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か・ける【掛ける(懸ける・架ける・ける)】🔗🔉

か・ける【掛ける(懸ける・架ける・ける)】 動下一 止めたり引っかけたりして、(高い所から)下げる。また、(高い所に)掲げ置く。 「壁に絵を━」 「入り口に看板を━」 「ハンガーに服を━」 「帆柱に帆を━」 「預言者を十字架に架ける「架ける」とも。 火に当てるために、容器を上からつるしたり上に置いたりする。 「鉄瓶を囲炉裏に━」 「焜炉こんろに薬罐やかんを━」 手や足で物にふれたり、指でひっかけたり、体を腰で支えたりする。 「ハンドルに手を━」 「引き金に指を━」 「階段に足を━」 「椅子いすに腰を━」 「そこに━・けなさい(=腰掛けなさい)」 体に引っかけたり体でつなぎ止めたり(して着用)する。 「バッグを肩に━」 「腰に前掛けを━」 「首にペンダントを━」 「口にマスクを━」 「眼鏡を━」 「試験のことなど歯しがにも━・けない(=問題にしない)」 「教養を鼻に━(=ひけらかす)」 はかりで重さを計測する。 「郵便物をはかりに━」 「どちらが得かを天てんびんに━(=損得を計算する)」 ◇竿さおばかりにぶらさげる意から。 そこで受け止めて、機器を使って選別などの処理をする。 「小麦粉[応募作品]をふるいに━」 「遠心分離器に━」 「輪転機に━」 重みなどの作用をそこに及ぼす。 「相手に体重を━・けて浴びせ倒す」 「重心を左足に━」 《多く「お目に━」の形で》お見せする。ご覧に入れる。 「お恥ずかしいところをお目に━・けました」 「秘蔵の家宝をお目に━・けましょう」 …てお見せするの意で、補助動詞的にも使う。「私が弾いてお目に━・けましょう」 《「心に━」「気に━」の形で》常に心にとどめて、忘れたりすることがない。 「いつも私のことを心に━・けて下さってありがたいことです」 「平静な日常生活を心に━・けてきました」 「些細なことを気に━」 「懸ける」と書くことも多い。 しかけを働かせて、本体が動かないように固定させる。 「戸に鍵かぎを━」 「両手に手錠を━」 「ボタンを━」 「(車に)ブレーキを━」 装置を動かして機能を働かせる。 「(車に)エンジンを━」 「五時ちょうどにタイマーを━」 オーディオ装置に音源をセットして、音を出す。 「ビートルズのレコードを━・けましょう」 「CDを━」 「BGMにクラシックを━」 〔布に糸を引っかけて縫うことから〕ミシンを操作して縫い物をする。 「袖そでのつけねにミシンを━」 片方から他方へまたぐように渡す。架け渡す。また、鳥が樹上や軒下など高い所に巣を作る。 「川に鉄橋を━」 「弓に弦つるを━」 「屋根にはしごを━」 「ツバメが軒下に巣を━」 ふつう「架ける」と書く。 縄・ひもなどをもののまわりに渡す。かけ渡す。 「積み荷にロープを━」 「贈り物にリボンを━」 「泥棒に縄を━(=縄で縛り上げる)」 「肩にたすきを━」 「話に輪を━(=大げさにする)」 張りめぐらすようにして作る。また、そのようにして芝居小屋などを仮設する。 「クモが天井に巣を━」 「芝居小屋を━」 劇場で芝居や映画を興行する。上演・上映する。 「世話物を舞台に━」 「三題噺ばなしを寄席よせに━」 ◇小屋を仮設して行ったことから。 物の表面にかぶせて一面を覆う。 「布団を━・けて寝る」 「食卓にテーブルクロスを━」 「本にカバーを━」 「金箔きんぱくに漆を━」 液状または粉末状のものを浴びせかける。特に、料理に調味料の類を注ぎかける。 「庭木に水を━」 「お湯を━・けて体を洗う」 「フライにソースを━」 「粉チーズを━」 〔やや古風な言い方で〕建物などに火をつける。 「城に火を━」 ことばを発して相手に届かせる。 「背後から声を━」 「励ましのことばを━」 「号令[なぞ]を━」 「ストップを━」 「お礼の電話を━」 相手に同情などの気持ちを向ける。 「情けを━」 「━・けた恵みが仇あだとなる」 「級友に思いを懸ける」 「直々に目を━・けた(=かわいがった)秘蔵っ子」 「懸ける」とも。 精神的作用(特に、迷惑や負担など好ましくないこと)を他に及ぼす。 「相手側にプレッシャーを━」 「政府筋が捜査に圧力を━」 「他人に迷惑[心配]を━」 「御足労を━・けました」 「支店長に背任の疑いを━」 《「願い[願がん]を━」「期待[希望]を━」などの形で》思いが届く(成就する)ように神仏に願う。また、ある事柄の実現に対して期待や希望の気持ちを持つ。 「合格できますようにと神様に願いを━」 「娘の音楽の才能に期待を━」 「日本の明日に望みを━」 「懸ける」とも。 相手に技や動作をしかける。また、魔法などをしかけ(て、自分で自分を制御できない状態にす)る。 「相手に必殺技を━」 「フェイントを━・けてジャブを放つ」 「姫に魔法を━」 「自分に暗示を━」 「患者に麻酔を━」 〜ヲに結果をとる言い方。