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0485.01 文末・断定[文末]🔗⭐🔉
0485.01 文末・断定[文末]
(1)言い得る 〜と言える 〜と云ってよい;
〜と云う 〜であると云う 〜と云う事だ;
〜と云っても過言ではないだろう 言い過ぎではない 言い過ぎだろうか
[文例]
●「ヴァージンだって、出血するのは三十パーセントもない、というぜ」[吉行淳之介]
●茄子の苗で選んだのは、偶然といってもいい。[吉行淳之介]
●〜ようになったのは森田に吹かれたおかげといってもいい。[志賀直哉]
●〜金井先生の講義の方が面白いということである。[森鴎外]
(2)訳だ てな調子 てなもんよ てな訳 という訳;
話だ 妙な話だ 急な話だね 話になる 話にならない 話が分かる;
〜話はある 手はある;
按配だ 寸法だ 具合 手答え 段取り;
模様だ 趣きだ 様子0016.01;
〜事はある 事がある 事もある;
事が運ぶ 運ばれる;
行く 通る
[文例]
●「〜である以上」、そのまま受取っておけばよいわけだ。[吉行淳之介]
●「なれなれしい、とはねえ。昔のことは、忘れてしまいたいというわけ」[吉行淳之介]
●「これでは、まるで求愛をして拒絶されたような按配だ」…[吉行淳之介]
●「そうすれば、丁度いいころかげんに赤い色がシーツに滲む、という寸法だ。」[吉行淳之介]
●男の冥利に尽きる話だ。[志賀直哉]
●「なるほどねえ、なにか侘しいところのある話でもあるな」[吉行淳之介]
●湊川、板屋戸、須磨にも軍兵の篭る垣楯が設けられる趣である。[井伏鱒二]
●〜まで陣型をひろげる模様である。[井伏鱒二]
●半信半疑のまま、其半疑の方をなくなそうと知らず知らず努力していた形であった。[志賀直哉]
●〜というような邪推も手伝って、無理に鰈(かれい)にした傾きもあった。[志賀直哉]
●ときには、朝帰ってくることが起ってきた。[吉行淳之介]
(3)大過ない 間違いではない;
差し支えない0221.06 構わない;
よい 以(もっ)て良しとする 良しとする;
反しない 背(そむ)かない 負けない 値する
[文例]
●〜という想像は必ずしも私の邪推とは云えなかった。[志賀直哉]
●〜が、そういう事情に気のつく筈はなかったと思っていい。[井伏鱒二]
●「ハリスは六毛、道糸は八毛にして頂きます。調子は合わせずに揚げてよろしいです。」[井伏鱒二]
●今夜発見した荀に鶏の一幅があるからはその他にもまだあると見て差支はない。[永井荷風]
●(梅泉が)帰途神辺に宿したものと見て、大過なかろうとおもう。[森鴎外]
●〜病蘭軒の詩たるに負(そむ)かない。[森鴎外]
●「じゃ、なぜ知っているのかしら」「知っていて悪いか」[吉行淳之介]
(4)明らかだ 明白 明々白々 想像するに余りある 明確0400.17 明らか0954.01 火を見るよりも明らかなり0420 一目瞭然0058.06;
はっきりしている さだか 歴然 画然0400.15;
確実 紛(まご)う方ない;
手に取るよう 手に取るばかり;
〜することは見えている 目に見えている 然(さ)もありなん0496.03 察するに余りある;
筈だ 当然
[文例]
●玄関から中へ入れぬおそれが十分だった。[吉行淳之介]
●皆までとは行かぬとしても、此心が幾らか向こうに通っていないことはない筈だ。[森鴎外]
(5)間違いない 違いない 〜に極(き)まっている 極(き)まりきっている;
確か;
〜こと請合(うけあい) 〜外はない 措いてない 〜の外には考えられない;
感を禁じ得ない;
勿論0494.02;
論ずることを須(もち)いない 明らか;
聞くまでもない 見るまでもない 考えてみるまでもない 言うまでもない 言わずと知れた0521.02 〜云わずと知れている 知れている 言うを待たない 言うを俟たない 言うことを待たない 言を待たない 言うに及ばず 言うにや及ぶ 言えばおろか 言うもおろか 言うも更なり 更にも言わず 更なり 況(ま)して0487.01 当然 当たり前0034.03 論ずるには及ばない 問うに及ばぬ 問うまでもない;
固より;
〜は動かない 動かし難い 不動0179.01 確固0111.04;
揺るぎ無い;
〜は避け難い 〜は免れない 無理からぬ;
疑問の余地はない0400.16 疑いを容れない 余地はない;
争われない 争えない;
