考節用集〉。南翠外史、常陸帯「黎明いなのめ前より朝餉の支度を急がせつゝ」
⇒いなのめ‐の
いなのめ‐の
〔枕〕
(未詳。一説に、「いなのめ」は稲藁いねわらを編んで壁とした住居の、窓代りの用とした、粗い編目のことかという。また、「寝いなの目」の意かともいう)「あけ(明)」にかかる。万葉集10「―明けさりにけり」
⇒いな‐の‐め
いなば【因幡】
旧国名。今の鳥取県の東部。因州。
⇒いなば‐どう【因幡堂】
⇒いなばどう‐えんぎ【因幡堂縁起】
⇒いなば‐の‐しろうさぎ【因幡の素兎】
⇒いなば‐やくし【因幡薬師】
いな‐ば【稲場】
刈り稲の寄せ場。稲寄場。鳰場におば。狂言、法師が母「夏は田をうゑ、秋は―に行き通ひ」
いな‐ば【稲葉】
稲の葉。古今和歌集秋「昨日こそ早苗とりしかいつのまに―そよぎて秋風のふく」
いなば【稲葉】
姓氏の一つ。美濃出身の江戸時代の大名。
⇒いなば‐いってつ【稲葉一鉄】
⇒いなば‐うさい【稲葉迂斎】
いなば‐いってつ【稲葉一鉄】
安土桃山時代の武将。名は長通、また良通。剃髪して一鉄と号。美濃三人衆の一人。斎藤氏、のち織田氏に属し、姉川の戦に功あり。秀吉に仕える。文学の造詣があった。(1516〜1588)
⇒いなば【稲葉】
いなば‐うさい【稲葉迂斎】
江戸中期の儒学者。江戸の人。山崎闇斎の門人佐藤直方に学び、崎門きもんの儒学派の中心的人物。唐津藩儒。著「迂斎学話」など。(1684〜1760)→闇斎学派
⇒いなば【稲葉】
いな‐ばき【稲掃き】
「いなばきむしろ」の略。〈日葡辞書〉
⇒いなばき‐むしろ【稲掃き筵・稲掃き席】
いなばき‐むしろ【稲掃き筵・稲掃き席】
稲のもみをひろげて干すのに用いる粗いわらむしろ。いなまき。
⇒いな‐ばき【稲掃き】
いな‐ばた【稲機】
(→)「いねかけ」に同じ。
いなば‐どう【因幡堂】‥ダウ
①(→)因幡薬師に同じ。
②狂言。大酒飲みの女房を離別した男が、因幡堂にこもって夢の告げで新しい妻を得ようとしたが、前の女房の策略で再び結ばれてしまう。
⇒いなば【因幡】
いなばどう‐えんぎ【因幡堂縁起】‥ダウ‥
鎌倉時代、14世紀前半制作の絵巻。1巻。京都の因幡堂創立の由来を描く。
⇒いなば【因幡】
いなば‐の‐しろうさぎ【因幡の素兎】
出雲神話の一つ。古事記に見える。淤岐島おきのしまから因幡国に渡るため、兎が海の上に並んだ鰐鮫わにの背を欺き渡るが、最後に鰐鮫に皮を剥ぎとられる。苦しんでいるところを、大国主神に救われる。
⇒いなば【因幡】
いなば‐やくし【因幡薬師】
京都市下京区にある真言宗の寺、平等寺の通称。もと天台宗。平安中期開山。因幡国司橘行平が加露浦より引き上げた仏像を本尊とし、その邸を寺としたと伝え、孫の光朝が開山。三国伝来と称される薬師如来本尊は、日本三如来の一つ。因幡堂。
⇒いなば【因幡】
いなばやま‐じょう【稲葉山城】‥ジヤウ
岐阜城の旧称。戦国時代、斎藤道三が土岐氏を滅ぼして後、改修して美濃支配の拠点とした。ついで信長が美濃に進出、さらに大改修して岐阜城と改名。
いな‐びかり【稲光り】
(→)「いなずま」に同じ。〈[季]秋〉
いなび‐の【稲日野】
(→)印南野いなみのに同じ。万葉集3「―も去ゆき過ぎかてに思へれば」
いな・ぶ【辞ぶ・否ぶ】
〔他上二〕
(感動詞イナに動詞構成の接尾語ブの付いたもの。後、四段活用に転じた)承知しない。ことわる。源氏物語若菜上「かたく―・ぶるをせめ給へば」
いな‐ぶき【稲葺】
屋根を稲藁わらで葺くこと。また、その屋根。わらぶき。夫木和歌抄12「―の山田の庵に」
いな‐ぶし【伊那節】
長野県伊那地方の民謡。歌詞「天竜下ればしぶきに濡れる。持たせやりたや桧笠」は大正年間の新作。御岳節。
いな‐ぶね【稲舟】
刈った稲を積んで運ぶ舟。〈[季]秋〉。義経記7「―のわづらふは最上川の早き瀬」
⇒いなぶね‐の【稲舟の】
いなぶね‐の【稲舟の】
〔枕〕
(同音の反復、また軽舟であるところから)「いな(否)」「かろし」にかかる。古今和歌集東歌「最上川のぼればくだる―いなにはあらずこの月ばかり」
⇒いな‐ぶね【稲舟】
いな‐ぶら【稲ぶら】
イナムラの転。
いなべ
三重県最北端の市。名古屋に近く、自動車関連産業が立地。人口4万6千。
い‐なべ【鋳鍋】
溶融した鉄を入れて鋳型に注入するのに用いる容器。取鍋とりべ。
