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○成らぬ堪忍するが堪忍ならぬかんにんするがかんにん🔗⭐🔉
○成らぬ堪忍するが堪忍ならぬかんにんするがかんにん
[養草]堪忍できないことを堪忍することこそ真の堪忍である。
⇒な・る【生る・成る・為る】
なら‐の‐おがわ【楢の小川】‥ヲガハ
京都市北区、上賀茂神社の御手洗川みたらしがわ。(歌枕)
なら‐の‐だいぶつ【奈良の大仏】
東大寺大仏殿にある同寺の本尊。華厳経の教主毘盧舎那仏びるしゃなぶつの金銅坐像で、高さ14.85メートル。聖武天皇の発願により749年(天平勝宝1)鋳造完了。752年開眼供養。その後1180年(治承4)・1567年(永禄10)兵火にあい改鋳され、台座蓮弁の一部などだけが当初のもので、胴身の一部は鎌倉、頭首は元禄時代のもの。→国中連公麻呂くになかのむらじきみまろ
→文献資料[大仏発願の詔]
なら‐の‐はがしわ【楢の葉柏】‥ガシハ
楢の木の葉。後拾遺和歌集夏「神山の―もとつ葉もなし」
なら‐の‐はもり【楢の葉守】
楢の葉を守る神。謡曲、金札「―の神心」
なら‐の‐ふること【奈良の古言】
(古今集雑「神無月時雨降りおける楢ならの葉の名におふ宮の古言ぞこれ」に基づく)「万葉集」の異称。
なら‐の‐みやこ【奈良の都・奈良京】
元明・元正・聖武・孝謙・淳仁・称徳・光仁の7代70年余(710〜784)の都。ならきょう。万葉集3「青丹よし―は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」→平城京へいじょうきょう
なら‐は【奈良派】
近世の装剣金工の一派。→奈良彫ぼり
ならび【並び】
①ならぶこと。ならんださま。ならぶもの。なみ。つら。れつ。「郵便局の―に書店がある」
②くらべ得るもの。たぐい。同類。三蔵法師伝承徳点「審慎の心、古自より比ナラヒ無し」。日葡辞書「ナラビモナイコト」→ならびない。
⇒ならび‐ぐら【並び倉・双倉】
⇒ならび‐だいみょう【並び大名】
⇒ならび‐に【並びに】
⇒ならび‐へいし【並瓶子】
⇒ならび‐や【並矢】
⇒ならび‐や【並び屋・並び家】
ならび‐おこ・る【並び起る】
〔自四〕
つづいて起こる。同時に起こる。
ならび‐が‐おか【双ヶ岡】‥ヲカ
京都市右京区御室にある丘陵。一ノ岡、二ノ岡、三ノ岡の三つが並ぶ。清原夏野や兼好法師の住まいが山麓にあり、古くより著名。
ならび‐ぐら【並び倉・双倉】
二つの倉がならんで建ち、中間に連絡のあるもの。正倉院はその例。
⇒ならび【並び】
ならび‐しょう・する【並び称する】
〔他サ変〕
他のすぐれたものと同等であるとして、並べて呼びならわす。
ならび‐だいみょう【並び大名】‥ミヤウ
①歌舞伎の「忠臣蔵」大序などで、大名姿に扮して、一種の背景のように並んでいる大勢の役者の総称。
②転じて、名をつらねているばかりで何の役割も取柄もない人。取り巻き。
⇒ならび【並び】
ならび‐た・つ【並び立つ】
〔自五〕
①並んで立つ。「―・つ高層住宅」
②同じくらい優れた勢力を持つ。肩を並べる。「大国と―・つ」「両雄―・たず」
ならび‐な・い【並び無い】
〔形〕[文]ならびな・し(ク)
ならぶべきものがない。比類がない。無比である。源氏物語紅葉賀「―・きどちは」。平家物語2「君のため大功―・かりしかば」
ならび‐に【並びに】
〔接続〕
二つの物事を並べあげるのに用いる語。および。かつ。また。西大寺本最勝王経平安初期点「叢林果樹並ナラビに滋しげく栄え」。
▷法令文では「および」より上位の結合に使う。「AおよびB―CおよびD」
⇒ならび【並び】
ならび‐へいし【並瓶子】
紋所の名。瓶子を二つ並べたもの。
⇒ならび【並び】
ならび‐や【並矢】