言い切る 言わなくてはならない 言うべき;
割り切る 割り出す0405.02
[文例]
●慣例を重んずる当時にあっては、異数と謂(い)わなくてはなるまい。[森鴎外]
●私にはそうとより考えられない。[志賀直哉]
●現代社会の趨勢は唯只不可思議と云うの外はない。[永井荷風]
●然らば簾は知己を千載の下(しも)に待つ外あるまい。[森鴎外]
●〜であった事は疑いなかった。[志賀直哉]
●〜したことは、殆疑を容(い)れない。[森鴎外]0494.01
●〜此経過には何の疑の挟(さしはさ)みようも無い。[森鴎外]
●第八の娘の態度は第八の娘の意志を表白して、誤解すべき余地を留めない。[森鴎外]
●そういう佐喜子の顔に、いまのような表情が浮ぶ余地はない。[吉行淳之介]
●お嬢さんらしさがあることは争えなかったのに…[谷崎潤一郎]
●さらに、マゾヒスティックな性癖も付与されることになった。これは当然である。一人だけ立って光に照らされ、何十をの目が自分に集中してくる。それを刺戟に変えるためには、その性癖は動かすことができない。[吉行淳之介]
●若し通途(つうづ)の説を以て動すべからざるものとなし…[森鴎外]
●〜少なからぬ敬意を表せざることを得なかった。[森鴎外]
●李白が酒好だった事は鬼に鉄棒に違いなかった。[志賀直哉]
●〜を、せめてもの僥倖(ぎょうこう)としなくてはならない。[森鴎外]
●〜でない事はもう言わずとも知れきっている。[永井荷風]
●真筆には違いないが、余程気分の勝れぬ時、筆をとられたものに違いないと云った…[志賀直哉]
●大阪で「蒔岡」と云えば一時は聞えていらしったに違いないけれども、…[谷崎潤一郎]
●当時兄の措置を喜ばなかった五百が、平生青眼を以て貞白を見なかったことは、想像するに余がある。[森鴎外]
●なる程生(せい)というものは苦艱(くげん)を離れない。[森鴎外]
●(〜ということは)論を須(ま)たぬから、…[森鴎外]
●五百のこれに耳を仮さなかったことは固(もと)よりである。[森鴎外]
●「夢にきまっている。それはもう、分り切ったことさ」[吉行淳之介]
●今新に其得失を論ずることを須(もち)いざるべし。[森鴎外]
●所謂何其が女性の名や何ぞでないことは、僕を呼ぶのであるから言うことを待たない。[森鴎外]
●学者が血を涌(わ)き立たせたのも怪しむに足らない。[森鴎外]
●〜でない事はもう言わずとも知れきっている。[永井荷風]
●〜ことも、また恐らくは問うに及ばぬことであろう。[永井荷風]
●奇怪などとはいうもおろか、もそっと怖ろしきことに御座候。[井伏鱒二]
●云わずと知れた、〜 助成金を役所から仰ぐためである。[井伏鱒二]
(6)尤もだ 尤も千万 尤 尤も至極;
通常 不思議はない 怪しむに足りない;
故無しとしない よく有る0034.07;
無理もない 藷(いも)食うて屁をこくような事;
理(ことわり)0420;
あたぼう あたりき あたりき車力
[文例]
●こんなふうにして出来た「コップ酒」が、からッとした揚り工合なのも、突っつき回した「暢気眼鏡」ががつがつと物欲しそうなのも、まことに理の当然であった。[尾崎一雄]
●こう云う問答が夫婦の間に交換せられるのは奇とするに足りない。[森鴎外]
●(〜の)世であってみれば、金毘羅を信ずるもののあるのに不思議はない。[森鴎外]
●自分は失望を以って故郷の人に迎えられた。それは無理も無い。[森鴎外]
●しかし、果実が熟しておのずから色づく、という自然さが、彼女の化粧に現はれてこないのも無理はない。[吉行淳之介]
(7)怪しむに足りない 嘘ではない 嘘はない と言えば嘘になる 〜無しとしない;
徒(ただ)事ではない 戯言(たわごと)ではない 徒(ただ)ならない・啻(ただ)ならない
[文例]
●〜のは、固より異(あやし)むに足らない。[森鴎外]
●この池の水深三千尋といっても嘘とは思わない。[井伏鱒二]
●〜しすぎれば、古典の味や匂いを失なわせる懼れ無しとしない…[志賀直哉]
●これは俊蔵もないない気がつかないのではない。[永井荷風]
(8)結果に終わる 〜仕舞う しまう 及ぶ 至る しまった なる なった;
〜に落ち着く;
〜落ちだ 精々だ だけだ までだ;
〜するばかり 〜する丈でよい 〜しさえすればよい 〜より外にすることはない
[文例]
●〜と、ニヤニヤ笑いながらはぐらかして、もうそれ以上は、話に乗って来ないでしまった。[谷崎潤一郎]