いな‐べ【稲贄】
(ベはニヘの略)神に供える稲の初穂。
いな‐ほ【稲穂】
(イナボとも)
①稲の穂。〈[季]秋〉。「―の波」
②紋所の一つ。稲穂にかたどったもの。いねぼ。
いな‐ぼんち【伊那盆地】
長野県南部、天竜川に沿って南北に細長く伸びる盆地。西を中央アルプス、東を南アルプスが囲む。伊那平いなだいら。伊那谷。
いなみ‐の【印南野】
兵庫県加古川市から明石市にかけての台地。(歌枕)拾遺和歌集別「女郎花おみなえし我に宿かせ―のいなといふともここをすぎめや」
いなみ‐の‐わきいらつめ【印南別嬢】
古代伝説上の人物。景行天皇に求婚されて、播磨の島に隠れた。日本武尊やまとたけるのみことの母とも。はりまのいなびのおおいらつめ。
いなみ‐ぼし【牛宿】
二十八宿の一つ。山羊座やぎざの西部。牛ぎゅう。牽牛星。
いな・む【辞む・否む】
〔他上二・五〕
(イナブの転)
①承知しない。ことわる。「援助を―・むわけにもいかない」
②否定する。蜻蛉日記中「あしともよしともあらんを、―・むまじき人は」。続草庵集「―・みむことも」。「―・みがたい事実」
い‐な・む【居並む】ヰ‥
〔自四〕
並んですわる。居並ぶ。宇津保物語藤原君「娘ども―・みて」
いな‐むし【稲虫・蝗】
稲の害虫の総称。古くは主にウンカ類を指した。〈[季]秋〉
⇒いなむし‐おくり【稲虫送り】
いなむし‐おくり【稲虫送り】
(→)「虫送り」に同じ。
⇒いな‐むし【稲虫・蝗】
いな‐むしろ【稲筵・稲蓆】
[一]〔名〕
①稲稈いねわらで織ったむしろ。一説に寝筵の意という。新古今和歌集春「嵐吹く岸の柳の―をりしく浪にまかせてぞ見る」
②田の稲の実って乱れ伏したさまをむしろに見なしていう語。山家集「夕露の玉しく小田の―かぶす穂末に月ぞすみける」
[二]〔枕〕
「かは(川)」「しく(敷く)」にかかる。万葉集11「―しきても君を見むよしもがも」
いなむら【稲村】
姓氏の一つ。
⇒いなむら‐さんぱく【稲村三伯】
いな‐むら【稲叢】
刈った稲または稲藁わらを積み重ねたもの。〈[季]秋〉。夫木和歌抄5「雁鳴きてうちつみわたる―の秋の種こそ春に蒔くらめ」
いなむら‐が‐さき【稲村ヶ崎】
神奈川県鎌倉市の南部、七里ヶ浜と由比ヶ浜との間の岬。新田義貞が名剣を投じ、干潟に乗じて鎌倉に攻め入った所。
いなむら‐さんぱく【稲村三伯】
江戸後期の蘭学者。名は箭。のち海上随鴎うながみずいおうと改名。鳥取の人。大槻玄沢に学び、蘭和辞書「ハルマ和解わげ」を編纂して蘭学の発展に寄与。晩年京都で蘭学を教授。(1758〜1811)
⇒いなむら【稲村】
いなめ‐ない【否めない】
(イナメはイナムの可能動詞イナメルの未然形)否定できない。「何人なにびとも―事実」
いな‐も‐お‐も【否も諾も】‥ヲ‥
否とも応とも。承知も不承知も。否も応も。万葉集16「―欲しき随まにまに赦すべき貌かたちは見ゆや」
い‐な‐もの【異な物】
かわったもの。妙なもの。へんなもの。不思議なもの。「縁は―、味な物」
いな‐や【稲屋】
刈り稲を収納する小屋。稲部屋。毛小屋。
いな‐や【否や】
(感動詞イナに疑問の終助詞ヤの付いたもの)
[一]〔感〕
①そうするかしないか。どうであろうか。枕草子101「思ふべしや、―。人、第一ならずはいかに」
②いやいや。いやもう。古今和歌集雑体「―思はじ思ふかひなし」
③いやこれは。さてもさても。堤中納言物語「―こは誰ぞ」
[二]〔副〕
(「…や―」の形で)そうするかしないかのうちに。ただちに。橋弁慶「胎内を下おるるや―に池のみぎはに立ち寄りて」。「聞くや―、家を飛び出した」
[三]〔名〕
([一]の名詞化)不承知。異議。また、諾否の返事。花暦八笑人「私ばかり―を申しましては」。「―を聞く」
い‐なら・う【居慣らふ】ヰナラフ
〔自四〕
すわりなれる。居ることに慣れる。源氏物語東屋「かかる物の外とには、まだ―・はず」
い‐なら・ぶ【居並ぶ】ヰ‥
〔自五〕
並んですわる。席を連ねてすわる。列座する。「―・ぶ面々」
いなり【稲荷】
(稲生いねなりの転か)
①五穀をつかさどる倉稲魂うかのみたまを祀ったもの。枕草子158「―に思ひおこしてまうでたるに」
②(御食津神みけつかみを三狐神みけつかみと付会して、稲荷の神の使いとする俗信から)狐の俗称。
③(狐の好物であるということから)「油揚げ」2の異称。また、稲荷鮨の略。
