げ 「け」の濁音の仮名。軟口蓋破裂音の有声子音と前舌の半狭母音とから成る音節。現代共通語では，この音は主として語頭に用いられ，語中・語尾では，その頭子音が軟口蓋鼻音となるのが一般である。これを鼻濁音の「げ」といい，必要に応じ「け（ケ）」に半濁点「°」を付けて示すことがある。 〔奈良時代までは上代特殊仮名遣いで甲乙二類の別があり，発音上区別があったとされる〕

げ [1][0] 【下】 （１）価値・順位・等級・程度などが低いこと。特に，二つまたは三つの等級に分けたときの最低の等級。 ⇔上(ジヨウ) 「中流の―の生活」 （２）二巻または三巻から成る本などの最後の巻。下巻。

げ [1] 【外】 〔仏〕 仏教の側から，仏教外の立場をとる教えや書物などをさす語。

げ [1] 【夏】 〔仏〕 （１）夏安居(ゲアンゴ)をする期間。陰暦四月一六日から九〇日間。 （２）「夏安居」の略。 →安居

げ [1] 【解】 （１）悟ること。わかること。また，説明すること。「無礙の見をおこし，偏空の―をなして/沙石 3」 （２）律令制で，下級官司が上級官司または太政官に差し出す上申文書。またはその様式。のちには個人の上申書にもいった。解状。解文。 →符 （３）中世，訴状の別名。

げ [0][1] 【偈】 〔梵 gth の音訳「偈陀(ゲダ)」の略〕 （１）経文で，仏徳をたたえ，または教理を説く詩。多く四句からなる。「諸行無常，是生滅法，生滅滅已，寂滅為楽」の類。偈頌(ゲジユ)。伽陀。頌文。 （２）禅宗で，悟りの境地などの宗教的内容を表現する漢詩。偈頌。詩偈。頌。

げ 【気】 （接尾） 〔「け（気）」の濁音化〕 体言・形容詞（また，形容詞型活用の助動詞）の語幹・動詞（また，動詞型活用の助動詞）の連用形などに付いて，形容動詞の語幹または名詞をつくる。様子・気配・感じなどの意を表す。「悲し―」「満足―」「おとな―」「あり―」など。名詞をつくる場合，下に打ち消しの語を伴うことが多い。「かわい―がない」

げ-あき [0] 【夏明き】 〔仏〕 夏安居(ゲアンゴ)が終わること。また，その最後の日。解夏(ゲゲ)。[季]秋。

け-あし [0] 【毛脚・毛足】 （１）毛織物などで，表面に立った毛。「―の長い絨緞(ジユウタン)」 （２）毛がたくさん生えた足。けずね。

げ-あんご [2] 【夏安居】 〔仏〕 夏の三か月の間，僧が一か所にこもって修行すること。夏行(ゲギヨウ)。夏籠(ゲゴモリ)。[季]夏。 →あんご（安居）(１)

げい [1] 【芸】 （１）習って身につけるわざ。特に，伝統的な演劇・音楽などの，一定の型に基づく表現の仕方。芸能。技芸。「―の道」 （２）人前で演じる特殊な技術。曲芸。「動物に―を仕込む」

げい [1] 【黥】 （１）いれずみ。 （２）いれずみの刑。墨刑。

げ-い ― [1] 【外位】 律令制で，地方出身者や地方官に与えられた位階。普通の位階である内位に対するもので，のち出自や族姓の低い者に与えられた。外階(ゲカイ)。

ゲイ [1] gay 同性愛の人。特に，男の同性愛者。

げい 【】 中国の古伝説上の弓の名人。尭(ギヨウ)の時代，太陽が一〇個も昇り，暑くて人々が苦しんだとき，命を受けて九つの太陽を射落としたとされる。

げいあみ 【芸阿弥】 (1431-1485) 室町後期の画家。法名は真芸(シンゲイ)。能阿弥の子，相阿弥の父。足利義政に仕え，水墨画をよくし，連歌にも長じた。代表作「観瀑僧図」