「姫に魔法をかける」などは、文意をほとんど変えずに、〜ヲに対象をとって「姫を魔法にかける」とすることができる。 しかけを作って、動物を捕らえる。また、人を検問などでひっかけて捕らえる。 「キツネをわなに━」 「逃走犯を検問に━」 計略をめぐらして、人をだます。 「ぺてんに━・けて金品を奪う」 道具類の作用をある物や場所に及ぼす。 「シャツにアイロンを━」 「部屋に掃除機を━」 「本棚にはたきを━」 「材木に鉋かんなを━」 と異なり、〜ヲに道具をとる。 作用を及ぼして、力(状態)を生み(作り)出す。 「髪にパーマを━」 「生産に拍車を━」 「部下に発破を━(=やる気を出させる)」 「芸に磨きを━」 「腕によりを━」 と異なり、〜ヲに結果をとる。 あることをするために必要な時間・費用・労力を使う。 「練習に時間を━」 「金[人手]を━」 「執筆に三か月を━」 かな書きが一般的。 税の負担を強いる。課税する。課する。 「所得には所得税を━」 かな書きが一般的。 《多く「AからBに━・けて」の形で》ある場所・時間Aからもう一つの場所・時間Bまで連続して。AからBにまたがって。 「ほおから顎あごに━・けてひげがある」 「箱根から横浜へ━・けては雪模様だ」 「花は初旬から中旬に━・けてが見ごろだ」 かな書きが一般的。 《多く「…に━・けては」の形で》…に関しては。…については。 「ダンスに━・けては自信がある」 「Kは元来そういう点に━と鈍い人なのです漱石かな書きが一般的。 《「鼻に━」の形で》発声のとき、音を鼻腔びこうで共鳴させたり鼻から出したりする。 「鼻に━・けたハスキーな声」 失敗したら大切なものを失う覚悟で、一生懸命に事を行う。 「政治改革に命を━」 「一球に勝負を━」 「ワントライに一発逆転を━」 「威信を━・けて戦う」 「懸ける」または「ける」と書くが、「」が好まれる。 《「…に━・けて(も)」の形で、下に誓約や決意を表す語句を伴って》万一違約したらそれを失う覚悟があるの意で、誓約・決意の表明に際していうことば。 「真実であることを神仏[命]に━・けて誓う」 「私の威信[名誉]に━・けてもやり抜く」 の形式化した言い方。 「懸ける」または「ける」と書くが、「」が好まれる。 金品を出し合い、勝った方がそれを取る約束で勝負をする。け事をする。 「ポーカーに金を━」 「本命馬に一万円を━」 「雨が降る降らないに昼飯を━」 ける」と書く。 一定の掛け金の見返りとして、生命・財産などが保障される契約を結ぶ。 「自分の生命に保険を━」 議案などを公の場で取り上げる。 「案件を会議に━」 「詐欺事件を裁判に━」 「懸ける」を使うが、かな書きが多い。 品物を競り売りの形式で売る。 「水揚げしたマグロを競りに━」 「競売けいばいきょうばいに━」 「オークションに━」 医者の診察・治療を受けるようにする。 「重傷ですから、すぐ医者に━べきです」 ◇自動詞「かかる」はよく使うが、これはまれ。 《「…の手に━」などの形で》自分で直接処理する。てがける。特に、みずから殺す。 「以前手に━・けた仕事なら数えきれない」 「私を刺客の手に━・けようとするのか」 「貫一さん、貴方の手に━・けて殺して下さい紅葉 ボールなどに特殊な回転を与える。 「打球に回転[ドライブ]を━」 かけ算をする。 「2に3を━」 「底辺に高さを━」 ⇔割る ◇2×3の場合、2が掛けられる数、3が掛ける数。 掛け値をする。 「定価に五割を━・けて(=定価の五掛けで)売る」 定期的に掛け金を払う。 「毎月三万円の保険金を━・けている」 交配する。 「牝馬めすうまにロバを━・けてラバを得る」 同音・類字音を利用して、一つの語句にもう一つ別の意味を持たせる。掛詞かけことばにする。 「『秋風ぞ立つ』の『秋』に『飽き』を━」 「『うぢ山』の『うぢ』を『憂し』に━」 《動詞の連用形に付いて複合動詞を作る》 …し始める。また、途中まで…する。 「食べ━・けたところに邪魔が入った」 「言い━・けて思いとどまる」 「帰り━」 今にも…しそうになる。かかる。 「死に━・おぼれ━」 「壊れ━・けた家に住んでいる」 相手に作用を及ぼす。 「働き━・呼び━・話し━・問い━・投げ━」 「息を吹き━」 「大挙して押し━」 ◆「掛」は広く一般に使うが、かな書きも多く(特に以下)、実質的な意味が薄れたものは積極的にかな書きにされる(「お金をかける・〜から〜にかけて・語学にかけては」など)。「懸」は、宙づりになってぶらさがる・心にかかる意味合いでの一部、などで特に使うが、かな書きも多い。「架」はの一部に使う。「」はで使う。はかな書きが普通。 か・く(下二) 掛け・ 関連語 大分類‖扱い‖あつかい 中分類‖設置‖せっち 大分類‖水に関わる行為‖みずにかかわるこうい 中分類‖浴びる‖あびる

明鏡国語辞典 ページ 1134 での掛ける(懸ける単語。