
「申し上げる」が

高めるべき人物にものを言う

という謙譲語であるのに対し、「申す」は丁重な言い方をして相手(=聞き手・読み手)に改まった気持ちを表す。「申す」は高める人物がいない場合にも使う。「〔取引先の部長に向かって〕社に戻って担当者に
×申し上げておきます/
○申しておきます」「この子は太郎と
×申し上げます/
○申します」

たとえば田中氏に向かって「心から御礼を

申します/申し上げます」という場合、田中氏に対して改まった気持ちを表す「申す」よりも、田中氏を高める「申し上げる」のほうが、敬意の度合いが高い。

武家などが使った古風な言い方では、「申される」の形で、自分の威厳を保ちながら他人に対する尊敬の意を表す用法があり、議会などでもよく使われるが、一般には避けたい。「おっしゃる」や「言われる」が標準的。「
×
今何と申されましたか」「
×
先生がそう申されました」「〔相手のことばを受けて〕
×
〜と申しますと…→
○
〜とおっしゃいますと…」

「言う」の尊大な言い方。
「名を━・せ」
「思うところを━・してみよ」
◇主に武家が使って、上の者が下の者の

言う

動作を低めていう。


補動


《「お[ご・御
おん]…申す」の形で、間に動詞連用形や漢語サ変動詞語幹が入って》
謙譲+丁重
Aに…する、A(の事物)を…するという動作について、Aを高めるとともに、相手(=聞き手・読み手)に改まった気持ちを表す。…いたす。
「〔A先生の妻に向かって〕私がA先生をご案内━・します」
相手とAが同一人物であることもある。
「よろしくお頼み━・します」
◆



、

は、現在では「ます」を伴って使う。「ます」がないと、ぶっきらぼうな武家ことば然とした言い方となる。
申せる
→
敬語解説
関連語
大分類‖言う‖いう
中分類‖
言う‖いう
もう‐すぐ【もう▽直ぐ】


副


あまり時間がたたないうちに。間もなく。ほどなく。
「父は━帰ってくる」
「━春だ」

普通かな書き。

「もおすぐ」と書くのは誤り。