④(盗人仲間の隠語)豆腐。また、あずきめし。
⑤(芸人仲間のことば)旅芸人が町まわりの時に立てる細長い旗。
⑥稲荷町の略。
⇒いなり‐こう【稲荷講】
⇒いなり‐しんこう【稲荷信仰】
⇒いなり‐じんじゃ【稲荷神社】
⇒いなり‐ずし【稲荷鮨】
⇒いなり‐どりい【稲荷鳥居】
⇒いなり‐まち【稲荷町】
⇒いなり‐まち【稲荷待】
⇒いなり‐まつり【稲荷祭】
⇒いなり‐もうで【稲荷詣で】
⇒いなり‐やま【稲荷山】
⇒いなりやま‐こふん【稲荷山古墳】
い‐なり【居成】ヰ‥
①動かず、もとのままでいること。住んだままでいること。三河物語「此の儘―にゆるし給へと申しければ」
②年季が過ぎても、そのまま奉公を続けること。猿蓑「この春も盧同が男―にて」(史邦)
③通常の契約期間が過ぎてもそのまま同座に出演する役者。根無草「その外―・新下り、惣座中残らず罷り出で」
④(→)「居抜き」に同じ。本朝桜陰比事「借宅を―に買ひ求めけるに」
いなり‐こう【稲荷講】‥カウ
京都の伏見稲荷大社に陰暦2月初午はつうまに参詣するための講。豊川稲荷社など各地の稲荷社に参詣するものもある。〈[季]春〉
⇒いなり【稲荷】
いなり‐しんこう【稲荷信仰】‥カウ
稲荷神社の祭神として祀られる倉稲魂神うかのみたまのかみへの信仰。農耕神信仰から商業神・屋敷神など多岐の信仰に拡大し、全国的に広まった。伏見稲荷大社を中心とし、各地に稲荷社が勧請される。狐を神使とする。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐じんじゃ【稲荷神社】
京都市伏見区稲荷山の西麓にある元官幣大社。倉稲魂神うかのみたまのかみ・佐田彦神・大宮女命おおみやのめのみことを祀る。711年(和銅4)秦公伊呂具はたのきみいろくが鎮守神として創始。全国稲荷神社の総本社。二十二社の一つ。近世以来、各種産業の守護神として一般の信仰を集めた。今は伏見稲荷大社と称す。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐ずし【稲荷鮨】
甘煮の油揚げの中に、すし飯をつめた料理。すし飯に牛蒡ごぼう・人参などを刻んで煮たものや炒った麻の実をまぜたものもある。しのだずし。きつねずし。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐どりい【稲荷鳥居】‥ヰ
鳥居の一形式。柱下に亀腹かめばら、柱頭に台輪を付したもの。明神みょうじん鳥居に似る。台輪鳥居。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐まち【稲荷町】
①(楽屋に祀った稲荷明神のそばにあったところから)江戸時代、歌舞伎の立役の最下級の者のたまり部屋。
②最下級の立役の称。ぺいぺいやくしゃ。したまわり。おした。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐まち【稲荷待】
稲荷の祭。いなりまつり。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐まつり【稲荷祭】
①江戸時代、2月の初午はつうまの日の稲荷の祭。特に江戸の歌舞伎芝居の関係者が守護神として祀った。
②京都の伏見稲荷大社の4月の中の午の日の神幸祭、5月の初卯の日の還幸祭。〈[季]春〉
⇒いなり【稲荷】
いなり‐もうで【稲荷詣で】‥マウデ
2月の初午の日に稲荷社に参詣すること。福参り。→初午。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐やま【稲荷山】
京都市東山連峰の南端、深草山の北にある山。西麓に稲荷神社(伏見稲荷大社)がある。(歌枕)
⇒いなり【稲荷】
いなりやま‐こふん【稲荷山古墳】
(→)埼玉さきたま稲荷山古墳に同じ。
⇒いなり【稲荷】
いな・る
〔自四〕
うなる。古事記中「尾生ある土雲八十建やそたけるその室むろにありて待ち―・る」
いなわしろ【猪苗代】ヰナハ‥
姓氏の一つ。
⇒いなわしろ‐けんさい【猪苗代兼載】
いなわしろ‐けんさい【猪苗代兼載】ヰナハ‥
室町後期の連歌師。会津の人。心敬に学び、宗祇と並称された。句集「園塵そののちり」など。(1452〜1510)