紋所の名。矢を2条または3条、並べたもの。
⇒ならび【並び】
ならび‐や【並び屋・並び家】
ならび立っている家。
⇒ならび【並び】
なら・ぶ【並ぶ】
[一]〔自五〕
二つ以上のものが同じ方向に向いて同列に位置する意。
①同列に揃う。万葉集7「吾妹子に我が恋ひゆけばともしくも―・びをるかも妹と背の山」。源氏物語早蕨「―・び給へりし折はとりどりにて、更に似給へりとも見えざりしを」。天草本平家物語「嫡子の小次郎は…馬からおり、父と―・うで立つたれば」。「3列に―・んで歩く」「先着順に―・ぶ」
②匹敵する。ひとしい。源氏物語玉鬘「うへの御かたちは、なほ―・び給はむとなむ見給ふ」。「水泳では彼に―・ぶ者はいない」
③そろってある。皆ととのっている。源氏物語絵合「いたう進みぬる人の、命、幸と―・びぬるはいと難きものになむ」
④近く接している。遠くない前後にある。賀茂保憲女集「過ぎにし年ごろ―・べる月日の中に求むれば、我が身のごと悲しき人はなかりけり」
[二]〔他下二〕
⇒ならべる(下一)
なら‐ぶぎょう【奈良奉行】‥ギヤウ
江戸幕府の職名。遠国おんごく奉行の一つ。京都所司代の指揮を受け、奈良に駐在して町の行政・司法を統括し、社寺のことをつかさどった。南都町奉行。
なら‐ぶろ【奈良風炉】
奈良でつくり出し、茶の湯に用いた土製の風炉。土風炉どぶろ。
なら‐ぶんかざいけんきゅうじょ【奈良文化財研究所】‥クワ‥キウ‥
美術工芸・建造物・歴史・埋蔵文化財の研究機関。1952年奈良市に設置。68年文化庁の付属機関。現在は独立行政法人国立文化財機構の下部組織。平城宮跡などの発掘調査を行い、飛鳥資料館・平城宮跡資料館を付置。略称、奈文研。
ならべ【並べ】
ならべること。ならべたさま。
⇒ならべ‐じま【並べ縞】
⇒ならべ‐まくら【並べ枕】
⇒ならべ‐もん【並べ紋】
ならべ‐じま【並べ縞】
縞を並べた織物。好色一代女4「―の大幅帯」
⇒ならべ【並べ】
ならべ‐た・てる【並べ立てる】
〔他下一〕[文]ならべた・つ(下二)
①並べて立てる。多くの物を次々に並べる。
②あれこれと並べて言い立てる。列挙して言う。「不平を―・てる」
ならべ‐まくら【並べ枕】
枕を並べること。共に寝ること。また、並べた枕。
⇒ならべ【並べ】
ならべ‐もん【並べ紋】
並べた紋。対ついの紋。比翼紋。
⇒ならべ【並べ】
なら・べる【並べる】
〔他下一〕[文]なら・ぶ(下二)
二つ以上のものを同じ方向に向けて同列に位置させる意。
①同列に揃える。つらねる。仁徳紀「さ夜床を―・べむ君はかしこきろかも」。源氏物語桐壺「羽を―・べ枝をかはさむと」。天草本平家物語「五百余騎轡くつばみを―・ぶるところに」。「机を―・べて仕事をする」
②いくつかのものを、一定の形である物の上に置く。「料理を―・べる」
③かさねつづける。重ねる。続ける。万葉集11「日け―・べば人知りぬべし今日の日も千歳の如くありこせぬかも」「夜―・べて君を来ませと」
④くらべる。比較する。万葉集14「をくさをとをぐさずけをと潮舟の―・べて見ればをぐさ勝ちめり」。平家物語3「官加階は肩を―・ぶる人もあるまじきぞ」
⑤次々に言う。述べたてる。「文句を―・べる」
なら‐ほうし【奈良法師】‥ホフ‥
奈良の東大寺・興福寺などの法師。僧兵として名高い。奈良大衆だいしゅ。保元物語「―山門を攻むるとて」→寺法師→山法師→僧兵
なら‐ぼり【奈良彫】
①江戸初期に後藤家から独立した装剣金工の一派。また、その彫り物。奈良利輝(1580〜1629)に始まり、奈良利寿・土屋安親・杉浦乗意は奈良三作として併称された。奈良派。
②(→)奈良一刀彫に同じ。
なら‐ぼんち【奈良盆地】
奈良県北西部、笠置かさぎ山地と生駒・金剛山地に囲まれた盆地。初瀬はせ・飛鳥・佐保などの河川が流下する。古代文化の発祥地。大和盆地。