けいあん-たいへいき 【慶安太平記】 由井正雪らの慶安事件を題材にした，実録本・講談・歌舞伎などの題名や通称。

げい-いき ―キ [0] 【芸域】 芸の高さ・深さ，また広さの範囲。「至高の―に達する」「―を深める」「―を広げる」

げい-いん [0] 【鯨飲】 （名）スル 水や酒を一度にたくさん飲むこと。牛飲。

げいいん-ばしょく [0] 【鯨飲馬食】 一度にたくさん飲み食いすること。牛飲馬食。

けい-いんさつ [3] 【軽印刷】 事務用の簡便な印刷方式。

げい-うら [0][4] 【芸裏】 〔花道での演技を背後から見るところから〕 劇場で，舞台に向かって，花道の左側の観客席。 ⇔芸表

げい-うんりん 【倪雲林】 ⇒倪(ゲイサン)

けいえい-かんり ―クワン― [5] 【経営管理】 企業における生産・販売・労務・財務などの管理を，総括的に効率よく調整するなどの全般的な管理。企業だけでなく組織集団全般についてもいう。

けいえい-けん [3] 【経営権】 企業の経営者が企業組織を管理し運営する権利。実定法上の概念ではない。

けいえい-さんか [5][0] 【経営参加】 労働者または労働組合が何らかの形で経営に参加すること。

けいえん-は ケイン― 【桂園派】 香川景樹を中心とする江戸後期の和歌の一派。和歌を古学への楷梯として考え万葉集を範とする賀茂真淵一門に対し，和歌の文学性を主張し，古今集を宗とした。 →伊勢派 →江戸派

げい-えん ―ン [0] 【芸苑】 学芸の世界。芸術家の社会。芸林。

けいおう 【慶応】 年号（1865.4.7-1868.9.8）。元治の後，明治の前。孝明・明治天皇の代。

けいおう-せん ケイワウ― 【京王線】 京王帝都電鉄の鉄道線。東京都新宿・京王八王子間，37.9キロメートル。甲州街道沿いに走る。

げい-おもて [3][0] 【芸表】 劇場で，舞台に向かって花道の右側の観客席。 ⇔芸裏

げい-おん [0] 【鯨音】 梵鐘の音。

けいか-おり ―クワ― [0] 【京華織(り)】 緯(ヨコ)糸に地緯(ジヨコ)のほかに強撚(ヨ)りの裏緯(ヨコ)糸を打ち込み，織り上げてから蒸気で裏緯(ヨコ)糸を収縮させて畝(ウネ)をだしたもの。主として帯地。京都で織り出された。

けいか-おん ―クワ― [3] 【経過音】 〔音〕 非和声音の一。二つの和声音の間にあって両者を順次進行で継ぐ役目をもつ。

けいか-きてい ―クワ― [4] 【経過規定】 法令の制定改廃によってそれまでの法律状態から新しい法律状態に変化するとき，その過程を円滑に進めるために必要な措置を定めた規定。例えば，新法の適用開始時や旧法の効力の存続期間に関する規定など。経過法。

けいか-ほう ―クワハフ [0] 【経過法】 ⇒経過規定(ケイカキテイ)

けいか-りし ―クワ― [4] 【経過利子】 利付き債券の売買で，前回利子支払い日以後，売買受け渡し日までの経過日数に応じて日割り計算して，買い手が売り手に支払う利子。

げい-か [1] 【猊下】 〔「猊座下」の意。「猊」は獅子の意で，仏をたとえた語〕 （１）高僧のそば。 （２）高僧に対する敬称。 （３）高僧に送る書簡の脇付(ワキヅケ)に用いる語。

けいかい-けいほう [5] 【警戒警報】 警戒を呼びかける警報。特に，戦争中，空襲の危険がある際出される警報。「―発令」

けいかい-しん [3] 【警戒心】 用心深い気持ち。

けいかい-せん [0][3] 【警戒線】 「非常線」に同じ。

げい-かい [0] 【芸界】 芸能人の仲間・社会。芸能界。

けいかい-せき ケイクワイ― [3] 【珪灰石】 カルシウムを含むケイ酸塩鉱物。三斜晶系。白色でガラス光沢がある。繊維状ないし細柱状の結晶の集合体として，変成作用を受けた石灰岩中に産する。陶磁器・耐火材などの原料。