⇒いなわしろ【猪苗代】
いなわしろ‐こ【猪苗代湖】ヰナハ‥
福島県の中央部、磐梯山の南麓にある堰止せきとめ湖。阿賀野川の水源。湖面標高514メートル。最大深度94メートル。周囲50キロメートル。面積103平方キロメートル。
猪苗代湖
撮影:山梨勝弘
い‐なん【以南】
その地点から南。一般に、その地点を含んでいう。
いに‐あし【往に足】
立ち去ろうとする足つき。
⇒いなご‐まろ【稲子麿】
いな‐こき【稲扱き】
⇒いねこき
い‐な‐こと【異な事】
かわったこと。妙なこと。ふしぎなこと。狂言、栗焼「はて―ぢやと存じて」
いなご‐まろ【稲子麿】
ショウリョウバッタの異称。〈倭名類聚鈔19〉
⇒いな‐ご【稲子・蝗】
いな‐さ
(中国・四国以東で)南東から吹く風。特に、台風の時期の強風。〈[季]夏〉
いな‐さ【否然】
(→)「いなせ」に同じ。日葡辞書「イナサガキコエヌ」
いな‐さく【稲作】
①稲を栽培すること。
②稲のみのりぐあい。米作。
⇒いなさく‐ちたい【稲作地帯】
いなさく‐ちたい【稲作地帯】
稲を作っている地帯。モンスーン(季節風)地帯に広く分布。
⇒いな‐さく【稲作】
いなさ‐やま【伊那佐山】
奈良県東部、宇陀市榛原はいばら区南部の山。標高638メートル。古事記中「いなさのやまのこのまゆも」
いなざわ【稲沢】‥ザハ
愛知県北西部、濃尾平野中央部の市。古代尾張国府の所在地で、美濃街道の宿駅。野菜・植木栽培が盛んで、名古屋の衛星都市。人口13万7千。
い‐なし【居做し】ヰ‥
住居のさま。すまいぶり。狂言、二人袴「こなたの内とは違うて、大きな―でござる」
いな‐しき【稲敷】
①藁を敷いて席とすること。堀河百首雑「―のふせやを見れば」
②田舎。永久百首「―や民のいとなく」
いなしき【稲敷】
茨城県南部の市。霞ヶ浦と利根川に挟まれた水郷地帯。稲作のほか、カボチャ・レンコンの栽培が盛ん。人口5万。
いなしび‐おし【稲株圧】
前年の古い稲株を田の土に踏み込む作業。いなしぶおし。
い‐なじ・む【居馴染む】ヰ‥
〔自四〕
長く居て馴れ親しむ。続猿蓑「燕つばくろの―・むそらやほととぎす」(蘆本)
いな・す【去なす・往なす】
〔他五〕
①人を行かせる。帰らせる。離縁する。狂言、今参「取り戻いて―・せ」
②相撲で、急に体をかわして相手をおよがせる。
③転じて、相手の攻撃・追及を軽くあしらう。「質問を―・す」
④愚弄する。悪口をいう。歌舞伎、韓人漢文手管始「コリヤ―・すな」
いな‐すずめ【稲雀】
熟した稲に群れをなして集まってくるスズメ。〈[季]秋〉
いな‐ずま【稲妻・電】‥ヅマ
(「稲の夫つま」の意。稲の結実の時期に多いところから、これによって稲が実るとされた)
①空中電気の放電する時にひらめく火花。多く屈折して見える。また、それが空に反映したもの。動作の敏速なさま、また瞬時的な速さのたとえに用いる。いなびかり。いなたま。いなつるび。〈[季]秋〉。古今和歌集恋「秋の田の穂の上を照らす―の光の間にも」→電光。
②稲妻形の略。
③「稲妻折れ釘」の略。
④紋所の名。屈折した稲妻の形をかたどったもの。稲妻菱など。
⑤刀の刃中の鍛目きたえめに添って強い光を発する沸にえの短い曲線。
⑥人力車・馬車などのほろを張るのに使う屈折した金具。
⇒いなずま‐おれくぎ【稲妻折れ釘】
⇒いなずま‐がた【稲妻形】
⇒いなずま‐ばしり【稲妻走り】
⇒いなずま‐びし【稲妻菱】
⇒いなずま‐もよう【稲妻模様】
⇒いなずま‐よこばい【稲妻横這】
いなずま‐おれくぎ【稲妻折れ釘】‥ヅマヲレ‥
稲妻形に二重に折れ曲がった折れ釘。稲妻。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐がた【稲妻形】‥ヅマ‥
屈曲した直線によって稲妻の形をかたどった文様。稲妻。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐ばしり【稲妻走り】‥ヅマ‥
電光の閃ひらめくように速く走ること。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐びし【稲妻菱】‥ヅマ‥
稲妻形を菱形にした文様、また紋所。
稲妻菱