なら‐も【奈良茂】
奈良屋茂左衛門の通称。
ならもと【奈良本】
姓氏の一つ。
⇒ならもと‐たつや【奈良本辰也】
ならもと‐たつや【奈良本辰也】
日本史学者。山口県生れ。立命館大学教授。近世史・明治維新史を研究。「吉田松陰」「近代陶磁器業の成立」「明治維新論」など。(1913〜2001)
⇒ならもと【奈良本】
なら‐もの【奈良物】
室町末期の奈良出来の甲冑かっちゅうまたは刀。→奈良刀
なら‐もろはく【奈良諸白】
奈良から産する諸白。奈良酒。
なら‐やま【奈良山】
奈良県添上郡佐保および生駒郡都跡村の北の丘陵。現在は奈良市に編入。平城山。(歌枕)
ならや‐もざえもん【奈良屋茂左衛門】‥ヱ‥
江戸深川の材木商。通称、奈良茂。
①(4代)神田勝豊。号は安休。日光社殿の修理で富を積み、紀国屋文左衛門と並称。( 〜1714)
②(5代)名は広璘。弟勝屋とともに先代より多額の遺産を受け、驕奢を極めたという。(1695〜1725)
ならわかし【習はかし】ナラハカシ
(→)「ならわし」に同じ。浄瑠璃、女殺油地獄「こちの女房お沢が一家一門みな侍。その―か思ひ切つては見返らず」
ならわか・す【習はかす】ナラハカス
〔他四〕
①なれさせる。ならわせる。
②こらしめる。狂言、右近左近おこさこ「さんざんに―・いてやらう」
ならわし【習わし・慣わし】ナラハシ
①なれさせること。源氏物語澪標「たが―にかあらん…物怨えじなどし給ふよ」
②学習。練習。源氏物語少女「舞―などは里にていとよう仕たてて」
③しきたりとして決まっている事柄。ならい。習慣。風習。「わが家の―」
⇒ならわし‐がお【習わし顔】
⇒ならわし‐もの【習わし物】
ならわし‐がお【習わし顔】ナラハシガホ
習慣と思っている様子。安元元年右大臣家歌合「山里に―のけさの初雪」
⇒ならわし【習わし・慣わし】
ならわし‐もの【習わし物】ナラハシ‥
ならわしとなるもの。ならわしによってどうともなるもの。古今和歌集恋「人の身も―を」
⇒ならわし【習わし・慣わし】
ならわ・す【習わす】ナラハス
〔他五〕
①なれさせる。習慣とさせる。竹取物語「かくたいだいしくやは―・すべき」
②学ばせる。学習させる。落窪物語1「琴なども―・す人あらば」。「絵を―・す」
③こらしめる。ひどい目にあわせる。宇治拾遺物語7「この女人に物―・さむといひて」
④(動詞の連用形に付いて)いつも…する。…する習慣である。「呼び―・す」
ならんだ【那爛陀】
⇒ナーランダー
なり
俗に、ハンセン病。なりんぼう。
なり【生り】
①生い出ること。源氏物語少女「片―にみえ給へど…うつくしき様し給へり」
②果実の生ずること。「今年は柿の―が悪い」
なり【成り】
①成ること。成就すること。
②貴人が外出すること。おなり。おでまし。出御。
③将棋で、駒が成ること。→成る➋6
なり【形・態】
①かたち。そうなった、ものの形状。伊勢物語「その山は…―は塩尻のやうになむありける」。「弓―になる」「曲がり―にも」
②身なり。衣裳。源氏物語宿木「童べなどの、―あざやかならぬ折々うちまじりなどしたるを」。泉鏡花、小春の狐「服装なりは見すぼらしく、顔も窶やつれ」。「―ふりかまわず」
③からだつき。歌舞伎、天衣紛上野初花「もう倅がこのやうに大きな―になりました」。夏目漱石、坊つちやん「身長なりは小さくつても喧嘩の本場で修業を積んだ兄にいさんだ」
④(接尾語的に)
㋐そっくりそれに従う意を表す。するとおり。まま。浮世風呂2「奉公だから言ふ―になつて」
㋑相応。「子供―の理屈」「それ―」→なり(助詞)
なり【業】
生活のための職業。生業。なりわい。万葉集5「家に帰りて―をしまさに」
なり【鳴り】
①鳴ること。また、その音。
②騒がしい声や物音。源氏物語鈴虫「講説のをり、大方の―を静めて」
⇒鳴りをひそめる