●二度目の豆打は余り注意を惹かずにしまった。[森鴎外]
●病気が進んで落命に及んだ。[井伏鱒二]
●こんな寒い思いをしてまで酒をのむ必要がどこにあるか。ついその必要が生じる状態に立ち至るまでの話である。[井伏鱒二]
●この年に〜主上は新内裏に移御あらせられたと云ってある。[井伏鱒二]
0485.02 文末・肯定[文末]
(1)肯(うなづ)く;
以(もっ)て良しとする 良しとする
[文例]
●一度喀血したことがあって、口の悪い男には青瓢箪と云われたと云うが、現(げ)にもと頷かれる。[森鴎外]
(2)〜と言える;
聞こえる 〜と聞こえる 〜と聞く 聞き倣す0465.06 聞く0465.01 〜と聞いた;
気がする 〜気がする;
〜と見える 見える 目に映る 見倣す 見た 見受けた 睨(にら)む 見る0459.01 目(もく)される;
思う 思われる 感じる 感を持つ 感を抱く 思う0387.11;
取る 受け取る;
読む そう読まれる 読める;
覚えている;
思い半ばに過ぐ 理解0398.01
[文例]
●彼等は言説を以て謝を鳴らさずに、行為を以て謝を鳴らす積りと見える。[森鴎外]
●杉のてっぺんの大将(尾長)は、傍目にはいい気持そうに見えていた。[井伏鱒二]
●ろすけも矢張(鼻糞を)ほじくると見える。[森鴎外]
●ことことと音がして来る。午(ひる)の食事の支度をすると見える。[森鴎外]
●豊介子の行状は略(ほぼ)渋江抽斎伝に見えている。[森鴎外]
●湯垢といえば不潔にきこえるが、…[三浦哲郎]
●この時分[明治]の雑誌をよむと、生命(いのち)が延(のび)るような気がするね。[永井荷風]
●犬の声さびしく、西風の樹を動かす音ばかりしていたような気がする。[永井荷風]
●(ヘンリー氏は)ただ老後を静かに養うもののごとく〜思われる。[井伏鱒二]
●「はッ――」息を出したのか引いたのか、われ知らず、小さいが悲鳴に似た声を発した。震え上る、というのがあれだな、と今でも考える。[尾崎一雄]
●大正四年になって十一月も半頃と覚えている。[永井荷風]
(3)形跡がある 節(ふし)がある;
有力 大方 一般;
話になる;
一理ある
[文例]
●「いや。あれが言う事にも一理窟あるて。」[森鴎外]
●当時、佐丸君は〜青年子女からずいぶん讚仰の手紙をもらった形跡がある。[井伏鱒二]
●〜ではないかと、憂慮されるふしがある。[井伏鱒二]
(4)構わない いい 結構だ してくれても構わない してくれるのは構わない;
心配無い 心配ない 心配無用 気にしない
(5)〜と言えない事もない 気がしないでもない;
否めない 〜印象を拭い切れない 否定し切れない 〜とは言い難い 〜とは到底言えない
[文例]
●これも、若さが関係していないものでもない。[吉行淳之介]
●案内された部屋は、宴会場というわけのものでは無いようだ。[吉行淳之介]
●〜という気分も、心の底で動いていないとは言えないようだ。[吉行淳之介]
●柳宗悦の説では万暦と云えない事もないが、と疑問にしていたそうだ…[志賀直哉]
●その様に、そうして兄は何時か又、何かの場合に不意に私共の前に現われて来ないとは限らない気がされるのです。[志賀直哉]
●わたし共は恐ろしい人にばかり出逢ったが、人の運が開けるものなら、善い人に逢わぬにも限りません。[森鴎外]
●マキの言葉には、否定し切れないものがある。[吉行淳之介]
●竹田たるもの感慨なきことを得なかったであろう。[森鴎外]
(6)ようだ そうだ そうだそうだ;
らしい そうらしい そうな;
だろう 〜でもあったろうか;
そんなところだろうな そんなもんだよ そうらしいね そんなもんかな;
そころあたり そうしたものだよ そうだよ;
かも かもね ようよ
[文例]
●いろんな魚が集まって来て、産卵がすむと東西の関門から出て行くが、尾道に居残ったやつは吉和の漁師が釣っている。先づ、そんなものだそうである。[井伏鱒二]
●死んだのは酒の為めである所を見ると、酒から来る不快もあったにはあったろう、…[志賀直哉]
●「犠牲になってやるとは、恩着せがましいじゃないか。しかし、そんなところだろうなあ」[吉行淳之介]
●北條岡本二家の応酬は虚日なかりしものの如くである。[森鴎外]
●「そのほうは、年齡ばかりじゃない、とおもいたいね。」[吉行淳之介]
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