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずまびょうし【稲妻表紙】‥ヅマベウ‥
「昔話むかしがたり稲妻表紙」の略称。
いなずま‐もよう【稲妻模様】‥ヅマ‥ヤウ
稲妻形の文様。雷文らいもんなど。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐よこばい【稲妻横這】‥ヅマ‥バヒ
カメムシ目ヨコバイ科の昆虫。体長5ミリメートル。体は黄褐色、前翅に稲妻形の斑紋がある。稲・麦・サトウキビなどの害虫。
⇒いな‐ずま【稲妻・電】
いなずま‐らいごろう【稲妻雷五郎】‥ヅマ‥ラウ
江戸後期の力士。第7代横綱。常陸の人。本名、根本才助。優勝10回。後輩のために「相撲訓」を書き、俳句にも親しんだ。(1798〜1877)
いな‐せ【否然】
①(「せ」は「さ(然)」の転で、承諾の意)不承知と承知。いやおう。諾否。丹後風土記逸文「―の意を知らむ」
②安否。消息。浄瑠璃、出世景清「―の便りもし給はぬは」
いな‐せ【鯔背】
(一説に、江戸日本橋魚河岸うおがしの若者が髪を「鯔背銀杏いなせいちょう」に結っていたところから)粋いきで、いさみはだの若者。また、その容姿や気風。「―な法被はっぴ姿」
⇒いなせ‐いちょう【鯔背銀杏】
いなせ‐いちょう【鯔背銀杏】‥イチヤウ
江戸日本橋の魚河岸の若者の結った髷まげ。形が鯔の背に似ているところからという。
⇒いな‐せ【鯔背】
いなだ
鰤ぶりの小さいもの。夏に多くとれる。〈[季]夏〉。物類称呼「一尺余り二尺にも至るを江戸にて―と云」
いな‐だ【稲田】
稲の植えてある田。
稲田
撮影:関戸 勇
いなだ【稲田】
姓氏の一つ。
⇒いなだ‐りゅうきち【稲田竜吉】
いなだ‐いし【稲田石】
茨城県笠間市稲田付近に産出する花崗岩。白色均質で産額は日本最大。特に東日本で建築・土木・墓石用。稲田みかげ。
いなだき【頂】
「いただき」の転。万葉集3「―にきすめる玉は二つなし」
いなた‐ご【稲田子】
イナゴの異称。稲田ぎ。稲田んば。
いな‐ただつぐ【伊奈忠次】
江戸初期の幕府代官頭。三河生れ。徳川家康の近習。初代関東郡代となり、民政家として治水・新田開発に尽力。(1550〜1610)
⇒いな【伊奈】
いな‐だに【伊那谷】
(→)伊那盆地に同じ。
いな‐たま【稲魂】
いなずま。いなびかり。
いなだ‐りゅうきち【稲田竜吉】
内科学者。愛知県生れ。九大・東大教授。ワイル病の病原体を発見。文化勲章。(1874〜1950)
⇒いなだ【稲田】
いなづ【稲津】
姓氏の一つ。
⇒いなづ‐ぎくう【稲津祇空】
いな‐づか【稲束】
1束につかねた稲。いなたば。
いなづ‐ぎくう【稲津祇空】
江戸中期の俳人。大坂の人。のち堺に住む。其角の門人。宗祇を慕い、祇空と号。書・詩文にも長じた。その俳風を法師風という。(1663〜1733)
⇒いなづ【稲津】
いな‐つるび【稲つるび】
(「つるび」は交尾・交接の意。稲の結実期に多いからいう)いなずま。いなびかり。〈[季]秋〉。天武紀下「雷電いなつるびすること甚し」
いな‐とび【鯔飛】
岩倉流泳法の技。平泳ぎの両手を真直ぐ前に出し、側方から後方水面上に現し、その手を前方に出して上半身を水面に現す泳ぎ方。
いな‐と‐よ【否とよ】
〔感〕
(他人の発言に不同意の意を表して、自分の心持を述べようとする時にいう語)いやいや。いやとよ。鶉衣「―、世にしら猫ともしら鼠ともいふにこそ」
い‐な‐な・く【嘶く】
〔自五〕
(「い」は馬の鳴き声)馬が声高く鳴く。いばゆ。〈類聚名義抄〉
いな‐なみ【稲波】
田の稲が風に吹かれて波のようにゆらぐこと。また、そのさま。〈日葡辞書〉
いな‐の【猪名野】ヰナ‥
兵庫県(摂津国)伊丹市を流れる猪名川と武庫川との間の台地。行基が造ったという昆陽池こやいけがある。為奈野。(歌枕)
いな‐の‐め
(枕詞「いなのめの」から転じて)あけがた。あけぼの。〈書言字考節用集〉。南翠外史、常陸帯「黎明いなのめ前より朝餉の支度を急がせつゝ」
⇒いなのめ‐の
いなのめ‐の
〔枕〕
(未詳。一説に、「いなのめ」は稲藁いねわらを編んで壁とした住居の、窓代りの用とした、粗い編目のことかという。また、「寝いなの目」の意かともいう)「あけ(明)」にかかる。万葉集10「―明けさりにけり」
⇒いな‐の‐め
いなば【因幡】
