ついえ ツヒエ 【潰え・弊え】 〔動詞「潰(ツイ)える」の連用形から〕 くずれること。つぶれること。弱ること。「王の政の―未だ必ず此に由(ヨ)らずはあるべからず/日本書紀（欽明訓）」

つい・える ツヒエル [3][0] 【潰える・弊える】 （動ア下一）[文]ヤ下二 つひ・ゆ （１）形が崩れる。こわれる。「この家今は―・へて断礎をのみぞ留めたる/即興詩人（鴎外）」 （２）戦いに負けて総くずれとなる。「軍勢ガ―・エル/ヘボン（三版）」 （３）計画や希望などがうまくいかず，すっかりだめになる。「夢が―・える」 （４）疲弊する。生気がなくなる。「大乱の後民―・え人苦んで/太平記 13」 （５）やつれる。弱る。「年頃いたう―・えたれど/源氏（蓬生）」 〔「ついやす」に対する自動詞〕

つい・ゆ ツヒユ 【潰ゆ・弊ゆ・費ゆ】 （動ヤ下二） ⇒ついえる（潰・弊） ⇒ついえる（費）

へい [1] 【弊】 悪い習慣。また，いけないこと。害。「―に陥る」「飲酒の―」

へい-い [1] 【弊衣・敝衣】 やぶれた着物。ぼろぼろの服。「―をまとう」

へいい-はぼう [1] 【弊衣破帽】 ぼろぼろの服と破れた帽子。特に，旧制高校生などの，蛮カラを気取った身なりに構わぬ服装。

へい-おく ―ヲク [0] 【弊屋】 （１）壊れた家。あばら家。 （２）自分の家をへりくだっていう言葉。拙宅。弊舎。

へい-か [1] 【弊家】 自分の家をへりくだっていう語。拙宅。弊屋。「―へ来臨あらん事/自由太刀余波鋭鋒（逍遥）」

へい-かい ―クワイ [1] 【弊会】 自分の会をへりくだっていう語。

へい-がい [0] 【弊害】 他に害を及ぼす物事。害となる悪いこと。「―を除く」「―を生ずる」

へい-かん ―クワン [1] 【弊館】 自分の属している館をへりくだっていう語。

へい-こ [1] 【弊袴】 破れたはかま。

へい-こう ―カウ [1] 【弊行】 自分の属している銀行をへりくだっていう語。

へい-こく 【弊国】 （１） [0] 国力の疲弊した国。 （２） [1] 自分の国をへりくだっていう語。

へい-し [1] 【弊紙】 自分の社の新聞をへりくだっていう語。

へい-し [1] 【弊誌】 自分の社の雑誌をへりくだっていう語。

へい-しゃ [1] 【弊社】 自分の会社をへりくだっていう語。

へい-しゅう ―シフ [0] 【弊習】 悪い習慣。悪いならわし。

へい-しょ [1] 【弊所】 自分の属している事務所・研究所などをへりくだっていう語。

へい-せい [0] 【弊政】 弊害の多い政治。悪政。秕政(ヒセイ)。

へい-ぞく [0] 【弊俗】 弊害のある風俗。弊習。弊風。

へい-そん 【弊村】 （１） [0] 貧しく，荒廃した村。 （２） [1] 自分の村をへりくだっていう語。

へい-たく [0][1] 【弊宅】 自分の家をへりくだっていう語。拙宅。

へい-てん [1] 【弊店】 自分の店をへりくだっていう語。

へい-とう [0] 【弊竇】 〔「竇」は穴の意〕 弊害となる点。欠陥。「文明の今日猶此―に陥つて恬(テン)として顧みないのは/吾輩は猫である（漱石）」

へい-ふう [0] 【弊風】 悪い風俗や風習。悪習。

へい-ふく [0] 【弊服】 破れた衣服。みすぼらしい衣服。

へい-り [1] 【弊履・敝履】 破れたくつ。使い物にならないはき物。「富貴は土塊(ツチクレ)の如く恋愛は―より軽かつた/社会百面相（魯庵）」

――を棄(ス)つるが如(ゴト)し 惜しげもなく捨てるさま。

へい-ろ [1] 【弊廬】 （１）こわれた家。 （２）自分の家をへりくだっていう語。

へい【弊】 ⇒弊害.

へいがい【弊害】 an evil;→英和 an abuse;→英和 a bad influence (悪影響).

へいふう【弊風】 a bad custom[practice,habit].