なり
〔助動〕
(➊は[活用]○/なり/なり/なる/なれ/○、➋➌➍は[活用]なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ)
➊(終止形に付く。ただし、ラ変型には連体形にも)聞いたことをもとにして述べる語。
①自分が直接に聞いたことであることを示す。…と聞いている。古今和歌集秋「秋風に初雁がねぞ聞ゆなる誰が玉章たまずさをかけて来つらむ」。土佐日記「男もすなる日記」
②人を介して聞いたこと(伝聞)を表す。…という。…そうだ。万葉集17「少女らは思ひ乱れて君待つと心うら恋ひすなり心ぐしいざ見に行かな」。源氏物語少女「大納言の外腹ほかばらの娘奉るなるに、朝臣のいつき娘出だし立てたらむ何の恥かあるべき」。平家物語11「今日九郎が鎌倉へ入るなるに各々用意し給へ」
③聞いたことから推定することを示す。…と聞いたのは…であろう。古今和歌集秋「秋の野に人まつ虫の声すなり我かとゆきていざとぶらはむ」
➋(体言・体言に準ずる語に付く)場所を表す語を受けて、存在する意を表す。…にある。…にいる。古事記上「天なるや弟棚機のうながせる」。万葉集15「今日もかも都なりせば見まく欲り」。源氏物語若紫「北山なるなにがし寺といふ所に」。天草本平家物語「沖な船に送り奉らう」
➌(体言・体言に準ずる語に付く)事物を断定し、または解説するのに用いる。…である。…だ。口語「だ」に転じて使われる。万葉集5「梅の花今盛りなり」。万葉集6「千万の軍なりとも言挙げせず取りて来ぬべき男とそ思ふ」。源氏物語桐壺「亡き人のすみか尋ね出でたりけむ証の釵かんざしならましかばとおもほすもいとかひなし」。土佐日記「女もしてみむとてするなり」→だ。
▷終止形で「也」とあてることがある。
➍体言に付いて、その状態にあることを示す。ナリ活用形容動詞の語尾とすることもある。状態を表す語に付いて叙述を助ける。地蔵十輪経元慶点「儼然にして」。源氏物語夕顔「ひまひまよう見ゆる火の光、蛍よりけにほのかに、あはれなり」。天草本伊曾保物語「恩を忘るる者は多う、仇を報ぜぬ者は稀な」
なり
〔助詞〕
➊(文語の指定の助動詞「なり」から)
①(副助詞)幾つも考えられる中から一例として示す。「疲れているから休む―するほうがいい」「私に―うち明けて欲しかった」→なりと。
②(並立助詞)話し手にとってほぼ同価値のことを並立・列挙して選ばせる意を表す。「残る―帰る―勝手にしろ」「困った時は、親―先生―に相談しなさい」
➋(名詞「なり(形・態)」からか)(接続助詞)
①(動詞型活用の語の連体形に接続)間を置かずに継起する二つの動作の、先行動作を表す。…するとすぐに。…するやいなや。「顔を見る―どなりつけた」
②(助動詞「た」の連体形に接続)かなりの時間が経過しても、起こったままの好ましくない状態が続いていることをいう。「朝早く家を出た―になっている」「熱が上がった―下がらない」「服を着た―で寝る」
なり‐あい【成合】‥アヒ
①ととのうこと。完成していること。
②成るがままにすること。都合次第。なりわい。狂言、隠狸「あとはどうとも―に致さう」
なりあい‐さん【成相山】‥アヒ‥
京都府北部、天橋立の北方にある山。標高569メートル。山上に成相寺がある。
成相山
撮影:的場 啓
なりあい‐じ【成相寺】‥アヒ‥
京都府宮津市にある真言宗の寺。西国三十三所第28番の札所。慶雲(704〜708)年中、真応の創建と伝え、天橋立を見下ろす景勝地。通称、橋立観音。
なり‐あ・う【成り合ふ】‥アフ
〔自四〕
①ととのった姿になる。完成する。成熟する。源氏物語松風「少し―・ふ程になり給ひにけり」
②いっしょになる。一つになる。なれあう。太平記15「御方みかたの者が敵と―・ひて」
なり‐あがり【成上り】
