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あ・る【在る・有る】🔗⭐🔉
あ・る【在る・有る】
用例引き
A ものがある
本がある
・(人に)金がある
B 人や動物がある
昔、おじいさんがありました
・賛成の人もある
・恵まれた環境にある
・(誰かに)妹がある
C 状態や出来事がある
〜の状態[傾向]にある
・悩みがある
・高さが50メートルある
・〜と関係がある
・変更がある
D 〜て[で]ある
壁に絵がかけてある
・責任者は私である
・人柄は穏やかである

動五

自
空間的・時間的に事物が存在する、感覚や感覚を超える形で事物の存在が認められる意。
〔存在自体を問題にして〕生物・無生物、具体物・抽象物を問わず、ものが存在する。
「私が今ここに━ことは疑えない」
「神は本当に━か」
人・動物以外の具体物・抽象物が存在する。
「机の上に本が━」
「交差点に交番が━」
「山の向こうに海が━」
「名古屋には名古屋城が━」
「車庫には車が一台━」
「本社は東京に━」
「こんな話は世間にざらに━」
「人生には喜びも━・れば悲しみも━」
「あの歌手は若者に人気が━」
「この薬は疲労回復に効果が━」
「二人の実力には大きな差が━」
「あそこに太郎[スズメ]がいる」など、人・動物の場合は「いる」を使う。
人が存在することを初めて紹介するようにいう。いる。
「昔、ある所におじいさんとおばあさんが━・りました」
《人・動物の意を表す語の上に連体修飾語を冠して》何らかの形で類型化された人・動物が存在する。いる。
「賛成の人も━」
「無関心な子も━・れば目を輝かせる子も━」
「私には強い味方が━」
人が特定の状況や地位・立場などに身を置く。
「病床に━・って無聊ぶりょうをかこつ」
「党内に━・って唯一の理論家」
「恵まれた環境に━」
「逆境に━・ってもくじけない」
「彼は理事長の職に━」
「彼女は指導する立場に━」
存在する人よりはその状況に関心をもった言い方で、「〜にあって」の形で使うときは、しばしば意味が形式化して格助詞「で」に近づく。「いる」で置き換えると、口頭語的な言い方となる。
あるものがある特定の状態や段階に置かれている。
「会社は倒産寸前の状態に━」
「新製品は試作段階に━」
「人口は増加の傾向に━」
「その国は隣国の支配下に━」
「国の経済は発展途上に━」
人がこの世に生きて暮らしている。生存している。
「世に━限り最善を尽くそう」
「いつまでも━と思うな親と金」
あるものが所有されたり含まれたりした状態で存在する。持っている。
「私には妹が━」
「金も時間もたっぷり━」
「才能[体力・教養・貫禄かんろく・悩み・責任・余裕・恨み]が━」
「我が家には書斎が━」
「このドアには頑丈な取っ手が━」
「その意見には問題が━」
「彼の文章にはユーモアが━」
《数値を伴って》あるものがそのような物理的な属性をもっている。そのような数量が認められる。
「彼は体重が一〇〇キロも━」
「塔の高さは五〇メートル━」
複数のものの間にある関係が成り立つ。
「私はこの事件と深い関係が━」
「両者間には密接なつながりが━」
「互いに面識が━」
「両国間には国交[取引]が━」
ある物事がなされる。行われる。催される。また、ある特別なことが起こる。
「田中氏から電話[連絡・発表・質問・謝罪]が━・った」
「方針の変更が━・った」
「今日は学校が━」
「遠足[バーゲンセール]が━」
「二日前に衝突事故[地震]が━・った」
時が経過する。
「やや━・って(=しばらくして)語り始めた」
《「〜に━」の形で》〜によって決まる。〜によって左右される。
「成否は努力のいかんに━」
「復讐ふくしゅうするは我にあり」
《「〜と━」の形で、ことばが存在する意から》〜と書かれている。また、〜ということだ。
「遺書には『全財産を寄付する』と━・った」
「頼みと━・ればしかたあるまい」
「休日と━・って人出が多い」
《「〜だけ(のことは)━」の形で》→だけ
「自慢するだけのことは━」
《「〜ことが━」の形で》→ことがある
「どこかで会ったことが━」
《「〜つつ━」の形で》→つつ(接助)
「復興の道を歩みつつ━」
《「…とも━・ろうものが」などの形で》仮にもそのような立場・身分のものが。
「大統領とも━・ろう者がそんな発言をするとは」
「○○社とも━・ろう会社が…」
◆
文語の否定形は「あらず」だが、口語には「あらない」の形はないので、形容詞「無い」でこれに代える。
存在を表す「在」、所有的存在を表す「有」ともに、一般にはかな書き。文語的格調を重んじて存在を強調する場合や、「無し」と対比的に使う場合などでは、漢字書きも多い。「我ここに在り」「反対する者無し。但し、沈黙する者多数有り」
尊敬の「れる」を付けた「…(で)あられる」は、「ここにあられるお方は、かつて国王であられました」「殿は思慮深くあられる」など、「…(て)いらっしゃる」の古風な言い方として今も使う。ただし、「ご質問はあられ(→ござい・あり)ませんか?」「興味があられましたら(→おありでしたら)」などは不自然な感じを与える。

