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き・る【切る(斬る・伐る)】🔗🔉

き・る【切る(斬る・伐る)】 動五 刃物などで物を断ち分ける。 「はさみで紙を━」 「ペーパーナイフでページを━」 「缶切りで缶詰めを━」 「包丁でにんじんをさいの目に━」 刃物などの力が加わって体の一部(に相当するもの)を傷つける。特に、あやまって傷つける。傷を負う。 「ナイフで頸動脈けいどうみゃくを━」 「転倒してアキレス腱けんを━・った」 「殴られて目の下を━」 「自腹を━・って(=自分の金で)欠損を埋める」 「身を━ような寒さ」 刃物で人を傷つける。特に、切り殺す。斬殺する。 「一刀のもとに敵を━」 「人を━・り殺す」 多く「斬る」と書く。「切る」とも書くが、「斬」のほうが意味が強く表現に迫力が増すため小説などで好まれる。同様に、以下のような比喩用法でも使われる。「官僚の腐敗を斬る(=鋭く批判する)」「リストラで首を斬られる(=解雇される)」 切開手術をする。また、手術して患部を取り去る。切除する。 「盲腸の手術で腹を━・ったことがある」 「胃を三分の二━・った」 封じ目を切断するなどして、閉じているものを開ける。特に、カメラを操作して閉ざされた光の通路を瞬間的に開く。 「手紙の封[吟醸酒の口]を━」 「シャッターを━」 使用済みであることを示すために、切符を二つに切り離したり切り込みを入れたりする。 「切符を━」 《「蓋ふたを━」の形で》蒸気を外へ逃がすために、煮え立った茶釜ちゃがま・薬罐やかんなどのふたをずらして中をのぞかせる。 「鉄瓶の蓋が跳り出したので、湯気を洩らすように蓋を━・った」 ◇古い言い方で、茶道などで使う。 話や文章を続けないで区切りを入れる。 「いったんここで話を━」 「短く━・った文章でスピーディーに読ませる」 「音節ごとに言葉を━」 他の人との関係を断つ。 「不良仲間と手を━」 「親子の縁を━」 「━・っても切れない(=密接な)関係」 ⇔結ぶ 機械を操作して電気などの流れを止める。また、そのようにして機械の働きを止める。オフにする。 「電源[暖房]を━(⇔入れる)」 「パソコンを━」 「電話を━」 本体や主要なグループから除外する。切り捨てる。 「不満分子[合格点に達しない者]は━」 水の流れが堤や堰せきを破壊する。 「濁流が堤防を━・って流れ出す」 「堰を━・ったように(=激しい勢いで)あふれ出す」 多く「切って」の形で使う。 謄写版のやすりの上に載せた原紙に鉄筆で文字を書く。また、そのようにして印刷版を作る。 「原紙を━」 「ガリ版を━」 ◇原紙に切れ目を入れて版を作ることから。 「原紙を切る」は、〜ヲに対象を、「ガリ版を切る」は結果をとる言い方。 その場所にの動作を加えて、そのものを作る。 「壁面に通気口を━」 「床に囲炉裏を━(=掘る)」 振り落としたりしたたらせたりして、水分や油気を除く。 「傘のしずくを━」 「野菜の水気みずけを━」 「天ぷらの油を━」 波や風を立てて勢いよく移動する。 「船が波を━・って進む」 「泳者が水を━・って進む」 「肩で風を━・って歩く」 「切って」の形が多い。 《「空くうを━」の形で》空中を勢いよく動く。また、振り回した手などが目標を外して空回りする。 「矢が空を━・って飛ぶ」 「バットが空を━」 《「先頭を━」などの形で》集団などの先頭に立って…する意を表す。 「集団の先頭を━・って走る」 「先陣を━・って名乗り出る」 ◇後続を断ち切ることから。 期限・人数をある範囲内に定める。 「五日までと期限を━」 「先着一〇名で━」 トランプ・花札などで、そろえた札を手でよく交ぜ合わせる。シャッフルする。 「カードをよく━」 囲碁で、相手の石のつながりを断つ。 トランプで、とっておきの札(特に、切り札)を使って勝負をつける。 「切り札を━・って勝負に出る」 将棋で、大駒おおごまを捨てて勝負をする。 「飛車を━・って銀をとる」 伝票や小切手などを発行する。 「小切手[伝票]を━」 ◇切り離して発行することから。 手や体を動かして、その形を作る。 「十字[とんぼ]を━」 「〔相撲で〕無双を━」 ◇手や体が空間を切り裂くような動きをすることから。 わざと目立つような口振りや所作をしたり、強い口調で疑惑を否認したりする。 「たんか[見得・しら]を━」 わざと目立つような仕方で大金を使う。 「札びらを━」 ハンドル・舵かじを操作して、進む方向を変える。また、その結果車などが曲線を描いて進む。 「右にハンドル[舵]を━」 「左にカーブを━」 「ハンドルを切る/カーブを切る」は、前者は〜ヲに道具を、後者は結果をとる言い方。 テニス・卓球などで、打球に特殊な回転を与えて打つ。カットする。 《「スタートを━」の形で》競走が始まる。出発する。スタートする。また、物事が始まる。 「一斉にスタートを━」 「開幕早々好スタートを━」 〔慣用句的に〕物事を始める。 「最初に口を━・った(=口を利いた)のは監督だった」 「論争の口火を━」 「選挙戦の火蓋ひぶたを━」 ある基準の数値を下回る。割る。 「体重が五〇キロを━」 「百メートル競走で一〇秒を━」 《動詞の連用形に付いて複合動詞を作る》 完全に…する。最後まで…する。 「全財産を使い━」 「坂道を上り━」 「長編小説を一晩で読み━」 「全力を出し━」 これ以上の事態は考えられない意を表す。すっかり…する。ひどく…する。 「分かり━・ったことを言う」 「澄み━・った空」 「苦り━・弱り━・困り━・疲れ━」 はっきり…する。きっぱり…する。 「必ずやって見せると言い━」 「関係を断ち━」 「後続を振り━」 ◆ 「切る」は広く使う。「斬る」はで使う。「伐る」は立木や材木を切り倒す意で、「斧おので伐る」「木材を伐る」などと使うが、一般には「切る」を使う。 布や紙を切る意で「截る」、切りそろえる意で「剪る」とも書くが(「紙を截る」「つめを剪る」)、一般には「切る」を使う。 切れる 切り 関連語 大分類‖切る‖きる 中分類‖切断‖せつだん 大分類‖切る‖きる 中分類‖絶縁‖ぜつえん 大分類‖切る‖きる 中分類‖不足‖ふそく

明鏡国語辞典 ページ 1665 での切る(斬る単語。