なりあがること。また、その人。
⇒なりあがり‐もの【成上り者】
なりあがり【成上り】
狂言。主人の太刀を竹の棒とすりかえられた太郎冠者が、山芋が鰻になるように成上りで、めでたいのだと言いわけする。「成上り者」とも。
なりあがり‐もの【成上り者】
卑賤の身から急に身分や地位のあがった者。軽蔑の意をこめていう。好色一代女4「―のくせに、わがままをぬかして」
⇒なり‐あがり【成上り】
なり‐あが・る【成り上がる】
〔自五〕
低い身分や地位から出世する。貧乏な者が金持になる。源氏物語竹河「次々の人々―・りてこの薫中将は中納言に」。「一国一城の主に―・る」
なり‐あま・る【成り余る】
〔自四〕
出来あがって余分がある。古事記上「成り成りて―・れる処一処あり」
ナ‐リーグ
(→)ナショナル‐リーグの略。
なり‐いし【鳴石】
岩石の外殻が固まった後、内部に空所を生じて、振り動かすと、中で小石の動き響く石。
なり‐い・ず【生り出づ・成り出づ】‥イヅ
〔自下二〕
①うまれ出る。また、成長する。万葉集5「人と―・でて」
②なりあがって世に出る。出世する。源氏物語行幸「御子どももみな―・でつつ物し給ふ」
なり‐いた【鳴板】
(→)「見参げんざんの板」に同じ。弁内侍日記「なほ出でやらず、―の程に立ちて」
なり‐おお・せる【成り果せる】‥オホセル
〔他下一〕[文]なりおほ・す(下二)
すっかりそのものになる。なりきる。なりすます。万代和歌集雑「さびしき宿のあるじとは―・せたる身にもあるかな」。「貴婦人に―・せる」
なり‐おと・る【成り劣る】
〔自四〕
劣ったようになる。だんだん劣ってゆく。落窪物語4「若人どもに多く超えられて―・りつるになむ恥に思ひける」
なり‐か【成箇】
(「箇」は数をあらわし、出来高の意)江戸時代、田畑・屋敷に賦課した租税。取箇とりか。物成ものなり。年貢ねんぐ。
⇒なりか‐ごうちょう【成箇郷帳】
なり‐かえ・る【成り返る】‥カヘル
〔自四〕
①再びもとのとおりになる。源氏物語若菜上「今めかしく―・らせ給ふめる御心ならひに」
②うら返しになる。拾遺和歌集雑「下葉や上に―・るらむ」
③すっかりそのものになりきる。無名抄「心の底まで歌に―・りて」
④信仰している宗派・宗教を捨てる。背教する。〈日葡辞書〉
なり‐かか・る【鳴り掛る】
〔自四〕
呼びかけてさわぐ。声を高くたててさわぐ。栄華物語衣珠「多くの僧ども―・り加持まゐる」
なりか‐ごうちょう【成箇郷帳】‥ガウチヤウ
(→)取箇とりか郷帳に同じ。
⇒なり‐か【成箇】
なり‐かたち【形貌】
すがたかたち。みなり。なりふり。
なり‐かっこう【形恰好】‥カウ
すがたかたち。なりふり。形格好。
なり‐かつよう【なり活用】‥クワツ‥
文語形容動詞の活用の一つ。語尾が「なら・なり(に)・なり・なる・なれ・なれ」と変化するもの。「静かなり」「あはれなり」の類。→形容動詞
なり‐かぶら【鳴鏑】
(→)鏑矢かぶらやの異称。
なり‐がら【成柄・成束】
除目じもくの際の任命の文書。成文なりぶみ。
なり‐かわ・る【成り代わる】‥カハル
〔自五〕
その代りとなる。代理する。「本人に―・りまして御挨拶申し上げます」
なり‐かわ・る【為り変る】‥カハル
〔自四〕
変わって他の物となる。変ずる。後撰和歌集恋「淵は瀬に―・るてふ飛鳥川」
なり‐き【生り木】
果実のみのる樹木。果樹。
⇒なりき‐ぜめ【生木責め】
なりき‐ぜめ【生木責め】
(→)木呪きまじないに同じ。
⇒なり‐き【生り木】
なり‐ぎり【成切】
⇒おなりきり(御成切)
なり‐き・る【成り切る】
〔自五〕
すっかりそのものになる。「役に―・る」
なり‐きん【成金】
①将棋で、駒が成って金将と同じ働きをするもの。→成る➋6。
②急に金持になること。また、その人。にわかぶげん。