補動
《「〜て(で)━」の形で、他動詞の連用形を受けて》変化した動作の結果が現在まで維持されている意を表す。
「壁に絵がかけて━」
「机に本が置いて━」
「荷物が乱雑に積んで━」
もとの文(「絵をかける・本を置く・荷物を積む」)の「を」が「が」に変わり、全体で自動詞化する。「て」は助詞。
《「〜て(で)━」の形で、動詞連用形を受けて》何かに備えて手回しよく準備されている意を表す。
「手回しよくご飯が炊いて━・った」
「きちんと予習が済ませて━」
「前もって周辺機器が本体の中に組み込んで━」
一般にもとの文(「ご飯を炊く・予習を済ませる・機器を組み込む」)の「を」が「が」に変わるが、「を」のままでも使う(「手回しよくご飯を炊いて━」)。「機器が組み込まれて━」など受身形を受けることも多い。
「〜ておく」に似るが、これは動作主の意図を重視した言い方(「ご飯を炊いておく・予習を済ませておく」)。
《「AはBで━」「AがBで━」の形で》AとBが等しい、また、AがBに属するという断定的な判断を表す。
「責任者は私で━」
「私が卒業したのは去年のことで━」
「トラはネコ科の動物で━」
口頭語の「です」、口頭語・文章語両用の「だ」に対して、専ら文章語として使う。
《形容動詞の連用形について、「〜で━」の形で》そういう性質・状態をもっているという判断を表す。
「人柄は穏やかで━」
「辺りは静かで━・った」
「健康で━のが何よりです」
形容動詞・形容詞の連用形に、係助詞「は・も」などを添えた形に付く。「実直だが→実直ではあるが
明敏ではない」「嬉うれしくもまた寂しい→嬉しくもあるが、また寂しくもある」
形容動詞・形容詞の連用形に付いて、「たい」「べきだ」などに接続させる。「×
美しくたい→○
美しくありたい」「×
厳格だべきだ→○
厳格であるべきだ」
形容動詞「〜だ」に比べて、「〜である」のほうがより文章語的。
「勤勉で━ことが求められる」「正直で━が故に損をする」「潔く━ためには引き際が肝心だ」など、連体形が形式名詞の類に続く形では、おおむね形容動詞・形容詞の連体形で置き換えられるが、口頭語的でやや言葉が足りない言い方となることも多い(「勤勉なことが求められる・常に正しいことは容易ではない」)。
→
の表現
《「お[ご]…あれ」「お[ご]…あられよ」の形で、間に動詞連用形や漢語サ変動詞語幹が入って》尊敬
Aに…てくれと要望・懇願することについて、Aを高める。古語的な言い方で、今の「…て下さい」に当たる。
「おいで━・れ」
「久々の大作、ご期待━・れ」
「神もご照覧━・れ」
→お(御)
表現
あ・り(ラ変)
関連語
大分類‖有る‖ある
中分類‖存在‖そんざい





























































































明鏡国語辞典 ページ 227 での【在る】単語。