けい-かき ―クワキ [3] 【軽火器】 小銃・軽機関銃など，比較的重量の軽い火器。 ⇔重火器

けいかく-てき ―クワク― [0] 【計画的】 （形動） あらかじめ計画を立てて物事を行うさま。「―に行う」「―な犯行」

げい-がく [1][0] 【芸学】 芸術と学問。学芸。

けい-かしつ ―クワシツ [3] 【軽過失】 〔法〕 善良な管理者の注意義務を多少なりとも欠くこと。普通，過失といえば軽過失のことである。 →重過失

けい-かつ ―クワツ [0] 【契闊】 （１）久しく会わないこと。ぶさた。けっかつ。「―を陳(ノ)ぶ/日乗（荷風）」 （２）固い交わりを結ぶこと。けっかつ。

けいかん-か ―クワンクワ [3] 【鶏冠花】 植物ケイトウの異名。

けいかん-せき ―クワン― [3] 【鶏冠石】 ヒ素の硫化鉱物。単斜晶系。鮮赤色で樹脂状光沢があり，柱状結晶の集合体として鉱脈中に産出することが多い。

げい-かん [0] 【迎寒】 （１）寒冷の季節を迎えること。「―の候」 （２）陰暦八月の異称。［節用集（易林本）］

けいき-ひこう ―カウ [4][5] 【計器飛行】 人間の目視によらず，計器だけを頼りに飛行すること。 ⇔有視界飛行

けいき-の-うた 【景気の歌】 和歌で，景色をそのままに詠んだ歌。景曲体。

げい-ぎ [1] 【芸妓】 歌・踊り・三味線などで宴席に興を添えることを業とする女性。芸者。芸子。

げいぎ-おきや [4] 【芸妓置屋】 芸妓を抱えて，料亭・茶屋などへ芸妓の斡旋をする店。芸妓屋。芸者屋。置屋。

けい-きいつ 【慶紀逸】 (1695-1762?) 江戸中期の俳人・雑俳点者。本名，椎名土佐件人。其角系統の江戸座宗匠で，高点付句集「武玉川」の編者。

けい-きへい [3] 【軽騎兵】 軽装で機敏な騎兵。軽騎。

けい-くつ [0] 【敬屈・磬屈】 立ったまま腰をかがめて礼をすること。また，つつしみかしこまること。

けいけい-ほろろ （副） キジの鳴き声を表す語。「―のきじの声/幸若・八島」

げい-げい [0] 【鯨鯢】 〔古くは「けいげい」。「鯨」は雄のクジラ，「鯢」は雌のクジラ〕 （１）クジラの雄と雌。クジラ。また，小魚を食いつくす大魚のたとえ。 （２）大悪人。悪党の首領。「海に―を剪り/太平記 17」

げい-げき [0] 【迎撃】 （名）スル 攻めて来る敵をむかえうつこと。邀撃(ヨウゲキ)。「敵を―する」「―ミサイル」

けいけつ-せき [4] 【鶏血石】 中国産の印材で，赤く美しい斑紋のあるもの。

けいけん-そく [3] 【経験則】 法則としての因果的必然性がまだ明らかになっておらず，経験上そう言えるというだけの規則。

けいけん-てき [0] 【経験的】 （形動） 経験によって得られるさま。また，経験によって得た知識や感覚を重視するさま。「昔の船乗りは嵐の前兆を―に知っていた」

けいけん-ひはんろん [6] 【経験批判論】 アベナリウスらによって，一九世紀後半に唱えられた実証主義的哲学。経験内容から形而上学的仮定や個人的要素を除去して主客未分の純粋経験をもとめ，それに基づいて世界像を構成しようとする立場。唯物論と観念論の対立を超えると主張するが，レーニンはこれを一種の主観的観念論であるとして批判する。

けいけん-ろん [3] 【経験論】 〔empiricism〕 知識の源泉は理性ではなく，もっぱら感覚的経験にあるとする哲学上の立場。生得観念を否定した一七，八世紀イギリス経験論（ F ＝ベーコン・ロック・バークリー・ヒューム）が代表的。経験主義。経験哲学。