▷多く、その人を軽蔑して用いる。「―趣味」「土地―」
なり‐くせ【性】
性質。性癖。日葡辞書「ヒトノナリクセ」
なり‐くだもの【生り果物】
(→)「くだもの」1に同じ。
なり‐けり
(指定の助動詞「なり」に回想・詠嘆の助動詞「けり」の付いたもの)
①以前そうであったと回想する意を表す。伊勢物語「母なん藤原なりける」
②(多く終止形で)ある事実にあらためて気付き詠嘆する意を表す。…なのだなあ。新古今和歌集旅「年たけて又越ゆべしと思ひきや命なりけり小夜の中山」
③以前そこにあったと回想する意を表す。伊勢物語「その宮の隣なりける男」
なり‐こま【成駒】
将棋で、成った駒。→成る➋6
なりこま‐や【成駒屋】
歌舞伎俳優中村歌右衛門・中村鴈治郎とその一門の屋号。
なり‐こ・む【鳴り込む】
〔自四〕
わめき立てて押し入る。どなりこむ。浮世風呂2「思ふさま―・んでやるべい」
なり‐さが・る【成り下がる】
〔自五〕
富貴から貧賤となる。おちぶれる。沙石集5「―・りたる身こそつらけれ」
なり‐さま【成り様】
成長していく様子。好色一代男2「子供の―を尋ね」
なり‐しだい【成り次第・為り次第】
なるがままにすること。
なり・ず【成り出】ナリヅ
〔自下二〕
「なりいづ」の約。日本紀竟宴歌「―・でたり」
なり‐すがた【形姿】
なりふり。みなり。姿態。源氏物語宿木「―よりはじめ…ととのへ」
なり‐すまし【成済し】
(spoofing)盗んだユーザーIDやパスワードで、他人になりすましてネットワーク上で活動すること。
なり‐すま・す【成り済ます】
〔自五〕
①すっかりそのものになってしまう。成りおおす。
②実際はそうでないのに、なりきった風をする。「客に―・す」
なり‐そ・う【成り添ふ】‥ソフ
〔自四〕
そい加わる。源氏物語桐壺「やすからぬ事多く―・ひ侍るに」
なりた【成田】
千葉県北部の市。新勝寺(成田不動)の門前町として発達。成田国際空港がある。人口12万1千。
新東京国際空港
撮影:関戸 勇
新勝寺
撮影:関戸 勇
⇒なりた‐こくさいくうこう【成田国際空港】
⇒なりた‐ふどう【成田不動】
なりた【成田】
姓氏の一つ。
⇒なりた‐そうきゅう【成田蒼虬】
なり‐たかし【鳴り高し】
(静かにせよと注意する語)声が高い。やかましい。風俗歌、鳴り高し「音なせそや密みそかなれ大宮近くて―」。源氏物語少女「―、鳴りやまむ」
なり‐たけ【成り丈】
〔副〕
(ナルタケの転)できるだけ。浮世床初「―為になることをしてやるけれど」
なりた‐こくさいくうこう【成田国際空港】‥カウ
成田市にある国際空港。1978年開港。旧称、新東京国際空港。
⇒なりた【成田】
なりた‐そうきゅう【成田蒼虬】‥サウキウ
江戸後期の俳人。加賀金沢藩士。致仕して京都に赴く。俳諧を高桑闌更らんこうに学び、蕉風の復興に努め、2世芭蕉堂となり、江戸に下って新調を鼓吹した。月並調の巨匠とされるが優雅な作もある。天保三大家の一人。(1761〜1842)
⇒なりた【成田】
なり‐たち【成立ち】
①なりたつこと。また、なりたつまでの過程。できかた。生い立ち。浮世物語「浮世房―のこと」
②仕組み。構成の仕方。「文の―」
なり‐た・つ【成り立つ】
〔自五〕
①一人前となって世に立つ。立身する。源氏物語真木柱「人にも―・たむ事かたし」
②出来上がる。成立する。採算が合う。「契約が―・つ」「その考えも―・つ」
③事業として続けられる。「商売が―・たない」
なり‐たて【成り立て】
ある職業・地位などに就いて間もないこと。「教師に―の頃」「―のほやほや」
なり‐た・てる【鳴り立てる】
〔自下一〕[文]なりた・つ(下二)
どなりたてる。わめきたてる。浮世風呂3「―・てにらみつけられ」
なりた‐ふどう【成田不動】
成田市にある新勝寺の通称。
⇒なりた【成田】