旧国名。今の鳥取県の東部。因州。
⇒いなば‐どう【因幡堂】
⇒いなばどう‐えんぎ【因幡堂縁起】
⇒いなば‐の‐しろうさぎ【因幡の素兎】
⇒いなば‐やくし【因幡薬師】
いな‐ば【稲場】
刈り稲の寄せ場。稲寄場。鳰場におば。狂言、法師が母「夏は田をうゑ、秋は―に行き通ひ」
いな‐ば【稲葉】
稲の葉。古今和歌集秋「昨日こそ早苗とりしかいつのまに―そよぎて秋風のふく」
いなば【稲葉】
姓氏の一つ。美濃出身の江戸時代の大名。
⇒いなば‐いってつ【稲葉一鉄】
⇒いなば‐うさい【稲葉迂斎】
いなば‐いってつ【稲葉一鉄】
安土桃山時代の武将。名は長通、また良通。剃髪して一鉄と号。美濃三人衆の一人。斎藤氏、のち織田氏に属し、姉川の戦に功あり。秀吉に仕える。文学の造詣があった。(1516〜1588)
⇒いなば【稲葉】
いなば‐うさい【稲葉迂斎】
江戸中期の儒学者。江戸の人。山崎闇斎の門人佐藤直方に学び、崎門きもんの儒学派の中心的人物。唐津藩儒。著「迂斎学話」など。(1684〜1760)→闇斎学派
⇒いなば【稲葉】
いな‐ばき【稲掃き】
「いなばきむしろ」の略。〈日葡辞書〉
⇒いなばき‐むしろ【稲掃き筵・稲掃き席】
いなばき‐むしろ【稲掃き筵・稲掃き席】
稲のもみをひろげて干すのに用いる粗いわらむしろ。いなまき。
⇒いな‐ばき【稲掃き】
いな‐ばた【稲機】
(→)「いねかけ」に同じ。
いなば‐どう【因幡堂】‥ダウ
①(→)因幡薬師に同じ。
②狂言。大酒飲みの女房を離別した男が、因幡堂にこもって夢の告げで新しい妻を得ようとしたが、前の女房の策略で再び結ばれてしまう。
⇒いなば【因幡】
いなばどう‐えんぎ【因幡堂縁起】‥ダウ‥
鎌倉時代、14世紀前半制作の絵巻。1巻。京都の因幡堂創立の由来を描く。
⇒いなば【因幡】
いなば‐の‐しろうさぎ【因幡の素兎】
出雲神話の一つ。古事記に見える。淤岐島おきのしまから因幡国に渡るため、兎が海の上に並んだ鰐鮫わにの背を欺き渡るが、最後に鰐鮫に皮を剥ぎとられる。苦しんでいるところを、大国主神に救われる。
⇒いなば【因幡】
いなば‐やくし【因幡薬師】
京都市下京区にある真言宗の寺、平等寺の通称。もと天台宗。平安中期開山。因幡国司橘行平が加露浦より引き上げた仏像を本尊とし、その邸を寺としたと伝え、孫の光朝が開山。三国伝来と称される薬師如来本尊は、日本三如来の一つ。因幡堂。
⇒いなば【因幡】
いなばやま‐じょう【稲葉山城】‥ジヤウ
岐阜城の旧称。戦国時代、斎藤道三が土岐氏を滅ぼして後、改修して美濃支配の拠点とした。ついで信長が美濃に進出、さらに大改修して岐阜城と改名。
いな‐びかり【稲光り】
(→)「いなずま」に同じ。〈[季]秋〉
いなび‐の【稲日野】
(→)印南野いなみのに同じ。万葉集3「―も去ゆき過ぎかてに思へれば」
いな・ぶ【辞ぶ・否ぶ】
〔他上二〕
(感動詞イナに動詞構成の接尾語ブの付いたもの。後、四段活用に転じた)承知しない。ことわる。源氏物語若菜上「かたく―・ぶるをせめ給へば」
いな‐ぶき【稲葺】
屋根を稲藁わらで葺くこと。また、その屋根。わらぶき。夫木和歌抄12「―の山田の庵に」
いな‐ぶし【伊那節】
長野県伊那地方の民謡。歌詞「天竜下ればしぶきに濡れる。持たせやりたや桧笠」は大正年間の新作。御岳節。
いな‐ぶね【稲舟】
刈った稲を積んで運ぶ舟。〈[季]秋〉。義経記7「―のわづらふは最上川の早き瀬」
⇒いなぶね‐の【稲舟の】
いなぶね‐の【稲舟の】
〔枕〕
(同音の反復、また軽舟であるところから)「いな(否)」「かろし」にかかる。古今和歌集東歌「最上川のぼればくだる―いなにはあらずこの月ばかり」
⇒いな‐ぶね【稲舟】
いな‐ぶら【稲ぶら】
イナムラの転。
いなべ
三重県最北端の市。名古屋に近く、自動車関連産業が立地。人口4万6千。
い‐なべ【鋳鍋】
溶融した鉄を入れて鋳型に注入するのに用いる容器。取鍋とりべ。
いな‐べ【稲贄】
(ベはニヘの略)神に供える稲の初穂。
いな‐ほ【稲穂】
(イナボとも)
①稲の穂。〈[季]秋〉。「―の波」
②紋所の一つ。稲穂にかたどったもの。いねぼ。
いな‐ぼんち【伊那盆地】
長野県南部、天竜川に沿って南北に細長く伸びる盆地。西を中央アルプス、東を南アルプスが囲む。伊那平いなだいら。伊那谷。
いなみ‐の【印南野】