けいこ-のう [3] 【稽古能】 稽古のための演能。特に江戸時代，上覧能・勧進能以外の演能。

けいこ-や [0] 【稽古屋】 「稽古所(ケイコジヨ)」に同じ。

げい-こ [0] 【芸子】 （１）芸妓。主に関西地方でいう。 （２）歌舞伎の若衆。「四条の役者に近付きありて是をたのみにして―に出して/浮世草子・胸算用 4」

げいこ-あがり [4] 【芸子上(が)り】 （１）歌舞伎若衆から一人前の役者になること。 （２）もと芸妓であったが，いまは素人(シロウト)になっている人。

げい-ご [1] 【囈語】 うわごと。ねごと。たわごと。

けいこう-かんせん [5] 【経口感染】 病原体が口を通って消化管から侵入するような感染のしかた。

けいこう-ひにんやく [6] 【経口避妊薬】 婦人用の内服避妊薬。ホルモン剤で，主として排卵を抑制して避妊の目的を達する。ピル。

けいこう-めんえき [5] 【経口免疫】 抗原が経口的に体内に入って抗体がつくられ，免疫が得られること。ポリオの生ワクチンなどで利用される。

けいこう-やく [3] 【経口薬】 口から飲む薬。内服薬。内用薬。飲み薬。

けいこう-たい ―クワウ― [0] 【蛍光体】 蛍光を発する物質の総称。石油・フルオレセイン・エオシン・エスクリンなど。

けいこう-とう ―クワウ― [0] 【蛍光灯】 （１）低圧水銀灯のガラス管の内側に蛍光塗料を塗った照明器具。水銀アーク放電によって発生する紫外線を蛍光物質にあてて発光させる。効率がよく，発熱も少ない。 （２）〔スイッチを入れてからつくのに時間がかかることから〕 反応の遅い人のたとえ。

けいこう-てき ―カウ― [0] 【傾向的】 （形動） 特定の傾向をもっているさま。特に，左翼的な傾向にいう。「―な文学」

けいこう-の-しん ―カフ― 【閨閤の臣】 主君の近くにつかえる臣。

げい-ごう ―ガフ [0] 【迎合】 （名）スル 相手の気に入るように努めること。相手に合わせて自分の意見や態度を変えること。「権力に―する」

げいごう-しゅぎ ―ガフ― [5] 【迎合主義】 相手の意向に従おうとする生活態度。

けいこう-せい ケイクワウ― [0] 【傾光性】 光の強さの変化が刺激になって起こる植物の傾性。生長運動の場合（タンポポの花など）と膨圧運動の場合（オジギソウなど）がある。 →傾性

けいこう-てんのう ケイカウテンワウ 【景行天皇】 記紀の所伝で，第一二代天皇，大足彦尊(オオタラシヒコノミコト)・大足彦忍代別尊(オオタラシヒコオシロワケノミコト)の漢風諡号(シゴウ)。垂仁天皇の第三皇子。都は大和(ヤマト)の纏向日代宮(マキムクノヒシロノミヤ)。熊襲(クマソ)を征討し，皇子の日本武尊(ヤマトタケルノミコト)を派遣して蝦夷(エゾ)を平定したという。記紀の歴史構想で，四道将軍派遣にみられる崇神期の王化の拡大をうけて，それを辺境にまで及ぼす意義を負う。

けいこく-さいみん [0] 【経国済民】 国を治め民の生活を安定させること。経世済民。

けいこく-たいてん 【経国大典】 李氏朝鮮の基本法令集。世祖の命によって編纂事業が始められ，1485年完成。全六巻。吏・戸・礼・兵・刑・工の六典からなる。

けいこく-せい 【惑星】 火星の異名。「五星は，彗星・―・鎮星・太白星・辰星なり/盛衰記 8」

けいこく-はんのう ―オウ [5] 【警告反応】 生体にストレスが加わった際にストレスに対処して生じる反応。

げい-こつ [0] 【鯨骨】 細工物などに使う，クジラの骨。

げい-ごと [0][3] 【芸事】 琴・三味線・踊りなどの遊芸，またそれに関係する事柄。「―に身を入れる」

げい-ざ [0] 【猊座】 ⇒獅子座(シシザ)(１)

げい-さい [0] 【芸才】 芸術や芸事の才能。「―に富む」

げい-さい [0] 【迎歳】 新年をむかえること。迎春。迎年。

けいさい-えいせん 【渓斎英泉】 (1790-1848) 江戸後期の浮世絵師。江戸の人。姓は池田，名は義信。別号，無名翁など。妖艶・退廃的な美人画を得意とし，多数の浮世絵，草双紙の挿絵を描いた。池田英泉。

げ【下】 the low class[grade](下等);the last[second]volume (下巻).下の下 the worst of the kind.→英和

げい【芸】 an art (技芸);→英和 accomplishments (芸事のたしなみ);a trick (芸当).→英和 〜のある(ない)人 an (un)accomplished person.〜をする(犬) do a trick (a performing dog).

ゲイ a gay;→英和 a homosexual.→英和

げいごう【迎合する】 flatter;→英和 ingratiate oneself.迎合主義(の人) opportunism (an opportunist).

げいごと【芸事】 accomplishments.