なりた‐や【成田屋】
歌舞伎俳優市川団十郎とその一門の屋号。
なり‐つけ【形付け】
裁縫・手工などで、布・紙などに跡をつけて標しるしとするのに用いる箆へら。かたべら。
なり‐て【成り手】
なる人。当たる人。また、なりたがる人。狂言、鬮罪人「罪人に―がござらぬ」。「会長の―がない」
なりと
〔助詞〕
(副助詞)(文語の指定の助動詞「なり」に逆接の接続助詞「と」の付いた形から)一例を示して消極的な範囲で受けいれる意を表す。…だけでも。狂言、餅酒「路次でお茶―申さう物を」。人情本、当世虎之巻「鳥渡ちょっと―爰ここをあけて下さりませ」。「せめてひと目―会いたかった」→なり(助詞)
なり‐どころ【業所】
①田と宅地。仁徳紀「逆流を塞ぎて田宅なりどころを全くせよ」
②古代、豪族の別宅とその周辺の私有地の称。普通、農園として経営された。田荘。たどころ。舒明紀「蘇我の田家なりどころに退りて、仕へず」
なり‐どし【生り年】
果実がよくなる年。また、年切としぎりの柿などの、果実の結ぶ年。↔裏年。→隔年結実
なり‐ととの・う【成り調ふ】‥トトノフ
〔自四〕
全くできあがる。完成する。
なり‐とよ・く【鳴りとよく】
〔自四〕
やかましく騒ぎ立てる。景行紀「蝦夷えみし等、昼夜喧譁なりとよきて」
なりなが‐しんのう【成良親王】‥ワウ
⇒なりよししんのう
なり‐な・る【成り成る】
〔自四〕
①次第にできあがる。完成する。古事記上「吾が身は―・りて」
②順になる。宇治拾遺物語4「男子、女子あまた生みつづけて又それが妻男めおとこに―・りしつつ」
なりなん‐と・す【垂んとす】
〔自サ変〕
まさになろうとする。なんなんとす。
なり‐のぼ・る【成り上る】
〔自四〕
(→)「なりあがる」に同じ。源氏物語帚木「上達部かんだちめなどまで―・りたる」
なり‐はず【鳴弭】
(万葉集の原文「奈加弭」の「加」を「利」の誤りとみる説から。「かなはず」「なかはず」などの説もある)射る時に弭の音の高く鳴る弓。万葉集1「梓の弓の―の音すなり」
なり‐は・てる【成り果てる】
〔自下一〕[文]なりは・つ(下二)
①成り終わる。すっかりそうなってしまう。源氏物語夕顔「―・てむさまを見む」
②死ぬ。源氏物語夕顔「さりともいたづらに―・て給はじ」
③(良くない状態に)なる。変わりはてる。おちぶれはてる。なりさがってしまう。浄瑠璃、国性爺合戦「―・てし此の姿」
なり‐ひさご【生り瓢】
ひさご。ひょうたん。古今著聞集8「―といふ物を腰につけて」
なり‐ひび・く【鳴り響く】
〔自五〕
①鳴る音があたりにひびき聞こえる。「発車のベルが―・く」
②名声が聞こえわたる。名が知れわたる。「名声が天下に―・く」
なりひら【業平】
⇒ありわらのなりひら(在原業平)。
⇒なりひら‐あずまくだり【業平東下り】
⇒なりひら‐だけ【業平竹】
⇒なりひら‐づくり【業平作り】
なりひら‐あずまくだり【業平東下り】‥アヅマ‥
在原業平の東国下向。画題または文芸作品の題材として知られる。
⇒なりひら【業平】
なりひら‐だけ【業平竹】
竹の一種。高さ約5メートル、幹は紅紫色、節は2輪状、葉はとがり、小枝の先端に群生する。四国・九州に自生し、観賞用として栽植。ダイミョウチク。
ナリヒラダケ
撮影:関戸 勇
⇒なりひら【業平】
なりひら‐づくり【業平作り】
在原業平のような身のつくり。いかにも美男子らしいなりかたち。
⇒なりひら【業平】
なり‐ぶみ【成文】
太政官から奏上して勅許された文書。特に除目じもくの文書の別称。江家次第9「史、更に一枚を開きて申して云はく―若干枚」
なり‐ふり【形振り】
①みなりとそぶり。服装と態度。好色一代男3「ちよこちよことありく―」。「―かまわず飛び出す」
②ようす。形勢。
なり‐ぼし【成星】