兵庫県加古川市から明石市にかけての台地。(歌枕)拾遺和歌集別「女郎花おみなえし我に宿かせ―のいなといふともここをすぎめや」
いなみ‐の‐わきいらつめ【印南別嬢】
古代伝説上の人物。景行天皇に求婚されて、播磨の島に隠れた。日本武尊やまとたけるのみことの母とも。はりまのいなびのおおいらつめ。
いなみ‐ぼし【牛宿】
二十八宿の一つ。山羊座やぎざの西部。牛ぎゅう。牽牛星。
いな・む【辞む・否む】
〔他上二・五〕
(イナブの転)
①承知しない。ことわる。「援助を―・むわけにもいかない」
②否定する。蜻蛉日記中「あしともよしともあらんを、―・むまじき人は」。続草庵集「―・みむことも」。「―・みがたい事実」
い‐な・む【居並む】ヰ‥
〔自四〕
並んですわる。居並ぶ。宇津保物語藤原君「娘ども―・みて」
いな‐むし【稲虫・蝗】
稲の害虫の総称。古くは主にウンカ類を指した。〈[季]秋〉
⇒いなむし‐おくり【稲虫送り】
いなむし‐おくり【稲虫送り】
(→)「虫送り」に同じ。
⇒いな‐むし【稲虫・蝗】
いな‐むしろ【稲筵・稲蓆】
[一]〔名〕
①稲稈いねわらで織ったむしろ。一説に寝筵の意という。新古今和歌集春「嵐吹く岸の柳の―をりしく浪にまかせてぞ見る」
②田の稲の実って乱れ伏したさまをむしろに見なしていう語。山家集「夕露の玉しく小田の―かぶす穂末に月ぞすみける」
[二]〔枕〕
「かは(川)」「しく(敷く)」にかかる。万葉集11「―しきても君を見むよしもがも」
いなむら【稲村】
姓氏の一つ。
⇒いなむら‐さんぱく【稲村三伯】
いな‐むら【稲叢】
刈った稲または稲藁わらを積み重ねたもの。〈[季]秋〉。夫木和歌抄5「雁鳴きてうちつみわたる―の秋の種こそ春に蒔くらめ」
いなむら‐が‐さき【稲村ヶ崎】
神奈川県鎌倉市の南部、七里ヶ浜と由比ヶ浜との間の岬。新田義貞が名剣を投じ、干潟に乗じて鎌倉に攻め入った所。
いなむら‐さんぱく【稲村三伯】
江戸後期の蘭学者。名は箭。のち海上随鴎うながみずいおうと改名。鳥取の人。大槻玄沢に学び、蘭和辞書「ハルマ和解わげ」を編纂して蘭学の発展に寄与。晩年京都で蘭学を教授。(1758〜1811)
⇒いなむら【稲村】
いなめ‐ない【否めない】
(イナメはイナムの可能動詞イナメルの未然形)否定できない。「何人なにびとも―事実」
いな‐も‐お‐も【否も諾も】‥ヲ‥
否とも応とも。承知も不承知も。否も応も。万葉集16「―欲しき随まにまに赦すべき貌かたちは見ゆや」
い‐な‐もの【異な物】
かわったもの。妙なもの。へんなもの。不思議なもの。「縁は―、味な物」
いな‐や【稲屋】
刈り稲を収納する小屋。稲部屋。毛小屋。
いな‐や【否や】
(感動詞イナに疑問の終助詞ヤの付いたもの)
[一]〔感〕
①そうするかしないか。どうであろうか。枕草子101「思ふべしや、―。人、第一ならずはいかに」
②いやいや。いやもう。古今和歌集雑体「―思はじ思ふかひなし」
③いやこれは。さてもさても。堤中納言物語「―こは誰ぞ」
[二]〔副〕
(「…や―」の形で)そうするかしないかのうちに。ただちに。橋弁慶「胎内を下おるるや―に池のみぎはに立ち寄りて」。「聞くや―、家を飛び出した」
[三]〔名〕
([一]の名詞化)不承知。異議。また、諾否の返事。花暦八笑人「私ばかり―を申しましては」。「―を聞く」
い‐なら・う【居慣らふ】ヰナラフ
〔自四〕
すわりなれる。居ることに慣れる。源氏物語東屋「かかる物の外とには、まだ―・はず」
い‐なら・ぶ【居並ぶ】ヰ‥
〔自五〕
並んですわる。席を連ねてすわる。列座する。「―・ぶ面々」
いなり【稲荷】
(稲生いねなりの転か)
①五穀をつかさどる倉稲魂うかのみたまを祀ったもの。枕草子158「―に思ひおこしてまうでたるに」
②(御食津神みけつかみを三狐神みけつかみと付会して、稲荷の神の使いとする俗信から)狐の俗称。
③(狐の好物であるということから)「油揚げ」2の異称。また、稲荷鮨の略。
④(盗人仲間の隠語)豆腐。また、あずきめし。
⑤(芸人仲間のことば)旅芸人が町まわりの時に立てる細長い旗。
⑥稲荷町の略。
⇒いなり‐こう【稲荷講】
⇒いなり‐しんこう【稲荷信仰】
⇒いなり‐じんじゃ【稲荷神社】
⇒いなり‐ずし【稲荷鮨】
⇒いなり‐どりい【稲荷鳥居】
⇒いなり‐まち【稲荷町】
⇒いなり‐まち【稲荷待】
⇒いなり‐まつり【稲荷祭】
