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う・つ【打つ・討つ・撃つ】🔗🔉

う・つ打つ・討つ・撃つ】 [一]〔他五〕 ➊ある物を他の物に瞬間的に強くあてる。 ①《打・撃》勢いよく当てる。古事記「ささのはに―・つや霰の」。大鏡伊尹「手をはたと―・ちて」。日葡辞書「カヲヲウツ」 ②たたいて鳴らす。万葉集4「皆人を寝よとの鐘は―・つなれど」。土佐日記「舟子どもは腹つづみを―・ちて」。日葡辞書「ツヅミヲウツ」。「時計が3時を―・つ」 ③砧きぬたでたたいて光沢を出す。源氏物語野分「朽葉のうすもの、今様色の二なく―・ちたるなど引き散らし給へり」 ④石などを強くたたいて火を出す。貫之集「をりをりに―・ちて焚く火の煙あらば」。日葡辞書「ヒヲウツ」 ⑤強い感動を与える。「心を―・つ」「胸を―・つ」 ⑥むち打って、馬を走らせる。平家物語9「二日路を一日に―・つて」 ⑦電報を発信する。「電報を―・つ」 ⑧舌をならす。日葡辞書「シタツヅミヲウツ」 ⑨綿弓ではじく。「古綿を―・ち直す」 ⑩たたいて伸ばす。「金箔を―・つ」 ⑪材料を鍛えて製品をつくる。大鏡頼忠「かねの御器ども―・たせ給へりしかば」。日葡辞書「ウマノクラヲウツ」「ユミヲウツ」。仮名草子、国町の沙汰「近江が―・ちし紫檀の三味線」 ⑫そば・うどんなどをつくる。日葡辞書「キリムギヲウツ」。ひさご「うどん―・つ里のはづれの月の影」(荷兮) ⑬たがやす。すきかえす。古事記「木鍬もち―・ちしおほね」。日葡辞書「タヲウツ」 ⑭土地を測量する。日葡辞書「サヲヲウツ」 ⑮墨縄を使う。万葉集11「飛騨人の―・つ墨縄のただ一道に」 ⑯伐り採る。万葉集14「佐野山に―・つや斧音おのとの遠かども寝もとか子ろが面に見えつる」 ➋《打》 ①釘や杙くいをたたきこむ。古事記「こもりくの初瀬の川の上つ瀬に斎杙いくいを―・ち下つ瀬に真杙を―・ち」。大鏡師輔「胸に釘は―・ちてき」 ②針などをさし入れる。狂言、雷「之を痛い所へ―・ち込みまする。…―・つてくれい」。「注射を―・つ」 ③釘を打つなどして、とめる。はりつける。平家物語1「御墓所の廻に我寺々の額を―・つ事あり」。日葡辞書「ウラヲウツ」 ④筆などで印をつける。「点を―・つ」「番号を―・つ」 ⑤非難する。なじる。「非の―・ちどころがない」 ➌《撃・討》きずつけたおす。 ①武器などで打撃を与え、敵をたおす。ころす。斬る。古事記「久米の子が頭椎くぶつつい石椎いもち―・ちてしやまむ」。日葡辞書「ヒトヲウツ」。「首を―・つ」 ②矢・弾丸などをあてて殺す。「獣を―・つ」 ③敵を攻める。攻めほろぼす。日葡辞書「テキヲウツ」。「不意を―・つ」 ➍《打》(遠くへ投げる意から) ①投げてあてる。投げる。宇津保物語蔵開中「南のおとどよりかうじを一つ投げて大将を―・つ人あり」。宇治拾遺物語3「石を取りて―・ちたれば当りて」。日葡辞書「ツブテヲウツ」 ②投げ広げる。日葡辞書「ナゲアミヲウツ」 ③網で鳥をとらえる。日葡辞書「トリヲウツ」「ウチアミ」 ④まく。狂言、文相撲「水を―・たせて置け」 ⑤おろす。日葡辞書「イカリヲウツ」 ⑥(「射つ」とも書く)発射する。日葡辞書「テッポウヲウツ」 ⑦纏頭はななどを与える。浄瑠璃、心中二枚絵草紙「いつやらの紙花も思の外に遅なはり面目ない…今改めてこりやばつと―・ちなほすわ」 ⑧身を、なげだす。すてる。ほろぼす。浄瑠璃、生玉心中「命惜しい程なら高で身を―・つ事もない」 ⑨巡礼する。歌舞伎、傾情吾嬬鑑「西国を―・つ気はないか」 ⑩〔仏〕伝法灌頂をうける。 ➎《打》物を組み合わせる。 ①仮に構え設ける。門・幕などを、とざす。しめる。宇津保物語藤原君「賀茂川の辺にさじき―・ちて」。奉公覚悟之事「幕之事…常は張るといふべし。敵を見かけては―・つといふべし」。浄瑠璃、仮名手本忠臣蔵「表御門裏御門両方―・ちたる館の騒動」 ②ひも・糸状のものを組む。編む。日葡辞書「ムシロヲウツ」「ヲヲウツ」 ③罪人になわをかける。 ➏《打》転じて、あることを行う意。 ①芝居や相撲を興行する。「芝居を―・つ」 ②碁・将棋・すごろくなどの遊戯を行う。古今和歌集「碁―・ちける人のもとに」 ③ばくちをする。徒然草「ばくちの負けきわまりて残りなく―・ち入れむとせんに相手は―・つべからず」 ④ある方策を行う。手段を講ずる。「新しい手を―・つ」「広告を―・つ」 ⑤物事のきまりがついたことを祝って手をたたく。手をしめる。 ⑥総金額のうち幾分かを渡す。品物の交換などの場合、不足金を補いはらう。「手金を―・つ」 ⑦あるしぐさをする。狂言、瓜盗人「夜瓜を取るにはころびを―・つて取るものぢや」 ⑧勢いよく動く。進んで事を行う。「文壇に―・って出る」 [二]〔自下二〕 (打たれるの意) ①打撃を受ける。押しつぶされる。太平記13「五百余人一人も残らず圧おしに―・てて死にけり」 ②負ける。古今著聞集16「又よりあひて取るにこのたびは壇光―・てにけり」 ③誓約を破って罰を受ける。平家物語12「起請には早くも―・てたるぞかし」 ④気を呑まれる。けおされる。浄瑠璃、五十年忌歌念仏「大坂の娘子達に交りても―・てずおされず」 ⑤承服する。納得する。合点がいく。浄瑠璃、心中天の網島「さすがの武士も―・てぬ顔」 ⑥魚などが腐る。 ⇒打たれても親の杖 ⇒打って一丸となる ⇒打てば響く

広辞苑 ページ 1863 での打つ単語。