(「一つ星みつけた、長者になろう」という童歌から出た語という)俄分限にわかぶげん。出来星できぼし。成金。
なり‐まか・る【成り罷る】
〔自四〕
「なりゆく」の謙譲語。まかりなる。相成る。今鏡「女みまかりにければ…―・るさまを見て」
なり‐まさ・る【成り優る】
〔自五〕
その度合が次第にましてゆく。ますます…になってゆく。竹取物語「すくすくと大きに―・る」
なり‐まじ・る【生り交る】
〔自四〕
まじってみのる。実が入りまじってなる。建礼門院右京大夫集「このごろはかうじ橘―・り」
なり‐み・つ【鳴り満つ】
〔自四〕
一面になりひびく。鳴る音があたりに満ちる。源氏物語須磨「猶やまず―・ちて」
なり‐もて‐ゆく【成りもて行く】
次第に…になって行く。宇治拾遺物語10「やうやう聞え高くなりもて行けば」
なり‐もの【生り物】
①田畑の収穫。
②食用となる果実。果実のなる木。なりくだもの。くだもの。
なり‐もの【済物】
⇒せいもつ
なり‐もの【鳴物】
①楽器。また、その演奏。
②歌舞伎で、三味線を除いた鉦・太鼓・笛などの囃子や擬音の総称。広義には三味線も加えていう。
⇒なりもの‐いり【鳴物入】
⇒なりもの‐し【鳴物師】
⇒なりもの‐ちょうじ【鳴物停止】
なりもの‐いり【鳴物入】
①歌舞・演劇などで鳴物を入れて調子を取り、またはにぎやかにすること。
②転じて、物事におおげさな宣伝などを伴うこと。「―で吹聴する」
⇒なり‐もの【鳴物】
なりもの‐し【鳴物師】
歌舞伎で、三味線以外の鳴物をあつかう囃子方はやしかた。下方したかた。
⇒なり‐もの【鳴物】
なりもの‐ちょうじ【鳴物停止】‥チヤウ‥
大葬・国葬の際などに、楽器の演奏を禁止すること。
⇒なり‐もの【鳴物】
なり‐や【鳴矢】
(→)鏑矢かぶらやの異称。万葉集9「―もち鹿かとり靡けし」
なり‐ゆき【成行き】
①物事が移り変わってゆく様子や過程。また、その結果。浄瑠璃、源平布引滝「世の―は是非もなし」。「―にまかせる」「自然の―」
②「成行き注文」の略。
⇒なりゆき‐ちゅうもん【成行き注文】
⇒なりゆき‐ねだん【成行き値段】
⇒なりゆき‐ばいばい【成行き売買】
なりゆき‐ちゅうもん【成行き注文】
売買値段を指定しないで、その時の相場で売買するよう指定した注文。↔指値さしね注文。
⇒なり‐ゆき【成行き】
なりゆき‐ねだん【成行き値段】
市場の成行きのままに出来た値段。
⇒なり‐ゆき【成行き】
なりゆき‐ばいばい【成行き売買】
成行き値段で売買すること。
⇒なり‐ゆき【成行き】
なり‐ゆ・く【成り行く】
〔自五〕
次第にある状態に移ってゆく。うつりゆく。竹取物語「かくて翁やうやうゆたかに―・く」
なりよし‐しんのう【成良親王】‥ワウ
(成良はナリナガとも)後醍醐天皇の皇子。母は阿野廉子。鎌倉に下向し、帰洛して1335年(建武2)征夷大将軍。翌年光明天皇の皇太子となったが間もなく廃せられた。(1326〜1344)
なり‐わい【生業】ナリハヒ
①五穀が生なるように務めるわざ。農作。生産の業。また、その作物。崇神紀「農なりわいは天下の大きなる本なり」。万葉集18「作りたるその―を」
②世わたりの仕事。すぎわい。よすぎ。なり。家業。源氏物語夕顔「今年こそ―にも頼む所すくなく」。「八百屋を―とする」
⇒なりわい‐ぎ【生業木】
なり‐わい【成合】‥ワヒ
(ナリアイの訛)
⇒なりあい2
なりわい‐ぎ【生業木】ナリハヒ‥
(北陸地方で)小正月の飾り物の木。稲穂・繭玉まゆだま・果実などを木の枝につけ屋内に飾る。めおさし。餅木。木団子。繭玉。餅手鞠。餅花。
⇒なり‐わい【生業】
なり‐わた・る【鳴り渡る】
〔自五〕
①一面に鳴りひびく。「サイレンが―・る」
②名がきこえわたる。広く評判になる。「名が国中に―・る」




広辞苑 ページ 14771 での【○成らぬ堪忍するが堪忍】単語。