⇒いなり‐もうで【稲荷詣で】
⇒いなり‐やま【稲荷山】
⇒いなりやま‐こふん【稲荷山古墳】
い‐なり【居成】ヰ‥
①動かず、もとのままでいること。住んだままでいること。三河物語「此の儘―にゆるし給へと申しければ」
②年季が過ぎても、そのまま奉公を続けること。猿蓑「この春も盧同が男―にて」(史邦)
③通常の契約期間が過ぎてもそのまま同座に出演する役者。根無草「その外―・新下り、惣座中残らず罷り出で」
④(→)「居抜き」に同じ。本朝桜陰比事「借宅を―に買ひ求めけるに」
いなり‐こう【稲荷講】‥カウ
京都の伏見稲荷大社に陰暦2月初午はつうまに参詣するための講。豊川稲荷社など各地の稲荷社に参詣するものもある。〈[季]春〉
⇒いなり【稲荷】
いなり‐しんこう【稲荷信仰】‥カウ
稲荷神社の祭神として祀られる倉稲魂神うかのみたまのかみへの信仰。農耕神信仰から商業神・屋敷神など多岐の信仰に拡大し、全国的に広まった。伏見稲荷大社を中心とし、各地に稲荷社が勧請される。狐を神使とする。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐じんじゃ【稲荷神社】
京都市伏見区稲荷山の西麓にある元官幣大社。倉稲魂神うかのみたまのかみ・佐田彦神・大宮女命おおみやのめのみことを祀る。711年(和銅4)秦公伊呂具はたのきみいろくが鎮守神として創始。全国稲荷神社の総本社。二十二社の一つ。近世以来、各種産業の守護神として一般の信仰を集めた。今は伏見稲荷大社と称す。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐ずし【稲荷鮨】
甘煮の油揚げの中に、すし飯をつめた料理。すし飯に牛蒡ごぼう・人参などを刻んで煮たものや炒った麻の実をまぜたものもある。しのだずし。きつねずし。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐どりい【稲荷鳥居】‥ヰ
鳥居の一形式。柱下に亀腹かめばら、柱頭に台輪を付したもの。明神みょうじん鳥居に似る。台輪鳥居。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐まち【稲荷町】
①(楽屋に祀った稲荷明神のそばにあったところから)江戸時代、歌舞伎の立役の最下級の者のたまり部屋。
②最下級の立役の称。ぺいぺいやくしゃ。したまわり。おした。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐まち【稲荷待】
稲荷の祭。いなりまつり。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐まつり【稲荷祭】
①江戸時代、2月の初午はつうまの日の稲荷の祭。特に江戸の歌舞伎芝居の関係者が守護神として祀った。
②京都の伏見稲荷大社の4月の中の午の日の神幸祭、5月の初卯の日の還幸祭。〈[季]春〉
⇒いなり【稲荷】
いなり‐もうで【稲荷詣で】‥マウデ
2月の初午の日に稲荷社に参詣すること。福参り。→初午。
⇒いなり【稲荷】
いなり‐やま【稲荷山】
京都市東山連峰の南端、深草山の北にある山。西麓に稲荷神社(伏見稲荷大社)がある。(歌枕)
⇒いなり【稲荷】
いなりやま‐こふん【稲荷山古墳】
(→)埼玉さきたま稲荷山古墳に同じ。
⇒いなり【稲荷】
いな・る
〔自四〕
うなる。古事記中「尾生ある土雲八十建やそたけるその室むろにありて待ち―・る」
いなわしろ【猪苗代】ヰナハ‥
姓氏の一つ。
⇒いなわしろ‐けんさい【猪苗代兼載】
いなわしろ‐けんさい【猪苗代兼載】ヰナハ‥
室町後期の連歌師。会津の人。心敬に学び、宗祇と並称された。句集「園塵そののちり」など。(1452〜1510)
⇒いなわしろ【猪苗代】
いなわしろ‐こ【猪苗代湖】ヰナハ‥
福島県の中央部、磐梯山の南麓にある堰止せきとめ湖。阿賀野川の水源。湖面標高514メートル。最大深度94メートル。周囲50キロメートル。面積103平方キロメートル。
猪苗代湖
撮影:山梨勝弘
い‐なん【以南】
その地点から南。一般に、その地点を含んでいう。
いに‐あし【往に足】
立ち去ろうとする足つき。
広辞苑に「糸を引く」で始まるの検索結果 1-1。