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し-ぜん【自然】🔗🔉

し-ぜん [0] 【自然】 ■一■ (名) (1)おのずから存在してこの世界を秩序立てているもの。山・川・海やそこに生きる万物。天地間の森羅万象。人間をはぐくみ恵みを与える一方,災害をもたらし,人間の介入に対して常に立ちはだかるもの。人為によってその秩序が乱されれば人間と対立する存在となる。「―を破壊する」「―の猛威」「―を愛する」 (2)人や物に本来的に備わっている性質。天性。「楽しい時には笑い,悲しい時には泣く,それが人間の―だ」 (3)〔哲〕 〔nature〕 古代ギリシャで,他の力によるのではなく自らのうちに始源をもち生成変化するものの意。ここから人為・作為から区別されたありのままのものの意にもなり,事物に内在する固有の本性ないしは本性的な力の意ともなる。また中世では,被造物一般のことであり,さらに神の恩寵(オンチヨウ)に対して人間が生まれつき具有するものを指す。 ■二■ (形動) 行為や態度がわざとらしくないさま。「―な動作」「―な反応」 ■三■ (副) (1)(「に」や「と」を伴うこともある)ひとりでに。おのずと。「―に体が震えてくる」「世の中のことが次第に分るにつれ―と心に合点が行き/谷間の姫百合(謙澄)」「―祖母が一家の実権を握つてゐた/平凡(四迷)」 (2)万一の事態の起こるさま。ひょっとして。「―モ人ニ行キ逢エバ,藁芥(ワラアクタ)ノ中ニ逃ゲ入ッテ隠ルルニモ心安イ/天草本伊曾保」 →じねん(自然) [派生] ――さ(名)

じ-ねん【自然】🔗🔉

じ-ねん [0] 【自然】 〔呉音〕 (1)〔仏〕 ある事物や事態が,外部からの影響力によるのではなく,それが本来的に備えている性質によって,一定の状態や特性を生ずること。 →自然法爾(ジネンホウニ) (2)万物は因果によって生じたのではなく,現在あるがままに存在しているものだとする考え。仏教の因果論を否定する無因論で,外道(ゲドウ)の思想の一つ。 (3)人為が加わらないこと。ひとりでにそうなること。ありのまま。「コレワ別ノ子細デワナイ。タダ天道ノ―ヂャ/天草本伊曾保」 (4)たまたまそうであること。偶然。「衣の内より火出で来て焼けぬ。此れ―の事かと思ひて/今昔 4」 〔古くは「じねん」はありのままの意,「しぜん」は万一の意に使い分けられた〕

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